しばらく一休みしてまた、ロキ・ファミリア視点が始まります。
今…私は【ヘスティア・ファミリア】ホームの部屋の1つにいる。
何故かって?
あの性悪メイドとサド執事に拉致されてきたからだよ!
「…………おい。」
「どうしましたか、愚者?」
「何かご不満でも?」
「どうしたもこうもない!何故…何故!私が【ヘスティア・ファミリア】ホームにいるんだ!」
ウラノスへ退職届をぶつけた後、『魔女の隠れ家』へ戻ろうとしたら店そのものがなくなっており、背後から気絶させられ、ここへ連れてこられた。レノアは部屋の隅で震えていた。
後で謝っておこう…。
「言うまでもないでしょう。あの店は【フレイヤ・ファミリア】に知られています。」
「本当に思考まで鈍ってしまわれたのですね。賢者の名が泣きますよ?」
こんなの、想定できるか!
「そもそも、貴女は既に神ウラノスから辞めたのでしょう?ならいいではありませんか。」
「ここなら、【ロキ・ファミリア】にも【フレイヤ・ファミリア】にも攻められることはありませんからな。」
そうだな!
お前らがいるなら、鉄壁だものな!
「それに…、【ヘスティア・ファミリア】の方は貴女と顔見知りでしょう?ならやりやすいではありませんか。」
「魔道具を作るだけでなく、使用感を聞くにはちょうどいいではありませんか。」
…一理ある。
くそっ!反論できないのが腹ただしい!
「それに…そもそも貴女の蘇生魔法は、坊ちゃまがいなければできません。」
「どういう意味だ…?」
「貴女は、スロットを埋める無駄なものと以前おっしゃっていましたが、そうではありません。」
何だと…?
ウィーネの時はたまたまではないのか?
「恐らく…あなたの蘇生魔法は確率により成功するのではありませんか?」
「確率…だと…。つまり…、私は…ウィーネ以外ハズレを引いてたということか?」
「「ザッツライト。」」
腹立つなあ、こいつら!
そうか…単に運がなかっただけなのか…。
正直凹む…。
「しかし、何故だ?ベル・クラネルに何か…特別なスキルでもあるのか?」
「今は全部言えませんが…、坊ちゃまには神時代で初の発展アビリティを持っています。」
「『幸運』…聞いたことありますか?」
ない…。
はぁ…ベル・クラネル、君は本当に…。
「その『幸運』によって、貴女の蘇生魔法の確率が跳ね上がったのでしょうね。」
「坊ちゃまはその『幸運』でカジノで荒稼ぎしましたから、よほどの運でしょうね。」
なるほど…。
そのような発展アビリティがあったとは…。
そうか、私のこの魔法は意味があったんだな…。
いや、彼が現れるのを待っていたかもしれないな。
「なので、貴女はここにいるべきです。魔道具製作者としても蘇生魔法の持ち主としても。万が一の備えとしてでも。」
「私達もいますから、会話に事欠かないでしょう。ああ、レノア嬢は助手としてお願いしますね。三食昼寝つきですからご安心を。」
…まあ、最強と最恐がいる限りここは安泰だろう。
「さて、私達はあの役立たずの神ウラノスでも挨拶に行きますか。」
「そうですね。あの豚もすでに調整済みで問題ありませんからね。」
「おい…待て。今、『調整済み』と言わなかったか?あのロイマンに何をした?」
「「別に?単にお話をしただけですよ?」」
「(哀れ…ロイマン。)そうか…わかった。その辺は君らに任す。ここへ連れてきたからには魔道具で何かリクエストがあるのだろう?」
「さすが、長い付き合いだとおわかりになりますな。賢者の面目躍如といったところですかな。」
「貴女に作製してほしい魔道具とはこちらの通りです。」
む…。……なるほどな。この内容の魔道具か。
ふむ…着眼点が私と違うから非常に参考になる。
「そうか、わかった。これなら短期間で作れそうだ。」
「よろしくお願いしますね。」
「今は時間がないですが、戦争遊戯後は時間ができますので、色々と話をしましょう。」
そういって、彼らは音もなく去った。
「ふぅ…レノア、大丈夫か?」
「は、はい…愚者様。あの方々は一体…?」
「私の…悪友さ。」
愚者さん拉致。
そりゃ、ベル君専属魔道具作製者を安全地帯に置かないといけませんからね。
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