白兎に遺された、最強と最恐の造られしもの   作:覇幻

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4日目に戻ります。

エイナさん回です。



第93話 受付嬢、判明。

ふう…昨日はやばかった。

まさか、あのような形で…ベル君の…。

きゃーきゃー。

 

「エイナ様、エイナ様。思い出すのもいいですが、ヘスティア様に気づかれると厄介ですから取り繕って下さい。まあ、お気持ちはわかりますが…。」

「そうだね、気をつけるね。ケホッ…ケホッ…。」

「風邪でございますか?今日の夕方にカサンドラさんがベル様と帰ってこられますから、そのときに診てもらってはいかがでしょうか?」

「ああ、いいよ。ずっと前からなんだ。大したことないよ。」

うん、この咳が出たのは…1年前からかな。

アイナ母様の咳と似ているような気がするけど、気のせいかな。

 

「「皆様。おはようございます。」」

「「「おはようございます。」」」

「ああ、エイナさん。紹介してませんでしたね。こちらはセバスです。」

「セバスと申します、エイナ嬢。坊ちゃまが日頃からお世話になっております。」

「いえいえ、こちらこそ。…ケホッ…ケホッ…すみません。失礼しました。」

いけない、いけない。咳がこんなとこで出るとは…。

やっぱり、カサンドラさんに診てもらおうかな?

 

「!?…エイナ嬢、先程の咳はいつ頃からでしょうか?」

「え…?あ、いや大したことでは…「いつ頃からでしょうか?」…1年前からです…。」

「……失礼なことをお聞きしますが、親類の方で先程の咳をされている方はおりませんでしょうか?」

「あ、はい…。母が…。」

「母君ですか。母君は、もしやずっと体調が悪く寝たきりが多いのではありませんでしょうか?」

「……どうして、それを…。」

何でわかるの!?

リヴェリア様と家族以外には、誰にも言ってないのに…。

 

「やはりですか…。メイ、予定を早めます。アミッド嬢に例の特効薬を完成させねばなりません。」

「セバス、そうなのですか?エイナさんが?…いけませんね、事は一刻を争いますね。」

「ええ。エイナ嬢、もしや母君は、死の病にかかっているのではありませんでしょうか?」

「!?」

オラリオへ来て、まさかと思って調べているところだけど…。

まだ仮説段階なのに…、何でわかったの!?

 

「失礼しました。私は前に所属していたところ…【ヘラ・ファミリア】で貴方と同様の咳をされていた方が二人おりました。」

「……。」

「一人は【静寂】のアルフィアお嬢様…。」

「「「!?」」」

「もう一人はアルフィアお嬢様の双子の妹の、メーテリアお嬢様です。」

「【静寂】に双子の妹…がいたのですか…。」

「私は長年その方たちのお世話をしていました。なのでその特徴もよく知っています。咳だけでなくひどいけだるさもありますね?」

「…あります。てっきり…あの日かと。」

「ええ、よく間違われます。ですが、咳には特徴があるため間違いありません。」

「ど、どうすればいいんですか…!私…まだ死にたくない…母にも…。ベル君とずっと一緒にいたいんです!」

いやだよぉ…、せっかくベル君と同じファミリアに入ったのに…!

そんな病で終わるなんて…いやだ…。

 

「エイナさん、エイナさん、落ち着いて下さい。セバス、脅しすぎです。」

メイさん…、ありがとうございます…。

 

「失礼しました。エイナ嬢、心配いりません。アミッド嬢に特効薬の作製をお願いしてあります。メイ、坊ちゃまの血は確保してありますか?」

「ええ、毎晩抜き取っています。こちらになります。」

「何故…ベル君の血なのですか…?」

「坊ちゃまの血は、死の病の抗体があります。」

「メイ様、ベル様は死の病にかかっていないのに、どうして抗体があるんですか?」

そしたら、メイさんとセバスさんは一瞬黙ってしまった。

一体何があるというの…?

 

「…貴女たち三人だけの秘密にしてください。戦争遊戯が終わるまで誰にも話してはいけません。いいですね?ヘスティア様にもです。」

「「「は、はい!」」」

こ、怖い…。

 

「坊ちゃまのお母様は生まれつき死の病にかかり、坊ちゃまを産み、間もなくお亡くなりになりました。」

「「「なっ!」」」

「死の病は遺伝するもの…エイナ嬢の母君、そしてエイナ嬢に遺伝している可能性が高いです。」

「じゃ、じゃあ、妹も…。」

「そうですね。今はまだでも、今後発症する可能性が高いでしょう。」

「何て恐ろしい病なのですか…。」

死の病…ベルくんのお母さんも…。

母も妹も、そのうちに…?

いやだ…!

 

「ええ、ところが坊ちゃまは…その前兆が全くありません。それどころか他の病にもかかっていません。」

「「「!?」」」

「それはこのセバスが保証しましょう。長年死の病を診てきて見ることしかできなかった私が。」

「「「……。」」」

だから、ベルくんの体内に死の病の抗体が…。

 

「【ディアンケヒト・ファミリア】そして【ミアハ・ファミリア】が協力するのは、この血のためです。」

「じゃ、じゃあ…その特効薬があれば、私の母も妹も、そして私も…!?」

「はい、治る可能性が高いです。何しろ初めてのケースで確実ではないのですが、神ミアハと神ディアンケヒトは確信しているようです。」

「やりましたね!エイナ様!」

「うん!うん……!ありがとう……ベル君!」

ベル君…これで返しても返しきれない恩ができちゃった…。

【ヘスティア・ファミリア】へ入っててよかった!

 

あれ…?リリさん、何かを考え込んでいる…?

(…ベル様は【ヘラ・ファミリア】の系譜を持ち、…死の病で亡くなったお母様…まさか!?)

 

「…質問です。ベル様のお母様はまさか…メーテリア様なのですか?」

「さすが、リリさん。この短時間でその事実までたどり着きましたか。」

「……っ。メイ様とセバス様がこの事実をずっと隠していた理由が、わかりました…。確かにこの事実はベル様には耐えられませんっ……!」

「ど、どういう意味でしょうか?リリ様?」

えっ…?事実…?

 

「メーテリア様の双子のお姉様は…誰ですか?」

「誰って…さっきセバスさんが…あっ!」

「そんな…!?」

「そうです。【静寂】のアルフィア様は…ベル様と血のつながった方…伯母様であるのです。7年前の大抗争を引き起こした1人である、アルフィア様を倒したのが…【アストレア・ファミリア】の方々、特に【紅正の花】と…【疾風】のリュー様です…。」

「リュー様が…ベル様の伯母様を…。」

「そんなの…ひどすぎるよ…。」

何てひどい…運命のいたずらなの…。

こんなのって…ないよ。

 

「ファミリアという家族なら、まだよかったのです。しかしアルフィアお嬢様と坊ちゃまは、血が確実につながっている本当の家族なのです。」

「だから、まだ知るべきではなかったのです。坊ちゃまがこの事実を知れば、戦争遊戯に大きな影響が出ます。」

「リュー様に対して私は思うところがないわけではないですが、当時はやむを得なかったと思います。しかし、坊ちゃまは今でもアルフィアお嬢様と【暴食】が会いに来なかったのを、ひどく気にしておられます。それが、血縁者であれば尚更です。」

「坊ちゃまと深層で共にし助け合い、深く信頼している方が、坊ちゃまの血縁者でもある【静寂】を倒した方と知ったら、憎しみはしませんがひどく葛藤にかられるのは、間違いありません。」

そうだね…ベルくんは優しい子だから…。

 

「今回の戦争遊戯は、生半可な覚悟では駄目なのです。そのため、私とセバスはこの事実を戦争遊戯が終わるまで明かさないことにしたのです。」

「…わかりました。私はこの事実を絶対に明かさないことを誓います!」

「リリもです!」「春姫もです!」

ベルくんは、まずこの戦争遊戯に集中してもらわないと!

例え事実を知ったとしても、私達でもベル君の心を守らないと!

 

「ありがとうございます。エイナ嬢、貴女のはまだ前兆段階です。特効薬があればすぐに治る可能性が高いでしょう。申し訳ありませんが、特効薬の実験台になっていただけませんでしょうか?」

「はい…!喜んでお引き受けします。ベル君と共に生きていくためにも…!それに母と妹も助けたいです!そ、そしてベル君を紹介したいし…。」

「ふふ、そうですな…。メイ、後は頼みます。私は【ディアンケヒト・ファミリア】へ至急この血を渡しに行き作製依頼をしてきます。その後【ミアハ・ファミリア】へその旨を伝えに行きます。」

「わかりました。セバス、ここは私に任せてください。」

何かとんでもないことに、なっちゃったな…。

けど、セバスさんのおかげで今分かっててよかった!

よかった…!母も妹も助かるなんて…!

 

やはり、私の判断は間違っていなかった!

ベル君!一生そばにいるからね!




エイナさんのお母さんのアイナ・チュールが空気が合わないため、引っ越したとのことですが、空気ではなく死の病にかかったからでは?という設定を本作品はしております。

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