暴君バサグランデの封印を解いてしまった・・・
マァムたちを救い、最奥の牢獄にて
アルス一行とオーディス王子は
バサグランデを討ち倒す一心となりて戦いを挑んだ!!
『滅ぼしてくれるわっ!!』
バサグランデは咆哮をあげた!!
「なんて凄まじい咆哮!
ヴェリナードを壊滅させたことだけはある!」
「コイツを相手にした勇士の強さがどんだけのものだったんだ!?」
「そんなことを言ってる暇あるなら戦う!」
アルスとオーディス王子とマァムはバサグランデと一進一退の攻防を繰り広げていた。
「これがヴェリナードを滅ぼした魔獣の実力か!
バカにはできないな!!」
「でも、油断はしないで!」
襲いかかる爪の攻撃を躱し流しをするも、攻撃の勢いは凄まじく猛々しいものだった。
百獣の王が雑魚に思えるその攻撃力は、前線に立つアルスたちと後列に立つサモンたちはその攻撃力を見て警戒していた。
一撃でも入れれば危険と……。
その事実をその場にいる者たちの脳裏が‘それ’によぎっていた、如何にしてバサグランデが‘暴君’と呼ばれる所以かを物語っていた。
(これ程までとは……!)
(なるほどな、後ろに立っても伝わるこの覇気……!
ヴェリナードが滅亡寸前に追い詰められたってのは眉唾物じゃないな!)
『ちょこまかと……鬱陶しい!!!』
バサグランデは腹からの怒声ではげしいおたけびを上げた!!
「うおっ!?」
「くうっ!!」
「くっ!」
アルスたちはバサグランデのおたけびに怯むが、受け身をとって姿勢を立て直した。
「これは凄まじい……! 苦戦するのもわかるぜ……!」
「ああ、我らの祖先たちが悪戦苦闘を演じていたのも頷ける……!
だからと言って、弱音を吐いては何も変わらない! ここで倒さなければ、ヴェリナードは……! ウェナ諸島が滅んでしまうっ!!
これは僕が招いたことだ! ここで僕が……王子たる僕が責任を取らなければ末代の……いやっ! ヴェリナード王家の永劫の恥となってしまう!!」
オーディス王子は呼吸を整えて闘気を昂った!!
「これでもくらえっ!! はやぶさ・二連!!」
オーディス王子ははやぶさ斬りの斬撃を二発放った!!
『ぬっ!?』
バサグランデに命中した!!
『なるほど……はやぶさの斬撃を二発も放ったものか……。
…………生ぬるいわぁっ!!』
バサグランデは爪からしんくうはを放った!!
「ぐあっ!?」
「おおいっ!? 俺らもかよ!?」
「きゃあっ!!」
「うわあっ!?」
「きゃああっ!!」
「うおっ!?」
「ぐっ!!」
バサグランデのしんくうははアルスたちにダメージを与えた!!
『そんな小細工に等しい技で、我を追い詰めたと思うてか!!
滑稽だな!!』
バサグランデは全身から赤黒い稲妻を身にまとった!!
『いくら貴様らが我に挑み、討ち倒すことなどできぬと知れぇ!!』
バサグランデは全身からいなずまを放った!!
「うおっ!?」
「くっ!?」
「きゃっ!?」
アルスたちはいなずまの攻撃を躱した!
「今のは危なかった……!」
「ああ……! あれをまともに喰らっていたらひとたまりもない……!!」
「…………」
(確かに強い……! でも幾ら300年の時間があったからって、これだけの強さを持っているはずがない……!)
マァムはバサグランデの異常な強さに違和感を感じていた。
本来なら300年分の
例えそれが体内に闘気を温存することや保つ術等の開発も持っているわけがない。
それなのにバサグランデ自身に発する凄まじく異常な闘気……。
(それに……あの闘気……どこかで……?)
『ふははははっ! ぬるくて他愛がない!!
封印の唄を前に、一時はどうなるかと思っていたが……』
「っ!?」
「コペルニクス……?」
「コペルニクス…………?
……まさかっ!? そのチカラはコペルニクスの!?」
『ほお、知っていたか? 封印の巫女よ?』
「コペルニクス……! まさか
『ふははははっ!!! そうだ、このチカラ……加護は老いや時の止まった中をチカラを保ち続けることができるのだ!!
300年の凍った時の中だろうが老いさらばえていこうが、我が最盛期のチカラはこの通りだっ!!!』
バサグランデは闘気を全開に出した!!!
(……っ!? この闘気……!?)
(……っ!!)
それは、かつて対峙した敵の中にその闘気を使っていたものと同じ闘気だった。
「この闘気……まさかっ!?」
「これって‘暗黒闘気’!?」
「暗黒闘気…………!?」
暗黒闘気……従来の闘気とは違い‘負の感情’を糧に闘気に変える。
かつて彼らの大敵‘大魔王バーン’を筆頭に‘魔王ハドラー’と‘ミストバーン’が使っていた闘気術。
その威力と効果は凄まじく、受けた者はそのダメージの影響で回復効果が弱くなるという利点が付く。
(
かつて、アルスはダイとマリーンと村長たちから闘気について話していた。
基本となる闘気と負の感情をもちいた‘暗黒闘気’、そして竜の騎士専用の‘竜闘気’等を……。
『このチカラのおかげで、我は衰えることなくこうしてチカラをだせる!!
封印の歌で抑え込むことなぞ不可能だっ!!』
バサグランデは暗黒闘気を発し、全身に纏うようにチカラを溜めた!!
『300年前の轍は踏まんっ!!』
暗黒闘気を全開に出し、バサグランデは攻撃を仕掛けた!!
『死ねぇっ!!!』
バサグランデは怪光線をディオーレ女王達の方に向けて放った!!
「っ!?」
「母上っ!!」
「ディオーレっ!!!」
放たれた怪光線はディオーレ女王とセーリアに目掛けた!
絶体絶命とも言えた瞬間……!
「危ないっ!!」
「っ!?」
『何っ!!』
「間一髪……!」
ディオーレ達の前に立ち、怪光線を防いだアルス。
しかし、怪光線の威力の反動に膝をついていた……。
「……っ!」
「アルス!!」
(これが……暗黒闘気のチカラ……!!)
『……ほお? 防いだとはいえども、
「くっ……!」
(これが……暗黒闘気……!)
『これをまともに喰らったが最後、
いくら貴様がこの奥義を防いだとしても、貴様自身もタダでは済まないのはわかっているのだろう?』
「……っ!」
『防いだとはいえ、虫の息手前。
……見せしめにトドメを刺してやろう!』
バサグランデの爪はアルスの胴体を貫こうと攻撃を仕掛けた!!
「アルス!!!」
「アルスっ!!」
誰もが死を感じた瞬間、その時。
『何っ!?』
「っ!?」
バサグランデの爪はアルスの胴体を貫くはずが
『ばっバカなぁ!?』
「はぁ……はぁ……!!」
アルス自身、間一髪の感じだった。
一か八かで自身の闘気を解放していた、先の攻撃で
「師匠達から話を聞いていた‘暗黒闘気’……使い手と実際対峙するのは今日が初めてだよ」
『……!?』
「勝負を付けさせてもらうよ?
これ以上、犠牲者を出すわけにはいかないからっ!!」
アルスの額には
『そっそれはっ!?』
「あれは……!?」
「あれは……まさか!?」
「やはり……そなたが?」
「アルス君が……竜の騎士!?」
竜の騎士の証たる‘竜紋章’
アルスの額にそれがある事、それは「竜の騎士」であることを語っていた。
『馬鹿なっ!? 貴様、竜の騎士なのか!?』
「だとしたらどうする!!」
『ならば尚のこと!!』
バサグランデは暗黒闘気を全開に出した!!
『竜の騎士相手に不足はないこのチカラ! 貴様を葬ってやろう!!』
バサグランデは猛攻を仕掛けた!!
『死ねぇ!!』
「誰が死ぬかぁっ!!!」
アルスは剣に闘気を纏わせた!!
バサグランデの猛攻を受け止め、攻撃を繰り出した。
一進一退、互いの闘気を全開に出して戦う両者の姿を一同は息を呑んで見ていた。
「あの人が……竜の騎士!?」
「まさか……!」
(そうだよな……。竜の騎士の存在はこの世界の人たちにとっては御伽話級の存在。
だけど、アルスがその竜の騎士だってことを知ることなんてできない。
口からの出まかせだったり、存在していることが疑わしいレベルの伝説……それが今ここで目の前にいる!
驚くのも無理ねぇか……!)
アルスとバサグランデの攻防は遺跡全体に響き渡り、両者はわずかながらも息が上がっていた……。
『そろそろ、決着を付けようか!!』
「上等っ!!」
両者の闘気は最大に昂め始めた!!
『くたばれっ! 竜の騎士っ!!!!』
「くたばるかよっ! 勝つのは俺だあぁぁぁっ!!!」
バサグランデは暗黒闘気を最大量の黒い雷の光線を放った!
アルスは竜闘気を纏った剣を振りかざした!!
『暗黒稲光っ!!』
「魔神剣・竜牙っ!!」
両者の必殺技が衝突! そして爆風が起き、その一瞬の中に両者は一閃を放ったっ!!
その光景は、その場にいた者たち全員がアルスの勝利を確信した。それにより歓喜の声が遺跡全体に響き渡った……!
『バッバカな……!? この我が……敗れるだと?
我が……滅びるなど、ありえぬ!
加護のチカラは……竜の騎士に及ばぬ……ぐっ!?』
その時、暴君バサグランデの身体から黒いモヤの様なものが吹き出した!
そしてモヤは雲のように集まり、消え去った……!
『まっまさか…………!
奴め……まさかこれは…………そうか、勝っても負けても
おのれ……おのれぇ……!
おのれえぇぇぇっ!!! コペルニクス────っ!!!!!』
「あ…………うう? 私……何を……?
……! まさか、バサグランデさまが…………!?」
咆哮を上げたバサグランデは魔瘴に包まれ、消滅した……。
「ひ……ひいぃぃぃぃっ!!」
キャスランは思い出のすずを取り出し、リレミトゲートに飛び込んで逃げた……。
「……あいつ、逃げやがったぞ?」
「今はいい、機を見たら捕らえる。
それより、ありがとうアルス君……いえ、竜の騎士アルス様……」
「アルスでいいよ、バサグランデを倒したから大丈夫だよね?」
「ああ、バサグランデを討ち倒した以上、もう封印の巫女は必要ない。
母上もセーリアも、そしてヴェリナード……ひいてはウェナ諸島を救われたんだ」
「ああ、そういうことになるな?」
「……竜の騎士よ、此度のことをわらわはなんと礼を述べればよいのか。
……だか、ひとまずは城へ帰ろう。
もはや、ここに用はなくなった…………」
「そうだね、それとセーリアの身の上も考えないとね?
城に戻ったら話したいことが山積みだからね?」
「はい……竜の騎士のおかげで、私の役目も終わったようです…………。
これから、私が何をすべきかわかりませんが……今は皆さんと共に参りましょう」
「決まりだね? じゃあ、リレミト!」
サモンはリレミトゲートを開いた!!
「後の話は城でするとして、ここを出るならこれが一番ってね!」
「おおっ! それはありがたいっ!! ささっ! 皆の衆、いざ帰ろう!」
メルー公は一番にゲートに入り、女王と巫女を護るように列を整えて入った……。
「アルス君、君たちの願いは果たせるようだね?」
「……だな」
アルス一行とオーディス王子はリレミトゲートに入って遺跡を出た……。
次回
銀のキーエンブレム
・・・戦いの描写をずさん気味ならないように気をつけよう。