「想定されている中でも、最悪な展開になってしまったかっ」
そう言いながら、フィーネは目の前にいる仮面ライダーデモンズに変身した風鳴弦十郎を睨み付ける。
風鳴弦十郎の、その身体能力を表現する際には「常軌を逸した戦闘能力」、「生きとし生けるものの中で最強の男」などとても人間ではあり得ない数々の言葉が出てくる。
そして、仮面ライダーデモンズが先程まで変身していた門田ヒロミの戦闘能力は生身でも忍術は使わなくても、現場の指揮と戦闘の両立など正義感が強すぎるという欠点以外では緒川慎次と比べても可笑しくない程の強さを持っている。
その為、フィーネがノイズを大量に出したのは、門田ヒロミを疲労させる事を目的にして行っていたが、まさかこのタイミングで風鳴弦十郎が現れるとは思わなかった。
しかも、彼の姿は今まで見た事もない姿であり、フィーネはその姿を見て警戒心を引き上げる。
だが
「例え、変身者が変わったとしても、この状況が一変した訳ではない!!」
それと共にカゲロウは手に持ったエビルブレードをそのまま弦十郎に向けて、振り下ろす。
しかし、それを見ていた弦十郎は一歩も動くことなく、ただ腕を横に伸ばして、エビルブレードを受け止める。
それと同時に接近してきたカゲロウに対して、弦十郎は肩で受け止めるようにして、そのまま押し返す。
まるで、カゲロウの攻撃を予想していたかのように受け流した後、そのまま拳を突き出す。
だが、それでもカゲロウの動きは止まらない。
突き出された弦十郎の腕を掴み取り、そのまま投げ飛ばそうとする。
だが、その瞬間、カゲロウは目を見開く。
「むんっ!」
同時に聞こえてきた声と同時に、弦十郎は掴まれたままの状態で体を捻り、同時に足を蹴り上げる。
その一撃はカゲロウの顎を捉え、その衝撃で空中に吹き飛ぶと同時にそのまま回し蹴りをカゲロウに叩き込む。
それを受けたカゲロウはそのまま地面に倒れ込み、大きく地面が揺れる。
「まさかっ、ここまでとはっ」
事前にカゲロウの戦闘データを取っており、策は考えていた。
最大の障害になるだろう弦十郎に対しても注意しており、連携も考えていた。
しかし、仮面ライダーデモンズへと変身した事によって、弦十郎の戦闘能力は既にどのような計算を行っても勝算が見えないレベルにまで跳ね上がっている。
「この男がこれほどの力を持っていたなんてっ」
「……」
フィーネは驚きの声を上げているが、一方で弦十郎は静かに立ち上がる。
その姿は全身に傷を負いながらも、その目にはまだ闘志は消えていない。
「投降しろ。
これ以上、罪を重ねるんじゃない」
それだけ言うと、弦十郎はゆっくりと構えを取る。
だが、それに対してカゲロウはゆっくりと立ち上がり、口を開く。
「俺は、五十嵐一輝を殺すまで、止まるつもりはない!!」
「大二君」
そう、大二の口から出るとは思えない声に弦十郎は手を握り締める。
そうしている間にもフィーネは鞭で、カゲロウはエビルブレードで再び攻撃を仕掛けてきた。
その攻撃に対し、弦十郎はフィーネの攻撃に対してはエビルブレードを弾き飛ばし、同時に腹部に掌底を叩き込んで吹き飛ばす。
その一方でカゲロウの攻撃を受け止めた弦十郎はそのまま、足を振り上げてカゲロウの頭部に踵落としを喰らわせる。
それにより、カゲロウは大きく吹き飛ばされる。
「ぐぅっ」
そうしていながら、ゆっくりと近づく。
「ちっ、んっ」
そうして、戦いながら、フィーネはふと弦十郎をある所を見つめる。
それを見た瞬間、僅かだが笑みを浮かべる。
「なるほど。
どうやら、まだ勝てるようだな」
「なに?」
「貴様は、その強さ故に負ける!!」
それと共にフィーネは懐からソロモンの杖を取り出す。
それと共にノイズが大量に現れる。
それを見て、弦十郎はすぐに手から蜘蛛の糸を出し、ノイズ達を拘束する。
しかし、次の瞬間、ノイズ達は一斉に分解し、無数の小さな塊となって襲いかかってきた。
それに気づいた弦十郎は咄嵯に両腕をクロスさせ、防御の姿勢を取りながら後ろに下がる。
それは、後ろにいる未来達を守る為であり、同時にフィーネの攻撃に気づかせないようにする為でもあった。
だが、それも無意味だった。
フィーネの狙いは最初から時間稼ぎだったからだ。
「これはっ」
やがて、デモンズドライバーから赤い稲妻が走る。
それと共に、そのままデモンズの装甲が一部剥がれてしまう。
「一体何が」
突然の出来事に戸惑うヒロミ。
「どうやら、お前の高すぎる身体能力にデモンズドライバーが耐えきれなかったようだな」
フィーネは笑みを浮かべる。
だが
「しかし、まだ十分に戦えるようだ。
ならば、覚悟を決めるだけだ」
それと共に弦十郎はゆっくりと構える。
だが、その姿を見てフィーネは笑う。
「貴様の弱点は既に分かっている。
ならば、それを突けば良いだけの話だ!」
それと共に、フィーネはそのまま廊下に溢れ出そうなぐらいのノイズを召喚する。
しかし、弦十郎は慌てる事なく、腰にあるバイスタンプを取り出す。
【Add…!モグラ!
Dominate up!モグラ! ゲノミクス!】
同時に装甲が剥き出しになった腕に迷彩色のドリルが装着され、そのまま構える。
「はああぁぁ!!」
そして、一気に駆け出した。
その動きは先程よりも速く、まるで瞬間移動のように一瞬でノイズ達に接近するとそのまま殴りかかる。
その一撃で、次々とノイズ達が炭化していく。
その光景にフィーネは思わず目を見開く。
その勢いのまま、真っ直ぐと、フィーネに向けて、拳を振り上げる。
しかし
「弦十郎君!」
「っ」
フィーネは一瞬だけ桜井了子としての顔を見せる。
それが一瞬の隙となった。
【必殺承認!バット!ダークネスフィニッシュ!】
同時にカゲロウは手に持ったエビルブレードで、そのまま弦十郎に向けて青緑色の斬撃を飛ばす。
それを受けて弦十郎はそのままヒロミ達の元まで吹き飛ばされる。
「ぐっ」
「弦十郎さん!」
それを見てフィーネは笑う。
その顔には余裕が戻っていた。
「これ以上、邪魔をされる訳にはいかない。
行くぞ、カゲロウ」
「ちっ」
フィーネの言葉にカゲロウは舌打ちしながら、その後を追う。
=リディアン音楽院跡地=
大型ノイズ達を倒した一輝達。
しかし、突然未来からの連絡と共に向かった先では、ノイズによって破壊されていたリディアン音楽学校があった。
「これはっ、一体何がっ」
『一輝っ、あれをっ』
「っ」
バイスの一言と共に一輝が見た先。
そこにはこちらを見ている大二の姿をしたカゲロウがおり、笑みを浮かべていた。
「待っていたぜ、兄ちゃん」
「大二さん、なんでここに」
その事に驚きを隠せない響は思わず首を傾げるが
「それはな。
ここをこうしたのは、俺達の仕業だからさ」
「えっ何を言っているんですか」
カゲロウの一言に驚きを隠せない中で、共に現れた桜井了子が現れた。
「了子さん?
えっ、そんな、嘘です「フィーネ、まさかここにいたのかっ」えっ、どういう事なの」
「こういう事だよ」【バット】
それと共にカゲロウは手にあるバットバイスタンプを起動させ、ツーサイドライバーを腰に巻く。
「変身
【仮面ライダーエビル】
同時に大二は仮面ライダーエビルに、桜井了子もまたフィーネとしてネフシュタンの鎧を身に纏う。
「嘘、大二さんがエビルっ!?
それに、了子さん、その姿って」
「あいつは大二じゃない。
大二の中にある悪魔、カゲロウだ」
「その通り。
ようやく、認めたようだな、お兄様」
そう言いながら、挑発するように笑みを浮かべる。
それが何を意味するのか、響もようやく理解した。
理解したが
「そんなっ、だって、あの時だって、私を助けてくれた」
「あれは単純にデュランダルを守っただけだ。何せ、貴重な完全聖遺物だからな。お前を守ったのはおまけだったんだよ」
「じゃあ、あなたたがフィーネだってんなら本当の了子さんはどうなったんだ!」
「櫻井了子の肉体は先だって食い尽くされた。
いや、意識は12年前に死んだと言っていい」
「大二と同じっ」
「そこの悪魔とは少し違うな。
フィーネの子孫の遺伝子は、アウフヴァッヘン波形に触れることで代々のフィーネの記憶を引き継いだ人格が現れるように細工されている
櫻井了子もまた子孫の一人だけだったの話だ」
『うわぁ、悪魔よりも厄介な奴じゃないか、あいつ』
その話を聞いて、バイスは思わず、引きながら言う。
「つまりは、俺の先輩という訳だ。
まぁ、俺は一輝、お前を殺せば、それで良いがな」
「悪いが、そんな事は絶対にない。
なんだって、俺はお前を倒して、大二を助ける」
その言葉と共に、リバイスドライバーをそのまま腰に装着する。
【レックス】
同時にレックスバイスタンプを起動させ、そのまま構える。
「良い加減、諦めろよ」
『あぁ、それ言っちゃうか。
それは、大二に言っちゃいけない言葉だぜ』
「その通りだ。
悪いが、皆。少しここは任せる。
一気に行くぜ、変身!」
【仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!】
その音声が鳴り響くと同時に一輝とバイスはそのままカゲロウの元へと走り出す。
「一輝さん!」
「向こうは彼らに任せよう。
何よりも、カゲロウもまた強敵に違いない」
これまで、幾度もなくカゲロウと戦ってきた事があるからこそ分かる一言。
それに思わず納得してしまうが
「なぁに、別にあいつらが帰ってくる前に、こっちを片づければ良いんだ、
さっさとやるぞ」
「クリスちゃんって、なんだか少しだけ一輝さんに似てきたね?」
「あぁ、どういう意味だ!」
そう言いながらも、響達もまたフィーネに向けて戦う為に走り出す。