まずは『強敵遭遇編』
※注意※
オリキャラが出ます。
オリキャラが仲間になります。
そういったことが好きじゃない方はご注意ください。
新たな冒険の始まり
歩くたびにチャリチャリと軽い金属が当たる音がする。そんな音が耳朶を振るわせるたびにおれの口角が上がっていく。高揚感を感じながら仲間達の前で歩みを止め、見せつけるようにおれは身体を広げた。
「どうよ?」
あの牧場防衛戦から数日後。おれは装備を新調した。今はそのお披露目をしているところだった。
「うん……うん! いいじゃない!」
「ええ。だいぶマシになったんじゃない?」
仲間達からはなかなか好評のようだ。
今のおれの装備は細く長い鋼線で編まれた金属鎧、いわゆる
「いやーこんなに早く装備が整うとは運がよかったな」
そう言うには理由があった。いくら前回の牧場防衛戦の依頼で普通の依頼より儲けられたとはいえ、新品を買えるほど儲けられたわけじゃない。他の先輩冒険者達も儲けたことにより、装備更新をした人が何人かいたらしく、中古が店にいくつか並んでいたのだ。そのおかげでまだまだ新人のおれでも今まで貯めてきた金と、今回の儲け分でなんとか手が届いたという訳だ。もっとも冒険者達はあまり兜を被る習慣がないため頭装備の中古がなく、そこまで手が回らなかったのが心残りだが。
あと今は持っていないが、武器の運用の仕方を変えることにした。ゴブリン退治やネズミ退治など特定の敵と戦うことがわかってる依頼の時は槍を、何と戦うかどこで戦うかわからない等の時は汎用性を求めて剣を持っていくことにした。弓はしまった。置いていくわけじゃないが、いざという時に使える程度に荷物として持ち運ぶことにした。
あとは流石に物が増えたから鍵の掛かる部屋に移ったりして散財したぶんまた懐が寂しくなったのが懸念材料か。
「そうそう。私からも報告があるのよ」
そんなことを考えていたら女魔術師も何か報告があると告げてきた。
なんだと思ってそちらを見ると女魔術師がいかにも自信ありげといった感じに胸を反らす。
「この間の依頼の後、新しく使える魔術が増えたわ!」
「「おおー!」」
それはいいな。できることが増えれば対応できる状況が増える。依頼も受けやすくなるだろう。
「どんな魔術なんだ?」
「火の玉を投げつけて爆発させる魔術……かしら。複数を一度に攻撃できる魔術よ。その代わり威力は《
対複数に強く出れる魔術か。ゴブリン退治に有利になるだろうか。今まで避けてきた大量のゴブリンを相手取りそうな依頼なんかも選択肢に入ってくるかもしれないな。
大体の報告も終わり、幼馴染がいかにも気分が良いといった感じで言う。
「よーっし! じゃあ新たな冒険に出発よ!!」
「なーんて言ってみたけど、別に何かが変わるわけじゃないのよねー……」
「どうした急に」
突然幼馴染がそんなことを言ってくる。
今おれ達は今日の分の依頼を終え、辺境の街への帰路についているところだった。今日のおれ達の依頼はゴブリン退治。作物が盗まれたから駆除してくれということで依頼を出してきた村に赴いていたのだ。依頼自体は特に怪我もなく無事達成できている。
「いや、出掛けにあんなこと言ってたじゃない? なのにやってることは代り映えしないなーって」
幼馴染はそんな愚痴を口にする。そりゃそうだ。別に黒曜等級から昇級したわけじゃないんだから。
「まあわかるけどね。しょうがないじゃない。私達はまだ黒曜等級なんだから」
女魔術師も同意しつつ宥めた。
「そうなんだけどさー……ん?」
幼馴染が更に愚痴ろうとした時に何かに気付いたような仕草をする。
「今何か聞こえなかった?」
そう言われおれと女魔術師は一度顔を見合わせてから、聞くことに集中してみる。風の吹く音、虫の鳴く声に交じり確かに何かが聞こえるような気がする。
「──……か」
これは……女の人の声?
「―……けてー」
だんだん聞き取りやすくなってくる。というか近づいてくる。今まで歩いてきた後ろの方から。
「誰かー! 助けてー!!」
振り向いてみると女性が助けを求める声をあげながら走ってくるのが見える。その後ろには数匹のゴブリンの姿があった。
「ゴブリン!? 誰か襲われてる!」
「助けるわよ!」
「ええ! 援護するわ!」
そう言っておれたちは女性を助けに入った。幸い追いかけていたゴブリンは片手で足りる程度。何の問題もなく倒すことができたのだった。
「たーすかったにゃ。ありがとにゃ」
追われていたのは獣人の一種である
「こういっちゃなんだが、普通こういう時は冒険者を雇って護衛してもらうとかするもんじゃないのか?」
「それは……ま、まあいいじゃないかにゃ」
誤魔化すように言われた。……金がないのかね?
「一応ウチは交易神様の神官でもあってにゃ。『
「『幸運』の祈祷?」
「そうそう。まあ『幸運』と呼ばれてるけど別にいいことが起きるわけじゃないんだけどにゃ。悪いことが起きにくくなるっていう奇跡にゃ」
「へぇ……」
そんなのもあるのか。……いやそんなことより。
「そういえば行商人って割には商品っていうか、荷物の類を持ってないみたいだけど……」
行商人はそう言われてハッとしたような表情になり辺りを見回し始めた。
「あ、あれ……?」
そうして顔色を青くしながらバッと振り返り元来た道を大急ぎで戻っていった。
おれたちも一度顔を見合わせ後を追う。
「に、荷物が……商品が……」
追いついた時に俺たちが見たのは打ちひしがれる様に地面に崩れ落ちた行商人だった。
どうやら襲ってきたゴブリンは俺たちが倒した分だけじゃなかったらしい。おそらく逃げる際に荷物を捨ててきたんだろう。それはもう持ち去られてしまったようだ。絶望したような虚ろな表情を浮かべている。
「その……どこに行こうとしてたんだ?」
「……辺境の街」
「……おれたちも辺境の街に帰るところなんだけど……一緒に行く?」
そういう訳でとりあえずおれ達は即席の彼女の護衛として一緒に辺境の街へ向かうことにしたのだった。
後日の事。
「と、いうわけで。これからよろしくにゃー」
あれから辺境の街についた彼女は、何がどうしてそうなったのかよくわからないが冒険者として活動することにしたらしい。なんでも彼女は行商人になる前は冒険者をやっていたらしく、元青玉等級の盗賊だったとのこと。流石に以前やっていたからといっても特別扱いはされないらしくまた白磁等級スタートらしいが、
『君達の一党には斥候がいないみたいだけど、ウチなんかどうかにゃ?』
と言って経歴を武器におれ達に売り込みをかけてきたのだ。
最初はどうかとも思ったが、斥候がいないのも事実だし、何よりあんなことがあったのを知っている身としては突っぱねるのも憚られて結局受け入れることにしたのだ。
「よろしく。頼りにしてるよ」
行商人改め盗賊商人をおれ達は仲間に加え、新たな冒険に旅立つのだった。
盗賊商人
19歳。キャラクターイメージは『プリンセスコネクト!Re;Dive』のタマキ。
元冒険者。15歳から18歳まで盗賊として活動していたが思うところがあり引退。
以降は行商人として活動していた。
交易神の奇跡は賜っているが実は正式な交易神の神官という訳ではない。
行商人になる際にゲン担ぎに祈ってみたら奇跡を賜り、それから交易神を信仰するようになった程度であり、神官としての立場は特にない。
使える奇跡は3つ。使用回数は日に3回。
・『幸運』の奇跡
使用すると交易神より幸運の加護を得られる。幸運と言っているが何か良い事が起きるわけではない。
TRPG的な表現をするならランダムエンカウントの判定を1度なかったことにできる奇跡。
交易神は旅人と商売の神。対等な商売を貴ぶ神であり、一方的に有利になるような加護をもたらすことはない。あくまで不慮の事故等による不利をもたらさぬことによって対等となるように取り計らうのみである。
・『軽脚』の奇跡
旅人向けの加護。使用すると移動の際のスタミナの消費が軽減され、より長く移動できるようになる。
・『休息』の奇跡
同じく旅人向けの加護。ある一定の範囲にリジェネ効果のフィールドを展開する。その効果は急速に回復するといったものではないが、ただじっとしているだけよりは速く回復する。