一輝はカゲロウとの戦いで傷つき、翌日まで意識を失っていた。
夕方頃になると共に、彼は自然と向かったのは、しあわせ湯の湯船だった。
一輝の頭に思い浮かんでいたのは、大二の事だった。
自身のせいで悪魔のカゲロウに身体を乗っ取られてしまった大二。
「まさか、弟が、大二を失う事になるなんて」
『おいおい、大二はまだ死んだ訳じゃないだろ』
湯船に浸かっている一輝は思い悩んでいる中で、バイスは声をかける。
「だけど、あれはもう大二じゃない。
大二の姿をした悪魔だ」
そう言い、湯船に映っている自身の表情を見る。その顔は悲痛に満ちており、見ているだけで苦しくなる。
「俺はどうすれば良いんだろう……」
その問いに対して、バイスは
『一輝って、おれっちよりも嘘つきなんだな』
「どういう事だよ?」
『だって口では大二を信じていると言っているのに、全然信じていないじゃん』
「そんな事ない!
俺は大二の事をっ、でも」
その言葉を聞いたバイスは呆れる。
その言葉を聞いて、一輝は自分の言葉を否定する。
『大二はまだ死んじゃいない。
カゲロウの中でまだ戦っている』
「どうして、そんな事が分かる」
その言葉と共にバイスの方を向く。
するとそこには、いつものバイスの顔ではなく、真剣な表情をしたバイスの姿があった。
その表情を見て、一輝は何も言えなくなる。
そして、バイスは一輝に向かって言う。
『一輝がエビルに掴んでいる時に、覗いたんだよ。
その時に見た大二のあの目はまだ諦めてなかったぞ』
その言葉を聞きながら、一輝は驚きを隠せなかった。
「なんで、それを早く言わないんだよ」
『だって、一輝はいつも言っているじゃない。
大二を信じているって。
だから言う必要ないかなぁと』
その言葉に、一輝は大きくため息をつく。
それと同時に、自分の悩みが馬鹿らしく思えた。
「俺は、大二の事を本当に信じていた訳じゃ無かったんだ。
大二を助けるつもりで、自分の事しか、考えてなかったんだ」
『いいじゃん。いいじゃん。
大二にはあとでちゃんと謝れば』
それと共に一輝は立ち上がる。
「だよな」
『おう!』
それと共に、一輝は脱衣所へと向かう。
「ありがとうな、バイス」
それだけを言い残して、一輝は着替えを持って風呂場から出て、着替える。
そこには
「・・・」
「雪音ちゃん」
一輝に雪音はタオルを渡す。
「ありがとう」
「いや、別に良いよ。
それで、覚悟は決まったのか。
カゲロウと本気で戦う覚悟を」
それを聞くと同時に、一輝は強くうなずく。
「あぁ、勿論だ。
カゲロウを倒して、大二を取り戻す」
それと共に、一輝は拳を強く握りしめる。
それを見た雪音は安心するかのように、微笑む。
「そうか、なら良かったぜ。
もしお前が負けるようなら、あたしも一緒に戦うつもりだったからよ」
「それは頼もしい限りだな」
それと共に二人は笑い合う。
一輝は改めて思う。
やはり、この少女も優しい人間なのだと。
「けど、カゲロウはどこにいるのか。
ねぇ、雪音ちゃんの前にいたアジトにカゲロウは一緒にいたの?」
「さぁな。
あいつは時折ふらっと現れる程度だからな。
それにあそこに行くには少し骨が折れる」
「そうなのか」
それと共に、一輝は考える。
一刻も早くカゲロウを見つけ出し、大二を助け出す。
それが今、一輝ができる最善の策だった。
一輝の携帯が鳴り響き、すぐに出る。
『一輝君。
すまないが緊急事態だ。
ノイズが現れた』
「了解しました、すぐに向かいます!」
それと共に聞こえてきた弦十郎の言葉を聞くと共に、一輝は急いで走り出す。
「たく、仕方ないな」
それは同時に雪音も一緒に走り出した。
「雪音ちゃん?」
「お前の所では、色々と世話になっているからな。
ノイズぐらい、一緒に倒してやるよ」
「助かるよ」
そう言いながら、二人は現場へと急ぐ。
するとそこには、まさに要塞というべき巨大なノイズとそれを取り囲む何百というノイズの大軍がいた。
「行くぜ、バイス!雪音ちゃん!」
【ラーテル!】
懐から取り出したバイスタンプを起動させると共に、そのままリバイスドライバーに装填する。
「変身!」
【バディアップ!力を束ねる !逆境を立ち顕れる!ラーテル!歌は称えるぜ!】
その音声が鳴り終えると共に一輝の姿はラーテルの要素が合わさり、上から赤・黄・緑の三色で形成された鎧を身に纏う。
その姿での特徴は、両腕には鋭い爪が装着されており、頭部の角は二本生えていた。
「あともう少しで制覇ー!!」
それはバイスも同じく、ラーテルを思わせるかぶり物をしており、両手には大きな牙を装着している。
「行くぞ、バイス!」「おうっ!」
バイスへと声をかけると共に、目の前に迫るノイズに向かって、両手の爪を展開し、攻撃を開始する。
それと同時に、バイスは身体を丸めて、ボールのように転がって突撃する。
その勢いに圧倒されたのか、数十体のノイズはそのまま吹き飛ばされる。
だが、それでもまだ数百体ほど残っている。
しかし、一輝は焦る事なく、冷静に構えた。
それと同時に腕の装甲を展開させ、そこから無数の針が発射される。
その一撃に驚いたのか、残りのノイズ達も後ずさりする。
だが
【Dominate up!スコーピオン! ゲノミクス!】
聞こえてくる音声と共に黒い細長い存在が、ノイズ達を蹴散らす。
「無事か、一輝!」
「ヒロミさん!」
それはデモンズに変身したヒロミによる援護だと、すぐに気づく。
「お前はまだ先日の戦いの傷が完全に癒えていない」
「それでも、こいつらを放っておけません」
「相変わらずの正義感だな」
それと共に、二人は武器を構え直す。
バイスも同じように、再び体勢を整え始める。
「さぁ、ここからが本番だ」
「はい!」「おうよ!」
それを合図にするように、三人は再びノイズ達に攻撃を仕掛ける。
「まったく、熱苦しい奴らだな」
そんな様子を見て、呆れながらも雪音は手に持ったガトリングで次々と襲い掛かってくるノイズを粉砕していく。
しかし、その中で一際目立つ要塞型ノイズが一輝達に攻撃を仕掛けてくる。
それは、自身からまるで弾丸のように吐き出すノイズの攻撃であり、まともに喰らえばひとたまりもない。
だが
「はああぁぁぁ!!」
その要塞型ノイズに一撃を与える援軍が来た。
「響ちゃん!」「お待たせしました、一輝さん!」
それはシンフォギアを身に纏った立花響だった。
どうやら一輝と同じように、二課からの連絡を受けてやってきたようだ。
「よし、だったら、拳を合わせる!」
【コング!】
同時に一輝が取り出したのは、コングバイスタンプだった。
コングバイスタンプを起動させると、そのままリバイスドライバーに装填し、すぐに構える。
【バディアップ!
アーム!ストロング!戦いのゴング!鳴らせ!コング!ドラミングキター!】
その音声が鳴り響くと同時に一輝達の姿はまた変わる。
一輝はゴリラの顔の上からオレンジ色の複眼を被せたような顔。複眼と複眼の間からはゴリラの顔が覗き、両腕には巨大なグローブが装備されていている。
そしてバイスは足先までマッシブになった巨体が特徴。
ゴリラを模した頭部は全体を覆うほど大きく、身体のシルエットも横に広いため宇宙服を着ているようにも見えた。
「ウッホホーイ!」
変身を完了すると同時にバイスはそのまま雄叫びをあげながら、そのままノイズ達に突っ込む。
「行くよ、雪音ちゃん、ヒロミさん」
「仕方ないな」「あぁ!」
それに答えるかのように、雪音もまたノイズ達に向かって駆け出す。
迫り来る圧倒的な数を誇るノイズに対して、雪音はアームドギアによるミサイルを次々と放ち、その隙間に散ったノイズを仕留めるようにヒロミもまた自身の尻尾で切り裂く。
「オラァ!」
一方で一輝は、バイスと共に両手に装着されたナックルダスターのような巨大なグローブで敵を殴り飛ばしていく。
その姿はまさに獣。
本能のままに、ただひたすらに暴れまわるように。
「一気に」「決めます!」
【コング!スタンピングフィニッシュ!】
一輝と響は声を合わすように言うと共に、バイスタンプを2回倒して発動。
同時に両腕を構えるバイスの拳の上に一輝と響は乗る。
「行くぜ、悪魔式ロケットパンチ!!」
「うおおぉぉ!!」「ハアァッ!!」
バイスの掛け声と共に、二人の姿は空高く舞い上がる。
その勢いと共に要塞型ノイズに向けて、二人は同時に拳を真っ直ぐと突き出す。
その一撃に要塞型ノイズは吹き飛ばされる。
バイスが行ったロケットパンチによる威力に加え、一輝と響の必殺の拳はノイズを貫通した。
その衝撃により、要塞型ノイズは爆散した。
「よっしゃぁ!」「いぇい!」
それと共に二人は握手して,次に親指を軸にして,クルッとして握ります.
最後は,グーを作り,真っ直ぐポンとして,次は上下からポンッとして,もう一回上下からポンッと行う。
「何をやっているだ、お前らは」
その様子を見ていた雪音は呆れた様子で見る。
「この前、少し興味がやってみたんだよ!
クリスちゃんもどう!!せっかく仲良くなったんだから!!」
「はぁ!何時からお前と仲良くなったと言うんだよ!」
そう言いながら、雪音は顔を赤くさせながら否定する。
「おい、一輝、てめぇも」「ふむ、こうやって、こうか?」「そうです、そうやって」
すぐに一輝に助けを求めようとした雪音だが、そこにはヒロミに先程の握手の方法を教えている一輝の姿があった。
「こっこいつらっ、幾ら何でもマイペース過ぎるだろうが!」
そんな光景を見て、雪音は頭を抱える。