白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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今回はアミッドさん回です!


第63話 聖女、驚愕。

「…【フレイヤ・ファミリア】も【ロキ・ファミリア】も都市の安寧に貢献してきました。決して怠けているわけではありません…。」

「ええ、そうですね。ですが、7年前の大抗争で彼らはわかっていたはずです。自分たちが弱いということに。なのにこの7年間で1つもランクアップしていません。特に【フレイヤ・ファミリア】と【ロキ・ファミリア】の幹部たちは。」

「………。」

アイズさんやティオナさんたちは着実に強くなっている。

…でも、セバスさんの言う通り7年前時点の第一級冒険者たちは、ランクアップしていない…。

 

「私から見ますと、呆れて何も言えません。その点、坊ちゃまはどうです?バーチェ嬢、坊ちゃまと戦って弱いと感じましたか?」

「……いいや、全然だ。ヴェルグスを使わなければ、明らかにレベル6である私が負けていた。私のヴェルグスの領域に体ごと踏み込み、素手で立ち向かうのはティオナ以外いなかった。しかしティオナはレベル6。団長はレベル5になったばかりだ。比較にならん。」

あの戦いは異常です…。

彼は数日前まではレベル4と聞いていました。そして今日レベル5と知り、レベル6のバーチェさんと互角、いえそれ以上の戦いを繰り広げていました。

今の彼は、レベル6に相当しています。

 

「カサンドラ嬢、「は、はひっ!」【アポロン・ファミリア】の戦争遊戯前と戦争遊戯中の坊ちゃまの動きは同じでしたか?」

「…全然違います。明らかにも違います。戦争遊戯の数日前は、元団長…いえヒュアキントスさんに負けていました。たったの…たった数日でレベル3を超えるなんてありえるはずがなかった…。でも、私の妨害があってもベルさんはヒュアキントスさんの魔法に耐え、勝ちました…。」

あの戦争遊戯は信じられませんでした。

100人程の構成員を持つ【アポロン・ファミリア】に、攻城戦で短期決戦を挑み…勝利しました。

特に、最後の【太陽の寵童】との一騎打ちでは、思わず手に汗を握ってしまいました。

 

やはり、【ゼウス・ファミリア】と【ヘラ・ファミリア】の系譜を持つ者と言ったところでしょうか。

才能があるんでしょうね…。

 

「何だと…数日でレベル差を覆したのか…。」

「さて、アミッド嬢。坊ちゃまは、この短期間で神時代の例を見ないほど、強くなっています。ですが、多くの第一級冒険者を育ててきた私が、はっきり言いましょう。坊ちゃまは才能が全くありません。むしろ、【フレイヤ・ファミリア】そして【ロキ・ファミリア】の幹部たちの方が、まだ才能豊富です。」

「は?」「何だと?」「ええっ!」

あ、あ、あれほどの強さで…、短期間でここまで昇ったというのに…さ、才能が全くない…。

【ヘラ・ファミリア】の…最恐の眷属を育ててきた、セバスさんがそこまで言うなんて…。

じゃ、じゃあ何で!

 

「簡単なことです。『想い』です。バーチェ嬢、心優しい貴方が過酷な闘国で生き抜くには"殺されたくない"という気持ちでしょう?」

「……その通りです(こいつも、お見通しか…。メイ様と同じく逆らってはいけないな…)。」

「坊ちゃまはただ、"強くなりたい"の一心です。全てを救いたい、絶対に見捨てない、諦めたくない…など多く思っていますが、根はただ一つ"強くなりたい"のみです。」

「…何かわかるような気がします。数時間だけですが、団長と戦って気持ちが伝わってきました。私と話したい、どんな私でも受け止めたい、私と家族でいたいという気持ちが。」

「…わ、私も遠征時で、ベルさんに多く救われてきました。誰も信じてくれない言葉を、ただ一人ベルさんは信じてくれました。ベルさんがいるから、私はここにいるんです!」

想いなら、私だって…。

 

「アミッド嬢、貴方の気持ちはわかります。全てを治したい、癒やしたいという想いがあるでしょう。それと同じことです。」

「だからといって、耐異常を上げるために毒物を飲ませるなんて…。」

「私はかつて所属していたファミリアと、同じことをしているだけです。坊ちゃまが"強くなりたい"と想っているなら、それに応えないといけないでしょう。それができなければ何が執事ですか。」

 

「…執事ってすごいな…。」

「…多分、違うと思います…。」

「…絶対に、私の知っている執事と違います。」

絶対に違う!

貴方のような執事が、いてたまるものですかっ!

 

「改めて、戦争遊戯が始まるまでに治療をしていただけますかな?アミッド嬢、カサンドラ嬢。」

「…彼の想いに負けないくらい、私も"全てを癒やす"という気持ちがあります。何が何でも治し、絶対に死なせません!」

「…私も、私もベルさんを死なせたくない!絶対に治します!」

カサンドラさんも優秀な治療師ですから、ついてこられるでしょうね。

 

「…セバス…様。私はどうしたらいいのだろうか?」

「貴方は、生殺与奪権をメイに握られていますね。メイにいろいろと指導を仰げば、お姉さんであるアルガナを一蹴することができますよ。」

「…わかりました(あのアルガナを?…いや一蹴する前に、私が生きてられるかどうか…。団長、ヘスティア様、守って下さい…。)」

 

「ああ、ちょうどいい機会です。坊ちゃまのこと、そして私が何者かをこの場でお教えしましょう。」

そしてセバスさんは、【白兎の脚】のこと、セバスさん…メイさんのことを語っていただきました。

魔導人形について驚くところはありましたが、先程と比べるとまだマシです。

 

「カサンドラ嬢、お願いがあります。坊ちゃまを介抱しながら大通りなど目立つところを歩いて、坊ちゃまを支えながら【ヘスティア・ファミリア】ホームへ寄って、そのまま泊まっていただけませんでしょうか?バーチェ嬢は人目を避けて帰って下さい。まだ知られるのは早いですからね。」

「ええっ!あ、はい。わかりました(ベ、ベルさんに触ってもいいということですよね?や、やった!)。」

「…承知しました。」

「私はアミッド嬢をお送りした後に、鍛冶場の増築依頼したいことがありますので【ゴブニュ・ファミリア】へ寄ります。アミッド嬢、明朝にお迎えへ参ります。」

「はい、わかりました…。」

かなり忙しいんですね…。戦争遊戯のルールもまだ決まってないというのに…。

お得意様の【ロキ・ファミリア】へ忠告ぐらいはした方がいいのでしょうか?

 

「ああ、アミッド嬢。【ロキ・ファミリア】へ言ってもいいのですが、その場合報酬は提供しませんよ。」

!?

 

読まれている…。

敵に回したくありませんね、ええ本当に。




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