中学生でも冒険者になれるって本当ですか?   作:猫の手

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挑戦Cランクダンジョン2話目です。

ダンジョンの難易度はあまり高くないダンジョンなので割とあっさり目なのはご勘弁を


18話:ダンジョンが過疎になるには理由がある②

 

 機織淵は竜宮と関連性が深い隠れ里である。

 

 何が言いたいのかというと男女別々に使える大きな風呂。大人数で止まっても余裕のある部屋数。

 

 和風なため、ベッドではなく布団しかないがまぁ文句を言ってはいけない部分だろう。

 

 広く、とても住みやすいつくりになっている―――ただし、その主であるあやめは機織りに夢中なため、ホストとしてのもてなしを一切しないのだが……

 

 それらについては真那の手持ちのシルキー――青江と名付けたらしい――が対応することとなった。

 

 学生の身分でありゴールデンウィークの課題があるトラたちは課題を進めるよう青江に厳命されている。

 

 今年のゴールデンウィークは10連休なだけあって宿題の量も多かった。

 

 風呂を済ませてしまった後、中等部、高等部と別れて宿題を片付けている。

 

 冒険者として活動するのであればある程度の成績も維持しなければならない。宿題をさぼることは減点の対象となるためいそいそと片づける。

 

 更に言うと青江は厳しい面もあるので、ちゃんと宿題をしないと食事にありつけない危険性がある。

 

 ―――1時間ぐらい経過しただろうか。

 

 襖をノックする音が聞こえ、トラと真那に対し、ククリが食事の時間を告げる。

 

 ククリはホストをしないあやめに変わって青江のサポートをしていた。青江も気に入っているみたいで色々と教授しているようである。

 

「マスター、真那様。夕食ができました。今日は趣向を凝らしたみたいですので中庭に来てくださいね。」

 

 ククリの声にトラと真那は宿題を中断する。一応順調に済んだため、今日はここまででいいだろう。

 

 伸びをすると、ククリに答える。

 

「すぐに行くよ」

 

 真那はというと勢いよく音を立ててノートをしまうと大急ぎで立ち上がる。

 

「すぐ行くわ。もう、おなかペコペコよ。ほら、トラも急ぎなさい。」

 

 トラの手をつかんだ真那はトラを引っ張り上げて起こす。色気より食い気な真那に苦笑しながら、トラは立ち上がり一緒に中庭へと向かう。

 

 館の中を走るわけにもいかないので少しだけ急ぎ足で中庭へと向かう。

 

 見事な日本庭園といった中庭の一角に景観を破壊するような似つかわしくないバーベキューコンロ、その上に敷かれた網。アウトドア用の椅子。

 

 テーブルには串刺しの肉と野菜がこれでもかというほど並べられており、隣にはおにぎりの山が置いてあった。

 

 それを見たトラの腹が鳴る。合宿先でのバーベキューとか最高ではないか。隣の真那は涎をたらさんばかりに肉の櫛を見ていた。

 

 こちらに来たことに気が付いたのか青江が二人を見て、頭痛に耐えるように頭を手で押さえた。

 

「真那様、涎をたらさんばかりの表情は淑女としてよろしくないですよ。」

 

「だっておなかすいてるんだから仕方ないじゃない。ほんとにペコペコなんだから」

 

 真那のセリフを聞いた青江が淑女となるためのトレーニングが必要かもしれませんと、ぼそりというのがトラに聞こえた。

 

 ちなみに真那は食事に気を取られていて気が付かない。まだそろっていないのに手を伸ばそうとしてペチリと手をたたかれて不満そうだ。

 

 そうこうしていると、爺さんが、沙希と諒が現れ、嬉しそうにバーベキューを見た。

 

 このようなことはめったにできるわけではない。

 

 全員が揃ったところで、青江が串を焼き始める。串が焼きあがるまでの腹ごなしとして用意されたスープを飲む。

 

 その温かさと美味しさに頬を緩めながら諒が今までのことを思い出したかのように呟いた。

 

「沙希、やっぱり料理とかできるモンスターは必要だったんだね。」

 

 諒の言葉に沙希も頷く。その二人の様子に真那が首を傾げて問いかける。

 

「お姉ちゃん達、どうしたの?」

 

 真那の純粋な質問に沙希と諒はしばし悩み。やがて観念したかのように諒が答える

 

「いやね。諒さん達はお料理できるモンスターとか、異空間系のモンスター持ち合わせてなくてね。苦労したんだよ――」

 

 探索時の安全確保も難しいため、飛行能力を持つモンスターを使って一気にDランクの階層に移動してから探索を進めていたらしい。

 

 Cランクダンジョンの攻略には戦闘力のあるカードも必要だが、こういった異空間系のスキルを持つモンスターとかはいた方が良い。

 

 快適さに沙希も強く強く頷いてしまう。

 

「ああ、これからはそういうカードを探さないと駄目だろうね。」

 

 プロを目指すならば必要とは聞いていたが、"それ"を体感すると今までの不便な生活には戻れそうになかった。

 

 今まで徒歩で冒険をしていた勇者たちが、馬車を入手してその利便性を思い知らされたとでも言うべきか。

 

 トラやマナとしてもその手のカードを手に入れたのは偶然なのだが……

 

「そうじゃの。安全に休める場所があるということは重要じゃて、ダンジョンの中はモンスターのみが敵というわけではないからの」

 

 爺さんの実感の伴った言葉に沙希と諒は今後の計画の変更を余儀なくされた。

 

 その言葉に対し、トラがフォローするように補足する。

 

「まぁ、ランクが低いカードでも異空間持っている奴もいるからそれを探せば良いんじゃないかな。あやめ―――川姫もDランクだしね。」

 

「そうだね。マヨイガじゃなくても良いのはありそうだし、探すことにするよ。」

 

 トラからのフォローで安堵する諒。☆4を目指すためにはいろいろとお金がかかるのだ。

 

 基本的にはトラとチームを組むので不要ではあるが、☆4試験は単独で受けなければならないのでそれの対策があるには越したことがない。

 

 とはいえ、人とは楽な方にながれて行くものである。最終的にトラがいるから大丈夫になりそうである。

 

 諒との付き合いの長いトラは焼きあがったばかりの肉に手を伸ばしながら、本当にやるんだかと疑わしそうな目で諒を見ていた。

 

 焼きあがったことに気が付いた真那も串に手を伸ばしがぶりと噛みついていく。

 

 寄る年波で最初から肉を食べることがつらくなってきた爺さんは野菜の櫛に手を伸ばす。

 

 そしてかじりつく前に軽い話題のようなふりで明日の探索について問いかけた。

 

「明日はサブ階層の踏破じゃが、ちょうど二つある。片方をお主らで対応して貰いたいと考えておるのじゃが、どうじゃな?」

 

 その爺さんの発言に驚く沙希。トラと椚木姉妹はあの爺さんであれば言いかねないと思っていたのかあまり気にした様子もない。

 

 肉串に嚙り付きながらトラはメリットとデメリットを考え始めた。

 

 まず、デメリットはCの階層をプロ抜きで踏破することだろう。Bランクのヘクトールと少なく見積もって"5体"のCランクカードが使える

 

 分が悪いかというとギリギリどうにかなるだろうというレベルの人員だ。

 

 メリットは4日かかるダンジョン探索を3日まで圧縮できることである。

 

 そのため10日間あれば3回ダンジョンを踏破できる。つまりはBランクカード入手する権利を2回から3回に増やすことできるのだ。

 

 探索のコツがつかめれば2日までの圧縮は可能になるかもしれない。そうなれば更にBランク入手の可能性を増やすことができるのだ。

 

 沙希も恐らくそれを理解しているのだろう。目を閉じ、悩んでいた。

 

 危機をどうとらえるか。トラとしては"条件付きで"受けたい。チャンスを掴みたいし、真那も同じだろう。

 

 沙希は結論を出したのだろうか。目を開き、爺さんに答える。

 

「やらせてください。」

 

 そういうと、諒、真那、トラの順に視線を向けチームのリーダとして発言をする。

 

「―――皆、直ぐにでも明日の計画を練ろう。」

 

 ただ、食事は始まったばかりである。この案にはトラも真那も賛成できない。

 

 折角のバーベキュー、大量に準備した肉なのだ。食べないのはもったいなさすぎるだろう。

 

 トラと真那は口々に飯を食わせろと言う。

 

「飯食ってからか、どうしてもってなら、ここでやろう。黒田先輩」

 

「そーね。ここでやるならテーブル準備するわ。青江お願い。」

 

 真那にそういわれた青江はテーブルを準備し、ククリが空白の地図とサブ階層について記載されたデータをテーブルに置く。

 

 トラはククリにありがとうと労いの言葉をかける。ククリは嬉しそうに笑顔を浮かべる。本来のこの子はこんな感じなんだよなぁと兄のやらかしを呪う。

 

 サブ階層のフィールド効果は召喚制限(2体まで)と機械破壊だった。

 

 過去の回廊と出てきたモンスター、その戦術のデータを確認しながら、トラは自分の考えをまとめ始める。

 

 ローグダンジョンとはいえ、過去のデータが全く無駄になることはない。傾向から対策を上振れと下振れの想定も立てやすい。

 

 真那も肉を片付けながらデータの確認をしている。

 

 基本的にトラも恐らく真那もリーダーである沙希が立てた作戦に従うつもりである。不足を感じれば補足をするつもりだが……

 

 沙希は食事をとらず必死に過去のデータと見比べえて、ノートに考えを乱雑に書き散らす。

 

 諒はそれのサポートをして必要なデータとそれに対する考察を伝える。

 

 トラたちが一通り肉を平らげ、おにぎりでお腹をなだめているころ、案がまとまったらしく。沙希と諒がこちらを見る。

 

「作戦はまとまったよ。これから説明するからちゃんと聞いてね。」

 

 そういうと、沙希は二つのサブ階層のうち、召喚制限のある方を指を指す。

 

 トラと真那の戦力は昼間のDランクの階層で把握をしている。そして自分たちの戦力では、機械破壊+ローグダンジョンは荷が重いと判断をした。

 

「召喚制限のサブ階層を攻略するよ。機械破壊の方は私たちのカードでは厳しそうだからね。」

 

 トラも真那も異存がないのか賛成と答える。機械破壊エリアを踏破できると思うほど二人ともうぬぼれてはいなかった。

 

 そして、沙希はテーブルにカードを2枚置く。ヘクトールと、アルケーだ。沙希の行動に合わせて、諒もマッネモソミと麻姑を見せる。

 

 まずは沙希のカードを確認する。

 

 

【種族】ヘクトル

【戦闘力】1400(零落せしもの-200)

【先天技能】

・ドゥリンダナ:ローランの歌でドゥリンダナとはヘクトールがが持っていた武器だ伝えられているが、イリアスではヘクトールの持つ武器に名はない。故に彼が持つ武器全てがドゥリンダナといえる。手に持った武具の戦闘力+500、防御力貫通。破壊出来ない特性を与える。何も持っていない場合は槍が手元に現れる。

・騎士道精神の体現者:国に殉じ、かけがえのない日常生活を守るために死んでいった英雄。彼と共に戦うことは誉である。友軍の戦闘力を自分の戦闘力分上昇させ、精神異常無効、状態異常耐性、拘束化スキルを無効化を付与する。(騎乗スキル、礼儀作法。武術、槍術など騎士に必要な技能を所有)

・トロイアの守護者:アカイアの軍勢を敗走寸前まで追い詰めたトロイア防衛の総大将。敵全体の戦闘力を半減、友軍が受けるダメージを半減させる。友軍の精神を高揚させる(戦術、軍略、指揮を内包)、眷属召喚:レギオンを召喚(無限召喚)

・九偉人:零落せしものより使用不可

 

【後天技能】

・良夫賢父:良い夫であり良い父である。子供を諭して導くことに長けている(家事系スキルを内包)

・中等回復魔法:

・中等補助魔法

・忠誠:

・献身の盾:

・直感:

・物理強化:

・零落せし者:戦闘力-200

 

【種族】アルケー

【戦闘力】700

【先天技能】

・人界の監視者:虚偽を見抜く、悪意、罠を見抜く。同一階層であれば敵対するマスターの位置が分かる。飛行を可能とする

・精霊の守護:中等クラスの装備化スキル。他のカード、あるいはマスターへと憑依することで、自身の戦闘力の半分を加算させることができ、また自身の後天スキルを共有する(マスターへの装備化の場合はすべての戦闘力とスキルを共有できる)。

・高等回復魔法:

 

【後天技能】

・中等攻撃魔法:

・静かな心:

・献身の盾:

・魔力強化:

・詠唱短縮:

 

 

 ヘクトールはホメロスの詩集イリアスで登場するトロイア軍の総大将である。九偉人の一人に数え上げられている偉大な英雄である。

 

 零落せしものというウンコッコスキルがあるのが残念ではあるが、逆に言うとそれを持っていたからこそ安く購入できたのもあるのかもしれない。

 

 今後の購入案の一つとしてトラは心に刻んだ。

 

 とはいえ十二分に強いため、チームの中のキーカードとして数えることが可能だろう。

 

 そしてアルケーはプリンシパリティと呼ばれる第七位の天使だ。人界の監視役としての役割を持ち、それに由来するスキルを持つ。

 

 飛行能力もあるので非常に便利といえるだろう。

 

 次に諒のカードに目を移す。両方ともCランクとはいえかなり強力なカードたちだ。

 

 

【種族】麻姑

【戦闘力】700

【先天技能】

・麻姑献寿:西王母の誕生祝いに麻姑が贈る美酒。状態異常と怪我を癒す力を持つ 所謂劣化版アムリタ(黙れ

・高等仙術:仙術を使用できる

・麻姑の手:孫の手の語源。鳥のように長い爪を持つ

 

【後天技能】

・明鏡止水

・魔力回復

・魔力強化

・詠唱短縮

・武術

 

【種族】マッネモソミ

【戦闘力】700

【先天技能】

・人喰い刀:攻撃した相手の体力を吸収し回復する

・刀剣の妖:中等クラスの装備化スキル。他のカード、あるいはマスターへと憑依することで、自身の戦闘力の半分を加算させることができ、また自身の後天スキルを共有する(マスターへの装備化の場合はすべての戦闘力とスキルを共有できる)。

・中等状態異常魔法:

 

【後天技能】

・不屈の精神

・中等補助魔法

・剣術

 

 麻姑とは、西晋・東晋時代の葛洪の書『神仙伝』などに記述がある下八洞神仙の一柱仙女だ。西王母の誕生日に麻姑献寿という美酒を送ることでも知られている。

 

 仙術は基本的に仙人にしか使うことができず、どれも強力な力を持つことで知られている。非常に良いカードと言えた。

 

 マッネモソミはカムイユーカラに語られる。人食い刀の一振りである。その中の一本"細身の女剣"だ。中等クラスん装備化スキルをも強いカードと言えた。

 

 一通り確認が終わったトラと真那に対し沙希が声をかける。

 

「ボク達はこのカードを使うつもりだ。二人はどんなカードを使うつもりなのかな?」

 

 その言葉にトラはククリ(蓑草鞋)と狂雲(やまらのおろち)をテーブルに並べ、真那は鎧武者と牛御前を見せる。

 

 相手がカードをさらしているのである自分もさらさなければ問題だろう。

 

「オレ(私)はこのカードで行くつもりだ(よ)」

 

 

【種族】鎧武者

【戦闘力】380(MAX)

【先天技能】

 生きた鎧:武者の鎧に怨霊が宿った存在。鎧のどこかにある核を破壊しない限り消滅しない。状態異常耐性を内包する。

 鎧化:初等クラスの装備化スキル。他のカード、あるいはマスターへと憑依することで、自身の戦闘力の四分の一を加算させることができる(マスターへの装備化の場合はすべての戦闘力とスキルを共有できる)。

 武術:

 

【先天技能】

 牢人:何らかの理由で主人を失った武士。侍としての技術を取得している(礼法、武芸十八般、兵法、茶道を内包)

 数寄者:茶器に目がない。茶器に関してのみ鑑定することができる。

 虚ろな心 :

 庇う:

 

【種族】牛御前

【戦闘力】800

【先天技能】

・牛頭天王の化身:30mほどの巨体となる。状態異常耐性を下げる代わりに耐久力、筋力、生命力を3倍にする。

・雷神の子:雷を操ることができる。雷に関する攻撃魔法を使用可能。雷を纏い物理攻撃の攻撃力を上げることも可能

・関八州の兵:眷属召喚 Dランク鎧武者を召喚する(無限召喚)

 

【後天技能】

・武芸十八般:

・忠誠:

・怪力:

 

 

【種族】蓑草鞋

【戦闘力】340(MAX)

【先天技能】

・蓑の妖:蓑は古来より身を隠す力があるとされていた(気配遮断、透明化、無音行動を内包)

・草鞋の妖:草鞋は古来より妖怪を退ける呪物として扱われていた。モンスターとの遭遇率を低下させる。

・付喪神(蓑):初等クラスの装備化スキル。他のカード、あるいはマスターへと憑依することで、自身の戦闘力の四分の一を加算させることができる(マスターへの装備化の場合はすべての戦闘力とスキルを共有できる)。

 

【後天技能】

・猟師:中世の農民たちは害獣駆除するための農具として鉄砲を使用していた。特定行動時、行動にプラス補正。(トラッキング、罠設置・解除、砲術、索敵を内包)

・落ち武者狩り:戦国時代の農民は逃げる落ち武者を狩っていた。奇襲スキルを内包。特定行動時、攻撃力にプラス補正

・天真爛漫:飾らずに喜怒哀楽を表す。その在り方を縛ることは誰にもできない。命令に対する行動にプラス補正。状態異常、拘束系スキルに対して耐性を持つ

・影法師:心の中に潜むもう一人の自分を召喚する。精神異常無効(日本冒険者協同組合:情報の少ないスキルのため情報提供を求めます)

・虚偽察知:

 

【種族】やまらのおろち

【戦闘力】800(変化の術使用時:700)

【先天技能】

・多頭の龍:高い再生力、物理攻撃及び魔法攻撃に対する耐性、巨体に相応しい剛力を誇る。また、複数の敵と戦う時にプラス補正

・粘液のブレス:白い液体のブレスを吐く。高威力の攻撃とともに状態異常を与える。更に攻撃を受けた女の子モンスターの戦闘力に大幅なマイナス補正

・八つの酒瓶:眷属であるいやだひめを召喚。一日8回、一体のみ。

 

【後天技能】

・第六天の歩み:女の子モンスターと戦うとき戦闘力を2倍にする。状態異常に対し強い耐性、女の子モンスターの耐性を貫通する。

・変化:人に化ける能力を持つ。戦闘力 ―100

・中等忍術:

・物理強化:

・耐性貫通:

・杖術:杖に特化した戦闘技能。特定行動時、行動にプラス補正。

・我執:"我思う、故に我あり"我に執着し肯定する心。個の確立。精神異常無効、思考能力の大幅な向上。

 

 

 やまらのおろちを見て女性陣は顔をしかめるが、その強力さ嘆息する。女の子モンスター特化型ともとれる能力だが、それ以外とのモンスターとの闘いでも十分に強い。

 

 あと変化の術を使えるのはポイントが高かった

 

「よくもまぁ―――でも確かに強いし、安いね。変化の術がるならまぁ……」

 

 しぶしぶといった感じで認める沙希。能力は優れているのだやまらのおろちは……

 

 フォローするように諒が付け加える。

 

「トラは自分で稼いだお金以外使っていないんでしょ。なら仕方ないんじゃないかな。」

 

 諒の言葉を聞いて、耳が痛そうに顔をしかめる沙希と真那。

 

 二人とも家族からかなり支援してもらえているのだ。それがない状態のトラがやまらのおろちを選んだとして文句を言う資格がない。

 

 別にトラが貧乏というわけではなく、ごく一般的な財力のお家庭だとそんなものなのだが、話が変な方向へ行き始めたのでトラは方向修正を始める。

 

「基本的にはオレが罠を解除、若しくは再利用できるようにしてそっちに追い込む。罠の位置はアルケーで確認したものを共有って理解でいいかな?」

 

 トラの発言に対し、沙希は頷き、作戦の補足説明をする。

 

「ああ、正面からは眷属召喚とヘクトールのスキルを使用して攻めるつもりだよ。それ以外は遊撃に回って敵を減らすのが仕事だね。あと、いやだひめを使って敵のヘイトを集めてもらえるとやりやすそうかな。」

 

 沙希の説明にトラは納得する。ヘクトールの強力さを考えるとこれが一番良いだろう。

 

 爺さんが何も言わないところを見ると作戦には特に問題がないらしい。とはいえ、一つ抜けている点があった。それについてトラは確認をするための質問を投げる。

 

「爺さんとの連絡手段はどうする?機械破壊の階層に進むとしたら連絡を取るのは難しいけど」

 

 トラの指摘にはっとした表情を浮かべる沙希、攻略ばかりに目を剥けていたため、その視点が抜けていたようだ。

 

 いざという時のための連絡手段は確保しておきたい。その場合一番簡単なのは自分の手駒であるモンスターをお互いに貸し出すことである。

 

 テレパシーさえ繋げられれば情報の確認ができるので便利なのだ。

 

「それは―――確かに課題だね」

 

 とはいえ、沙希の言う通り難しい課題である。爺さんが意地悪気に笑っている最初から織り込んでいたようだ。

 

 貸し出すことのできるモンスターをどれを選ぶかが悩ましい。沙希が判断がつかず、困っているとトラが提案をする。

 

「オレのところの"キクリ"を爺さんに貸し出す。爺さんから何を借りるかは黒田先輩が相談してくれ」

 

 そういってククリをトラが見ると、仕方ないなと言いたげな表情でククリが浮かべると目を閉じ自分の内面に声をかけた。

 

「来て、キクリ」

 

 その言葉に応じ、ククリとそっくりで、こまっしゃくれた様子の女の子が現れた。

 

 影法師、ククリが疑心暗鬼が消化されることによって入手したスキルだ。

 

 ククリと同じように名づけが欲しいと要求されたため、ククリの名前を付けるときにあやかった同じ女神の別名からつけることにしたのだ。

 

 このスキルはククリが同ランク、かつ縁の深いカードを取り込むことにより、元疑心暗鬼だった人格に形を与え召喚をするスキルだ。

 

 眷属召喚というよりも二相女神などに近いスキルのため、HPなどを共有できるメリットがある。

 

 召喚されたキクリ、トラと沙希の話を聞いていたのだろう。仕方ないわねという表情を浮かべる・

 

「仕方のないマスターなんだから、でも、引き受けるわ。埋め合わせは期待しているわよ。」

 

 小悪魔のような表情を浮かべいうキクリにトラは苦笑いを浮かべる。

 

 そのキクリの言葉に目をとがらせて怒ろうとしたククリをトラが止める。

 

 トラはキクリの言い分に対しては仕方ないと思っているのだ。故にトラはキクリの言葉にこう答える。

 

「OKだ。無理な願いというのは分かっているからな。埋め合わせはするさ。」

 

 トラの言葉に満足げな様子のキクリ。ククリは少し不満そうだ。

 

 他の面々も興味深げにキクリを見ていた。影法師はあまり見ることのないスキルだからだ

 

 キクリはちゃっかりと肉串を取って食べ始める。

 

 今回の遠征はカードの分の食料は資金やスペース管理の問題でしておらず、申し訳ないので酒やツマミ、お菓子を用意していた。

 

 酒飲みたちはこれから爺さんと軽く飲む予定であった。

 

 目くじらを立てる問題ではない。どのモンスターを借りるかで交渉をしている爺さんと沙希に対し、割り込む形で提案をする。

 

「爺さん、黒田先輩、一つ相談なんだけど」

 

 皆の視線がトラへと集まる。相談という単語が気になったようだ。

 

 そんな視線を受け止め、提案を行う。この提案はCランク階層以降のトラと真那の生存率に直結する話だ。故にどうにか受けてもらいたいと考えていた。

 

「今日、入手した魔道具を分配したい。特に武器とか防具の類は生存率に直結するからな。」

 

 そんなトラの発言に皆少し思案し頷いた。トラの言う通り、道具が分配されていれば死ななかったというのは洒落になっていなかった。

 

 トラの発言に爺さんは是と頷く。少しでも生存率を高める提案を断るつもりはなかった。

 

 換金するしかないアイテム、低級のポーション類を除いて入手できたアイテムを並べる。人数に足りない4つだった。

 

 アムリタ、鬼神大王波平行安、クルッジ、袖ノ雪の4つ、一つだけ鋸が入っているのはなにかの嫌がらせだろうか

 

 それを見た爺さんは少し惜しい顔をするが自分は不要と答える。

 

「そうじゃな。わしは不要で良い。あくまでも今回のダンジョン探索のための強化じゃからの」

 

 そういって、あとはトラ達で分けろとばかりに酒を取り出して飲み始めた。

 

 それではと遠慮をするのをやめて沙希が分けるための音頭を取った。

 

「それでは、星の数順に選んでいく形を取ろうと思うけどそれでいいかな?同じ星の場合はじゃんけんで順番を決めよう」

 

 一般的に使われる星の数が多いルールであり、誰もその案を否定しなかった。

 

 そして、じゃんけんの結果は沙希、諒、真那、トラという順番であった。トラはなんとなく自分が手に入れる武器が想定できてげっそりとした表情を浮かべた。

 

 結果は言うまでもないだろう。沙希がアムリタを選び。諒が袖ノ雪、真那が鬼神大王波平行安を選び、残った鋸……クルッジがトラの手元に残った。

 

 一番強力な武器なのだが、鋸である。使いやすいように柄が長いのが腹が立つ武器である。

 

 とはいえ、明日の準備は整った。ホラー映画の武器といい、トラは自分が本当にお払いに行った方がいいのではないかと考え始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、トラと爺さんたちは二手に分かれてダンジョンの探索を開始した。

 

 沙希が選んだモンスターは火天である。

 

 火天とは天部に属する十二天の一柱である。火を神格したインド神話のアグニを仏教に取り入れたものといわれている。

 

 ちなみに火天の指揮権は諒が預かっている。色々とトラブルを避けるためにも親族が持っていた方が安全という結論に至ったからである。

 

 火天は仙人を召喚する眷属を無限に召喚できる能力を持っており、ヘクトールもレギオンを無限召喚できる。

 

 そこにヘクトールのスキルによるバフが入る。Bランクの戦闘力を持つモンスターによる蹂躙。

 

 Cランクのモンスターとはいえ、耐えることはできず次々と叩き潰されていく。

 

 現状探索の一番の脅威は罠となってしまっていた。

 

 トラは何をしているのかというと、ククリの〈草鞋の妖〉<蓑の妖>を使用して姿を隠した状態で罠を解除、再利用するための作業をしていた。

 

 ククリは非常に隠密行動に特化したスキルを持っているのでこういう時に有用である。

 

 とはいえ、敵地での長時間の単独作業、体力のあるトラ出なければ音を上げていただろう。

 

 テレパシーを使ってククリがトラに語り掛ける。

 

『マスター大丈夫ですか?』

 

『まだ、大丈夫だよ。順調に進んでいるし、負担はあるが役割分担上仕方ないしね』

 

 心配そうなククリの声に大丈夫と言いながら、大丈夫じゃなさそう穴ばれ方をしている方を指さす。

 

『アレに比べればまだまだ大丈夫だよ。』

 

 トラが指し示した先には、新しい刀を手に入れてウキウキしている真那が遊撃で敵陣を搔き乱している。

 

 ヘクトールのスキルによるバフを受けた影響なのか、大気を蹴って走り回っている姿は既に人外のそれである。

 

 ちなみに同じようにバフを受けているトラは空を走ることはできない。真那が異常なのだろう。

 

『いえ、真那さんはちょっと、何かが違うような……』

 

 真那が沙希ほど仕掛けた罠に向かって敵を追い込んでいた。そろそろ新しい罠を準備しなければならないだろう。

 

 急ぎ、罠をリサイクルできるように作り直す。

 

 このままいけばサブ回廊はBランクカード2枚のごり押しで踏破できるだろう。

 

 トラの予想は外れることはなく。順調に探索は進み、守護者の間の前に到着した。

 

 沙希の指示で守護者の間へ到着後、食事休憩を含め、1時間ほど休みを取り、守護者へ挑むこととなった。

 

 道中はだいぶ楽ができたので体力も問題がない。

 

 沙希が他の面々に対し、確認の意味を込めて声をかける。

 

「さてと、いよいよ守護者との対面だ。準備は良いかな?」

 

 休憩も取った上で、準備もしっかりとしている。これで準備ができていないとか言ったら冒険者失格だろう。

 

 全員が頷く。それを確認した沙希はヘクトールに銘じて守護者がいる部屋のドアを開き突入した。

 

 その中には守護者であるヴィーヴィルはおらず、一面に広がった水たまりのみが存在していた。

 

 諒が訝し気に水たまり―――湖といえるサイズではあるが、確認するように訝し気な声を上げる

 

「湖のエリア?ローグダンジョンだからこんなこともあるのかな?ヴィーヴィルを見つけるのが大変そうだね」

 

 諒の言葉に沙希は仕方ないと頷く

 

「まぁ、そういうこともあると思うよ。さて、ヴィーヴィルを探さないと――どうしたの?二人とも」

 

 トラと真那は湖の様子をじっと見つめていた。違和感がある。だけどそれが何なのか分からないそんなもどかしさだ。

 

 沙希の問いに二人ともそれぞれ答える。

 

「黒田先輩、ちょっと、違和感を感じてな。それが何なのか探ろうと見てたんだけど」

 

「うん、なんか変感じがするのよね。なんなんだろう……こう」

 

 沙希の方へトラと真那は視線を向けそれに答える。とはいえ、二人とも自分が理解できていない違和感である。沙希も理解することができなかった。

 

 慎重に探索をしようという無難な答えに行きついたとき、諒が声を上げる。

 

「あれ?なんか浮いてる――――パン?」

 

 諒の何気ない言葉、ダンジョンにパンなど存在することもなく、見間違えだろうと再度確認をしようとして、

 

 トラが総毛立つ!!ここにいては不味い。そう感じたトラは警告を発そうと口を開く

 

「全員この部屋から外に出―――――」

 

 残念ながらトラの警告は間に合わない。

 

 豪奢な服に身を包まれた女の子がゆっくりと空から落ちてきて。湖の上にあったパンを踏みつける。

 

 トラ達を見つめる視線は獲物が罠にはまったことを確信したジョロウグモの様であった。

 

 嘲笑うかのように高らかにソプラノの歌声が響き渡る。

 

「無知な人間♪ 無知な人間♪ 無知と傲慢の罪で どこまで落ちる?」

 

 女の子の言葉に合わせたように水たまりが部屋いっぱいに広がり、トラ達を湖の底の地獄へと引きずり込んだ。

 

 





守護者の間ではイレギュラーエンカウントが発生することはありえません。
ありえないことが発生してしまったという理解でお願いいたします。

(爺さんの判断ミスとは言い難いトラブルです)

なぜ起きたかは秘密ということで


魔道具について
・鬼神大王波平行安:鬼の手により作られたといわれる刀 戦闘力+200
・袖ノ雪:酒井忠次が鳶ノ巣砦を夜討ちした際に信実を討った奥平喜八郎信光手に入れたとされる 戦闘力+200
・クルッジ: 巨人ウルリクムミを倒すのに使用された鋸。元々は天と地を切り分けるのに使用されたといわれている 戦闘力+500 巨人特攻、異空間破壊が可能

クルッジは強いのですが、鋸をどうやって武器として使うのかという根本的な課題をクリアーできなかったため不人気な武器となっております。
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