ひねくれ男の幻想郷黙示録   作:ノヴゴロト

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森の妖怪

都の人間が月に移住する計画を知った後の行動は早かった。二人は各地の有力な妖怪達を集めだす。最初は懐疑心的な妖怪もいたが人間の計画を知らせるとすぐに招集に乗ってくれた

 

ここにいる者達は妖怪の中でもトップクラスに強い妖怪だ。実は以外とこうして集まるのは初めてではなく、縄張り間のいざこざを防ぐためにこうして招集されるのだ。ある程度上層部では人間という共通の敵がいるので前世で言うと国連や連邦に近いのかもしれない。

 

「今回の議題は人間の月面移住計画についてだ」

 

今は鬼が代表として話している。彼女はうちの縄張りではダントツで強いので頭となっている。俺は仕事ではそんな彼女の補佐官の役割だ

 

「ねえ、一つ質問してもいいかしら?」

 

一人の妖怪が手を挙げた

 

「まず私はその計画書の信頼性について疑問なのですが……本当にそれを信じることができる根拠でもあるんですか?」

 

発言した彼女は宵闇の妖怪『ルーミア』だ。彼女は人間の都を中心に俺らの縄張りとは反対側にあるので会うことはそうないが、ここにいる妖怪と比べても頭一つ抜けて強いらしい

 

「ああ、わしとこやつで都に侵入してきたのじゃ。それにこの書類は稀神サグメという神の部屋から盗んだものじゃから間違いはないじゃろう」

 

「!! そうですか。でしたら問題はありませんね……」

 

流石に神からとった物は信頼性があるのでルーミアは下がっていった

 

「本題に戻るんだけど問題は人間が月に移住した後なのじゃが……」

 

「人間の引っ越しで何かあるのか?」

 

「……どうやら自分達の跡を残さないために地上を消し炭にするようじゃ」

 

「そうなんですか!?」

 

これにはルーミアだけでなく皆が驚く。引っ越しするだけだと思っていたところがまさか命の危機に晒されると誰が想像するだろうか

 

「確かにあの人間共ならやりかねんな……」

 

一人の天狗が呟く。彼女は人間から妖怪へ変化した者なので動機に心当たりはあるようだ

 

「書類によると奴らがこの計画を実行するのは二ヶ月後、それまでに何とか阻止せねばならない。そのためにどんな方針を取るか……それが今回の本題です」

 

普段と違いここは真面目な口調で話す。コイツらの機嫌を損ねるといつ消し炭にされてもおかしくはないからな

 

「一番手っ取り早いのは都に乗り込むのがいいのだろうが……それは難しそうだ」

 

「そうね、仮に乗り込めてもかなりの損害が出るのは避けられないわ」

 

それからもいくつか論議が続いたが結局地上から離れるときに他の妖怪達と連合して攻め込むことに決定された。とはいえそれぞれの勢力で塵芥共含めても1000いるかどうか程度なので勝てるかどうかは非常に怪しいところではあるが……

 

 

 

~二ヶ月後~

あれから二ヶ月後がたった。オレは主に都の偵察をしていたが遠目でも見えるほどの巨大なロケットが出来ている

 

それ以外でも人間の兵士を鹵獲して付喪神を生み出し、兵士としての訓練を行っていた。お陰で焼け石に水程度だろうが500程度の兵力増強ができた。

 

道具共は付喪神として生まれたときに消耗品として酷使されていた事を説明した後、自分達は見捨てられたのを偽りの説明をすると大抵は憎悪を露わにし快く仲間になってくれた

 

それにより俺は付喪神を指揮する役目を担うこととなった。他の中堅以上の妖怪達はうちでは精鋭部隊として先頭で敵陣へ切り込みをしないといけないので少しでも生存率を上げたい俺としては願ってもない事だった

 

まあそのせいか他の奴らからは臆病者と言われることになったが……

 

「これまでご苦労だったな天邪鬼」

 

付喪神に陣形作らせていた時に鬼に話しかけられた。両者ともこの2ヶ月は忙しかったので久しぶりに顔を見た

 

「それはお互い様だろう。これほどの数がぶつかる戦闘は前代未聞だからな」

 

「それもそうじゃな……なあ天邪鬼よ……ちょっと二人きりで話したいからちょっと付いてきてくれんか?」

 

「構わないが……おい副官、俺はちょっとここから離れているから続きは任せたぞ」

 

「了解であります!!」

 

 

 

 

 

二人は暫く森の中を歩いていき、見晴らしがいい場所で足を止めた

 

「なあ天邪鬼、正直な話本当に阻止なんてできるのかいな……」

 

鬼が最初に言葉にしたのは弱音だった

 

「……」

 

「本当はすぐにでもこの土地から離れたいんじゃ……なあ天邪鬼、ワシと共に逃避行しないか?」

 

正直コイツの事なら華々しく散ろうと言うかと思っていたが……俺と共に過ごしていたせいで性根が腐ったのか……俺は何故かこいつを見て虫唾が走った

 

「……嫌だね」

 

「……!!」

 

「俺は今の様な軟弱な心を持ったやつとは隣を歩きたくない。鬼はそんなに臆病な生き物なのか? 今のてめえは怠惰な人間以下だぞ」

 

「それに力の象徴である鬼が力に屈服してどうすんだよ」

 

「……!! ………そうじゃな、正しくお主の言う通りじゃ」

 

鬼は意を決したような顔でこちらを見る

 

「のお天邪鬼よ、わしに名前を付けてくれんかの」

 

「は? なんで名前つけるの?」

 

「いやその……お主は転邪って名前があるじゃないか。だからわしも名前ほしいなって……」

 

なんともくだらない理由である

 

(しっかし名前をつけると言ってもな……)

 

まあ確かにここまで力の強い奴が逆に二つ名を持ってないのも変なので適当なやつをつけるとするか……

 

「そうだな……妖怪たちを集めて統べるお前なら、萃……萃香なんてどうだ?」

 

まあ安直なのだと怒られる気がするのでここらへんがいいだろう

 

「萃香……いい名前じゃないか、気に入ったよ! これからは鬼の萃香だ!!」

 

萃香は満足したようだ

 

「そろそろ人間への攻撃が始まる時間だろう。戻るぞ」

 

そう言い萃香の手を取り歩き始める。

 

「あっ……何気に転邪と手を繋いだのは初めてかも(ボソッ)」

 

歩いていると心なしか彼女の体が普段より暖かく感じたが、俺の頭の中は付喪神をどう動かすかが頭の中を駆け巡っていたのでそれに気付くのは萃香の顔を見た後だった




転邪に名前を貰った萃香ですが現時点では『伊吹』の姓はないです。
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