戦姫絶唱シンフォギアRevice   作:ボルメテウスさん

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翳りない崩壊

「・・・」

 

その日、小日向未来は暗い気持ちで街を歩いていた。

 

立花響の秘密を知ってしまった彼女はいまだその現実を受け入れられずに親友とのぎすぎすした関係に悩まされていた。

 

響がノイズと戦っているということを自分に秘密にしていた。その理由も機密が絡んでいたり、自分を危険に巻き込まないため、ということは十分にわかっている。それでもそれだけでは割り切れなかった。

 

そう悩んでいると共に

 

「あれ、未来ちゃん?」

 

そんな未来に話しかける声に気づき、振り返る。

 

それは未来とは違う高校の制服を身に纏っているが、見覚えのある人物だった。

 

「さくらさん」

 

五十嵐さくら。

 

未来の親友である響の親戚である人物だった。

 

「久し振り、元気だった!」

 

「はい、私は大丈夫ですけど……」

 

いつものように明るく振る舞うさくらだったが、未来の表情を見て少しだけ真面目になる。

 

「そう?

だったら、良いけど」

 

そう言いながら未来の隣に立つ。

 

そしてそのまま黙り込んでしまう二人。

 

(うーん……ちょっときまずいなぁ)

 

何か話題は無いだろうかとさくらが思案している時だ。

 

ふと、未来が何かを見ていた。

 

「どうしたの、未来ちゃんって」

 

未来が見た先には路地裏には、人が倒れていた。

 

「嘘、大丈夫!」

 

二人はすぐに倒れている人に駆け寄る。

 

「とにかく、家が近いから連れて行こう」

 

そう言いながらさくらはそのまま少女を抱え、家路につく。

 

未来も反対せずについて行くことにした。

 

そうして、辿り着いたしあわせ湯で

 

「あれ、さくら、学校は?

それに、未来ちゃんも」

 

そこには開店前の作業をしている一輝の姿があり、慌てた様子で帰ってきたさくらと未来を見て、首を傾げる。

 

「一輝兄、それが、さっき倒れている子がいて」

 

「倒れているって、それは大変って、雪音ちゃん!?」

 

「一輝兄、知り合いなの?」

 

驚く一輝にさくらは尋ねる。

 

そうして、さくらによって運ばれた雪音の容態を確認した一輝はそのまましあわせ湯にある休憩スペースで布団を敷いて寝かせた。

 

「それにしても、あの子と知り合いって、どういう事なの、一輝兄」

 

「いやぁ、ちょっと、仮面ライダーで戦っていたら、知り合ってなぁ」

 

「まったく、また無茶をして」

 

そう二人が会話している時、未来は雪音の世話を行っていた。

 

目の前にいる少女の事が心配という事もあるが、それ以上に、今は何かをしなければ気持ちが暗くなる。

 

だからせめてもの事をしようと思い、彼女の体を拭いていた。

 

すると、その時だ。

 

彼女が目を覚ましたのだ。

 

「あっ、目が覚めた?」

 

慌てて手を止めて、彼女に声をかける未来。

 

しかし彼女は何も言わず、ただじっと未来を見つめていた。

 

「えっと、どこか痛むところはないかな? あ、これ良かったら飲んで」

 

未来は自分が持っていたお茶を差し出す。

 

ゆっくりとだが、お茶を受け取りながら、ゆっくりと周りを見る。

 

「ここは一体」

 

「あっ、雪音ちゃん、良かった、目が覚めた!」

 

「一輝!」

 

そこに雪音の声を聞き、ビクッとなる。

 

そして反射的に身構えてしまう。

 

「ちょ、ちょっと待って! なんでそこで警戒するのよ!」

 

その反応に思わずさくらがツッコミを入れる。

 

「いやっ、その、悪い。

つい反射で」

 

「あはは、気にするなよ。

それにしても、倒れていたと聞いた時はびっくりしたよ。

まぁ、とりあえず、ゆっくりしていってよ」

 

そう言いながら笑う一輝の顔を雪音は見る。

 

その顔を見て何か思うことがあったのか、立ち上がる。

 

「おい、どこに行くんだ?」

 

「迷惑をかけた。

すぐに出て行くから」

 

そう言ってそのまま部屋を出て行ってしまう。

 

「駄目だよ、さっきまで結構ボロボロだったんだから、少しは休みなさい!」

 

「うわぁ!?」

 

そんな雪音を止めるようにさくらは後ろから抱き着く。

 

「さくらさん、何やってるんですか?」

 

「こうでもしないと止まらないと思ってね」

 

そんな二人を見ながら未来は呆れたような声を出す。

 

「離せっ!」

 

「嫌だ!」

 

そんな二人のやり取りを見て、一輝は苦笑しながら

 

「まぁまぁ、とりあえず、もう昼飯の時間だし、良かったら食べて行きなよ。

それからでも良いだろ」

 

「いや、そこまでしなくても」

 

そう雪音が断ろうとしたが、すぐに腹の虫が鳴り始める。

 

「ほら、お腹空いているみたいじゃん」

 

「くぅ……」

 

さくらの言葉に恥ずかしそうな声を上げる雪音。

 

「じゃ、準備をするからちょっとだけ待っていて」

 

そう言うと一輝は店の方へ戻って行く。

 

「ねぇ、雪音ちゃん」

 

そんな彼を見送った後、さくらが雪音に声をかけた。

 

「ん?」

 

「未来ちゃんもだけど、大丈夫? なんか暗いけど」

 

「それは……」

 

未来は言葉に詰まる。

 

響の事を考えれば考えるほど、自分の心が沈んでいく。しかしそれをさくらに話したところでどうにかなるわけでもない。

 

むしろ余計な心配をかけるだけだとわかっているからこそ、何も言えなかった。

 

「そっか……そうだよね」

 

さくらは未来の様子から察したのか、それ以上は聞かなかった。

 

ただ静かに、優しく未来の頭を撫でる。

 

「大丈夫、大丈夫」

 

まるで子供をあやすかのように優しい声で呟きながら、ゆっくりと撫で続ける。

 

その温もりを感じながら、未来は何も言わずにされるがままだった。

 

「雪音ちゃんも、なんだか落ち込んでいるようだけど、一輝兄と何かあったの?」

 

「別に。

あいつは、何も悪くないよ。

けど」

 

「?」

 

雪音はそれ以上、言葉を出す事ができなかった。

 

目の前にいるさくらが一輝の妹という事を含めて、あの事実を話す事はつらい。

 

だからこそ、黙っていた。

 

そうしていると

 

「私、実は、響と喧嘩しちゃったんです」

 

「えっ喧嘩!?

未来ちゃんが、響ちゃんと!」

 

そうしていると、未来はゆっくりと自分の悩みを打ち明け始めた。

 

「響は私の事を思って、秘密にしてくれたんですけど、それが響に対して無力な自分が嫌になって、それでつい一方的に」

 

「未来ちゃん……」

 

「本当は仲直りしたかったです。

だからせめて、謝りたかったのに、それもできなくて、こんな事になってしまったのが、すごく情けなくって」

 

「そう、だったんだ」

 

さくらはそれ以上、何も言わなかった。

 

だが

 

「だったら、謝れば良いだろ」

 

それを雪音はゆっくりと言う。

 

「えっ?」

 

「だって、お前達は親友なんだろ? だったら、素直になった方が絶対にいい」

 

「でも、それだと」

 

「もぅ未来ちゃんは素直すぎて、バカなんだからぁ」

 

「えぇ!?」

 

突然さくらに罵倒され、驚く未来。

 

「あのね、そんな事で悩む必要なんて無いんだよ! 大事なのは気持ち! 雪音さんが言った通り、本当に大切なのは自分の気持ちを正直に伝えることだよ!」

 

「さくらさん……」

 

「それに、雪音さんが言うように、二人は親友なんですよね。

なら、今更遠慮する必要もないと思うよ」

 

そう言われて、未来はゆっくりと雪音の方を向いた。

 

「雪音ちゃん……」

 

「な、何だよ」

 

「ありがとう」

 

「べ、別に、あたしは思った事を言っただけで」

 

「それでも嬉しいよ」

 

そう笑いながら言う。

 

だが、そんな和やかな空気を壊すように響き渡る警報。

 

「えっ、なんだこれ」

 

「知らないのっ警戒警報だよ!」

 

「二人共、すぐにこっちに!」

 

三人は急いで店の方へと戻る。

 

そこには既に客の姿はなく、全員が避難していた。

 

「これは一体」

 

「ノイズだよって、危ない!!」

 

そうしていると、すぐ近くまでにノイズが迫っている事に気づき、さくらは叫ぶ。

 

見れば既にノイズが真っ直ぐとクリスに向かって、襲い掛かっていた。

 

だが

 

「おらぁ!!」

 

それを仮面ライダーリバイへと変身していた一輝が蹴り飛ばした事で防いだ。

 

「一輝兄!」

 

「ここのノイズは俺達がなんとかするから、さくらは他の皆の避難を!

行くぞ、バイス!」

 

「あいよぉ、もぅ、おれっちは腹がペコペコなのにぃ」

 

そう言いながら、襲い来るノイズから人々を守る為に一輝とバイスが戦い始める。

 

「ここは一輝兄に任せて、急いでっ」

 

そう言おうとした時だった。

 

クリスは身体を震わせていた。

 

「私のっせいだ」

 

そう呟きながら、クリスはまるで何かを覚悟を決めたように走り始めた。

 

「駄目!!」

 

それは避難している住人とは反対方向であり、さくらが呼び止めようとしたが、間に合わない。

 

「雪音ちゃんは俺がすぐに連れてくるから、さくらは他の皆の避難を!」

 

そう言って一輝はクリスを追いかける。

 

一輝が追いかけた先に見えたクリスは周りにいるノイズに向かって

 

「あたしはここだ! だから、関係無い奴らのとこになんて行くんじゃねえ!」

 

叫ぶように言う。

 

同時にノイズは一斉にクリスの方へと襲い掛かろうとする。

 

「Killiter……ケホッ、ケホッ!」

 

しかし、クリスはそれを咳き込み、シンフォギアを纏う事ができなかった。

 

その中で、一輝はすぐにクリスを抱き締め、ノイズの襲撃から守った。

 

「大丈夫か、雪音ちゃん!」

 

「あ、ああ……」

 

一輝の言葉に答えるものの、その声は震えており、顔色も悪い。

 

「おい、どうしたんだ、お前」

 

「……」

 

一輝の声を無視し、ゆっくりと立ち上がる。

 

そして

 

「あたしのせいで、誰かが死んだら、意味がないじゃねぇか」

 

「雪音ちゃん?」

 

「もう、誰も傷つけたくないんだよ」

 

そう呟くと同時に、彼女の瞳からは涙が流れ落ちる。

 

「だったら、俺も同じだ」

 

「えっ」

 

ゆっくりと立ち上がりながら、雪音を守るように前に出る。

 

「俺は誰かを守りたいから仮面ライダーになった。けど、それと同時に誰よりも弱い人間なのかもしれない」

 

「一輝」

 

「それでも、俺は誰かが困っているならば、放っておけない。

なんだって、俺はなんだって、俺は日本1のお節介だからな」

 

それと共に、一輝は腰にあるバイスタンプを取り出す。

 

【ヨロイトカゲ】

 

その音声がバイスタンプから鳴り響くと同時にリバイスドライバーに押印し、そのまま構える。

 

「変身!」

 

【生き抜けバトル!全てを守る!ヨロイトカゲ!守らなければ、生き残れない!】

 

その音声が鳴り響くと同時に一輝達の姿は変わった。

 

一輝の片手にはトカゲの尻尾を思わせる青竜刀、もう片手には蜥蜴をイメージした籠手を手に持ち、全体的に尖っている鎧を身に纏っている。

 

それと共にバイスの姿も変わっており、両手にはヨロイトカゲの背中を思わせる盾を二つ持っており、その足先までマッシブになった巨体が特徴的な姿になっている。

 

「さぁ、行くぜ、一輝!」

 

「あぁ」

 

バイスの言葉に頷くように、そのまま目の前に襲い掛かるノイズの大軍に目を向ける。

 

「悪いが、ここから先は通さない」

 

それと共に怪獣とも芋虫とも取れる独特のフォルムを持つ大型ノイズは再び口から多くのノイズを吐き出す。

 

ノイズ達はそのまま狙いを一輝やバイスだけではなく、その後ろにいる人々へと向かおうとした。

 

それを遮るように、青龍刀で一閃に切り裂く。

 

それだけではなく、左手のトカゲを思わせる籠手からは長い舌はまるで鞭を思わせるように動き、ノイズを切り裂いていく。

 

「ここから、一歩も、通さないぜぇ!!」

 

同時に襲い掛かるノイズに対抗するように足を踏みしめる。

 

ノイズの数は目の前を簡単に埋め尽くす程の数である。

 

だが、そのノイズ達に対して、バイスはそれを一人で受け止める。

 

「くくっ、この程度、どうにもできるぜぇ!!」

 

受け止めたノイズに対抗するように、足に力を込める。

 

すると、一体、また一体とノイズは押し出された勢いと共に互いに押し潰していく。そして、数十体のノイズを押し出したところでようやく止まる。

 

しかし、それはただの時間稼ぎにしか過ぎない。

 

一秒でも早く避難する時間を稼ぐ為にも、一刻も早くノイズを倒し続けなければならない。

 

「だけど、こいつをどうにかしないといけないよな」

 

そうして、戦う中で一輝は未だノイズを出し続けるノイズを睨む。

 

「バイスの方は、よし、行くぞ!!」

 

「OK!!」

 

バイスの方は既に押し出している状況を見ると、一輝はすぐに他のノイズ達を踏み台にして、そのままバイスに向かって跳ぶ。

 

【リミックス!必殺!荒げる!遂げる!ヨロイトカゲ!】

 

その音声と共に、バイスはそのまま四つん這いになると、その上に一輝は上に重なる。

 

同時に各々が持っている武器が一輝に被さる事によって、誕生したのは鋼鉄の赤いヨロイトカゲ。

 

リバイスヨロイトカゲが誕生する。

 

リバイスヨロイトカゲはそのまま雄叫びをあげると、その身体を丸める事で、巨大な棘のボールを思わせる姿へと変わり、そのまま回転を始める。

 

周囲の空気を巻き込みながら回転する事で、徐々に速度を上げていき、やがて高速回転を始めた時、そのまま真下にいたノイズ達に突撃した。

 

その一撃を受けたノイズ達は一瞬で炭素化し、塵となる。

 

だが、すぐに次のノイズを吐き出そうとするが、リバイスヨロイトカゲはその口から伸びた舌で、その入り口を防ぐ。それによってノイズ達は外に出られなくなり、暴れだす。

 

そんな事など気にしないかのようにリバイスヨロイトカゲは更に回転を増して、周囲のノイズを吹き飛ばしていく。

 

そのまま最後の一匹となっている巨大ノイズの元へと近づくと同時に二人は合体を解除する。

 

【ヨロイトカゲ!スタンピングフィニッシュ!】

 

音声が鳴り響くと同時に一輝とバイスの足は燃え上がり、そのまま蹴りを放つ。

 

それによって、巨大ノイズは爆散する。それと同時に周囲を取り囲んでいたノイズ達は一斉に崩れ落ち、消滅する。

 

「……ふぅ」

 

その光景を見てから一輝は大きく息を吐きだしてから変身を解除した。

 

「大丈夫か、雪音ちゃん!」

 

「あ、ああ……」

 

「怪我はないか?体調が悪いとか」

 

「大丈夫だよ」

 

心配そうな表情を浮かべながら雪音に尋ねる一輝に対して雪音は戸惑いながらも答える。

 

「なら良かった」

 

一輝は安心したのか、笑顔を見せる。

 

「……なんで?」

 

それに対して、雪音の口から出た言葉はそれだった。

 

「えっ?」

 

「どうしてあたしなんかを助けたんだ?」

 

そう尋ねられた一輝は不思議そうに見つめ返す。

 

「だって、俺が助けたかったからだ」

 

「お前、本当に馬鹿だな」

 

「言っただろ、日本1のお節介だって」

 

それを聞いて、雪音はクスッと笑う。

 

その姿を見た一輝もまた、同じように笑みを浮かべる。

 

「よぅ、兄ちゃん。

女の子と仲が良さそうだなぁ」

 

聞こえてきた声に、振り向くと、そこには黒い衣服を身に纏った大二が立っていた。

 

「大二じゃないか。

お前、しばらく見ていないと思っていたら、どこにいたんだ?」

 

「ちょっと仕事でね。

けど、こっちに来たのは偶然だけどね」

 

「そっか、にしても、なんだ、その黒い格好は?」

 

「なに、黒幕と繋がりが深い雪音クリスの確保に来たんだ」

 

「えっ、何を言っているんだ」

 

大二の一言に疑問に思い、雪音の方へと向く。

 

だが、雪音の目は大きく見開きながら

 

「伏せろ!そいつは、あんたを殺そうとしている!」

 

『一輝!やばい、マジで伏せろ!」

 

雪音とバイス、二人の声が聞こえ、一輝はすぐに伏せる。

 

同時に自分の上を通り過ぎた物を見ながら、すぐに走りながら、大二の方を見る。

 

「大二!」

 

「優しい弟のフリも今日で終わりだ」

 

【バット!Confirmed!】

 

それと共に大二が取り出したのはバットバイスタンプだった。

 

バットバイスタンプを起動させると共に、腰に何時の間にか巻いていたツーサイドライバーを起動させる。

 

【Eeny, meeny, miny, moe…! Eeny, meeny, miny, moe…!】

 

同時に大二の影から次々と蝙蝠が現れ、大二の後ろで巨大な蝙蝠の影へと作り始める。

 

「変身」

 

【バーサスアップ!

Madness!Hopeless!Darkness!バット!仮面ライダーエビル!】

 

同時に巨大な蝙蝠はそのまま大二に重なると共に、その姿を変える。

 

それは、何度も一輝を襲った仮面ライダーエビルであった。

 

「そんな、大二が、エビルだったんなんてっ!」

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