手がかりの「刹那の歌」を求め、ヴェリナード城に戻ったのであった・・・。
ヴェリナード城に戻り、王子とサモンは謁見の間にいた……。
「母上、単刀直入にお伺いします。
‘刹那の歌’のことを教えてください」
「っ!?」
「……なぜ、お前が刹那の歌の存在を知っている?」
「永遠の地下迷宮にある、永遠の水のこともご存知なのですか?」
「……!」
「やはり、母上も禁断の地に囚われた女性が刹那の歌で救えることを知っているのですね?」
「…………」
ディオーレの平手打ちが謁見の間全体に響いた……。
「っ!」
「刹那の歌は、我が王家に伝わる歌。
1000年の間、唄うことを禁じられた歌だ!
王家の者として、わらわはその禁を破るわけにはいかぬ!」
「あの女性も、我が王家に連なる者なのでしょ?
彼女は永遠の水の中で、今も生きています。
このまま見殺しにするおつもりですか!!」
「確かに、あの娘は王家の血を引く者。
だが、永遠の水から解き放つことはまかりならぬ!」
「まっまあ、ふたりとも! そんなコワイ顔はやめて、もっとほがらかにいこうじゃないか!
なあ、オーディス。お前も、もうオトナなんだ。
少しは、わきまえるということを覚え…………」
「…………」
オーディス王子は何も言わずに謁見の間から去った……。
「……結果は見えていましたが、こうも拗れるとはね?」
「…………すまない、私が至らぬばかりで」
「サモン様が謝ることではない、
「むう…………」
その後、謁見の間を出たサモンはメルー公と話をしていた……。
「……オーディスはいつもの場所…………でしょうね?」
「……ああ、永遠の地下迷宮で囚われている彼女を助けたい一心なのだろう。
気持ちはわかるが……」
「オーディスの件、よろしいでしょうか?」
「ああ、すまないな?
本当ならこの件を穏やかに済ませたかった……でもまさか、オーディスがあの時突然依頼を出した時は驚いたよ?」
「永遠の地下迷宮に囚われている女性を助けた褒美にキーエンブレムを授与する。という依頼ですね?」
「ああ、その件を聞いたディオーレは王権行使して撤回したんだ。
あとは知っての通りだ」
「…………」
「……サモン様、本当のことを教えてくれないか?
あの地で何を見て何があった?」
「……?」
「……失礼、正確にはオーディスが何故永遠の地下迷宮の女性のことを固執しているんだ?」
「……耳を貸してください。
実は…………」
サモンはメルー公に耳打ちをした。
「なんだって!? それは本当か!?」
「……助けたい一心なのは皆同じ。
その為に、もしものことを頼みます」
「……わかった。だがこの件は内緒にしておく。
永遠の地下迷宮の件はディオーレと話す、その間息子を……オーディスを頼む!」
「わかりました」
「お待たせしました」
「サモン!」
詰所内にはアルス一行とオーディス王子たちがいた。
「なるほど……つまり刹那の歌は母親から何もってか?」
「そうだ、母上は刹那の歌のことを教えてくれなかった。
……こうなっては、僕自身が歌う」
「歌う?」
「歌うって……王子自ら歌うの!?」
「そうだ、僕が刹那の歌を唄って彼女たちを救ってみせる」
「歌うって……できるのか??」
「ああ、その為にはなんとしても刹那の歌のありかを見つけださなければ……!」
「……ひとつ、お聞きしたいのですが。
刹那の歌のことを知っている者は、女王さましかおられないのでしょうか?」
「え?」
「なんだ? 急に?」
「いえ、もしかしたら……ここの調査員の方たちも何かご存知なのではないかと……?」
「なるほど……? 彼らなら何かを調査しているわけか?」
「そうか! なら、彼らに聞いてみるべきだな……。
エリーゴ調査員! ちょっと来てくれ!」
「はい、なんでしょうか? 王子どの?
小生は今、資料の整理に余念がないのでありますが…………」
「君は調査員の中でも古株だ。
誰よりも多くのことを知っている……。
単刀直入に教えたい。刹那の歌という歌について、君が知っていることはないか?」
「…………小生は、存じません。
お役に立てず、申し訳ないであります」
「いいんだ。もし母上にクチ止めされているのなら、そんなことは気にしないでいい。
知っていることを、教えてくれ」
「…………。
……小生は、何も存じません」
「……気に病むことではない。
知ってる範囲を話してくれないか?」
「サモン様……。
……了解であります。
ここよりはるか北東の地「ブーナー熱帯雨林」。
その南に「詩歌の遺跡」という遺跡があるのであります。
王家の方は、王位を継ぐことでそこへ向かって歌を継承なさると聞いたであります。
おそらくは、刹那の歌もそこに…………」
「なるほど、そこに行けばいいってわけか?」
「はい、それにキャンプ地も構えております。
そこを目指せば遺跡に辿り着けます」
「ありがとう、よくぞ教えてくれた!
ブーナー熱帯雨林の詩歌の遺跡だな? エリーゴ調査員?」
「王子どの……? もしや行かれるのでありますか!?
ブーナー熱帯雨林とその途中の「ヴァース大山林」は魔物が徘徊する危険地帯!
いくら王子お一人ではかえって危険です!」
「わかっているよ、僕一人で行くなんてそんな……。
…………!」
「……オーディスさん?」
「……そうか、そういうことだったのか!
キャスランの占いにアルス君たちの協力が必要と出たのは、このためか!」
「オーディス?」
「アルス君、サモン様。
あなた方の望みは、この国の「キーエンブレム」だろう?
ならば、それを君に贈ることを約束する!」
「!」
「マジか!?」
「だから、改めて頼みたい!
僕たちと共に、ブーナー熱帯雨林へ足を運び。魔物たちから守ってくれないか?」
「いいよ! 元より俺たちはキーエンブレムを欲しいからな!」
「おお! ありがとう、アルス君!」
「話は決まったようですね?
まず、城の北行きのカヌーに乗って北東へ向かう。
ヴァース大山林を越えブーナー熱帯雨林、そこのキャンプ地に到着してすぐ先に詩歌の遺跡がある。よろしいですね?」
「ああ、それを聞けて十分だ!
支度を整えてるからいつでも行けれるぜ!!」
「アルス君……みんな……! ありがとう!」
そうして、アルス一行はオーディス王子と共に詩歌の遺跡に行く為、ヴァース大山林を越えてブーナー熱帯雨林へと向かった。
そして、そこのキャンプ地に着いたのであった……。
次回
詩歌の遺跡