中学生でも冒険者になれるって本当ですか?   作:猫の手

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お久しぶりです。

ちょっと仕事が忙しくなったので更新をサボてました。

ただ、まだ忙しいので、更新は不定期になりそうです。



11話:初心者狩りは春の風物詩

 

 初心者狩り、冒険者殺し、キンスレイヤー、呼び名は様々あるが春に非常に多く発生する犯罪者の通称である

 

 春は1年のうちで最も多く冒険者が誕生する

 

 理由は単純で年度の始まり、進学、それを機ととらえ冒険者を志す人間が多いからだ。

 

 そして、初心者は暴力とは馴染みが薄いものが多い。

 

 とっさに自分の身を守る行動ができず、それが致命傷になるケースが多々発生する。

 

 良いカードを持っていても使い手が案山子ではどうしようもない。

 

 長年にわたりこれを狙うベテランのハイエナは冒険者ギルド、警察などから徹底的につぶされているのだが、しぶとく生き残っているものもいる。

 

 また、ハイエナはベテランだけではない、冒険者になり気が大きくなった愚か者が犯罪に手を染めるケースがある。

 

 理由は様々、小遣い欲しさ、少し腹が立ったから、ヤりたくなったからなどなどだ。

 

 冒険者ギルドでも頭を痛めている課題であり、毎年のように注意喚起を流していた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆2への昇格のための資金稼ぎのため、トラは階層が深く比較的人気のない青山通り禍の記録の探索をしていた。

 

 ブラックヴォルガに乗れば短時間での移動が可能となるため、平日であっても10階層程度のダンジョンの踏破は可能なのだ。

 

 トラは基本的に9階層まではブラックヴォルガで踏破し、残りの階層は訓練がてら徒歩で踏破している。

 

 2週間ほど繰り返したローテーション、もう少しで銭霊とさくぞうすのランクアップが見えてくる。

 

 そうなれば☆2への昇格試験だ。

 

 ブラックヴォルガのひき逃げアタックでモンスターを轢き殺しながら、トラはつらつらと今後の予定を考えていた。

 

 最初のころは悲鳴を上げていた銭霊も最近は悲鳴を上げることが少なくなった。慣れとは偉大である。

 

「銭霊、この階層のガッカリ箱はないのかな?」

 

「せやな。まぁそもそも、そうあるもんでもないしな。次の会言ってもええんやないかな?」

 

 トラの問いに答える銭霊、<ランド・フィッシング>は非常に便利なスキルだ。

 

 これがあるだけでも、ダンジョンの探索能力に雲泥の差が出る。

 

 ただ、ブラックヴォルガのひき逃げアタックだけで終わってしまうので多少、暇なのが問題なのだが……

 

「あー、ちょっと楽すぎて、堕落しそうだな……」

 

「せやろなぁ、マスターはんはブラックヴォルガに乗っとるだけやしなぁ。効率ええんやけど」

 

 恨めしそうな銭霊の言葉を聞き流しつつ、ノートにダンジョンの情報を記載していく。

 

 <ランド・フィッシング>で収集したガッカリ箱の情報は後日の探索の役に立つし、別のダンジョンを潜っている真那と情報交換に使ってもよい。

 

 ダンジョンの情報の整理と記述はできるときにやっていた方が良い。

 

 普通はメモ書き程度で探索が終わってからノートにまとめるのだけど、ブラックヴォルガに乗っている以上そういう作業もやりやすいのだ。

 

 トラは机に並べた銭霊とブラックヴォルガのカードを確認する

 

 

種族:銭霊

戦闘力:110(MAX)

【先天技能】

 金は湧き物:思いがけずに金目の物を手に入れる技能。金運がプラス補正される。(ダンジョンで宝箱を発見率、アイテムのドロップ率、品質などがに影響)

 付喪神(銭):初等クラスの装備化スキル。他のカード、あるいはマスターへと憑依することで、自身の戦闘力の四分の一を加算させることができる(マスターへの装備化の場合はすべての戦闘力とスキルを共有できる) 

 

【後天技能】

・マルチタスク:複数の複数を同時に処理できる。複数の行動を同時に行うときにペナルティが発生しない

・ランド・フィッシング:人の手の入ることのない場所に赴き、遺された財宝を探す技能。同一階層にある宝物の位置が分かる

・鑑定眼:アイテムの良し悪しを見定める技能。ドロップアイテムやオーブなどの大雑把な性能が分かる

・ジャックイン:電子機器を自分の体の一部として自在に操る。使用している機械は機械破壊の影響を受けない

・初等回復魔法:

・初等補助魔法:

・低級収納:

 

 

種族:ブラックヴォルガ

戦闘力:160(MAX)

【先天技能】

・無人で走る車:ドライバーを必要としない。車内は異空間となっており車の中とは思えない広々とした空間が広がっている。

・人攫い:子供を攫う呪われた車という伝承を持つ。半径10m以内にいる対象を車内へ移動させる。

 

【後天技能】

・体当たり:体当たりで敵を跳ね飛ばす。ノックバックの追加効果

・シルバーゴースト:走行時のロードノイズを抑えるスキル。音を消して行動することが可能。(無音行動、気配遮断を内包)

・虚ろな心:

・ドライビングテクニック:卓越した運転の技量を持つ。曲芸の様な運転が可能。特定行動にプラス補正

・奇襲:

 

 

 Eランクのカードなだけあって上限も低い。とはいえ、鍛えていないDランク程度の能力を持っているため、十分な能力値といえる

 

 銭霊が魔法を使えるようにしたのは意図的で基本的にトラが装備をして使用するカードのため、サポートができると便利とオーブを入手するたびに詰め込んでみたのだ。

 

 あと少し資産がたまれば、銭霊とさくぞうすをランクアップさせる予定だ。

 

 やまらのおろちは不人気カードということもあり、あっさり見つかったそうだ。

 

 買うのはよほど覚悟を決めたガチ勢か、ネタに走る連中ぐらいらしいので大量に余っているそうだ。

 

 不良在庫として蓄えられるCランクのカード――やまらのおろち、まぁ確かに使いたくはないだろう。色んな意味で尊厳が消え去ってしまう。

 

 ちなみにやまらのおろちのランクアップ先の一つはマーラ様である。これもジャパニーズエロゲモンスターと違うのだが同類項として扱われ外見の奴がいる

 

 ジャパニーズエロゲモンスターのような外見のマーラ様だけは不人気で捨て値で販売されているらしい。

 

 強いカードであるだけに捨てるに捨てられない塩漬けしてしまうカードの一枚としても有名である。ちなみにトラはそちらも探している。

 

「ブラックヴォルガ、二階層に向かってくれ」

 

「諾」

 

 平日だけにあまり事案があるわけではない。さっさとダンジョンの探索を進めるための指示を―――

 

 突如けたたましいアラーム音が鳴り響く。自分の音を聞け、そして反応しろと言わんばかりの轟音がブラックヴォルガの車内に響き渡った。

 

 爺さんから口酸っぱく教えられたアラーム音―――冒険者ギルドからの救助要請だ。

 

 トラは左耳を抑え、激しい音で自己主張をしている冒険者ライセンスを取り出し、アラームをとめ内容を確認する。

 

 場所は青山通り51ダンジョン、3階層。現在トラが探索をしているダンジョンである。

 

 救助要請を受諾。カードたちに指示を出す。

 

「銭霊、カードに戻すぞ。ブラックヴォルガ3階へ移動する。音を立てないように気を付けてくれ」

 

「了解や。手じまいも完了したから構わないで」

 

「諾」

 

 また、株取引をしていたらしい銭霊に呆れつつもカードに戻し、蓑草鞋を召喚。

 

 急に呼ばれた蓑草鞋は驚いた表情でトラを見るがその真剣な雰囲気に黙り、トラの指示を待つ

 

「蓑草鞋、他の冒険者から救援要請が出た。ただし、階層が浅いから初心者狩りの可能性がある。ブラックヴォルガに装備化スキルを使用してくれ」

 

「分かり、ました。」

 

 蓑草鞋はマスターに対しては装備化スキルを使えないがモンスターであれば可能である。

 

 ギリギリマイナススキルに引っかからない条件の命令、少し不安そうな表情を浮かべながら蓑草鞋はブラックヴォルガに装備スキルを使用。

 

 まるでカモスーツのように蓑がブラックヴォルガの車体を覆う。

 

 スキルを共有はできないが少しでも戦闘力を上げて置いた方が良いだろう。

 

 そして、<蓑の妖>の透明化、<草鞋の妖>能力は蓑草鞋自身が使用すればある一定の範囲に作用するため無駄にはならないのだ。

 

 

【種族】蓑草鞋

【戦闘力】300(130UP!)

【先天技能】

・蓑の妖:蓑は古来より身を隠す力があるとされていた(気配遮断、透明化、無音行動を内包)

・草鞋の妖:草鞋は古来より妖怪を退ける呪物として扱われていた。モンスターとの遭遇率を低下させる。

・付喪神(蓑):初等クラスの装備化スキル。他のカード、あるいはマスターへと憑依することで、自身の戦闘力の四分の一を加算させることができる(マスターへの装備化の場合はすべての戦闘力とスキルを共有できる)。

 

【先天技能】

・猟師:中世の農民たちは害獣駆除するための農具として鉄砲を使用していた。特定行動時、行動にプラス補正。(トラッキング、罠設置・解除、砲術、索敵を内包)

・落ち武者狩り:戦国時代の農民は逃げる落ち武者を狩っていた。奇襲スキルを内包。特定行動時、攻撃力にプラス補正

・天真爛漫:飾らずに喜怒哀楽を表す。その在り方を縛ることは誰にもできない。命令に対する行動にプラス補正。状態異常、拘束系スキルに対して耐性を持つ

・疑心暗鬼:マスターを本当に信じてよいのか疑っている。命令に対する行動にマイナス補正。

・虚偽察知:

 

 

 実際のところ、トラが装備をするよりもブラックヴォルガに装備させた方が有用なケースも想定される。

 

 最近は無理にマスターが装備できるように持っていかなくてもいいのではないかとトラは考えていた。

 

 金策の問題で現在は銭霊を外すことはできないが、☆2になれば戦術の見直しも必要かと考えた。

 

 3階層の地図をテーブルに広げる―――深い階層ではなく浅い階層での救援要請、モンスターであればよいがそうでない可能性も高い。

 

 ブラックヴォルガの中でトラは救援方法のシュミレーションし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冒険者達が探索をする際によく使われる階段から階段までの最短のルートが存在する。

 

 ブラックヴォルガの機動力を使えるトラはあまり使用しないが、徒歩で冒険をする冒険者は最短ルートを使用して下層へと降りて時間の短縮を図る。

 

 まずはそこを中心に探索をして、調査を開始することにした。

 

「蓑草鞋、索敵を頼むよ。違和感を見つけたら報告してくれ」

 

「分かりました。―――急ぎます。」

 

 蓑草鞋は不安げな表情を浮かべている。蓑草鞋には移動の間に対人戦になる可能性を告げていた。

 

 ダンジョンで犯罪者に襲われるのは蓑草鞋の傷にも触れる話題、不安を覚えるのも仕方ないだろう。

 

 トラの兄から守ってくれた仲間のモンスターのように犯罪者に追われている人を助けたいと蓑草鞋は考えていた。

 

 蓑草鞋は<猟師>スキルに内臓されたトラッキング、索敵を使用し足跡を調査する。

 

 新しい足跡が最短ルートより脇道へ伸びている。それをマスターであるトラに告げる。

 

「あっちの道に新しい足跡が続いています。……近くまで移動してください」

 

「分かった。ブラックヴォルガ移動を脇の道から見えない場所に止まってくれ」

 

 ブラックヴォルガはトラの指示に何も言わず移動し、指示通り脇の道から見えない場所に停める。

 

 蓑草鞋は耳を澄ませる。遠くで聞こえる男女の怒鳴り声―――まだ戦闘をしているようだ。

 

「―――…この道から、言い争いと戦闘をしているような音が聞こえます。」

 

「分かった。ありがとう蓑草鞋。ブラックヴォルガ音をたてないように移動してくれ」

 

「諾」

 

 トラの命令に端的にブラックヴォルガが答え、脇の道をゆっくりと移動した。

 

 双眼鏡を取り出し、脇道の奥を確認しながら進む。少し進むと遠くに奥の壁の方に追い詰められた女性とそれを守る鬼のような角の生えた勇ましい女の子モンスター、恐らく女鬼といったところか。

 

 女性は気丈にも敵対する相手を睨みつけていた。

 

 男は2体の女の子モンスターに対し命令を下し、女性のモンスターとやりあっていた。

 

 男が召喚しているのは二体ともはDランクの女の子モンスターのようだ。

 

 一人はおそらく"ハンツ=テテク"マレーシアの伝承で胸のお化けと言われているモンスターだ。

 

 特徴的過ぎる外見故に有名なモンスターで非常に高値で売買されている。どうやって入手したのか気になる一枚だ。

 

 そしてもう1体のモンスターは非常にかわいらしいモンスターだ。いくつか候補は思い浮かぶが名前がわからないモンスターだ。

 

 とはいえ、こちらに気が付いておらず、相手側の反撃を恐れているのか男は大分距離を取って指示を出していた。

 

 チャンスである。

 

「ブラックヴォルガ、今のまま隠れるスキルを維持して男に攻撃をしろ。ああ、攻撃はタイヤに巻き込んですりつぶすようにしてくれ。」

 

 可能であればマスターからのダメージのフィードバックのみで片づけたい。

 

「諾」

 

「蓑草鞋、あの女性を助けるから指示は忠実に守ってくれ。俺の命令後に装備化を解いてハンツ=テテクを抑えに行ってくれ。もう片方はさくぞうすに抑えさせる」

 

 その命令を聞いた蓑草鞋は不思議そうな視線を浮かべる―――何故マスターを抑えないのかと

 

 その蓑草鞋の言葉を知ってか知らずかトラは発言を続けた。

 

「オレがヤツと交渉をする。モンスターは倒しても構わないんだけどできれば、あの女性の慰謝料に確保しておきたい。」

 

 そのトラの言葉を聞き、蓑草鞋は納得した。"疑心暗鬼"は相変わらず不機嫌そうにしているが何も言わない。反論する要素がないのだろう。

 

 急発進をしたブラックヴォルガ、そのスキルゆえに音はなくマスターの男に襲い掛かり体をタイヤに巻き込んで高速回転をさせる。

 

 マスターはバリアで保護をされている。マスター側にダメージが入ることはない。

 

 故にタイヤには血しぶきも嫌な音も聞こえないが、その分のダメージを男の召喚したモンスターたちは受けていた。

 

 全身から血液が噴出し、明らかに致命傷といえるダメージが刻まれる。

 

 想定外の不意打ち故に対策をとることもできず、女鬼――女性のマスターのモンスター――から必死になり距離を取り、自分のマスターの元へ向かおうとする。

 

 そんな行動をとらが許すはずもない。

 

 トラはブラックヴォルガを送還し、新たにさくぞうすを召喚。ブラックヴォルガが送還されたため自動的に蓑草鞋の装備化能力が解除される。

 

「さくぞうす、蓑草鞋迎え撃て」

 

「応よ。任せろマスター。」「はい!!」

 

 トラの言葉にさくぞうすと蓑草鞋は答える。どうにかマスターに近寄ろうとするモンスターたちも邪魔が入れば身動きが取れない。

 

 特に女の子モンスターにとってさくぞうすは致命的だ。

 

 女の子モンスターであればに同ランクの女の子モンスターでは相手にならず、Cランクのモンスターにも食らいつくことができる破格の能力を持つ

 

 カードのモンスターの方は、これでどうにかなるだろう。

 

 そう指示をするとタイヤに巻き込まれ地面にたたきつけられていた男にトラは近づいていく。

 

 男は混乱しながらも事態を把握し始めたのか。なんで自分がこんな目に合うんだといわんばかりの表情を浮かべていた。

 

 チャラい恰好をしているが、あまり鍛えられていない骸骨のような体格をした男はトラに気が付き喚こうと―――のこぎりのような刃が頭をから竹割に割られた。

 

 否、バリアーのおかげで男がダメージを受けることはない。

 

 だが、彼が召喚したモンスターに対し軽くはないダメージを与える。

 

 トラは男――推定犯罪冒険者に対し、冷酷に最終通告を行う。

 

「降伏するか、切り殺されるか選べ。犯罪をする冒険者を殺したところでオレが罰せられることはねぇしな」

 

 その言葉に男は動揺し、自分を襲う理不尽であるトラに叫び声をあげる。

 

「テ、テメエ!!狂っているのかよ!!!!」

 

 トラは返事をせず男の首を跳ね飛ばす。――無論バリアーでダメージは入らないのだが

 

「お前は後何回死ねるんだろうな?バリアーが残っているうちに決めろ。」

 

 一方的な通告。推定犯罪冒険者は悟った。こいつは自分を殺すことにためらいを持っていないと―――冗談抜きで殺されてしまう。

 

 隙を、逃げるための隙を作らなければならない。故に男は――

 

「わ、分かった。降参する。降参するからやめてくれ!!」

 

 推定犯罪冒険者の言葉を聞いたトラは袈裟刈りに切り裂く―――まだ、バリアーが残っているのかダメージは入らない。

 

 自分は降参するといったのになぜだと推定犯罪者は混乱の極みに達した。

 

 そんな様子を見たトラはつまらなさそうに告げる

 

「降参するならモンスターを送還しろ、カードを含む持ち物を全て捨てろ。俺の召喚したモンスターは虚偽察知を持っている。嘘をつけば降伏は認めない」

 

 虚偽察知という言葉を聞いた男は混乱の極みに達した。今この瞬間を生き延びるために大慌てでモンスターを送還し、カード、リュック財布すべてを目の前に投げ捨てた。

 

「全部、す、捨てた!!だから!!!」

 

 男から視線を外すことはなく蓑草鞋にトラは問いかける。

 

「蓑草鞋、あいつの言っていることは事実か?」

 

「ん――嘘は言っていません。」

 

 ありがとと蓑草鞋をねぎらうとさくぞうすに指示を出す。

 

「さくぞうす縛り上げてくれ。今日は引き上げて冒険者ギルドに連れて行くよ。蓑草鞋は奴の持ち物を集めて置いておいてくれ」

 

 男が捨てたカードを拾いみる。"ハンツ=テテク"、"川姫"とEランクのブラウニーが1枚だった。

 

 Dランクの2枚はどちらも男性に人気のあるモンスターで非常に高価だ。男の非常に若い。恐らくは親から買ってもらったのだろう。

 

 こんなのがあるのであれば真面目に冒険者をしても設けられただろうに……トラはあきれてしまった。

 

 そして、襲われていた女性の方を見る。少し怯えた表情でトラを見る女性―――大学生ぐらいだろうか。かなり美人で男から襲われた理由もなんとなく推測が付いてしまう。

 

 警戒を解かせるために武器を仕舞う。それで少し安心したのかほっとした表情を浮かべた。

 

「大丈夫ですか?お姉さん」

 

「あ、うん……大分痛手は受けたけど無事よ。ありがとう助かったわ。私は魚みのり、君の名前を教えてもらえない?」

 

 女性は安堵の息を吐く。犯罪者に襲われたというのに気丈な女性だなとトラは思った。

 

 そういえばと、名前を言い損ねたことに気が付き、女性に話す。

 

「俺は歌川景虎。コイツをギルドに連れて行こうと思うんですが、同行して事情を説明をしてもらえませんか?」

 

「ええ、もちろんよ。アイツには檻に入ってもらいたいし」

 

 トラとみのりの言葉を聞いた推定犯罪者は絶望的な表情を浮かべた。どうにか逃げようとあがくが、さくぞうすに縛り上げられてはそんなこともかなわない。

 

 さるぐつわをされているので言葉を話すこともできない。

 

 トラはみのりに手を差し出す。差し出された手をみのりは掴み立ち上がる。

 

「ありがと」

 

 そういって、トラの手を取り、みのりは立ちあがる。

 

 恐怖はあるのだろうが、それを表に出すことはないみのりの気丈さにトラは感心した。

 

 そして、みのりはさくぞうすの手でミノムシになった推定犯罪者を見て般若の表情に変わった。怒りではらわたが煮えくり変えているのだろう。なまじ美人なだけにその表情は恐ろしい。

 

「あいつ蹴っ飛ばしていい?」

 

 トラはみのりの言葉に少し考える。袋にアイテムをまとめて入れている蓑草鞋の方へ向かってこう返事をした。

 

「俺は帰り支度に忙しいので」

 

 そういうとさくぞうすを労い送還し、ブラックヴォルガを召喚し荷物を中へと輸送する。

 

 みのりはトラの意図を汲んだのだろう。そのまま推定犯罪者のところに向かうと一発ロープで簀巻きにされた腹に蹴りを。

 

 推定犯罪者のうめき声を聞こえないふりをして、ブラックヴォルガに室内に送るよう指示を出した。

 

 推定犯罪者が消える様子を見て目を丸くするみのり。そんなみのりにトラは言う。

 

「帰りはブラックヴォルガに乗って移動しますんで室内に送り込みますね。」

 

「へー、そういうスキルなんだ。便利そうね、お願いするわ。」

 

 そういって、ブラックヴォルガに乗せると、地上へと走り出した。

 





モブ校生のリンクのについて書かれた文章をみて、これ凄く悪用できそうだなぁと思いました。特に対人戦。
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