F.I.S.の一員である切歌と調。
誰にも見つからないように注意していた2人だったが、何者かの足音に気付き焦燥感を募らせる。
「あれ、貴方達、どうしたの?」
その足音と共に見えたのは、1人の少女だった。
年齢としては、切歌や調よりも少し年上程度の印象がある少女。
彼女の名は、五十嵐さくら。
仮面ライダーリバイに変身する五十嵐一輝と、仮面ライダーライブに変身する五十嵐大二の妹である。
彼女はその日、一輝を通じて翼本人から貰ったライブチケットを貰い、参加していた。
しかし、ライブはマリアの宣戦布告によって、中止になり、彼女も渋々と避難を行っていた。
その中で切歌と調の2人を見たさくらは避難に遅れてしまった子だと判断した。
「えっと、いやぁ、実は、この子が急にトイレとと言い出してデスね……」
「トイレ?
いや、それは確かにしたいと思うけど、今は避難をしないと」
「んっぐ…そ、それは、そうデスね」
咄嵯についた嘘だったが、意外にもあっさりと信じてくれたことに安堵する切歌。
それと同時にこの状況をどう切り抜けるのか考える。
「大丈夫デスよ。
すぐに行ってから、避難しますから!」
「そんなの駄目だよ!
何時、ノイズが襲ってくるか分からないから!」
そう、さくらは心底心配そうに言う。
それは本心で言っている事もあり、無碍にできないと切歌は考えてしまう。
そこで、ふと調は前に出る。
「大丈夫。
私達は強いから、なんとかできるから」
「えっ?」
「ちょ、調!?」
2人は驚くが、調は気にせず、そこから去ろうとする。
「待って、そっちはノイズがいるから危ないよ」
「…………ッ!!」
その一言を聞いた瞬間、調はそのまま蹴り上げる。
「っ」
しかし、さくらはそれを寸前の所で避ける。
そのまま切歌の手を取り、その場から離れる。
「ちょっと、調っ!」
「急ごう、切ちゃん。
マリアが待っている」
「あぁもう、仕方無いデスね」
そう言って2人も離れる。
しかし
「待って、マリアって、まさか貴方達、関係者なの」
調の言葉を聞いて、さくらは驚きを隠せなかった。
「うぅ、どうすれば」
「仕方ない。
本当にやりたくないけど、少しだけ、ごめんなさい」
「えっ」
その言葉と共に、調はゆっくりと歌い始める。
「Various shul shagana tron」
その聖詠によって、調の身体にシンフォギアが装着されていく。
そして、その姿にさくらは驚愕した。
そうしている間に、調はそのままヘッドギアの左右のホルダーから巨大な2枚の回転鋸で近くの機材に攻撃する。
「っ!」
機材が攻撃された事によって、さくらと調達の間には大きな壁が出来上がった。
「これで追って来れない。
反対側に行けば、避難できるから」
「あぁ、もぅ調は強引すぎるデス!
すいません、お姉さん!」
その言葉と共に2人はそのまま壁の向こう側へと消えていった。
それをゆっくりと、逃す事しかできなかったさくらは、そのままへたり込む。
いきなりの事で驚きを隠せなかった事でもそうだが、さくらがその時、何よりも思ったのは
「怖くて、何もできなかった」
あの時、2人の少女を止めるべきだった。
しかし、さくらにはそれができなかった。
空手で鍛え、強さを極めようとした彼女にとって、それは衝撃を隠せなかった。
「どうして、私は、こんなに弱いんだろう」
その言葉と共にその場を動けなかった彼女に対して、背後からノイズが襲い掛かろうとしていた。
「さくら!」
【Over drive! Power dive!仮面ライダーライブ!ジャッカル!】
聞こえてきた声と共に、自身に迫り来るノイズを見て、一瞬で現実に戻ったさくら。
しかし、ノイズがさくらに迫る前に次々と弾丸がノイズを貫く。
「さくら、こんな所で何をやっているんだ!」
「大ちゃん」
それはさくらの兄である大二であり、それは彼が変身する仮面ライダーだと察する。
「ここは危険だ、早く逃げるぞ!」
「っ」
逃げる。
その言葉を聞いて、さくらは一瞬戸惑う。
自分が弱い事を認めるような行為だと分かりながらも、今はそれに従うしかない。
「分かった。
行こう」
「ああ」
そうしながら、大二に連れられるように外へと向かっていくさくら。
「ここまで来れば大丈夫だろ。
怪我はないか、さくら」
「私は、全然」
しかし、その表情は暗いままである。
その様子に、大二は首を傾げる。
しかし、それと共に会場に大きな変化が見える。
それは会場から出ている一本の光であり、黄金に輝く光に驚きを隠せなかった。
「あれは」
「兄ちゃん達だ。
おそらく、あの中にいるノイズに使ったんだろ」
その言葉を聞いて、さくらの中では様々な事が崩れ去ろうとしていた。
自分達の兄である一輝や大二は仮面ライダーとして強くなった。
つらい境遇であるはずの響やクリスはシンフォギアを身に纏い、戦っている。
その中で、自分は未だに弱いままだった。
「私、全然無敵じゃないよ」
その言葉と共に、さくらはゆっくりと俯いたままだった。
しかし、そんな彼女を見つめる人が1人。
「五十嵐一輝に大二。
そして、五十嵐さくら。
果たして偶然か、それとも必然か。
それを確かめる必要はあるようだね」
その言葉と共に、ジョージ・狩崎はケースに仕舞われているベルトを見る。