一輝と響。
二人は何が起きているのか分からない間に連れ出された場所。
そこはリディアン音楽学校だった。
「こっここは!?」
「学校……?」
二人が困惑している中、車は学校の敷地内に入ると止まり、降りるように促される。
だが、降りていく。
そのまま案内されたのは、そのリディアン音楽学校の中央棟へと入っていく。
「ここって、先生達がいる中央棟ですよね」
「そういえば、響ちゃんはこの学校に通っているんだよね」
「えぇ、だけど、ここの事はあまり知らなくて」
そう案内されている間に、中央棟にあるドアを開き、そのまま中へと入っていく。
「危ないから、ここに掴まっていてください」
「んっ?」
案内してくれた男性に促されるように、二人はそのまま近くにある手摺りに手を掴む。
同時にエレベーターが動き出し、下へと下がっていく。
「えっ、えぇ?!」
エレベーターが下へと向かう間に、一輝が眼に見えたのは、不思議な光景だった。
何が描かれているのか分からない神秘的な絵であり、とてもエレベーターの中とは思えない光景だった。
「これって、まさか壁画?」
「うわぁ、凄いですね」
驚く二人に対して、男性は説明を始める。
「はい、この下に特異災害対策機動部二課本部が存在しています」
「二課?」
「特殊災害に対抗するために作られた組織の一つです」
「それって、大二が所属しているフェニックスと同じ組織ですか?」
「厳密には別組織ですが、目的は同じですね。
それに大二というのは、もしかして」
「はい、俺の弟です!
あっ、俺は五十嵐一輝と言います!」
「ご丁寧に。
僕の名は緒川慎次といいます。
では、もうすぐ着きますよ」
そう言うと、エレベーターは目的の階である地下へ到着し、扉が開くと同時に目の前に広がっていたのは
「ようこそ!人類最後の砦!災害対策本部二課へ!」
大勢の職員達が拍手で二人を迎えてくれた。
「えっ?」
「はぁ?」
いきなりの歓迎ムードに、二人は唖然としてしまう。
「おぉ、待っていたぞ立花響君に五十嵐一輝君」
「これは一体」「あははは」
二人の前には赤いシャツを着た男性が立っていた。
「私は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている者だ」
「はっはい、よろしくお願いします」
「おっお世話になります」
自己紹介をすると共に握手を交わす。
『おいおい、なんだよここ!
一杯人間がいて、おもしれぇ!!』
その様子を見て、一輝の身体からバイスが見渡す。
それは一輝しか分からなくても、心臓に悪かった。
「早速だが、まずはメディカルチェックを受けてもらう。話はそれからねぇ」
その言葉と共に白衣を纏った女性が笑みを浮かべていた。
「じゃあ、服を脱いでそこに座ってくださいね~」
「へっ?」「えっ?」
「あれ? どうしましたか?」
突然の言葉に、二人が戸惑っていると、女性は怪しく微笑む。
「あの、もしかして、この場で」
「この場でよ」
「いやいやねぇ」
「そうですよ、ねぇ」
突然の事で、一輝と響は顔を赤くする。
「いやいや、流石にちょっと」
「そっそうだよね、普通はさ」
「いえ、ここではよくある事なので、大丈夫ですよ」
「「よくあってたまるか!!」」
その言葉に思わず二人は声を上げる。
『イェーイ!サービスタイムだぜ、イェイイェイ!!!』
そんな状況を見て、バイスは大喜びしていた。
それから数時間後。
「もぅお嫁に行けないっ」「あそこまでやるかっ普通っ」
検査を終えた二人だったが、あまりにも過激な内容だったため、落ち込んでいた。
「まぁ、気にしないでくれ。うちは少々特殊でね」
「多少のスキンシップは必要経費みたいな物だからね」
「いや、必要経費って」
二人に話しかけてきたのは先ほどの女性ともう一人、眼鏡をかけたスーツ姿の男性だった。
その男は櫻井了子という研究者らしい。
彼女はここの責任者であり、シンフォギアシステムの開発者でもある。
「まぁ、雑談はここまでにして。
あなたには聞きたい事があるけど、なんでこれをあなたが持っているのかしら?」
そう言いながら、取り出したのは一輝が持っていたリバイスドライバーだった。
「そういえば、一輝さん。
それは一体」
「リバイスドライバー。
大二が持って来た奴で、その、この前の会場の時に思わず使っちゃったんだ。
そしたら、なぜかスカウトが来て」
「なるほどねぇ、あの記者会見の後でなんでフェニックスがあそこまで隠蔽工作するのか、よく分かったわ」
「あぁ、リバイスシステムの適合者の存在を広めない為だな」
「リバイスシステムって、確かあの記者会見で言っていた悪魔を使うって、まさか」
「あぁ、あのバイスは、俺の中にいた悪魔だ」
その言葉と共に響はあの時、自身を襲い掛かっていたバイスの事を思い出す。
「それで、このベルトをどこで手に入れたのかしら?」
「えっと、その」
「正直に話してくれないかなぁ」
「今日、スカウトに来た大二から渡されて、それで響ちゃんが襲われていると聞いて、思わず持って飛び出してしまったんです」
『いやぁ、あの時の一輝はまさに輝いていたぜぇ!』
その言葉に弦十郎達は目を見開き、了子は頭を抱える。
一輝は嘘をつく事が苦手な人間だと理解しているからだ。
「では、これからどうする?
おそらく、そろそろフェニックスの方から接触があると思うが」
「指令、フェニックスから通信が入っています!」
「よし! 繋いでくれ!」
その言葉と共にモニターに映し出された人物は
「こちら、フェニックス隊長門田ヒロミ。
そちらは特異災害対策機動部二課で、間違いないでしょうか?」
「あぁ、俺がここで司令を務めている風鳴弦十郎だ」
「ご無沙汰しております。
この度は我々の不始末で、皆様を巻き込んでしまった事をお詫びいたします」
「あぁ、君たちの謝罪は既に受けた。
我々も今後は協力体制を取るつもりだが」
「それは、俺個人としては賛成したのですが「そこの女がいると、少し無理があるからね」っ」
「ジョージ・狩崎」
そこに現れたのは、以前一輝を誘ってきた男だった。
門田はその姿を見て、眉間にしわを寄せている。
「私としては、こちらの大切なリバイスシステムと、その使用者である五十嵐一輝君をすぐにでも返して欲しいんだがねぇ」
そう言いながらジョージ・狩崎はモニター越しで言う。
「ですが、話を聞いている限りでは、一輝君はそちらの組織に所属していないと聞きますが」
「そこは問題ありませんよ。
一輝君の身柄は私が責任を持って預かるつもりです」
「ふぅん、まぁそれはそれで良いけどね。
一輝君、君にしばらくリバイスドライバーを預けるから、それ二課には渡さないでね」
「え、どうしてですか?」
「だって、そっちにいる櫻井了子に見られるのなんて、嫌だからね」
その言葉と共にジョージ・狩崎と了子を睨み付ける。
「それに、リバイスシステムは私の物なんだ。
誰にも渡す気はないさ」
「そうね、ならば仕方がない。
こちらとしても、素直に返すわけにもいかないんでな。
君たちとの接触は極力避けてもらうぞ!」
「あぁいいとも!!」
それと共に二人は睨み合っていた。
「えっと、あの二人の間に何かあったんですか?」
一輝は気になり、思わず近くにいる緒川に話しかける。
「それが詳しい事は分からなく。
ただ、互いに気に入らないのか、事あるごとに喧嘩するんですよね」
「そんな事で……」
「おい、そっちの要件が終わったのだろう」
「ふん、言われなくても帰るさ! じゃあ、一輝君。
また近いうちに会おうじゃないか」
そう言いながら、ジョージ・狩崎はそのまま姿を消す。
「すいません、こちらの人間が」
そして、すぐに門田が現れ、頭を下げる。
「いえ、大丈夫ですよ」
「そう言ってもらえると助かります。
それでは、私はこれで」
そう言うと共に、門田も姿を消した。
「さて、色々とあったが、改めてよろしく」