中学生でも冒険者になれるって本当ですか?   作:猫の手

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個人的にはだいぶ雑にまとめてしまったなぁと感じています。

ただ、ここでこうしないと話が長くなってしまうのですよねぇ……


14話:☆2ランクアップ試験 ここは鷹の住処である①

 

 週末の土曜日。いつも通りより早く起き、早めに鍛錬を行う。

 

 何故か同じ時間に鍛錬をした真那と眠そうな爺さんと朝食を済ませ、ダンジョンに向かう。

 

 今日は☆2への試験を初挑戦する日だ。

 

 可能であれば土日で踏破したいとトラは考えていた。

 

 試験会場となるダンジョンはE12ダンジョン。通称逆さしまなる武家屋敷だ。

 

 試験期間は1ヶ月。その間にここをクリアーすること、それが☆2への昇格条件となる。

 

 ダンジョンに降り立ったトラは逆さしまなる武家屋敷の所以たる上下が逆さになった天井を踏み締める。

 

 召喚数は4体。 蓑草鞋、銭霊、苧うに、さくぞうすを召喚。

 

 4体召喚したということ、いつもとは違いトラの空気に4体とも口を紡ぐ。

 

 ランクアップを行い、ダンジョンを踏破する。だがそれと同時にやらなければならないことがある。

 

 名づけだ。

 

 ランクアップをするということは己の主力として使用する。それをトラも覚悟を決める必要がある

 

 故に名づけをしなければならない。

 

 ゆっくりと自分に召喚したカードたちに言い聞かせるように説明を開始する。

 

「さて、気が付いていると思うけど、俺達はこれからEランクの迷宮に挑む。」

 

 改まった物言いをするトラに皆が視線を向ける。冗談や悪ふざけもない。―――ただ一人、蓑草鞋のみが不安そうにトラを見つめていた。

 

 そんな蓑草鞋を見て少し困り、それをごまかすために頬をかき、言葉を続ける。

 

 蓑草鞋の不安は分かるがいつかは通らなければならない道だ。

 

 まだまだ、言葉を尽くせたとは思わない。蓑草鞋は、彼女は受け入れてくれるだろうか

 

 自分勝手だが、足踏みをしたくない。走れるところまで走りぬきたい。

 

 己の渇き、焦りを自覚するがそれを自覚し、踏破する。若さゆえの無謀、走り切れば誉となるだろう。

 

「踏破するためには戦力アップが必要だ。この場でランクアップをしようと思う。そして、一緒に名づけもするつもりだ。」

 

 その言葉に蓑草鞋の表情がさらに強張る。

 

 トラは今までの蓑草鞋との冒険に思いを馳せる。伝える言葉を間違えれば致命傷、故に慎重に言葉を願いを選び伝える。

 

 思いが伝わりますように―――そう願う。

 

 トラは膝をつくと強張る蓑草鞋の手を握る。蓑草鞋と視線を合わせる――少しでも思いが伝わるように願いながら

 

「一緒に冒険をしてほしい。蓑草鞋の力が必要なんだ。」

 

 不安と期待を願いを込めた目で告げられるトラの言葉。

 

 ぽろぽろと涙を流す蓑草鞋――…それは蓑草鞋が求めていた言葉だったから、疑心暗鬼の言葉すら今は遠く聞こえる。

 

 ――…蓑草鞋は性欲を満たす道具ではない。マスターと共に戦うためにいるのだ。

 

 剣として、鎧として、そうでなければ何のためにカードとして在るのだろうか

 

 "力が必要だ"それは蓑草鞋が一番欲した言葉である。

 

 蓑草鞋はトラを見つめ返し、小さく頷き、口を開く。

 

「分かりました、マスター。信じるとは約束できないけど―――貴方を最後にします。だから、名前をください。」

 

 名づけをするということは他のもしかしたらいたかもしれないもっと良いマスターに出会う可能性を潰すということだ。

 

 蓑草鞋の言葉を聞いたトラはやらかしたことを悟った。

 

 とはいえ、このまままっすぐ歩き続けるしかない。早速道に躓きそうになっているけど

 

 本当に大事に扱わないといけないなぁと

 

「蓑草鞋、君にはククリって名前を日本神話の神様にあやかった名前だ。」

 

 そういって、トラが立ち上がると蓑草鞋――ククリは嬉しそうに自分の名前を呟いた。

 

「ククリかぁ……」

 

 色んな意味でトラが自分のやらかしに気が付くのは後日である。

 

 蓑草鞋―――ククリのからさくぞうすの前へと移動する。蓑草鞋は色々と重かった。

 

 そんな様子のトラにさくぞうすは揶揄するように笑いながら、次は自分の番かと問いかける。

 

「よぅ、まぁ、仕方ねぇか。んで、次は俺の番か?」

 

 からかおうと考えたさくぞうすだが飲み込む。今、トラをからかえば色んな意味でヒエラルキーが最底辺まで落ちる。そんな予感を覚えた。

 

 後ろでにらみを利かせている苧うに。かなりやばい予感を感じさせた。

 

 そんなさくぞうすの様子を知ってか知らずか。手に取ったやまらのおろちのカードを見せながらさくぞうすの問いに答える

 

「ああ、さくぞうす――いや、狂雲。お前さんがエースだ今後とも期待しているよ。」

 

 ジャパニーズエロゲモンスターの代表格。分かっていたことだが、トラのブレーキは壊れているらしい。

 

 さくぞうすはカードを受け取るとランクアップを果たす。

 

 一瞬、そう一瞬だけ、巨大なャパニーズエロゲモンスターの雄々しくも禍々しい巨体が現れたと思うと、すぐさま元のぼろぼろの法衣をまとった人の姿に戻った。

 

 

【種族】やまらのおろち

【戦闘力】640(変化の術使用時:540)

【先天技能】

・多頭の龍:高い再生力、物理攻撃及び魔法攻撃に対する耐性、巨体に相応しい剛力を誇る。また、複数の敵と戦う時にプラス補正

・粘液のブレス:白い液体のブレスを吐く。高威力の攻撃とともに状態異常を与える。更に攻撃を受けた女の子モンスターの戦闘力に大幅なマイナス補正

・八つの酒瓶:眷属であるいやだひめを召喚。一日8回、一体のみ。

 

【後天技能】

・女の敵+女殺し ⇒ 第六天の歩み:女の子モンスターと戦うとき戦闘力を2倍にする。状態異常に対し強い耐性、女の子モンスターの耐性を貫通する。

・変化:人に化ける能力を持つ。戦闘力 ―100

・中等忍術:

・物理強化:

・耐性貫通:

・杖術:杖に特化した戦闘技能。特定行動時、行動にプラス補正。

・賢者の時間 ⇒ 我執:"我思う、故に我あり"我に執着し肯定する心。個の確立。精神異常無効、思考能力の大幅な向上。

 

 

「名付けにより俺というモンスターは狂雲となった。これからもよろしく頼むぜ。トラ」

 

 カードの能力を見て、呆れた表情を浮かべるトラ。やまらのおろちはそういうカードと聞いていたが、これでは女の子モンスターの天敵である。

 

 モンコロでは間違いなく使用禁止になりかねないカードだ。

 

 破戒僧の名前をつけたのが悪かったのか、想定以上にらしくなってしまった。

 

 とはいえ、それでよい。我の強さ、欲望の肯定は強さにつながる。その在り方は引いていしてよいものではない。

 

「おう、期待しているぞ」

 

 そう、狂雲に返すと次は銭霊に視線を向ける。

 

 銭霊は待ちきれないのだろう。銭でできた体の全身を揺すっている。表情は分かりにくいが、今か今かと待ちわびているように感じられた。

 

 銭霊は期待と焦りの混じった声でトラに話しかける

 

「マスターはん、わいはわいはどーなるんや!!」

 

 興奮した様子の銭霊に苦笑しつつトラはカードを一枚とって話しかける。

 

「お前さんは予定通り金霊へのランクアップだ。期待しているぜ。山吹」

 

 最初は越後屋とか考えていたのだが、あまりにもネタに走りすぎているため、山吹に代えた。まぁ響きは悪くない。

 

 そういうと、金霊にカードを渡す。銭霊―――山吹はそれを受け取るとランクアップを果たす。

 

 金色に輝く銭の霊。これが金霊の姿である。金ぴかになっただけで外見はあまり変わっていない。

 

 金ぴかになっただけかと、トラは内心失礼なことを考えていた。

 

 とはいえEランクからDランクのランクアップは銭霊だった山吹にとってもこれ以上ない喜びだったようだ。

 

 金霊――山吹は自信たっぷりに口上を述べる。

 

「金霊、山吹や。コンゴトモヨロシクな。―――って山吹ってなんやねん。」

 

 じゃらじゃらと銭の体を流しながら喜びを全身で表――――ふと我に返りトラに突っ込みを入れる。

 

 そんな山吹の突っ込みに対し苦笑を浮かべながらこう答える。

 

「似合っているだろ?」

 

 そういわれると自分でも似合っていると思ったのかブツブツと文句を言いながらも、文句を言う口は止まった。

 

 

【種族】金霊

戦闘力:185

【先天技能】

 富貴在天:訪れた家に服を与える。金運に大幅にプラス補正。(ダンジョンで宝箱を発見率、アイテムのドロップ率、品質などがに影響)

 付喪神(金):初等クラスの装備化スキル。他のカード、あるいはマスターへと憑依することで、自身の戦闘力の四分の一を加算させることができる(マスターへの装備化の場合はすべての戦闘力とスキルを共有できる) 

 中等状態異常魔法:

 

【後天技能】

・精密動作:

・生還の心得:

・マルチタスク:複数の複数を同時に処理できる。複数の行動を同時に行うときにペナルティが発生しない

・ランド・フィッシング:人の手の入ることのない場所に赴き、遺された財宝を探す技能。同一階層にある宝物の位置が分かる

・鑑定眼:アイテムの良し悪しを見定める技能。ドロップアイテムやオーブなどの大雑把な性能が分かる

・ジャックイン:電子機器を自分の体の一部として自在に操る。使用している機械は機械破壊の影響を受けない

・初等回復魔法:

・低級収納:

 

 

 カードに記された能力を見てほっと安堵の息を吐く。

 

 山吹の能力は戦力拡充するためのキーカードである。想定外の成長をしてスキルを失うことは避けたかった。

 

 うまくスキルを引き継げたことに安堵した。これができなければ別の対策を考える必要があっただろう……

 

 狂雲の想定外はうれしいが、山吹についてはその限りではない。Cランクのランクアップ先も慎重に選ぶ必要があるだろう。

 

 爺さんや羽木――先日コネクションを得たばかりだが――に相談するべきかもしれない。

 

 慎重な計画性の元ランクアップをさせなければならない。手間のかかるカードと言えた。

 

 トラは苧うにに視線を向ける。ランクアップ先は川姫だ。

 

 苧うにと川姫は別々に運用することも考えたがスキルが似た部分が多く、分けて運用する意味があまりないと考えた。

 

 そうであれば、ランクアップに使用した方が良いだろう。 

 

「マスター、うちの分のカードも入手できたんやなぁ」

 

 当分時間がかかるといわれた手前、早く手に入ったことに苧うにも驚きが隠せなかった。

 

 そんな苧うにの言葉に苦笑いをしながらトラは答える

 

「貰いもんだよ。運が良かったんだ。探していたカードとは違うけどこちらも方向性としては悪くないしね。」

 

 まぁ、偶然なのだが、本当に。

 

 川姫とは民間伝承で伝わる妖怪である。水車の影にたちその姿に魅入られたものの精気を抜いて殺すとも

 

 機織淵に住まい機織りをしているとも言われる妖怪である。

 

 見目麗しいが、それに騙されれば死ぬという伝承を持っている。

 

 機織りに関する伝承があるゆえに苧うにのランクアップ先としては悪くない。

 

 トラは苧うににカードを差し出す。

 

「じゃぁ、苧うに、君はあやめだ。これからもよろしく頼むよ。」

 

 苧うには自分の名前を聞くと、満足したかのように頷き、川姫のカードを受け取る。

 

「あやめか、悪くはないな。これからもあんじょうよろしゅうな。」

 

 そういうと苧うに―――あやめはカードを受け取るとランクアップを果たす。

 

 川姫はその美しさで知られる妖怪だ。苧うにの印象はそのままに、今までよりはるかに磨きのかかった美貌―――トラですら見惚れたぐらいである。

 

 トラははっと我に返り、咳ばらいをしてあやめのカードの能力を確認する。

 

 

【種族】川姫

【戦闘力】240

【先天技能】

・機織淵:淵の底の機を織る乙女の住まい、機織り場の異空間を所持。水底には機織りに必要な素材が沈んでいる。

・誘う妖:その美しさで敵対する相手を魅了し精気を奪う。生命力やスキルの使用回数を奪い回復する。

・糸切り刀:糸を切らせることで刀の切れ味を無くす。敵対者の戦闘力にマイナス修正

 

【後天技能】

・織部司(精密動作、糸紡ぎ、高速作業、針仕事、機織など裁縫にかかわる技能を内包)

・針仕事:裁縫に関するスキル。特定行動時、行動にプラス補正。

・中等回復魔法:

 

 

 異空間とサポート系の能力、あとは機織りとしての生産系の能力が良い感じに強化されている。

 

 可能であればオーブを入手して魔法などを得てもらえれば戦術の幅が増えるだろう。

 

 今まではサブ程度に考えていたが、今後は主力としても十分に使えそうな能力に強化された。

 

 早めに出発したとはいえ、あまり時間を食うのは得策ではない。そろそろ移動をするべきだろう。

 

 狂雲をカードに戻し、新たにブラックヴォルガを召喚する。

 

「ブラックヴォルガ――いや、山羽。今日も頼む。Fランクモンスターが出ている間はお前さんに乗って踏破をする予定だ。」

 

 トラの言葉を聞いたブラックヴォルガ――山羽はいつも通り「是」と返す。

 

 ククリに山羽に対し装備化のスキルの使用を命じると、山吹、あやめと乗り込むとダンジョンの探索へと乗り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ククリが罠を探し、山吹がガッカリ箱を探し、それらの情報をもとに山羽がダンジョンを踏破する。

 

 装備化スキルで強化された山吹のステータスはDランクに到達している。

 

 Fランクのモンスターなど歯牙にもかけず踏みつぶしていく。

 

 トラの目論見としてはFランクの階層はなるべく短時間で処理し、残りの階層を徒歩で踏破することを予定している。

 

 運が良いのか。そこまで難易度の高い罠はなく。順調に進んでいった

 

 やがて、11階層の階段にたどり着いた。山羽を止めて、ダンジョンに降りる。

 

「ありがとう。山羽。ここから先は歩いていく」

 

 ここまで踏破をした山羽をねぎらい、カードを戻す。そして、狂雲を召喚。

 

 召喚された狂雲は待ちわびたという表情を浮かべていた。

 

 体が凝っていたのかあちこちの骨をボキボキと鳴らしながら、11階層への入り口に視線を向ける。

 

 荒法師といった感じのぼろぼろの法衣に身をまとった姿があいまって武者修行をしている武芸者という雰囲気を醸し出していた。

 

「―――ようやくか。待ちわびたぜ。ランクアップした能力がどれほどか試してみたくてな。」

 

 自分の性能を確認するのは大切なことではあるが、力を持て余しているのだろう。慣れるまでに時間がかかりそうだ。

 

 ボス戦までの慣らしというよりも、まぁ、ガス抜きが必要だろう。

 

「せやな。うちも必要とは思うんよ。」

 

 あやめがそう頷く―――おかしいな。あやめはサポートタイプのはずなんだけど、まぁ戦闘ができるようになって試したいのだろう。

 

 まぁ、仕方ないことである。

 

「えー、わいは楽したいんやけどなぁ」

 

 そんななか相変わらずの山吹にトラは苦笑する。変わらないことは良いことである。

 

 ちなみにこいつは山羽の中でずっと株取引をしていた―――いつか〆なければなるまいとトラは考えた。

 

 そして普段はおとなしいククリも狂雲とアヤメに中てられたのか。トラに懇願する。

 

「マスター、装備化スキルを使うのはまだ無理だけど、頑張るからね。」

 

 皆の言葉にトラは、自分が手綱を締めればよいかと考えていた。熱気に充てられ普段では考えない判断をしてしまった。

 

「分かった。ここからはなるべく戦闘をこなしながら移動しよう。皆がどの程度のことができるか把握しながら進んだ方がよさそうだ。」

 

 山吹に装備化スキルを使用するように命じると、金ぴかになってしまった銭の鎧を身にまとう。

 

 派手な鎧の色に絶句し――今度光が目立たない上着を買おうと誓う。

 

 知り合いから見たら成金趣味になったのかといわれそうだった。

 

 自分たちも無理を言ったことを理解しているのかあやめがトラに不思議そうに問いかける。

 

「めずらしいなぁ。うちらにとっては願ってもないことやけど」

 

「頭を冷やす時間がいるだろ。」

 

 トラの突っ込みにぐうの音も出ないあやめ。狂雲も苦笑いを浮かべていた。

 

 気を取り直して、改めて、トラはEランクダンジョンの探索をしようと号令をかけ――

 

「じゃぁ、行こ……」

 

 号令を止めて、名づけをした皆を改めて見直す。

 

 ここにいるのは自分が名づけをした仲間たちだけで、他に見ている者はいない。

 

 ならば、好きな歌にあやかってこういうべきだろう。

 

 少し恥ずかしいが、トラは改めて言い直す。

 

「Come Together(一緒に行こう)」

 

 Eランクダンジョンの攻略が始まった。

 





タイトルの意味は次回以降の更新でわかりやすくまとめようと思います。
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