戦いの最中、謎を残すものの
目的のキーエンブレムを得るため
ヴェリナード王国に戻った・・・。
「竜の騎士アルス、そして賢者サモン
そして、その仲間たちよ。
そなた達には、たいへん世話になった
この国の女王として、礼を言う」
城に戻って来て、バサグランデ討伐の報は全国に知れ渡った。
一時は祭や宴騒ぎとなり、歓喜の声が響き渡っていた……。
戦いの疲れを取り、一行は城に赴いていた。
「オーディスよ? もしこの者たちがいなかったら、この国とお前自身の身はどうなっていたか、わかっているな?」
「はい…………」
「此度のこと、全てお前の独りよがりな行動が招いたことだ。
王家の言い伝えを背いてな?」
「言葉もありません…………。
……ですが、僕には彼女を……セーリアたちを見捨てることができなかったのです」
「オーディス王子……」
「……本来、セーリア殿は封印の巫女となることを自らの意思で受け入れたのだ。
お前にそれを否定する権利はない……。
……だが、あの小娘の奸計があったとはいえそこの二人の娘を助けるためとはいえ仕方なかった。
……この者たちが来るまではな」
「…………」
「私は、この国に住む多くのウェディの民たちを救うために封印の巫女になりました。
しかし……王子はたったひとり…………。
私と永遠の水に落ちてしまったマァムたちを救うためだけに、刹那の歌を唄ってくださいました。
そして、女王さま…………。
あなたがしたことも、それと同じことです」
「…………」
「……そうだな? わらわも同罪だ。
たった一人息子の命と引き換えに、多くの民の命を危険にさらすことをいとわなかったのだ」
「いえ、むしろ良い機会だったのでは?
竜の騎士であるアルスと叡智の冠の使いである僕自身が来たからこそ、ヴェリナードの負の遺産を清算することができた。
この一点を見れば、肩の荷がおりたとも言えます」
「ああ、あなた方が来たおかげでヴェリナードは未来永劫に救われた。
その点を鑑みれば、責める必要はない!」
「そうですね? あなた方を責めることもありませんね?
自分の命より大切な誰かを助けたいと願う気持ち……。
私の思いとあなた方の思いは、どちらも等しいものなのですから」
「ああ……そうだな。その言葉を聞くと、救われる思いだ」
「この国は、竜の騎士さまたちのおかげで大きな危機から解き放たれました。
……ですが、王家の者の役目が終わったわけではありません。
王は国を治め、それを子が継いでいく。
そうやって、永遠にこの国をより良い道へと導いていく責務があるのです」
「そうだな……だが案ずることはない、だろ? ディオーレ?」
「うむ、我が王家にはこのオーディスがいる」
「……母上、永遠の水の中で聞いた父上の言葉より 僕は、母上の心を知りました。
それを知らずに……勝手なことばかりをしていた僕をどうか、お許しください」
「オーディス……」
「僕は、この国の王になります。
ですから、これからも僕を鍛えてください!
どんな困難にも、決して負けないように!」
「……よく言った、オーディス。
ならば、これからも厳しくいくとしよう」
「はい!」
「オーディス……よかったな!
……さて、皆に礼を言わねばな?」
「アルス君、そしてサモン様。ありがとう。
皆さんには、本当に感謝している」
「いいってことよ」
「当然のことをしたまでのことです」
「母上、バサグランデを倒した勇士たちに我が国のキーエンブレムを授与することを、王子として進言します」
「よかろう。アルス殿とサモン殿、こちらに」
「はい!」
「はい」
「バサグランデ討伐の大任を果たした者たちの代表者として、ヴェリナード女王より銀のキーエンブレムを授けるものとす」
「やったな! アルス!」
「ああ、これであと二つってところか!」
「ここまで順調にこなせるのは奇跡に等しいものだよ、ほんと?」
一行は和気藹々とキーエンブレムを手に入れたことに喜んでいた。
「……アルス君、世話になったね」
「いいってことよ、気にすんなよ?」
「いや、己の未熟からあなたのチカラを正しく導かなかったことと、竜の騎士であることを知らなかった自分に恥じ入るばかりだ」
「いやいや、俺の正体は伏せられてるようなものだから仕方ないだろ?」
「ああ、そうだね? それともう一つ、僕からの礼として城下町のヴェリナード城駅を使えるように手配しておいた」
「駅を!?」
「君たちの旅に役立てると思ってね。
ただの王子の僕には、よくてこれくらいのことしかできなくて申し訳ない……」
「いや充分だよ! 仲間探しには必須だから!」
「そうだったね……。
みんな、僕は必ず王になってみせる!」
「ああ、よく言った!」
「アルス君、サモン様。そしてみんな!
君たちの目的を果たすため、がんばって旅を続けてくれ!」
「ああっ!」
一行は宿屋に赴き、それぞれの経緯を話していた。
「そうだったのね……」
「へえ〜! そりゃあすごいわね!」
「まあ、アバンストラッシュはまだ未完成というかまだ基本のきの字もないっていうか……しばらくはってね?」
「でもよ? 魔神剣だけでもそれだけの威力出せんならスゲェとしか言いようがないよ?」
「まだまだ、これは代用みたいなもんだ?
基本となる心技体の奥義を会得しようって矢先に魔王軍の襲撃だよ? どうしようもないよ!!」
「言いたいことはわかる、だかこうして生きていられるのも救いであろう?」
「ああ……」
一行が和気藹々に話す中……。
「もし? よろしいかな?」
「ん……? ……メルー公!?」
宿屋に訪れたのはメルー公であった。
「いやいや、驚かせてすまないな?
実は聞きたいことがあって、今のうちにね?」
「聞きたいこと?」
「……アルス君、いいかね?」
「……!」
アルスとメルー公は永遠の地下迷宮で自身の身に起きたこと話した……。
「今にして思えば、本来なら身動き取れなくなって水の柱の中に永遠に閉じ込められるものなのだ。
それを君はなんともなかったと?」
「ああ、ただ落とされてそれだけだったんだ。
でもあの時はポップとサモンが落ちて助けるのに必死だったんだ。
二人を助ける、ただそれだけなんだ」
「ふむ……しかしそれだけではと思っていたが…………君が
「まあ……そうだな」
「ああ、そうだ!」
「何か?」
「ひとつ聞いて良いかい?
君の剣術はどこで習ったものなんだい?」
「どこって……レンダーシアの秘境で
「……!」
「?」
「そうだったのか……なるほど。
アイツめ、酒を飲み腐しても
「……?」
「いや、こっちの話だ。
皆は明日旅に出かけられるのか?」
「まあな、仲間を探しに行くために……」
「そうか……。
ところで、ひとつ質問がしたいのだが……良いかな?」
「……ん? なんだ?」
「マァムさん? 君の
「え? 知っているんですか?」
「……っ! やっぱり……!
それはかの「ロン・ベルク」が作った‘鎧化武器’!?」
「っ!?」
「ロン・ベルク……って! ダイの剣を作った!?」
「!?」
「……! そうか、アルス君は竜の騎士ダイの元で修行していたから知っているか」
「ああ、剣のことも話していてね」
「……聞いてくれ、もしかしたら君たちの冒険に役立つかもしれない」
「?」
「実は、聞いた話なんだ。
マァムさんが持っている武器と
「!!」
メルー公の発言は、一行の次なる冒険の導きとも言わんばかりの情報だった。
「レオナ! みんな!! もしかして!?」
「もしかしなくても確定事項だよ!!」
「ええ……!!」
「じゃあ、決まりだな!!」
「それはよかった! 役に立てたのなら光栄だよ!」
こうして、一行は明日への希望を見出した……!
次の朝……。
「よし、みんな? 支度は済んでいるね?」
「ああ!」
一行は宿屋に出たその時。
「アルス様!」
出ていきなり衛兵がいたのだ。
「うわっ!? なんだ!?」
「申し訳ありません! 実はディオーレさまが恵みの歌をお歌いになるとメルー公のお達でまいりました!」
「えっ!?」
「メルー公が言うには‘君たちの旅路の応援と見送りを兼ねて’とのことです。
お国を、親子の仲を結び直したお礼を込めてお歌いになります」
「……なら、聞かないわけにはいかないな?」
そうして、一行は町民たちと並んだ。
城の展望台からディオーレ女王と夫のメルーと息子のオーディス、その隣にはセーリアが現れた。
それが我ら ウェディの民
母なる海に祈りを捧げ
我らは求める 神の恵みを
大いなる海の神よ
我らの命 我らの思い
守りたまえ 清めたまえ
ディオーレ女王の歌は、ウェナ諸島の海に響き渡った。
そして海に祈りの加賀の輝きが走った……。
「ああ…………。今日の恵みの歌は
とっても優しい感じだったわね…………」
「だな?」
「オーディス王子さまも、にこやかに笑っておられたし。
王家の方々に何かいいことでもあったのかしら?」
「??」
「…………あっ! そうよ、そうだわ!
女王さまのとなりにいた若い女の人!!
もしかして、アレかも?
王子さまの恋人なのかも!?」
「恋人?」
「ということは、あの女の人が「次の女王様」ってことじゃない?
これは楽しみね!」
若いウェディ女性は意気揚々と歩いた……。
「……まあ、内情を知っているからって言うのは内緒だな?」
「ああ、楽しみだな?」
「そうね、アルス君?」
「ん?」
「私のことはレオナ達から聞いてるかもしれないけど、改めて初めまして。
私は「マァム」よ」
「ああ、そうだったな。よろしくな?
それで、そっちがユッキーたちと同じ?」
「そうよ「ユミ」よ。
よろしくね? 竜の騎士さま?」
一行はこれまでの経緯を話し合った……。
「そうだったのね……」
「ああ、ダイは生きている。
アルスがその証人だ、その為に旅に出ているんだ」
「左様、我らは転生者を探す旅をしている。
あなた達も仲間を探すのならば、尚のことであろう?」
「そうね! だったらって話じゃない!!」
「ええっ!」
「よし! じゃあ行こう! ドワチャッカ大陸にっ!!」
「おうっ!」
「ええっ!」
「ああっ!」
「はいっ!」
一行は駅に向かって列車に乗り、次の冒険地へと向かった。
アバンの使徒の仲間の一人‘ヒュンケル’がいるドワチャッカ大陸へと……!
次回
ドルワーム王国編