白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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今回は、ベートさんです!


第74話 凶狼、自問。

糞がっ!【ヘスティア・ファミリア】に戦争遊戯だとっ!

フィンの奴、何を考えてやがる!

【フレイヤ・ファミリア】から喧嘩を売ってきたんだろうがっ!

豚の言うことなんぞ無視すりゃいいだろうが!

何ビビってやがるんだ!

 

ジジイもジジイだ!

あいつの戦いも見たこともないくせに、偉そうにしやがって!

何が【重傑】だ!

 

何がレベル6だ!何が第一級冒険者だ!

あの美の神の魅了に堕ちた俺たち…【ロキ・ファミリア】が…。

俺は…自分が情けねえっ!

 

よくも、あの糞猫がっ!

【フレイヤ・ファミリア】どもめっ!

絶対ブチ殺してやるっ!戦争遊戯なんか知ったことかっ!

あいつの…、あの兎野郎の、クラネルのことを忘れさせやがって!

 

…あいつはどこまでもすげえんだ。

弱ぇくせに、絶望に向かって立ち上がりやがって…。

『弱者の咆哮』を何回もあげやがって!

 

レベル1のくせにレベル2上位相当のミノタウロス強化種を、

【アポロン・ファミリア】のあの変態野郎…レベル3を…、

【異端児】で俺たち【ロキ・ファミリア】と敵対し、一矢向けやがって…、

俺やバカゾネスどもとやり合った、黒いミノタウロスとタイマンしやがって…、

クノッソスのあの大鐘楼の音…いや『弱者の咆哮』を…、

そして、美の神の魅了をものともしなかった上、孤独になっても折れなかった…。

 

それに比べて、俺たちは…俺は…。

畜生!畜生!畜生………っ!

 

それに、あいつは俺のような奴じゃねえ。

【アポロン・ファミリア】の戦争遊戯前に、『焔蜂亭』であの変態野郎たちと揉めやがった時だ。

あいつは自分をコケにされても、自分の主神をコケにされるのは許さなかった。

それであいつは、『雄だ。雌や弱いものを守る奴だ』と知った。

だから、らしくもねえ真似をしてしまったがな。

 

クラネルとたまたまだが、『豊穣の女主人』で相席になることがあった。

俺らしくもねえ世間話をしたが、なかなか悪くなかった。

こいつと同じファミリアで、語り合うのも悪くねえな、と思ったぐらいだ。

 

ちっ…。

さっきまでティオナとやり合ってたから、少しは頭が冷えたぜ…。

 

ティオナはバカだが、今回のことわかってやがるな。

ティオネは…フィンに従ってるが、少しは疑問に持ってるな。

ガレスはクラネルとはそんなに話したことないから、何も感じねえだろうな。

アイズは…相部屋だと?あいつ意味わかってんのかよ?

それ以前に、あいつ自覚してねえな…。

 

ババアが戻るのを待てだと?

ババアがフィンの案を受け入れるとも思えねえがな。

それにあの女も今回のことを聞いたらブチ切れるんじゃねえか?

なんだかんだと言って、あの女はクラネルのことを結構見ているからな。

 

フィンの奴…。

あいつ、何焦ってやがんだ?

クノッソスで、クラネルに美味しいとこ取られたからか?

フレイヤの魅了に抗うことができなかったからか?

 

はっ!【勇者】とあろう者が情けねェ!

【ヘスティア・ファミリア】を助けるためとか言ってるが…、ありゃ嘘だな。

フィンは【ヘスティア・ファミリア】を…クラネルを下して、自分の手の内に収めたいからじゃねえのか?

 

名を上げるなら、強い奴を倒した方が手っ取り早いからな。

ただ…クラネルはまだレベル4だ、まだ第二級冒険者だ。

『保護』とかいいながら、要はクラネルは自分より下だという事実が欲しいだけじゃねえのか?

クラネルがやったことは、全て自分が指示したことにしたかったんじゃねえか?

 

……あり得るな。

あの、フィンならやりかねえ。

 

振り返ってみれば、クラネルがやったことはどれもこれも、目を瞠るものだからな!

半年だ!たったの半年で、ここまで名を上げやがった!

半年前に駆け出しだった奴は、もう俺らの背後まで追いつきやがった!

フィンやアイズ…、俺にできたか?

いいや、できなかった!絶対にな!

 

その上…あいつのファミリアは誰一人も失ってねえ!

レベル1、2に関わらずだ!

 

それに比べてウチはどうだ?

最強派閥といいながら、俺が入団しても多くの犠牲を払いやがった!

 

特に…クノッソスへ初めて入った時に、リーネたちを…何人か失いやがった!

あの時に、俺が「足手纏いは要らねえ。邪魔だ」と言ったんだ!

それをあいつらは蹴った、だから死んじまったんだ!

それだけじゃねえ!他にも何回かあった。

畜生…!

 

しかし…フィンの奴、『異端児』の件でマシになったかと思ったが…。

ありゃ…駄目だ。

あの程度で、焦るなんてな…。

今回でフィンの底が見えたな…。

……改宗を考えるべきか?

 

……改宗?……何故、そう考えた?

俺がレベル6に至ったからか?

いや違う…、『弱者の咆哮』を聞かされたのは、これまでにもクラネルだけだ。

あいつは立ちやがった。

『弱者』から脱却し、『強者』への道を歩いたのは、あいつが初めてだった。

そうだ…あの猛牛の一戦からだ。

俺は…あいつに……、『憧れ』を見たからかもしれねえ…。

 

もし、あいつがうちに【ロキ・ファミリア】に入ってたら、リーネたちを失われずにすんだのか?

クノッソスで…いや、もっと前にあのエルフ…フィルヴィスを救えたかもしれねえのか?

あいつによって、俺たちも今よりもっと強くなっていたかもしれねえのか?

 

ちっ…俺らしくもねえことを考えちまったぜ…。

 

ん?あいつら…何やってんだ?

バカゾネスに、ラクタ、クルス、スタークか?

 

模擬戦か…。

考えるのはやめだ。俺も入ってやる!

「おい!てめえら!俺も混ぜろ!」




ベートさんは、ロキファミリアでもいろいろと考えてる方であり、結構気を使っていると思います。

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