中学生でも冒険者になれるって本当ですか?   作:猫の手

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オリジナルの設定が出てきますのでご了承願います。

ある程度書きあげていあのでパッと投稿まだダンジョンには潜っていません


2話:冒険者がダンジョンに行くのは間違っていないよね

 

 冒険者登録はあっさりと完了した。

 

 強力なDランクカードが2枚もあれば否定する理由がなかったのだろう。

 

 受付のお姉さんに何でジャパニーズエロゲモンスターを選んですかと聞かれたが、素直に『強くて安いからです』と言ったら納得したような、止められないことを悔やむようなそんな表情を浮かべた。

 

 周囲の冒険者たちはお姉さんの発言を聞いてドン引きしていたことが忘れられない。セクハラと言われなかっただけ御の字である。

 

 まぁ、それはどうでもいいことが、大切なのは午前中に冒険者登録が完了したことであり、午後が完全に空いていることである。

 

 トラは適当なコンビニに自転車を止めるとカロリーバーを取り出し、齧りながらスマフォを弄る。

 

 まとめて置いたダンジョンのリストのうち、階層の浅いダンジョン―――4階層以下のダンジョンのリストをピックアップする。

 

 ピックアップしたデータを見て近場で最も浅いのは――… 

 

「二日市地下水道ダンジョンか」

 

 トラは二日市地下水道ダンジョンの資料を呼び出し、開く。

 

 二日市地下水道ダンジョンとは通称であり、正式名称はきさらぎ市Fランク第39ダンジョン――薄暗い地下水道のダンジョンである。

 

 ダンジョンのマップデータを販売しているWebページを開き購入。ダウンロード開始。

  

 出現するモンスターはブエナフット、ゾンビ、旧鼠、スライム、ゾンビドックなど、ホラー映画にでも出てきそうなラインナップ。

 

 敵の能力を確認しするが、単調な物理攻撃がメインの構成であり飽和攻撃されないように立ち回ればどうにかなるだろうと言う結論に達した。

 

 まぁ、そもそもFランクはモンスターの凶悪コンボとかがないので当たり前と言えば当たり前なのだが、場所はここから自転車で10分程度だ。

 

 移動しようと自転車のキーを解除しようと―――――スマートフォンより着信のアラームが流れる。

 

 連絡先で切り分けているそれはプロ冒険者をしている破戒僧疑惑のあるの爺さんからの着信だった。

 

 祖父との悪友であり、トラの冒険者になるために鍛えてくれた師匠であり、常日頃近所づきあいをして世話になっているため、頭の上がらない存在であった。

 

 出なければ絶対大変なことになる。渋々とトラは自転車のキーのロック解除する手を止め、通話に出た。

 

「こんちわ、爺さん。どうしたんだ?」

 

 ほぼ家族づきあいをしているため、トラは砕けた口調で話しかける。そんなトラに対し、爺さんは何気ない口調でトラに爆弾を投げ込んだ。

 

「トラよ。まずはおめでとうと言っておこうかのぅ。無事冒険者に生れたようじゃな。」

 

 爺さんの発言に絶句するトラ。冒険者になってまだ一時間も経過していないのだ。どうしてそれを知っているんだと問いかける前に爺さんが話を続けた。

 

「何、わしは住職でプロ冒険者じゃからの。顔が利くんじゃよ。」

 

 タネを明かし、楽しそうに笑う爺さん。トラは多少不機嫌そうに文句を言う。

 

「プライバシーとかねーのかよ。」

 

 爺さんはその返事を鼻で笑う。

 

「トラよ。お主はわしの弟子扱いじゃからな。師匠に隠せると思う方が間違いじゃ。―――まぁそれはよいじゃろう。それよりも今はどこにおる?」

 

 急に真面目な声に切り替え、トラに対し誰何する。

 

 出来れば誤魔化したかったが、爺さん相手ではまず不可能である。やれば後でシバかれるのが落ちである。

 

 短い人生経験から学んだ教訓がそう主張をしている。それを否定する言葉が思いつかず、項垂れたトラは止む無しと素直に回答をした。

 

「きさらぎ市冒険者協同組合近くのコンビニだよ。これから、二日市地下水道ダンジョンに行くつもりだ。」

 

 その回答に爺さんは眉を顰める。冒険者になったばかり、己を試したいというのは分かるが性急過ぎだ。とは言え、トラの性格からいっても止めても止まらないだろう。

 

 そして、選んでいるダンジョンが2階層である。安全マージンをきちんと盛り込んでおり、危険を訴えても論理だって反論されるだろう。

 

 理で説いても止められない。ならば―――

 

「どれ、わしも同行しようか。二日市地下水道ダンジョンにあるエクスプローラ・ストアで待っておれよ。―――絶対に先走るな。よいな。」

 

 軽い感じで爺さんは返事をしたが、最後の言葉は強烈にドスが利いていた。どうやら、爺さんの常識からその日のうちにダンジョンに突っ込むのはあり得ないらしい。

 

 師匠の命令である。これは逆らうことができない。

 

「分かったよ爺さん。」

 

 降参したことを告げる。その言葉に爺さんは満足し、最後の爆弾を投下した。

 

「ああ、トラよ。真那も同行する予定じゃ、冒険者になったことを連絡しなかった言い訳を考えておいた方が良いぞ。」

 

 真那とは爺さんの娘でトラと同い年の女の子だ。所謂幼馴染であり、トラが頭の上がら相手のその2である。

 

「まっ―――爺さん!!」

 

 絶句するトラ慌てて、爺さんに確認をしようと返事をするが無情にも通話は切られてしまった。

 

 冒険者になったことは帰ってから伝えるつもりであったが、そんな言い訳など幼馴染――椚木真那は許さないだろう。

 

 ご機嫌を取るためにちょっとお高いケーキかお菓子を用意しなければならない。

 

 ガックリと肩を落とし、トラは洋菓子店に寄ってから、エクスプローラ・ストアに向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エクスプローラ・ストアとは主に地方に出店しているダンジョンマートの競合だ。―――最も、競合と言ってもシェアは大きく差があるのだけれども

 

 ダンジョンマートがまだ手を伸ばしていなかった……否、慣習などが邪魔をして手を伸ばせなかった田舎をメインターゲットにしたダンジョン向けのコンビニである。

 

 ちなみに利権とかそういう大人の事情で無人化ができないコンビニである。

 

 エクスプローラ・ストアの社長は雇用を増やすためと言っているが、地元の人間を雇わなければ出店できなかったとかそういう事情もあるようである。

 

 ただ、レジうちは、面倒なので無くしたかったらしく、ダンジョンマートと同じシステムを入れていたりする。

 

 従業員の仕事は商品の陳列、発注がメインで接客すらしないケースもが多い。店によっては自分たちで作った調理品を販売したりするケースもあるようだが……

 

 便利な世の中になっても利権からは逃げられないらしい。

 

 トラは 真那の好物であるチョコレートケーキを片手にエクスプローラ・ストアの駐輪場でエクスプローラ・チキン――通称エスチキをを齧りながら、トラは爺さん一行を待っていた。

 

 二日市地下水道ダンジョンの入り口のエクスプローラ・ストアまでは、自宅から自転車で1時間程度の所にある。道が混んでいなければ30分と掛からずに到着するだろう。

 

 エスチキを食べ終わるころ、見慣れたキャンピングカーがやってきた。トラの前の駐車スペースに止まる。

 

 プロ冒険者である爺さんは必要に応じて遠方のダンジョンを踏破に行くことがあるが、遠方のダンジョンでは近くに宿がないというケースも存在した。

 

 そんなときに寝泊まりができる足としてキャンピングカーを使用するために爺さんはキャンピングカーを購入したらしい。

 

 必須ではないがあると便利なアイテムである。最も学生のトラには関係のない話なのだが……

 

 やがて、キャンピングカーが止まり、運転席からダンジョンから産出された繊維で作られた法衣を纏った破戒僧――もとい、爺さんが降りた。

 

 奇麗に沿ったつるつるの頭に状態異常防止用のサングラスを付けており、見た目には明らかにカタギではないという雰囲気を醸し出している。

 

 既に慣れてしまったトラは気にすることはない。

 

「爺さん、お疲れ……真那はどこにいるんだ?」

 

 爺さんはトラに頷くとキャンピングカーの居住スペースを指し示した。

 

「うむ。トラよ。真那は居住スペースにおるぞ。わしは探索に必要となる物資を買ってくるから先に入っておれ」

 

 そういうと、爺さんはエクスプローラ・マートに入っていった。

 

 爺さんの発言に嫌な予感を覚えた。真那の好物のチョコレートケーキがどの程度ご利益を持ってくれるか。ご利益があることを祈りつつトラは居住スペースのドアを開ける。

 

 ドアを開き、キャンピングカーの中に入る。そこには今年から中学生になった幼馴染がいた。

 

 中学生になったばかりとは思えない豊満なバストとそれと相反する可愛らしい幼い顔立ちは不機嫌そうだ。普段はストレートに伸ばしてい髪を動きやすいように三つ編みに纏めていた。

 

 ただし、本人は胸が大きいことがコンプレックスらしく、指摘されるのを好まない。そのため、普段は胸が目立たないように少しダボダボのコートを身に纏っていた。

 

 本日は装いが違って尼僧服である。恐らく高い防御力を持った服なのだろう。明らかにダンジョンへ挑むための戦闘装束である。

 

「お……おつかれ、真那。ケーキ買ってきたんだ。とりあえず、食わねぇか?」

 

 チョコレートケーキを机の上に置くトラにとてもやさしい笑顔を浮かべる真那。笑顔とはそもそも攻撃的なものだったよなぁと、どこかで聞いたような知識が脳裏を巡った。

 

 涼やかで聞き取りやすいソプラノが鋭くトラを問い詰める。

 

「トラ……冒険者になったんなら連絡しなさいよぉ……私だってすぐ教えたじゃない!!」

 

 鋭く、怒気を込めた発言。憤然と自分の怒りをストレートにぶつける真那の言葉にトラは内心白旗を上げる。

 

 この幼馴染に口先の誤魔化しは通じない。こういう時はストレートに謝るしかない。自分の経験を信じトラは真那に応える。

 

「悪かったよ。早くダンジョンに潜りたくて、そればかり考えてて、連絡を後回しにしちまった」

 

 トラは探索から帰ってから椚木家によって話せばいいと考えていただが、それではだめだったらしい。

 

「ふ~ん、トラは私よりダンジョンを優先したんだ。」

 

 真那はいつもより絡む言葉を続ける。どうやら、相当逆鱗に触れてしまったらしい。トラは蛇に睨まれた蛙になったかのように硬直した。

 

 こうなった真那はかなり厄介である。最悪は彼女の姉である真帆の助力を得なければなるまい。―――味方してくれない可能性が高いけど

 

 どう言葉を返そうか悩んでいたトラを見ていた真那はふぅっと溜息を吐いた。おもむろにトラの鼻を指先でつまむ。

 

「まぁ、あんたが冒険者になったら、居てもたってもいられなくなるのは予想ついていたわよ。」

 

 軽くつまんで引っ張りながら、言葉を続ける真那。

 

「で・も・ね。可愛い幼馴染に連絡を忘れるのは許せないわよねぇ……今度ショッピングに付き合いなさい。荷物持ちでチャラにしてあげるわ。」

 

 そういって指先でトラの鼻を引っ張って勢いよく指先を放す真那。

 

 鼻の痛みに耐えながらトラは、安堵する。真那は一度約束したことは覆さない。どうやら今回はこれで許されたようだ。

 

「はいはい、分かりましたよ。お嬢様。」

 

 トラの返事にちょっと不満げに口をとがらせる真那。そして、まだ怒っているんだぞと言葉を続ける。

 

「トラ~~ぁ、許してあげたのにどうしてそんな返事をするのかなぁ?」

 

 それから10分ほどトラは真那に対し、コメツキバッタの様に頭を下げ、どうにか機嫌を直してもらおうと頑張った。

 

 それは買い物を済ませた爺さんがキャンピングカーに入るまで続いたため、呆れたような視線を二人は向けられてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3人にお茶とケーキが配られ、仕切り直すと、爺さんが改めてトラに確認を始める。師匠として今後の教育方針を考えるためにもカードの確認は必須だった。

 

「トラよ。どんなカードを入手したのじゃ?」

 

 爺さんの問いかけはごく真っ当な問いである。師匠である爺さんに隠し事は不要だ。兄・政信より購入したカード5枚をテーブルの上に並べる。

 

 "蓑草鞋""さくぞうす""銭霊""苧うに""ブラックヴォルガ"―――Dランクが2枚、Eランクが3枚

 

 さくぞうすをみた真那がげっそりとした表情を浮かべ、蓑草鞋を見た爺さんが首を傾げる。

 

「トラぁ、なんでジャパニーズエロゲモンスターなんて買ったのよぉ……それにこんなにたくさんどこで買ったのよ」

 

 真那の質問はまぁ当然と言えば当然の質問である。別に隠すようなことでもない。トラは素直に応えることにした。

 

「兄さんからだよ。買ってくれって頼まれたんで、購入したんだよ。全部セットで110万円」

 

 その言葉に爺さんと真那がおやっと首を傾げる。トラの兄である政信は☆2の冒険者である。Dランクのモンスターを売る余裕なんてないはずだし、それに彼はかなり吝嗇だ。弟と言えど、いや、弟だからこそあの手この手で暴利をむさぼろうとするだろう。

 

 そんな二人に多分だけどとトラが言葉を続けた。

 

「いや、兄さんは彼女とのデート代がなかったみたいで……それを補填するためにオレに売ったんだと思うよ。」

 

 弟としての情けでキャバクラのことは言わないでおく。それを聞いた爺さんと真那は納得をした。お金とはタイミングによって価値が変わる。必要な時に必要なだけの金を手に入れるために売ったのだろう。

 

 札商にコネのない兄・政信では冒険者協同組合しか売る先はなく、これらを全てを売っても70万といったところか?

 

「運が良かったわね。政信さん、吝嗇なところあるし―――」

 

 トラの幸運を素直に喜ぶ真那。それとは対照的に爺さんは苦笑いを浮かべる

 

「全く、あ奴は……まぁそれは良い。トラよ。今日のダンジョン探索はわしと真那が付き添うぞ。真那も初陣じゃ。―――それで準備はどこまでできておる?」

 

 爺さんは政信に対し仕方の無い奴だと苦笑いを浮かべ、それはさておいてとトラに事前準備の確認をした。あまり位に不足していれば拳骨をくれてやるつもりである。

 

 トラは師匠のチェックに対し少し緊張をして素直に答えることにした。

 

「ダンジョンマップは購入済み。電子データと紙、二種類用意した。靴と服は防水効果のあるマジックアイテムを使って対策する予定。行動食は先ほど購入したよ。今後は余分に買ってブラックヴォルガに詰んで置く予定だ。」

 

 リュックの中身を見せながら説明を始める。ナイフやロープなど、細々とした道具を見て爺さんは頷いた。

 

「防具はどうするつもりじゃ?」

 

 不足しているとすればここだろう。必須ではないがあった方が良い。防具の一枚が生存率を分けるケースも多々ある。

 

「蓑草鞋、若しくは銭霊を装備する予定だ。Fランクダンジョンならそれで防御力に不安は発生しないって考えている。」

 

 想定していた回答。及第点とだろう。出来れば防具は先に買っておいてほしかったのだが……予算の兼ね合いもあるので仕方がないと考えた

 

「まぁ、及第点じゃな。防具は早めに購入しておくのじゃぞ――…運が悪ければFランクでも死ぬからの。」

 

 現役のプロ冒険者の発言には重みがあった。実際に爺さんは探索用の防具を身に纏っておりFランクとは言え甘く見ていないのを装備が証明していた。

 

 その周到さに舌を巻く。とは言え、トラはカードを買ったばかりであり防具にさく予算など存在しなかった。

 

 そういえばと孫娘である真那も尼僧をきちんと装備をしているいた。防具がないのは自分だけである。

 

「予算ができたら、早めに買うよ。」

 

 そのトラの声に爺さんは重々しく頷いた。

 

 そして、長々と続けば説教に変わる危険性を察知したトラが話題を強引に切り替える。

 

「ダンジョンで得たアイテムは3分割で良いのか?」

 

 そう問いかけたトラに爺さんは否と言う。

 

「まぁ、わしはいらんよ。トラが冒険者となったご祝儀としておこう。真那と二人で分けなさい。」

 

 トラは少し考え、爺さんの心遣いを受け取ることにした。プロ冒険者である爺さんにとってFランクのダンジョンで得る利益はハシタ金だろうし

 

「分かった真那と山分けにするよ。それでいいよな。」

 

 トラの問いに真那はそれでよいと頷く。頷いた真那を見てトラは更に続ける。

 

「ただ、持ち帰れないオーブの類が手に入ったらその場で相談としよう。持って帰れないし」

 

 捕らぬ狸の皮算用をするトラに真那は意地の悪い表情を浮かべながら、言葉を返す。

 

「ん、そうね。それが良さそうだわね。でも、あまり期待はしないでおくわ。」

 

 2階層しかないダンジョンだしねと続けた。トラもその言葉に苦笑いを浮かべる。

 

 期待をするのは良いだろう。ガッカリしたとしてもまぁ、楽しみではあるのだから

 

 トラはこれ以上確認することがないと判断すると爺さんと真那に向かってダンジョンへ行こうと告げる

 

「じゃ、行こうか。」

 

 その言葉に頷き、トラたちはダンジョンへと向かっていった。

 




エクスプローラ・ストア

ダンジョンマートに強烈なライバル心を持つ社長が作り上げたコンビニ
主に地方都市で店舗を増やしており、ダンジョンマートに次ぐ業界2位である。
シェアには天と地ほどの差があるのだが……

ちなみに、社長は嫁さんの尻に敷かれている恐妻家
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