これまでの疲れを取るために温泉に入り、フウラの帰りを待っていた……。
「ふう、スイの塔での出来事が嘘みたいに終わったなぁ……」
「だな、しかしポップよ。
フウラが戻ってこない限り、キーエンブレムは得られないのだぞ?
それに、お前の刺青のことだが……」
「ああ、わかってるよ……」
先の戦いによって、痛みが来たことで下地の模様が艶やかになってしまい、禍々しさが増していた……。
刺青は今手の甲の半分までに侵食されていた……。
「さて、そろそろフウラが戻ってもいい頃なんだけど……」
「ポップ」
「???」
「噂をすればなんとやらだ」
「えっ? …………あっ!」
アズランの出入口からフウラがカムシカに乗って現れた!
その駆け走る姿は、風を纏うかのように颯爽に現れたのだ!
「すっげぇ……!」
「行こう! 領主の館が終着地点のはずだ!」
二人は領主の館に向かうも、そこには人が多くいたのだ。
「ただいまの風送りの儀により…………
これまで、アズランに吹いていた古き風はその役目を終え、かなたへと去りゆきました。
今、このアズランに吹くのは育みのチカラあふるる新しき風!
このアズランに…………えっと…………。
えっと…………?」
「フウラ……?」
「緊張してる……ようだな?」
「……この、アズランに……。
……っ! 風乗りフウラがあるかぎり!
育みの風を絶え間なく吹かせ
町を守り、育ててゆくことを誓いましょう!」
その宣誓を祝うかのように風が吹いた。
拍手喝采をする最中、二人は館へと向かった。
「あっ! リュウさま! ポップさま!」
「フウラ!」
「えへへっ!
あっ! 見て見て! ほらっ風のころも!
私の風送りの儀も、ちゃんと見ててくれた?」
「ああっ、見てたぜ!」
「待っておったぞ、お二方。
さあ、わしの部屋へ」
二人はタケトラの部屋へ赴いた。
「やれやれ、フウラの口上にはヒヤヒヤさせられたが
なんとか無事に風送りの儀を終えることができた」
「ああ……まあでもなんとかなれたからいいじゃないか?」
「そうだな、これもひとえに君たち二人のおかげだ
本当にありがとう。
まだ大きな変化は出ておらぬが
このアズランに、よい風が吹き始めた。
これからはよい方向へと向かってゆくだろう」
「それはよかった……!」
「二人はこの町に希望の風をもたらしてくれた、アズランの英雄だ。
この領主タケトラ、リュウとポップにこの「緑のキーエンブレム」を贈ろう!」
緑のキーエンブレムを手に入れた!
「やったぁ!! キーエンブレムだ!」
「これが……!」
「ふうむ……しかし、風のころもが風乗りの手に渡らぬよう。
スイの塔に魔物を配した者がいたのか…………」
「ああ、その魔物を配した者の名は「ネルゲル」という者だ」
「ネルゲルだと!?」
「知ってるのか!?」
「ああ、その者は
「っ!?」「なんだって!?」
「…………わしの憶測だが、レンダーシア大陸に勇者が覚醒したことは知っておるな?」
「ああ、ツスクルの村でヒメア様から……」
「うむ……恐らくは
「!」
「竜の騎士の伝承は、お二人はご存じですな?」
「存ずるも何も、ポップは言うまでもないが……」
「ふむ……。
竜の騎士にはこのような詩がある……」
数多の竜と人、そして魔の者が世の理を乱す争いは「竜の閃光」によって断罪の裁きが下されん。
人の子よ
魔の者よ
竜の倅よ
汝らの「卑しい心」は時を越えても竜の眼は見逃さない。
忘るるな
竜の騎士は世界の調律者
正義と悪の天秤は
生ける者達の心が糧となりて測り通る。
竜の騎士の振るう刃は断罪の刃
人が欲に塗れ
魔の者が復讐に走り
竜が本能の猛りで滅ぼす
それらの者を真魔の刃を振るいて
うち滅さん
「なんだ……それは……?」
「遥か昔に伝わる竜の騎士の詩だ。
この詩は言わば躾の詩だ」
「躾って……半分脅し地味てないか?」
「すまない、他にも詩があるのだが……。
詩の大半はレンダーシア大陸にあってだな……」
「その肝心のレンダーシア大陸は封印されちまっていた……」
「そうだ……」
「ままならないものだな…………」
「でもよ、ネルゲルって奴はなんでこんな場所に魔物を?」
「封印とかどうとか言ってたが、まあ事なきことを得たのだ。
それでよかったではないか?」
「うむ、たとえこのような辺境に悪しき魔の手が及ぶようでは油断ははできん……。
お二人は旅を続けられるのであろう。
この先、困ったことがあったときにはいつでもチカラになろう!」
「はい!」「ありがとうございます!」
「リュウさま、ポップさま!」
「フウラ?」「なんだ?」
「その、本当にありがとう。
おかげで私もすこしだけ、自分に自信が持てるようになったよ」
「フウラ……!」
「私、風乗りとしてがんばる!
大好きなお母さんの仕事を継いでみせる。
助けてくれる人たちだって、たくさんいるもの
こ! からは、お父さまや町のみんなや…………
カムシカたちとも協力して、この町のために
できることをがんばるね!!」
「そうだな!」
「リュウ殿! ポップ殿!
誠にありがとう、お二方の旅路に祝福の風があらんこと……!」
館を出て、二人は旅路の支度を済ませた……。
「よし、行くか?」
「ああ!」
「行こう! 仲間と竜の騎士を探しに!」
「おう!!」
人々は健やかに幸せな日々が訪れました。
ネルゲルの野望の一端を垣間見た二人は、いつか訪れる災厄の戦いが訪れるだろうと心構えた。
持てる命の限りに旅をするポップ
己が使命と拾った命を得たリュウ
いつの日かエルフ達の間に
「翠風の魔導士」という魔法使いという話題が風と共に知れ渡るようになっていた……。
DRAGON QUEST
ポップの章
「新風と大魔導士」
THE END
ポップ編完。
次回、ヒュンケル回!