私は愛する団長の命令のため、【ヘスティア・ファミリア】のホームを見張っている。
【白兎の脚】には興味あるけど、まだレベル4じゃない。
まあ、でも団長の言う通り格上の敵やモンスターを相手にし、レベル3で『異端児』の件でアイズを退け、あのクソムカつく黒いミノタウロスと戦ったものね…。
私に同じことができるかって?
団長のためになら!と言いたいけど、無理ね。
「あの…ティオネさん。何をぶつぶつと言っているんですか?」
「ああ、ごめん。ついあの【白兎の脚】のことを考えていてね。どうやったらあんなに強くなるのかなと。」
「それはわかります…。同じレベル4なのにあそこまでできません…。」
ああ…ナルヴィは【デメテル・ファミリア】救出のために動いてたわね。
その時【白兎の脚】の遊撃にすごく助けられたらしいわね。
「あそこまでって、どんな感じなの?私見てないから、わからないんだけど。」
「ティオネさん…、一匹の食人花でも私達レベル4数人でも手間取るのに、あの【白兎の脚】はたった一人で多くの食人花を瞬時で切り刻み爆破し、多くのヴァルグを塵に変えたんですよ…。」
「え?」
「レフィーヤが葛藤する意味がようやくわかったんです…。あんなの追いつけませんよ…。」
「そして…【白兎の脚】がアイズさんとダブるくらい凄かったんですよ…絶対レベル4のなりたてじゃないですよ!」
レベル4上位の彼らがそこまで言うなんてね…。
団長の言う通りかもね。
今の【白兎の脚】がどんなに強いかはわからないけど、私でも手間取ったあの硬い食人花を一人で複数倒すなんて…。
レベル5,6と見たほうがいいわね。
「ティオネさん…本当に【ヘスティア・ファミリア】と戦争遊戯するんですか?」
「クノッソスで、彼らに大きく助けられたのに何か罪悪感を感じるんですが…。」
わかるわ…、ナルヴィとシャロンの気持ちは。
私も【ヘスティア・ファミリア】…特にあの【白兎の脚】に何も思わないはずがない。
レベル1でミノタウロス強化種の死闘を、目の当たりにしたんだもの。
あの戦いの感動は、闘国にもオラリオへ来てもなかった。
ティオナがはしゃぐ気持ちもわかる。
あれは…心をざわつかせる…燃えさせるものだった。
団長がいなかったら、ティオナと共に興味を持ってたかもしれないわね。
その時、白兎は寝ていたが大蛇に巻き付かれる夢を見て、うなされていた。
しかし、横で寝ていた春姫が慌てて、ポンポンすることでようやく安眠できた模様…。
団長による愛の発破の「ベル・クラネルの真似事は君たちにとって荷が重いか?」はすごく堪えたわ。
当時レベル5である私が、レベル1であるベル・クラネルに負けるわけにはいかない。
そのおかげで『穢れた精霊』を倒せたのだもの。
あの戦いを見てなかったらと思うと、ぞっとするわね。
初中層で18階層到着は血を騒がせてくれたわ。
あの戦いでレベル2にランクアップし、18階層まで一気に来るとわね…。
【アポロン・ファミリア】戦争遊戯は、凄かったわ。
レベル3のヒュアキントスとタイマンで戦い、倒すなんて。
アイズとティオナがたったの数日で、特訓しただけで?
……私もその特訓に入りたかったわ。
その後は…ああ、歓楽街で偶然会ったわね。
何か、私達アマゾネスに対して妙に怯えていたわ。
後でティオナに聞くと、【イシュタル・ファミリア】の娼婦戦士に追いかけ回されていたらしいわ。
何があったのよ…。
その後、【イシュタル・ファミリア】が【フレイヤ・ファミリア】によって壊滅されたらしいけど、まさかベル・クラネルが関わっているんじゃないでしょうね?
そして…『異端児』の件…。
あの竜女を庇ったのは驚いたし、喋るモンスターであることにも驚いた。
私たち【ロキ・ファミリア】と一時敵対するとは思わなかったけどね。
あー!あの【不冷】め!風の魔剣がなかったら捕らえていたのに!
しかもベル・クラネルとあのムカつく黒いミノタウロスの一騎打ちに割り込めないよう【女神の戦車】が邪魔しやがって!
あの糞猫め!今度会ったら殺す!
今回の神フレイヤの魅了騒動は腹立つ!
私たちを魅了して、ベル・クラネルを奪うなんて気に入らない!
神ヘスティアによって解除された後、アイズとティオナと一緒に【フレイヤ・ファミリア】ホームへ殴り込んでやったわ!
でも、そこにいたエルフとアイズがいがみ合っていたのは、何でよ!
味方じゃない!
彼には…本当に悪いことをしたわね…。
だから、今回の団長の判断は納得できない。
いつもの団長なら、あの豚の話なんか鼻であしらうはずなのに…。
何で…?何かを焦ってる…?
…?妙に静かね…?
「ねえ、ナルヴィ、シャロン、いる?」
………。
おかしい…。初めからいなかったような…。
…もしかして、敵!?
「誰だぁ!出てきやがれ!【フレイヤ・ファミリア】か!?」
………。
気のせい…?ううん、そんなはずがないわ。
さっきまで、そこにナルヴィとシャロンがいたもの。
あの2人、仮にもレベル4だもの。
簡単にやられるわけがないわ。
……。
トイレに行ってるだけかしら?
でもあの2人なら私に声をかけるはず。
または、もう既にやられてる…?
いけない、いけない。
【ヘスティア・ファミリア】を見張らなくちゃ。
あいつらのことは後でもいい。
先程、神ヘスティアと【白兎の脚】と【不冷】が戻ってきて以来何も起こらない…。
ただ、あの三人以外に誰かいたような…?
「……ガハッ!?あ…ぐっ…」
何だと…!
いつの間に背後にっ…。
この!
…ダメだ…!
首を完全に極められている…。
そんな…レベル6の私が…ここまで接近許すなんて…。
【猛者】か…?
いや…あの猪は…こ…こま…で
器…用じゃ…ね…え。
そ…れに…こいつ…
にん…げ…んじゃ…ない?
つめ…た…い。
だ…んちょ…う。
はい、ティオネさん油断しましたね。
(いや、彼ら相手には油断しようがないと思いますが)
フィンは、ティオネの言うとおりに焦っています。
それについては次話以降、わかっていきます。
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