感想などもお待ちしています。
会場での惨劇から数日後。
白い白衣の男ことジョージ・狩崎は目の前にある画面を見つめる。
「五十嵐一輝。
町の銭湯「しあわせ湯」の跡継ぎであり、五十嵐家の長男。
高校時代にはプロサッカー選手にもなると期待されていたと」
「えぇ、ですが彼はプロにはならず、今は銭湯を守り続けているようですね」
その言葉とに答えたのは、白いローブの男である門田ヒロミは言い続ける。
「なるほど、思った以上に面白いね」
ジョージ・狩崎は次に見たのは、隊員のメンバー表を見る。
「それにしても、まさかフェニックスの隊員の中に彼の弟がいるとはね」
「五十嵐大二。
本来ならば、彼がリバイスになる予定だったのにねぇ」
その言葉と共に画面に見たのは、その会場でリバイスドライバーを見て、動揺を隠せない大二の姿だった。
「君が悪魔を召喚したから、あぁなってしまったねぇ」
「っ」
ジョージ・狩崎はそのままヒロミに視線を向けると、少しだけ睨むように見る。
それに対して、悔しそうに震えるしかなかった。
「まぁ良いけどね。
さて、一輝君の説得は大二君に任せるとしようか」
そう言って、ジョージは席を立ちあがる。
場面は変わり、そこはしあわせ湯。
そこは庭園が見える客室で二人の青年が向き合っていた。
「なんだ、これは」
そう言いながら、五十嵐一輝は目の前にあるスーツケースを持って来た弟、五十嵐大二を見つめる。
「兄ちゃんにはフェニックスと契約して、仮面ライダーとして一緒にノイズと一緒に戦って欲しいんだ」
それと共にスーツケースを開いた中には、会場で一輝が仮面ライダーリバイへと変身する為に使ったリバイスドライバーと二つのバイスタンプが納められていた。
真剣な表情で言う弟に、一輝は大きくため息を吐いた。
「俺は良いよ」
そう言いながら、ゆっくりと椅子に座りながら断る。
「ノイズに対抗できるのは、今はこのリバイスシステムしかないんだ。
兄ちゃんが使えば、多くの人々を救えるんだよ」
「けど、リバイスシステムって、会場で聞いた時にはお前達もなれるって、聞いたけど」
「それは兄ちゃんが異例なだけだよ。
俺達はまだ十全にリバイスシステムを使えるかどうかも分からないんだ。
だからこそ、今、ノイズに立ち向かえるのは、兄ちゃんだけなんだよ」
「けど、ノイズに遭遇する確率は、東京都民が一生涯に通り魔事件に巻き込まれる確率を下回るんだろ」
「そうだけど、ゼロじゃないだろ!」
そう言って、一輝の方へ近づく。
その様子はまるで、自分の夢を諦めきれない子供のようにしか見えなかった。
そんな弟の姿を見て、一輝は再びため息を吐く。
『契約してやれよ。
世界の為に、おれっちと共に戦おうぜぇ!』
そんな一輝に対して、身体から出てきた悪魔のバイスはそのまま語りかける。
「俺、銭湯があるし。
それに、大二の方が絶対に才能があるから」
「っ俺じゃ、駄目なんだよ」
一輝の言葉を聞いて、思わず俯きながら言う。
その表情には曇りながら、悔しさがあった。
『可愛そうだろ!黙って、契約してやるのが優しさだぞ!』
「お前はちょっと、黙ってろ!」
なお契約を迫るバイスに対して、一輝は思わず叫んでしまう。
「兄ちゃん!悪魔と話したり、命令する事ができるの!」
『そうだぜ!一輝はすげぇんだぜぇ!』
一輝がそのまま誰もいないはずの空間に向けて話した事に疑問に思うと共に大二は思わず言う。
それに対して、バイスは答えるが、その言葉は大二には聞こえなかった。
「いや、一方的に話しかけてくるだけだ」
『がぁん!酷い』
その言葉にショックを受けたのか、身体を震わせているような気がしたが、一輝はそれを
気にせず、再び目の前にいる弟を見つめる。
そして、ゆっくりと立ち上がり、再び仕事に戻ろうとした時だった。
大二の懐にある携帯が鳴り、すぐに手に取った。
「ノイズが現れた!
この近くの工場で、しかも、この映像って!!」
大二の言葉を聞き、一輝は大二の携帯を見る。
その画面には監視カメラの映像なのか、必死に逃げている二人の姿があり、そこには
「響ちゃん!!」
一輝の親戚の子である立花響が映し出されていた。
「すぐに行かないとって」
大二は一輝に眼を向けると、そこにはスーツケースにあるリバイスドライバーと二つのスタンプを手に取り、走り出している一輝の姿があった。
「あぁ、もぅ。
あの子の事になると、過剰になるんだから!」
一輝の様子を見て、思わず呟く。
だが、同時にその気持ちは嬉しくもあった。
その様子を見届けると、大二は急いで現場へと向かうのであった。
場所は変わり、工場地帯。
そこではノイズが現れており、立花響と少女はノイズによって囲まれていた。
だが、そこに立っていた立花響の姿は普通の姿ではなかった。
オレンジと黒をメインにしたインナーに、白を中心とした装甲。
腕や足には一回り大きな籠手とグリーブが装着されており、普通の格好ではなかった。
「えっ、なにこれっ」
それは立花響自身も分からなかった。
だが、その衣服を身に纏っている時、異常に力が膨れ上がっており、抱き抱えた女の子を必死に守っていた。
「ノイズに触れても、平気なの」
その現象に驚きを隠せずにいた。
しかし、未だに状況は悪化しており、彼女達の周りには多くのノイズによって、取り囲まれていた。
必死に女の子を守るように響は抱き抱えていると
【バディアップ!
オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!
仮面ライダー!リバイ!バイス!リバイス!】
「えっ」
聞こえてきた軽快な音楽に思わず眼を見開いていると、取り囲んでいたノイズの一部が突然吹き飛ぶ。
その先にいたのは、仮面ライダーリバイと仮面ライダーバイスであった。
「えっなに、あれ」
その存在を知らない響からしたら、驚きを隠せなかったが、すぐにリバイは響に近づく。
「大丈夫か、響!!」
「えっ、その声って、もしかして一輝さん!!」
リバイから聞こえてきた声。
それは響にとっては慣れ親しんだ親戚の声であり、兄のような存在である一輝だと気づく。
「もう大丈夫だ!
あとは俺に任せて、響はその子を頼む!」
一輝はそう叫ぶと共に、再びノイズへと向かって、走り出す。
その姿を見た響は驚くと同時に、何故か安心感を覚えてしまった。
一輝は周りを取り囲んでいるノイズに対して、圧倒的なパワーで次々と蹴散らしていき、時には拳で殴り飛ばしていく。
「凄い!!」
先程まで絶望的な状況を瞬く間に覆してくれている一輝を見て、響は笑みを浮かべる。
だが
「へへっ、旨そう!!」
「えっ?」
聞こえてきた声。
振り向くと、そこには一輝と共に現れた仮面ライダーバイスであり、まるで舌舐めずりをするかのように、響の方を見ていた。
「ちょっなに!?」
「いただきまぁす!」
バイスは飛び上がり、響に向かって、襲いかかってくる。
咄嵯の出来事に、響はすぐに飛び出す。
「おいおい、逃げ出すなよ。
おれっちの獲物!!」
「っ」
迫り来るバイスを何とか避ける事に成功したが、その際にバランスを崩してしまい、そのまま倒れてしまう。
「きゃあっ!」
倒れた際に、少女を落としてしまいそうになるが、なんとか踏みとどまる。
「へへっ、逃げられないぞぉ」
そんな響を見て、バイスはゆっくりと近づいていく。
「バイスっお前っ!!」
その様子を見ていた一輝はすぐにでも響達の元へと向かおうとしたかったが、ノイズに囲まれ、身動きが取れなかった。
『兄ちゃん!持って来たもう一つのバイスタンプを使ってくれ!』
焦る一輝に対して、マスクから聞こえる大二の声を聞き、すぐに腰にあるバイスタンプのスイッチを押す。
「まさかっ嫌な予感!」
その様子を見ていたバイスは思わず叫ぶ。
【イーグル】
一輝がイーグルバイスタンプを発動させると共に、響達に迫ろうとしていたバイスは宙を舞い、そのまま一輝の身体に吸い込まれていった。
「えっ、あの人、一輝さんの中に」
その光景を見て、驚きを隠せない中で、一輝はそのままイーグルバイスタンプをリバイスドライバーにセットする。
【Come on!イ・イ・イ・イーグル!】
再び鳴り響く中で、一輝の身体から出てきたバイスは笑い声と共に、その両手に持った巨大なバイスタンプを構えていた。
【バディアップ!
荒ぶる!高ぶる!空駆け巡る!イーグル!イーグル!お前の羽を数えろ!】
そして、一輝がセットされたイーグルバイスタンプを倒す事によって、その姿を再び変える。
先程まで恐竜を思わせる姿から一変。
一輝が変身するリバイの姿は右がピンク、左がパープルに分かれた仮面を被り、胸部にはワシの顔を模したアーマー、下半身はマントがあり、先程と比べても動きやすい姿へと変わっていた。
「俺っちカッコよすぎて、飛んでっちゃいそう!」
そして、バイスの姿も変わっており、ティラノサウルスに喰われているように見えるマスクは鳥へと変わっており、リバイと同様に右がターコイズ、左がグレーと二色に分かれていた。
「おいっバイス!
さっきはどういうつもりだ!!」
「ん? 何のことかな?」
「とぼけるな! 響に手を出そうとしたんだ!!」
「えぇ、だって、おれっち悪魔だよ?
真面目に生きるなんて、難しくない?」
悪びれた様子もなく、むしろ開き直ったかのような態度を取るバイスに一輝の怒りはさらに増していき、殴りかかる。
それに対して、バイスも巫山戯た態度で躱していく。
「だからって、やっていい事と悪い事があるだろうがっ!」
「いやいや、俺はただ自分の欲望に正直になっただけだってば」
「このっ!!」
バイスの言い分に我慢の限界に達した一輝は、さらに攻撃の手を強めていく。
しかし、その間、バイスの手は偶然にも一輝のリバイスドライバーに触れており、さらには偶然が重なるように音声が鳴り響く。
【リミックス!バディアップ!
必殺!ミラクル!グルグル!イーグル!】
「「えっ?」」
リバイスドライバーから鳴り響く音に一輝とバイスは同時に見つめると、互いの胸元にあるイーグルの刻印が光ると共にバイスが一輝を肩車する体勢を取る。
「なにをするんだ!!」
「知らないよ、身体が勝手に動くんだもん!」
そうしている間にも、両者のマントが合わさる事で巨大な翼へと変わり、一輝の胸元にあるワシの顔がそのまま展開して頭部となり、バイスの膝元にあるパーツが展開して鋭い脚爪を構成する。
その姿は巨大な4色で構成された鳥へと変わっていた。
「ちょっなんだよこれ!」
「どうなってんの!?」
突然の出来事に、二人は戸惑いを隠せずにいた。
だが、そんな一輝の眼に写ったのは、響達を襲おうとしたノイズ達だった。
「させるかぁ!!」
一輝の雄叫びと共に翼は開き、そのまま響達の元へと向かう。
翼からは緑と紫の突風を飛ばしながら、周りのノイズ達を吹き飛ばし、そのまま空中にいたノイズを蹴り飛ばす。
「すごい……」
響達は目の前で起きた出来事に唖然としながらも、リバイスの方を見続けていた。
一方で、リバイスもバイスも自分達の身に起きている事に戸惑っていた。
「なんなんだこれは!!
面白すぎて、最高じゃないかよ!!!」
バイスはこの状況を楽しむかのように、ノイズ達を蹴散らしていく。
「巫山戯るな、バイス!
一気に決めるぞ!!」
「はいはい、分かってます、分かってます」
一輝の呼びかけにバイスは適当に返事をする。
そうしている間にも、リバイスドライバーから音声が流れ始める。
【イーグル!スタンピングフィニッシュ!】
「「はああああっ!!!」」
リバイスとバイスは翼を広げて飛び立つと同時に、そのまま上空にいるノイズに向かって突撃し、そのまま貫き続ける。
リバイスは右足を、バイスは左足を。
そして、そのまま地面に着地すると、二人の足下にはノイズの姿はなかった。
「やったぜぇ、おれっちの大勝利!!!
って、あれぇ?」
バイスはすぐに一輝の方を向くが、そこには一輝の姿はなかった。
「響ちゃん、大丈夫か!
それに君も、怪我はないかっ!!」
「えっと、はい……なんとか……」
「良かった、本当に良かった!!」
変身を解いてすぐに一輝は響の元へ駆けつけ、無事を確認すると安心したのか、涙を浮かべていた。
その様子に、響も女の子も驚いていた。
「それにしても、さっきのは一体」
「貴方達」
一輝が先程の事を考えていると、背後から声をかけられ、振り返るとそこにいたのは青髪の女性だった。
誰なのか、分からず一輝は首を傾げていると
「あっあぁ、つっ翼さんっ!!」
「翼?」
「一輝さん、芸能界を知らなすぎるよ、風鳴翼さん!
歌手の!!」
響の言葉を聞いて、一輝は思い出した。
「あぁ、思い出した!思い出したけど、なんでここに?」
「それは、あれ、なんでだろう?」
響は一輝に言われて気づいたが、なぜここに来たのかは分からないでいた。
「まぁ、良いわ。
それに、貴方達二人にはこのまま帰す訳にはいかないわ」
「「えっ?」」
翼の一言に、二人は同時に傾げている間にガチャリという音が響く。
「「ガチャリ?」」
響は自分の身体を見ると、いつの間にか手錠がかけられており、さらによく見ると、自分の隣にも同じように手錠をかけられた一輝がいた。
そして、女の子は翼と共にいた職員に案内され、その場を離れていた。
「あっあの、一輝さん、これは一体」
「俺にも、分からない」
「でも、なんか嫌な予感がするんだけど」
そう言って、一輝と響はお互いの顔を見つめる。
一輝の顔は引き攣っており、響に至っては完全に笑っていなかった。
「貴方達、お二人の身柄は確保させてもらいますね」
そこに現れた黒服の男性の一人がそのまま丁寧に、笑みを浮かべながら、黒い車に二人を乗せる。
それと共に走り出す。
「「なっなんでぇ!!!」」
何が起きているのか、分からない二人はそのまま車に乗せられ、そのままどこかへ連れて行かれてしまう。
その様子を見ていた大二は
「長官、大変です!
五十嵐一輝が、二課に連れて行かれてしまいました!!」
辿り着いた先にあった物陰で、その出来事をフェニックス司令部に報告していた。
「二課にだと」
それを聞いていた長官、若林優次郎は難しい顔をする。
「へぇ、これは厄介な事になった。
リバイスシステムがあの女に見られるのは、非常に不愉快だ」
その報告を聞いていたジョージ・狩崎もまた、不機嫌そうな表情をしていた。
「どうします?
すぐにでも二課に向かいましょうか?」
「いや、いい。今は放っておいて構わない。
それよりも、問題はこれからの事だよ」
「どういう事ですか?」
「五十嵐一輝をどのようにリバイスシステムを使って貰うかだ。
悪魔が暴走した以上、これまで以上にシステムを使う事に抵抗感を持たれたら困る」
「でしたら、その点は大丈夫ですよ。
ヒーローは、ヒロインを守るのがお約束だからねぇ」
ジョージ・狩崎はそれと共に先程の戦闘映像を眺め、不敵な笑みを浮かべていた。