その光景はまさに悪夢と言える光景だった。
悪魔が支配して、役50年。
かつて、東京と言われた街は、悪魔によって蹂躙されていた。
その街の中で、悪魔から逃げる人影が一つ。
「はぁはぁ」
年齢としては、既におじさんと呼ばれても可笑しくない男が1人、街の中を走る。
どこを逃げれば、助かるのか分からない中でも、男は走っていた。
「そこまでよ」
「っ」
そんな男の前に現れたのは5つの人影。
各々が、何かの動物を思わせる鎧を身に纏う存在は、男にゆっくりと迫っていた。
「あなたには戻って貰うわよ。
でないと、ディアボロ様が困るのだから」
「誰が、お前達の言うことを聞くか!!」
「そうか、だったら、死なない程度には痛み付ける」
男は悪魔からの誘いを断る。
その言葉を聞いた瞬間、悪魔の鋭い攻撃が男に襲い掛かろうとした。
鋭い一撃は、男の命を奪うはずだった。
だが、男の前に突然現れた培養液を思わせるカプセルによって、防がれる。
何が起きたのか分からず、困惑する男と悪魔達。
やがて、カプセルの扉が開き、現れたのは5つの影。
その存在に、男は見覚えがあった。
「えっ、なんで、お前達が。
仮面ライダー」
それは、かつて栄光の7人と呼ばれた仮面ライダー。
その内の5人の仮面ライダー達が男を守るように無言で立ちはだかる。
「邪魔ねっまったく」
5体の悪魔達はそれぞれ武器を構えて、一斉にライダー達に襲いかかった。
そして、激しい戦いが始まる。
悪魔と、5人の仮面ライダーによる死闘が始まったのだ。
何が起きているのか分からず、呆然している中で
「へいへい」
「っ」
聞こえた声、それは下水道へと繋がるだろうマンホールから呼ぶ声であり、見ればそこには老人が男を呼んでいた。
「こっちへ、彼らが時間を稼いでいる間に早く」
「あっああ」
言われるままに、男はその場を離れた。
残された5人は、迫り来る悪魔を相手に激闘を繰り広げる。
「なぁ、ここは一体どこなんだ。
気がつけば「何時の間にか、ここにいただろ?」あぁ」
老人と共に、男を連れて逃げながら、その事情を聞こうとした。
「この世界は今から50年前、ディアボロと呼ばれる悪魔の復活がきっかけで大きく変わったんだ」
老人の言葉を聞きながらも、男は自分が何故こんな状況になっているのか理解出来ていない。
それどころか、どうして自分が生きているのかも疑問を抱いていた。
彼は、確かにあの時死んだはずなのだ。
「だが、歴史は変える事ができる。
私は、ある意味、あなたを見て、確かな希望ができたのだから」
そう言いながら、辿り着いたのは、地下にある研究所の一つ。
そこには様々な設計図があり、そこには男にとっては見覚えのある仮面ライダー達の姿が描かれていた。
「変えるって、一体」
そうしていると、男が取り出したのは一つのベルトだった。
形は、1号や2号が変身ベルトとして使用している物に近いが、その質感は明らかに2人と比べても高いのがよく分かる。
「このサイクロトロンドライバーを使えば、ディアボロを倒す事ができる仮面ライダーに変身する事ができる。
ただ、ドライバーの仕様上、共通する遺伝子の2人の人間が一体化して変身する必要がある。
だから、過去に行き、あなたの息子と共に変身するんだ」
「息子と、洸と」
男は渡されたドライバーを手にしながら、目を見開く。
「だからこそ、頼む。
あなたの、仮面ライダーを導いたあなたの力を」
「っあぁ、分かった」
老人からの言葉を受け止めると共に、男はそのまま腰にサイクトロンドライバーを巻く。
《center》【Ready!Done!】
その音声と共にサイクトロンドライバーから渦が現れ、そのまま男の身体を包み込む。
やがて、そこには男の姿は消えていた。
同時に部屋に侵入してきたのは、先程まで仮面ライダー達と戦っていた悪魔だった。
「奴はっ」
「もぅ、遅いよ」
悪魔は男の姿を探すが、老人は不適な笑みを浮かべた。
「貴様っ」
「彼はこの絶望的な世界を変える事ができる。
君達みたいなデビルライダーにはっ」
それと共に、老人の身体が貫かれ、その場に倒れる。
倒れた先には、既に事切れた老人の死体があった。
それを無表情に見つめる悪魔。
「ディアボロ様に報告するぞ。
なんとしても、あの男を連れ戻さなければならない」
その悪魔の一言と共に、すぐにその場から姿を消す悪魔。
後に残ったのは、老人の死体だけ。
しかし、老人は霞んだ目の中で
「頼んだぞ、立花藤兵衛」
1人の名を口にした。