中学生でも冒険者になれるって本当ですか?   作:猫の手

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ようやく登場した冒険部とダンジョン遠征のお話。

☆4の昇格試験ってBランクのカードを手に入れないと挑むのは難しそうですよねぇ




16話:新入部員(候補)とダンジョン遠征

 

「「「いただきます。」」」

 

 朝6時30分 修練を終えたトラと真那は爺さんと3人で食卓を囲み朝食を取り始めた。

 

 本来であれば姉の諒も一緒に食事をとるのだが、彼女はチームメンバーの一人が家庭の都合でチームを抜けたためその穴埋めに奔走しており、朝食も学校で取っていた。

 

 山盛りのサラダと豚汁。サンマが2尾に鶏胸肉の照り焼き、卵4つ使った目玉焼き、酢の物と山盛りのごはんといったご機嫌な朝食である。

 

 流石に孫たちの食欲についていけない爺さんは控えめだ。とはいえ比較量がシャレになっていないだけなので十分に食っているのだが

 

 トラは大口で真那は小口に分けて食べていく。とはいえ二人とも食べる速度はあまり変わらない。

 

 真那は奇麗にサンマの骨を取り分けるの対し、トラは小骨ならそのまま嚙み潰して食べる。

 

 そんな対照的な二人に爺さんは苦笑を浮かべる。どちらも見た目は奇麗になるので爺さんは特に文句を言うことはない。

 

 朝からトレーニングをした欠食児童はある程度食べて落ち着いたのか。その片割れたる真那が口を開く

 

「トラ、諒姉さんから伝言。☆2試験合格の条件満たしたらみたいだから、ゴールデンウィーク開けときなさいって」

 

 真那の言葉にトラが首を傾げる。急な予定の乱入である。独り占めできるEランクダンジョンでもう少し稼ぐつもりだったトラは理由を尋ねようとする

 

「どーして?」

 

「姉さん達とダンジョン探索行くことになりそう泊まり込みね。」

 

 それを聞いたトラは顔をしかめる。真那だけならともかく、それ以外と一緒には不味いだろう。

 

 諒も沙希も高根の花として学園で知られているのだ。恐らく学園中の男たちからヘイトを集めることになるだろう。

 

 断ろうと口を開こうと――――爺さんが横から口をはさむ

 

「ああ、わしが引率するCランクダンジョンの攻略じゃな。」

 

 その言葉を聞いた瞬間トラは黙る。Cランクダンジョン―――非常に魅力的である。どの程度分け前がもらえるかは不明だが、Eランクよりも儲けが良いだろう。

 

 次の☆3ランクの試験へのステップがだいぶ省略できる。

 

 それに爺さんが引率ということであればヘイトとかそこら辺の問題も和らぐと信じたい。

 

 故にトラは参加することを決めた。

 

「参加する方向で調整するけど分配はどうなるんだ?」

 

 真那が答える前に爺さんがトラに回答をした。こういう場合、ランクが一番上の冒険者の意見が強く通るのだ。

 

 そもそも彼らがいなければ参加できないし……

 

「販売禁止のアイテムはわしが引き取る。それ以外は星の数割りじゃな。へんな係数も駆けぬから安心してよいぞ。」

 

 星の数割とは冒険者ランクの星の数を全部合計した数字で割りそれそ星の数で掛けたものを分配するというやり方だ。

 

 公平に見えないこともないが上位の冒険者から不満が出る場合もありその場合いろいろと係数をかけることもある。今回はそれをしないようだが

 

「条件が良すぎてびっくりだな。」

 

「まぁ、僻地にあるダンジョンの定期的な間引きのついでじゃからの。」

 

 爺さんは時折、冒険者協同組合の依頼を受けてダンジョンの人里離れた場所にあるダンジョンの間引きをする

 

 ダンジョンは人口が多い地域に密集するため、基本的に人里離れた場所にダンジョンができることはないのだが、例外は存在する。

 

 その例外を定期的に見回りをする依頼がプロに発行されることがある。

 

 爺さんは割と受ける方なので冒険者協同組合も助かっているらしい。

 

「じゃぁ、準備いるわね。お爺ちゃん、私たちのカードでも大丈夫?」

 

 真那が確認の意味でも聞いてみるが、爺さんはあっさりとこう答えた。

 

「まぁ、二人ともCランクのカードを持って居るし大丈夫じゃろう」

 

 そういうと、爺さんはお茶をすすった。

 

 トラは師匠である爺さんのセリフに納得をしたが、一つだけ確認をしておかねばならないことがあるので聞いてみた。

 

「オレのCランクカードはやまらのおろちだけど大丈夫?」

 

 その言葉を聞いた爺さんは渋すぎるお茶を飲んだような面を浮かべる。

 

 トラが爺さんの目の前に狂雲のカードを置く。

 

 

【種族】やまらのおろち

【戦闘力】600(450初期+250成長―100変化の術)

【先天技能】

・多頭の龍:高い再生力、物理攻撃及び魔法攻撃に対する耐性、巨体に相応しい剛力を誇る。また、複数の敵と戦う時にプラス補正

・粘液のブレス:白い液体のブレスを吐く。高威力の攻撃とともに状態異常を与える。更に攻撃を受けた女の子モンスターの戦闘力に大幅なマイナス補正

・八つの酒瓶:眷属であるいやだひめを召喚。一日8回、一体のみ。

 

【後天技能】

・第六天の歩み:女の子モンスターと戦うとき戦闘力を2倍にする。状態異常に対し強い耐性、女の子モンスターの耐性を貫通する。

・変化の術:人に化ける能力を持つ。戦闘力 ―100

・中等忍術:

・物理強化:

・耐性貫通:

・杖術:杖に特化した戦闘技能。特定行動時、行動にプラス補正。

・我執:"我思う、故に我あり"我に執着し肯定する心。個の確立。精神異常無効、思考能力の大幅な向上。

 

 

 爺さんは頭を抱えた。対女の子モンスターに特化し過ぎだろう。コレは……とはいえ、変化の術を継承したは朗報である。これであればトラブルにはならない。

 

 威厳を込めた声でトラに命じる

 

「わしらとの探索中は変化の術を解くことは厳禁とする。解けばお前さんの社会的な信用に大打撃じゃからの」

 

「了解したよ。爺さん」

 

「当たり前ね。」

 

 爺さんの正しい命令と真那の突っ込み。とはいえCランクを入手する方法は他にはないのだから仕方ない。

 

 社会の不条理をかみしめつつトラは飯の残りを冷めないうちに平らげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 きさらぎ学園冒険部。

 

 並べられたテーブルの一角を貸し切り、男装の麗人とでもいうべき女性と小柄ではあるがわがままなボディをしたの女性が疲れた表情で話し合いをしていた。

 

 男装の麗人が小柄な女性に対し、感謝の言葉を述べる。

 

「諒、真那ちゃんを呼んでくれてありがとう。これでチームへの入隊希望者を締め出すことができるよ。」

 

 諒――真那の姉である彼女は友人である男装の女性の言葉に対し、疲れたように返事をした。

 

「沙希もお疲れ、二人とも2週間で☆2になれたから―――断る理由にしやすくてほんと助かったぁ。」

 

 二人ともという言葉に黒田沙希はピクリと反応をする。沙希は面倒を避けるため、あまり男子生徒をチームメンバーには入れたくなかったのだ。

 

 そんな先の反応に諒は仕方ないじゃないとでも言いたげに言葉を続ける。

 

「しかたないじゃない。真那はトラがいないと来ないんだから、二人とも二週間程度で☆2のランクアップ成功したんだから、青田買いってことでいいじゃない。」

 

「確かにそうなんだけどね。二人の実力はどんな感じなんだい?」

 

 沙希は諒に対し問いかける。有望な新人ということは分かるけれど実際にはどの程度かは把握していないのだ。確認しておくに越したことはない。

 

 特にキーラという仲間が家の都合でチームを抜けてしまった現在、その穴埋めは必須である。

 

「まず、真那の方からね。一度、練習がてら装備化を使用して試合をしてみたわ。真那はDランクの鎧武者で諒さんはCランクのマッネモソミを使用」

 

 そこで言葉を切る。深い深いため息だ。何があったのだろうか。沙希も怪訝な顔で諒を見る。

 

 諒としては傷をえぐるようなことなのだが黙っているわけにはいかなかったので、言葉を続けることにした。

 

「一方的にボコられたわ。――――はぁ」

 

 血反吐を吐くような諒の言葉に沙希は絶句するランクが違うということは戦闘力、スキルに差異があるということである。

 

 そして諒の剣道の腕前は生半可ではないのだ。それを一方的にとはどういうことだろうか。

 

「真那が言うんはね。鎧武者のおかげで理想の動きに少し近づけたってさ―――アレは人外の領域よ。私たちが見えてないものが見えているみたい。」

 

 悔しかったのでリンクを使用したが少し善戦できただけで結果が変わらなかったのは黙っておこう。

 

 諒の言葉を聞いた沙希は震える。真那は明らかに天賦の才を持っている者なのだろう。そういったものと手を組めるのは幸運である。

 

 少しだけ興奮した沙希に対し、諒はそのまま続きを言う。

 

「その真那がライバル視しているのがトラなのよねー」

 

「ライバル視ということは彼も武術が?」

 

 諒は首を横に振る。諒の反応に沙希は首を傾げた。ライバルということはそういうことではないんだろうか?武術の腕前で劣るのにライバル視とはいったい?

 

「先に言っとくけど、トラは理不尽じゃないだけで十分強いからね。あの子は何というか計算高い?とか、勝つために手段を択ばない感じかな」

 

 多分遣り合ったら全力を出す前に倒されていると思う。と続ける諒。

 

 タイプの違う強者ということかと―――実物を見てみたいことには何とも言えないが、諒が言うのならば信じてもいいだろうと沙希は考えた。

 

 苦労を分かち合った仲間なのだから―――…

 

「あの子たちねー、毎日、夜明けとともに起きてから筋トレして20Km走った後に武術の鍛錬しているのよねー」

 

 沙希は絶句した。とてもではないが沙希も諒もそんな真似はできないだろう。それを毎日続けているのは何の冗談かと言いたくなる。

 

 現役の軍人ならこなせるかもしれないが、自分たちには無理である。

 

「規格外なんだね。」

 

「そうなのよねー。私たちがうまく御さないと、爆走に巻き込まれて酷いことになるからね?」

 

 規格外の進行速度に踏みつぶされる自分たちを想像してしまい。沙希は渋面になる。とはいえ、☆4を目指すには腕の立つ仲間は必要だ。

 

 不足しているカードと経験値を安全マージンを見て獲得するためにも、沙希は御して見せようと強く誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二日市ショッピングモールはあいも変わらぬ盛況ぶりだ。

 

 冒険者たちがモンスターを引き連れてそれぞれ歩いていた。

 

 ゴールデンウィーク前の探索の準備をしているのだろう。食料も飛ぶように売れていく。ショッピングモール側も理解していて大量に準備をしていた。

 

 トラと真那は爺さんの指示のもと5人分の食料品の買出しに出ていた。

 

 大量に並べられた干し肉を見ながら、適当に籠にぽいぽいと入れていた。

 

「やっぱり肉は必須だよなー」

 

「そーね。肉がないのはダメね。」

 

 肉ばかり選んでいるトラと真那に呆れたようにシルキーとククリとが止めに入る。

 

「お二人とも肉だけでは栄養が偏りますよ。肉はもう十分です。保管食材を買いに行きましょう。」

 

「マスター、お肉だけではよくないです。」

 

 ちなみにCランク探索中の料理はシルキーがやる予定である。

 

 食材の購入についてはシルキーが強い決定権を持っている。そのため、二人は渋々と肉のコーナーから別のコーナーへと移動していく。

 

「お野菜がたくさんありますね。割と長期保管効きますから少し多めに買っていきます?」

 

「ええ、それが良いかと、マスターもトラも肉ばかり好むのは問題ですね。」

 

 シルキーとククリが仲良く食材を選んでいく。健康的な食材に変わっていく、好き嫌いはないので良いのだが。

 

 ちなみに他のカードは書店に行って本を漁っている。後で回収する予定となっている。

 

 食材の目利きができないマスター達は食材選びの権限をカードからはく奪されていた。なんとも情けない話である。

 

「ククリちゃん明るくなったわね。マイナススキルが解除できたの?」

 

「ああ、どーにかね。」

 

 それを聞いた真那も安堵する。政信の悪行に対する傷がいえたのだつきあいがなが勝った真那も気にはなっていたのだろう。

 

 シルキーと仲良く食材を選ぶククリを嬉しそうに見ていた。

 

 複数のカートに大量の食材を乗せながら食料品を買いあさっていく、行動中に簡単に食べることのできる行動食などもカートに入れる。

 

 カキピーや羊羹など簡単に食べれるお菓子もどさどさと入れていく。

 

 収納スキルや異空間系スキルを持つカードを持っていてモンスターを召喚できるショッピングモールがあるからこそできる真似である。

 

 長期間滞在の食料を詰め込むのは非常に大変なのだ。

 

 ここら辺はどの探索者も苦労している部分であり少なくとも収納系のスキルがなければ長期の探索は難しいとされている。

 

 一通り食料品の買い物を終えると次は工房荒堀へとへと向かう。

 

 依頼していた武器の修理と弾薬の受け取りのためだ。

 

 やはりゴールデンウィーク前ということもあって工房荒堀の中にも多数の冒険者がいた。

 

 そんな冒険者たちを横目に修理を頼んでおいた武器の受け取りと追加の銃弾の購入するために小夏を探す。

 

 レジで冒険者たちの様子を窺っていた小夏はトラたちに気が付き手を振る

 

「武器の修理は完了いているよ。今度はもう少しマメに持ってきてくれるとありがたいかな。大分痛んでいたよ。」

 

 文句言いたげな小夏の言葉にその言葉にトラは申し訳なさそうにする。

 

 探索を優先し過ぎて武器の手入れを欠かすのは冒険者として問題行為である。そう小夏に指摘をされたトラは素直に謝る。

 

「申し訳ない。次から気を付けるよ」

 

「気を付けてね。武器を修理に出している間の予備が気になるのなら、新しく買うのもありよ。」

 

 強かな小夏の申し出にトラは金ができたらそのうちにと返した。

 

 そうね。と小夏はあまり気にしていないようで散弾銃の弾を一つ取り出し、トラに見せる。

 

 これはという疑問を出す前に小夏が銃弾についてかあり始めた

 

「ふふふっ、これは新しく調合した火薬で作った銃弾よ。何度か試してみたけれど従来の銃弾よりもモンスターへの効き目が上がっていたわ。」

 

「へぇ……凄い。どれぐらいの威力なんですか?」

 

 そのトラの問いに自慢するように小夏は火薬の威力についてしゃべり始めた。

 

「Cランクのモンスターでもちゃんとダメージを与えられたわ。Bは流石に無理だったけど……」

 

 配合内容は企業秘密だから明かせないけどねと伝える。

 

 新しい銃弾には興味があるが、銃弾は割とお金がかかる。次のランクアップを考えるとあまり金を使うわけにもいかなかった。

 

 そのため、念のための確認ということで銃弾の代金を確認する

 

「1個いくらなんだ?」

 

「一万円かな?」

 

 笑顔で言う小夏に嘆息、そんな高級品帰るわけもない。プロ化自衛隊に持って行ってくれマヂでと考えたが―――今回の探索でも無理だなと考えた。

 

「通常弾だけでいいよ。その値段はプロでもないと手が出せないだろ」

 

 その回答を聞いて小夏は突っ伏す。プロでも銃を使う人間はあまりいない。特許である程度潤っているが、自分の店でも使ってほしい銃弾なのだ。

 

 とはいえ、コストダウンしないと学生だと無理だということも理解しているので今回は素直にあきらめることにした。

 

「うぅ……自信作なのに」

 

「流石に札束を撃つのは無理よね。」

 

 銃弾の値段を聞いて呆れ顔の真那。軍隊とか予算が取れるところならいいんだろうけど個人でそれの運用は無理とトラは考えた。

 

 真那もそりゃそうよと突っ込みを入れる。

 

 ククリもランクアップ後に銃を使い続けるかどうかは不透明なわけで、銃はあまり投資をしたい分野ではなかった。

 

 ランクアップ後使うようであれば考えればよいとトラは考えた。

 

 少しだけ残念そうなククリの表情に罪悪感を覚えつつも財布のひもを緩めることはしなかった。

 

 





真那は大分強く設定しています。
そのため、トラと一緒に探索する機会がないというジレンマに

諒は弱いわけではなく、剣道の試合でも県大会でベスト4に出れるレベルです。
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