一輝達がDr.ウェルからの刺客であるレオニダス・クリスパーとの戦いから数時間後。
その会場では混沌が起きていた。
ライブステージ「QUEENS of MUSIC」にも操られたと思しきノイズが出現していた。
その主犯格だと思われる歌手であるマリア。
フィーネの名を冠した組織の少女マリアは、 黒いガングニールを身に纏い、各国政府に対して国土割譲を要求してみせるが、振る舞いは稚拙で、甘さすら漂わせている。
だが、茶番めいた作戦であっても行使する力は本物。
その証拠に彼女はそのノイズを操る力を持ちながら、会場の人質になるだろう観客を逃がし、シンフォギア装者である風鳴翼1人だけを残し、対峙したままだった。
「観客は皆退去した。もう被害者が出ることはない。それでも私と戦えないと言うのであれば、それはあなたの保身のため」
マリアは挑発するように翼へと告げる。
だが、対する翼は険しい顔をしながら無言を貫き通していた。
(さぁどうする?)
マリアはそうしながら、ゆっくりと構える。
目の前にいる翼がシンフォギアを纏うのか、それとも纏わないのか。
その緊張感に支配されている会場の中で、マリアはふと目に止まったのは、会場を走る1人の男性だった。
既に観客がいないはずの場で、男はとても目立っており、マリアは目を見開いた。
「あれは……」
「来てくれたか」
翼の小さな呟き。
それと共に、男が取り出したのは、スパイダーバイスタンプだった。
「まさかっ」
【スパイダー】
鳴り響く音と共に、男、門田ヒロミはそのまま腰に巻いたデモンズドライバーへとバイスタンプを押印する。
「変身!」
それと共に宙から降り注いだ蜘蛛の糸を纏う。
【Decide up!Deep.Drop.Danger.Kamen Rider Demons!】
その音声がデモンズドライバーから鳴り響く事によって、ヒロミは仮面ライダーデモンズへと変身する。
デモンズへと変身したヒロミはそのまま別のバイスタンプを取り出し、そのままデモンズドライバーに押印する。
【Dominate up!バッタ! ゲノミクス!】
それと共にヒロミの足はまるで飛蝗の足を思わせる物に変化し、跳躍力を強化。
ヒロミは一気に高く飛び上がると、そのまま風鳴翼を守るように立つ。
そして、そのままヒロミは空いている左手を前に出す。
「そう、こうなる事を想定していた訳ね」
「いいや。
今回は偶然が重なっただけだ。
実際、俺は今日は非番でライブを楽しみに来ただけだ」
「まさかの、偶然な訳」
マリアの言葉にヒロミはゆっくりと首を縦に振る。
「だからこそ、残念だ。
翼さんの歌と同様に、マリアさん。
あなたの歌も楽しみにしていた」
「ファンには申し訳ない事をしたわ。
しかし、私は私の信念を貫くだけよ」
「ならば、我が命を賭けて、風鳴翼を守る!!」
その言葉と共にヒロミはそのまま足を強く踏み、そのまま宙を飛ぶ。
飛蝗の能力を備わったデモンズは、その飛躍力は高く、真っ直ぐとマリアに向けてその蹴りを放つ。
しかし、その攻撃に対して、マリアは背中から伸びているマントで受け止めた。
それはまるで意志を持っているように動き、鋼鉄に匹敵するだろう硬さでヒロミの攻撃を防ぐ。
だが、ヒロミの狙いはそこではなかった。
「今だっ!」
ヒロミの言葉に合わせるように翼はそのまま走り出す。
その行く先はステージ裏であり、そこに向かう事によって、カメラの目を逃れ、シンフォギアを纏う事。
それにより形成は有利に運ぶが
「そうはさせないわ!」
それを許すマリアではなかった。
彼女はそのままヒロミの足を掴み、そのまま遠くへと飛ばす。
「ぐっ!?」
一瞬でその場を離れてしまったヒロミはすぐに体勢を整えようとする。
しかし、彼の前にはノイズが立ち塞がり、その行く手を阻む。
「邪魔をするな!」
すぐにヒロミはノイズに向けて、蹴りを放ち、吹き飛ばす。
だが、その攻撃だけではノイズの勢いを止める事はできず、足止めをさせられる。
その僅かな時間が翼にとっては命取りとなった。
「あなたはまだステージを降りることは許されない」
マリアはそう言うと、予想外の自体に動揺して隙だらけになってしまっていた翼の胴体目掛けて鋭い蹴りを放った。
蹴りを諸に食らった翼はサッカーボールのように高く打ち上げられ、ノイズが蔓延るアリーナ席に向かって落下していく。
そんな翼の行く手に集まるように、周りにいたノイズはどんどん翼の落下予測地点に集まっていく。
「ッ!? 勝手なことをッ!」
それはマリアにとっても予想外であり、焦りが見えていた。
「間に合えっ!」
ヒロミは心の中で毒づきながらも、どうにか周りのノイズを吹き飛ばしながら、落下してくる翼の元へと向かう。
だが
「Imyuteus amenohabakiri tron」
会場で響く翼の歌声。
それは彼女がシンフォギアを纏う為の歌だった。
だが、それを映し出していたはずのライブ会場の映像は切られていた。
同時にヒロミはこの場にいない緒川の仕業だと合点がいく。
「さすが、緒川さんだ!
ならば!!」
同時にヒロミはそのまま飛躍しながら、周りにいるノイズを蹴散らしていく。
それも先程までの翼がいた場所からマリアの元へと続くように。
「露払いは俺がさせて貰う!」
「感謝します、ヒロミさん!」
その言葉にヒロミは笑みを浮かべながら、迫り来るノイズを前に構える。
会場を埋め尽くす程の数のノイズを相手に、1人だけで戦う事になり、危機的状況だった。
しかし、ヒロミには、そのような不安はなかった。
世界を守る為。人々の平和の為。何よりも自身が好きな風鳴翼の歌を守る為。
「我が命を賭けて、貴様を止めるッ!」
ヒロミはそう言い放つと、目の前のノイズと戦いを始めた。
迫り来るノイズに対して、ヒロミは拳を突き出し、殴り飛ばす。
そして、蹴りを叩き込み、次々とノイズを倒していく。
そうしていく内に、ヒロミが何かを感じたように上を見つめる。
そこには、翼が手に持った剣でマリアに攻撃を仕掛けようとした時、宙に浮かぶ2人の少女によって、攻撃を受けていた光景だった。
「まさかっ、シンフォギア装者が3人だとっ!」