あの方の墓参りです。
よくよく考えれば、【ヘスティア・ファミリア】はいつ全滅になってもおかしくはない状況ばかりだ。
なのに、1人たりとも死んでいない。
それに比べてこちらはどうだ?
大派閥とか都市最強派閥とか言ってる割に、大きな犠牲を払ってしまっている。
あれほどの戦いを超えた割には、フィンとガレスと私はランクアップしてない。
情けない…。
こうしている間に、あの少年は強くなっているだろう。
アイズのことは別にしても、あの少年に興味持たずにはいられない。
ふぅ…。
レフィーヤも彼女を失ってどうなるかと思ったが、乗り越えてくれたようだ。
アリシアの言う通り、一皮向けて頼りになってきた。
だが、ガレスの言う通り私たちも負けるわけにはいかない。
いかん、眠れんな…。少々風にでも当たってくるか。
皆は…もう寝ているか。
王族としてでなく、1人の女として散歩するか。
18階層…。『迷宮の楽園』か。
む…花畑か。ふふ…少女に戻って摘むのもいいか。
……ああ、あいつの手向けでもするか。
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このあたりだったな…。こんな粗末な花ですまんが、勘弁してくれ。
「久々だな…。このあたりにくるのは何年ぶりだろうか。なあ…、今の私たちをお前が見たら嘲笑うだろうか?それとも…無感動で無視か?……そうだな、お前はそういうやつだったな。」
「あの……リヴェリア様?どなたとお話しているのでしょうか?」
「む…、レフィーヤか。どうした、眠れないのか?明日は早く出るから少しは寝ておけ。」
「あ、はい…。そのつもりでしたが、何だか目が冴えちゃって…。それは花束でしょうか?」
「ああ…知り合いのな。」
「そ、そうでしたか。それは失礼しました。」
む、何か勘違いしているようだな。
「いや、お前が考えているようなものではないんだ。勘違いするな。」
「え?そ、そそそそんなこと考えていませんよ!」
「まあいい、静かにしとくようにな。奴…あの女は静かのを好むからな。」
「あ、そうでしたか!」
やはり勘違いしていたな。
はぁ…何でそういうのを考えるのだ…。
「ここにいる…いや、ここで死んだのは私が一回も勝てなかった女だった…。」
「と、都市最強の魔導士のリヴェリア様が!?」
「ふふふ…都市最強の魔導士はあの女のようなことを言うのだ。本当に惜しい女だった…。」
「ど、どんな方でどんな魔法を使うのでしょうか?」
ああ、そうだったな。あの規格外の女は確か…。
「レフィーヤ…お前は確か15歳だったな?」
「あ、はい。そうです。」
「あの女は10代半ばでレベル7だった。」
「えええええええええっ!?」
さすがにショックだった。
当時あのオッタルをなでただけで、吹き飛ばしたな。
10代後半でレベル7となり、あの【ヘラ・ファミリア】の幹部まで上り詰めたからな。
「魔法もデタラメだった。超短文詠唱で、ガレスを一撃で倒す程だった。」
「えええええええええっ!?」
あれは反則だろう。避けたら避けたで平衡感覚を狂わせるし…。
【不冷】の魔力爆発の短文詠唱でも追いつかないだろう。
速さではあの少年の速攻魔法に匹敵するかもしれんが、威力が違いすぎる。
「更に、敵の魔法を無効化する魔法を持っていた。しかも超短文詠唱だ。」
「えええええええええっ!?」
魔導士なのに相手の魔法を無効化するなんて…知った時は唖然としたものだ。
私の最大魔法をあっさり無効化された時は、こいつ本当に人間か?と疑ったものだ。
私達魔法種族であるエルフにとって、相性最悪のやつだったな。
「そして…三大クエストの1つの「海の覇王」のリヴァイアサンにトドメをさした長文詠唱魔法も持っていた。」
「何ですか!?そんなの……反則じゃないですか!」
そうだな…。だが、あの女はそのため戦線離脱せざるを得なかった。
「まだあるぞ。今のアイズほどの速さで並行詠唱が可能だった。」
「えええええええええっ!?」
一度詠唱が始まったら、もう止められないからな。
前線で飛び回り超短文詠唱を連発されたら、たまったものではない。
「ああ、そういえば相手の剣技を簡単に模倣できるんだったな。あの女は。」
「…………………。」
7年前の大抗争でもあの女は、当時のアイズの剣をあっさりと奪い、【ゼウス・ファミリア】の【暴食】ザルドの剣技を模倣してきてガレスを切り刻んだのだからな。
魔法も超短文詠唱で協力、魔法を無効化する障壁…いや付与魔法、魔力の臨界を突破する長文詠唱…。
そしてアイズ並の敏捷…、見ただけで模倣できる…改めてよく考えると正真正銘の化け物だったな。
【才禍の怪物】と呼ばれるのも道理だ。
「都市最強の魔導士と言われるのも、納得です…。じゃ、弱点とかはなかったのですか?」
「ある…彼女には大きな弱点がな。それがあの女をレベル7程度に留めていたんだ。」
「レ、レベル7程度に…。弱点とは何ですか?」
「…死の病だ。」
「え…。」
ああ本当に惜しい、惜しすぎる。
「彼女には生まれつきの病を持っていた。そしてそれはスキルとして発現するほどだった。」
「……。」
「それがなければ…奴はレベル7に収まる器ではなかった。レベル8,9…いや10以上は行けたかもしれん。」
「病で死んだのですか…。」
「いや…、7年前の大抗争で闇派閥として、ここ…18階層で死んだ。」
「!?」
あの女は…大馬鹿だ。
自分の命が残り僅かだからといって、それを私達に捧げて経験値と糧にすることはなかろうに。
あの大抗争で、確かに多くの者がランクアップしてオラリオの戦力上昇になったのは確かだ。
だが、他に方法はなかったのか…と、私はつくづく思う。
私はレフィーヤに7年前の大抗争について語った。
「そうだったんですか…。学区で学んだこととは違うんですね…。」
「何だと?」
「あ、はい。学区では『7年前の大抗争を含む暗黒期は、ギルドと有力ファミリアの手によって終焉を迎えた』と書いてあったんです。」
「そんな馬鹿なことがあるか!あいつらの無念を、彼等彼女等の死を、彼女たちの悲しみをその一文だけでだと!?」
「ひぃぃぃぃっ!」
何故、そういうことになっているのだ!
学区は…確かギルドの管轄だったな。
さては、ロイマンか!あの恥知らずが!
自分の手柄にする算段だな!
「も、申し訳ありません!」
む…いかん。レフィーヤには罪はない。
地上へ戻ったら、【ロキ・ファミリア】としてロイマンへ抗議しなければならんな。
「は、話を戻して…その、リヴェリア様の知り合いがここに眠っているんですね…。」
「いや…、このあたりはあの女が炎渦巻く穴に飛び込んだところだ。あの女らしいよ…。」
「その人も…未来を危惧してたんですね…。」
そうだ。時代を逆行させるとか、のたまっていたが結局奴らは未来を心配していたのだ。
奴らが…今の私達を見たら嘆くだろうな。
「あの…私も花を供えてもいいでしょうか?」
「…ああ、構わないぞ。」
だが、レフィーヤのように後進の者が順調に育っていっている。
近いうちに私達を超えるだろう。アイズたちのようにな。
「これで、よしっと…。」
「レフィーヤ…お前に言っておくことがある。あの女の前でな。」
「え?な、何でしょうか?」
「私を目指すな。私を超えろ。」
「リ、リヴェリア様を!?そ、そんな大それたことは…。」
「そうしなければ…、フィルヴィス・シャリアのような者がこれから先に次々と出てくるぞ。」
「!?…っ、はい…わかりました。」
すまないな、お前の触れたくないところに触れてしまって。
お前はこれからも強くなっていくだろう。だが、私という王族妖精が枷となってはダメなのだ。
もうひと押ししておくか…。
「それにあの少年に…【白兎の脚】には負けたくないのだろう?」
「!?ええ!負けませんとも!あのヒューマンには!」
「そ、そうか…。」
かなり効果てきめんだったな…。
すまない…君のことを当分使わせてもらう。
「しかし…あの少年が今やレベル4か…(半年でレベル4はあの女も驚くだろうな)。」
「ふんっ!中身はまだまだですよっ!絶対に負けませんっ!」
「レフィーヤ…少しは【白兎の脚】のことを認めろ。」
「もうとっくに認めていますっ!だからこそ、気づかないのが腹立つんですよっ!あっ…!?」
お前…まさか。
そうか…そういうのはとっくに過ぎていたのか。
ここは素知らぬ顔をした方が吉だな。
「ここを出る頃には、【白兎の脚】はレベル5になっていたりしてな。」
「そんなわけがありませんっ!…いや…まさか…あり得るかも…。」
なんだとかんだと言って、認めているじゃないか…。
アイズといい、レフィーヤといい…。
『精霊の六円環』を教えてくれたお礼も兼ねて、あの少年と…【白兎の脚】と一回ぐらいは話をしておくべきだな。
…?何だ、記憶のどっかに…あの少年に似たような者に会ったような気がする。
いつだ…どこだ…?
だめだ。思い出せん。
「あれ…。あそこにいるのアキさんとラウルさんじゃないですか?あっ、ままままさかデート中!?」
「ここまで来てデートするのか…?」
「ええ、確かリヴィラにカップル限定の『ハイパーダンジョンサンド・タピオカデラックス』があるとエルフィが言っていたので、それじゃないですか?」
何だ…その頭が悪そうな名前のやつは…。
最近の若い者の考えていることはよくわからん…。
「あっ!ようやく見つけた!ラウル!こっちよ!」
「ああっ!やっと追いつけたっす!」
む…?私達を探していたのか?
何かあったのか…?
ラウル・アキ夫婦が合流してきました。
この二人はダンまちでベストカップル10に入るのではないかと思います。
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