白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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いきなりですが、3日目に入ります。

今回はフィンさんと、ヴェルフさんです。
ヴェルフさんを出したのは、次回の布石です。


第76話 勇者、焦燥。/不冷、予感。

おかしい…。

ティオネに指示してから2日経つ。

何故、一つも連絡が来ないんだ?

ティオネの性格上、1日どころか数時間も空かないはずがないんだが…。

 

【ヘスティア・ファミリア】に何かあったのか…?

いや、何かあったなら大騒ぎになるはずだ。

何しろ、今の注目の的だからね彼らは。

 

「フィンよ、【ガネーシャ・ファミリア】のシャクティとティオネ、ナルヴィ、シャロンが来たぞい。」

「…何でシャクティが来るんだい?」

「儂が聞きたいわい…。」

「まあ、いいや。通してくれないか。」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「団長ぉぉ!申し訳ありません!」

「「申し訳ありませんでした!」」

「三人とも落ち着いてくれ、何があったのか報告してくれないかい?」

「は、はい…。」

 

三人とも、僕が指示した日に何者かによって気絶させられたとのこと。

 

「何だって…?君が背後から気づかれずに首を締められただって?」

「お主がか?ありえんのう…。オッタルでもないし…。」

「わかりません…。」

「私達は気づいたら、【ガネーシャ・ファミリア】の牢屋にいました…。」

「目覚めたのは今朝でした…。」

あり得ない!他の二人ならともかくティオネが落とされるなんて!

 

【ヘスティア・ファミリア】か?

いや、ベル・クラネルはそんな真似をするような人ではない。

リリルカ・アーデもだ。

仮にできたとしても、ヤマト・命か?

いや、レベルが違いすぎる。

じゃあ!誰だ!

 

「フィン、落ち着け。」

「……!ああ、すまない。ティオネ、ナルヴィ、シャロン、ご苦労だったね。下がっていいよ。」

「は、はい、申し訳ありませんでした!」

「「申し訳ありませんでした!」」

彼女らが退室してから、シャクティへ目を向けた。

 

「何で、彼女たちが牢屋にいたんだい?」

「それは私が聞きたい。今朝牢屋の点検をしようとしたら、彼女たちが牢屋にいたんだ…。」

「何じゃ、それは…。」

「団員の全員へ聞いた。誰も心当たりがないそうだ。」

「じゃあ、何か?何者かがティオネ達を気絶させ、彼女たちを担いで【ガネーシャ・ファミリア】へ忍び込んで牢屋に放り込んだ、とでも?」

「そうとしか言えない…。牢の点検をしたのが、一昨日の朝だったからその間にとしか、考えられない。」

「あやつらが問題を起こして、ぶちこまれたとかは?」

「それもないと言っただろう。団員全員心当たりがないと。」

馬鹿な…。レベル6のティオネを落とした上、3人を担ぎ、第一級冒険者が多く揃っている【ガネーシャ・ファミリア】へ誰も気づかず、奥の牢屋にそっと入れて去ったと?

そんなの…オッタルでもできないぞ!

 

「…!フィン!おい、フィン!」

「!あ、ああ、すまない、ガレス。…シャクティ、彼女たちの釈放及びここまで送り届けてくれてありがとう。」

「いや、気にしないでくれ。…ところで彼女たちは何か任務を請け負っていたのか?」

「……ああ、悪いけどそれ以上はうちの機密なんだ。すまない。」

「そうか…いや書き置きがあってな。」

「は?」「何じゃと?」

「これだ…。『この者たち、覗きの現行犯につきここへ投獄せり』と。」

「「……。」」

【ヘスティア・ファミリア】しか考えられないじゃないか!

だが、あり得ない!

彼らの中にそこまでの凄腕がいるとは思えない!

「…そうかい…。お手数をおかけしてすまなかった…。」

 

「では、私はこれでな。」

「ああ、シャクティ。【ガネーシャ・ファミリア】は今回の戦争遊戯には参加するのかい?」

「‥…私達は【ヘスティア・ファミリア】に大きな借りがある。それはわかっているだろう?」

「もちろんだよ。ただ、今回は中立を守って欲しい。でないと、【ロキ・ファミリア】は【ガネーシャ・ファミリア】に今後協力できるかは保証できない。」

「【勇者】、それは脅しか?」

「いいや、忠告だよ。【象神の杖】。」

「「……。」」

「…私達はオラリオの治安維持を担当している。それはお前ら【ロキ・ファミリア】にも【フレイヤ・ファミリア】にもできないだろう?だから、まだ迷っている、と言っておこう。」

「…そうだね。その通りだね。」

「先程の脅しはガネーシャに伝えておこう。…残念だよ、【勇者】。」

バタン

 

「フィン…、何故あのような事を言ったんじゃ?今まで築いてきた信頼が、先程で崩れおったぞ。」

「……。」

「フィン、何を焦っておる?」

焦る?僕が?

 

「…すまない、どうかしてたようだ…。」

「シャクティへは、儂からお詫びしておこう。」

「助かるよ…。」

僕としたことが…。

シャクティには悪いことをしてしまったな。

 

……一体、【ヘスティア・ファミリア】で何が起こっているんだ?

ティオネたちを呼んで、当時の状況をもっと詳しく聞かなければ。

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

~【ヘファイストス・ファミリア】の椿の仕事場~

 

「…というわけだ。ベルのあのスキルに対しては大剣を多く用意した方がいいと思うんだ。」

「そうじゃのう。不壊属性でも駄目か。なら威力重視の大剣を複数用意しておこうか。」

「そうだな。」

「あと、ヴェル吉よ。このドロップアイテムどうするんじゃ?」

ん?何だ、このでかい爪は…。

 

「何だ、これは?」

「【白兎の脚】と【疾風】が倒した、原因不明のモンスターのドロップアイテムじゃ。」

「待ちなさい、椿。貴女は人様のドロップアイテムを横取りしたの?」

あ、ヘファイストス様が怒っているぞ…。

 

「い、いや違うんじゃ。ほ、ほらあの二人が大怪我をしてたから、ひとまず手前が預かっとこうと…。」

「嘘ね。」

「…すまぬ。見たこともない素材でつい…。」

「椿、お前…。」

気持ちはわかるが…、それはダメだろう…。

 

「椿、これは懲罰ものよ。」

「…すまぬ。」

「はぁ…、ヘスティアには私からお詫びしておくわ。貴女、どんどん借りが増えているわよ。」

「お手数をおかけしてすまぬ、主神様よ。いくらでも無料で武器打つと伝えといてくれ。」

「貴女の武器はそんなに安くはないでしょうに…。」

【ヘファイストス・ファミリア】団長のオーダーメイドって、数億ヴァリスはするよな…。

俺もそのくらいまで腕を上げないとな!

 

「ところで、これは…確かに見たことのない…いや【ゴライオスの硬皮】に近いな…。」

「ああ…ダンジョンのイレギュラーの…」

「主神様よ、ヴェル吉。これはかなりの曲者じゃぞ。」

「どういう意味だ?」

「このハンマーをな…こうよ!」

「ちょっと!?」「椿!?」

お、おい!爪が砕け…ない?

逆にハンマーが切れたぁぁぁ!?

 

「「なっ…」」

「この爪にかかるとな、何でもスパスパ切れるんじゃ。オリハルコンでもアダマンタイトでもな。」

「異常ね‥。」

「これもか…下手に加工するよりそのまま武器として使った方がよさそうだな…。」

結局、【ゴライオスの硬皮】と同じ扱いか…。

一体、何でできているんだよ…。

 

「それしかあるまいな…。」

「取っ手をこうして…逆反りの剣になるわね…。」

「よほどの剣の達人でしか使えんな。一歩間違うと自分も簡単に切れてしまうぞ。」

命か?いや、これは逆反りだな…。

ベルか?うーん…。

 

「大剣は、店にある大剣を多く用意すればいいわね。」

「そうじゃな、時間もないことだからのう。」

そういや、思ったんだが…。

 

「ところで…椿は誰に対して武器を打つんだ?」

「ううむ…あのメイドと執事は?」

「いらないと思うわよ。彼らは。」

「…俺もそう思うぜ。アレは存在自体が反則だろ…。」

アレそのものが武器だからな…。

 

「なら、保留ということになるかの。」

「そうだな…。このドロップアイテムはベルとあのエルフが揃ってから、渡したほうがよさそうだな。」

「うむ、悪いことをしてしまったのう…。」

「そうね…。ねえ、ベル・クラネルは今、何しているの?」

「セバスとメイ、それと…いや【悲観者】に治療してもらいながらしごかれているぜ。」

(バーチェについては黙っているようにと言われていたからな、あぶねえ)

 

「………そうわかったわ(デメテルが何か女神連合を作るとか言っているけど…、恐らくメイかセバスがデメテルに接触して何かしたかもしれないわ。それにしても動きが早いわね…。)。」

 

「それに、ヴェル吉よ。【ヘルメス・ファミリア】が何か珍妙な店を開いたようじゃぞ。」

「は?」「また何かやったの…。ヘルメスは。」

「いや、その店がな…。」

 

「何だって!?何でそんな店を…?」

「うわぁ……ヘスティアがキレるわよ…。」

 

何でそんな店を…?

すごく嫌な予感がするぜ…。

 




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