ゴブリンスレイヤー ~魂を継ぐ者~   作:ウォルナット

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心せよ。夜明け前がもっとも暗いのだと(マスターシーンⅡ)

 わいわいがやがや。

 あーでもないこーでもない。

 

 常より大盛り上がりの神々の遊技場ですが、最近は輪をかけて浮ついた雰囲気が漂っています。

 

 事の発端となったのは、あの男神でした。

 

 今までじっと(せかい)を眺め続けていただけの彼ですが、なんと今度遊び(ゲーム)に参加することとなったのです。

 といっても、他の神のように骰子(ダイス)を振り、駒を動かすといった形ではないのですが。

 

 ある時ふと思い立ったように何かを差し出してきたかの男神。

 何かと思って受け取ってみると、それは一つの物語(シナリオ)だったのです。

 

 なるほど、こんなふうに関わってくるつもりか。

 

 神々はそんなふうに思いながら物語(シナリオ)を検めてみると、さあ大変。

 なんと大冒険(キャンペーン)と呼ぶに相応しいものだったのです。それも勇者案件(ヒーローズクロニクル)に分類すべきレベルの。

 

 神々は悩みました。しかしやらないという選択肢はありませんでした。

 せっかく彼が用意してくれたものを無碍にはしたくないという思いは当然ありましたが、それ以上に大冒険(キャンペーン)を遊ぶ機会を逃したくないという思いでした。

 

 とは言えども、です。

 こういったものには相応の準備が必要なのです。

 

 相応しき時に、相応しき場所で。もちろんそこに至るまでの背景設定(バックストーリー)も忘れずに。

 

 そんなこんなで神々はその物語(シナリオ)を遊ぶために、あーだこーだと議論をしながら準備を進めていたのでした。

 気分はさながら前夜祭といったところでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チラリ。とある神が男神の様子を伺います。

 その一柱は次の遊び(ゲーム)進行役(ゲームマスター)をすることになっている神でした。

 今回の騒動の発端となった物語(シナリオ)を受け取ったのもその神でした。彼から古びた本を受け取り、サプリメントとして追加をしたのも。

 ある意味ではもっとも彼と付き合いのある神といっていいでしょう。五十歩百歩かもしれませんが。

 

 男神は、物語(シナリオ)を渡した後は再び元の状態へと戻ってしまいました。

 何を考えているのかわからない茫洋とした瞳で、じっと(せかい)を眺め続けています。

 しかしその瞳の奥底には、何かを期待するような炎が灯っているように見えました。

 仄暗い炎。しかし愉悦と称するには必死過ぎる。まるで懇願するかのような……

 

 

 そこまで考えて、首を振りました。

 彼が何を考えているのか、それはわかりませんし、問いただす気もありません。

 

 今回の事を彼も楽しんでくれたらいいな。

 

 ただそう思うことにしました。

 神といえども万能ではなく。《宿命》や《偶然》には逆らえず。

 世界がどうなるかなど、わかろうはずもないのですから。

 

 

 

 そこまで考えると辺りを見回しました。

 そして他の神々があーでもないこーでもないと話をしていてこちらを見ていないことを確認すると、大冒険(キャンペーン)物語(シナリオ)の重要なポジションにお気に入りの駒が配置されることを願って、その駒をサッと動かしたのでした。

 

 

 

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