宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》   作:朱色の空☁️

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ヤマトシリーズってヤマトメインで話書いているので、海外管区の描写無いんですよね……
という事で、豪州艦隊に出て来てもらいました

あと、3199第3章見たいです……


Iron boomerangs don't sink -AW4年3月2日-

 AW4年3月2日

 第11番惑星 人工太陽周回軌道上

 第5防衛艦隊実働艦隊

 旗艦 ナガト型航宙巡洋戦艦アイアン・ブーメランAMD[Erinaceus(エリナケウス)]

 

「ガミラスと地球の合同管理区。第11番惑星ねぇ」

 

「もともと冥王星じゃなくてこっちを基地化しようとしてたらしいんですけど、人工太陽が不機嫌過ぎて当時は断念したらしいんです。なんでも、ちょっとの衝撃で波動共鳴起こして艦を鉄の棺桶にするとか」

 

「アレ大丈夫なんだよな」

 

「ちゃんと改善はされてますって」

 

「仕方ないですよコレばっかりは。合同特区になったって事は俺らも持ち回りでここを守らないといけないんですから」

 

 士官の説得を聞き、アーノルド・クレッグ宙将補は渋々納得した。顔面の大きな傷跡と眼帯がトレードマーク。立場と見た目から「キャプテン・クレッグ」とも呼ばれる彼はガミラス戦争を生き抜いた貴重な指揮官で、旧豪州艦隊が壊滅した事で乗る船を失い、彼は終戦まで生き延びる事が出来たのだ。

 

 やや粗暴だが命令は確実に遂行する。厳つく見えるが人情味がある。あの厳つさなのに家族がいる。オマケに猫を飼っている。見た目とのギャップもあり部下に慕われ、今は第5防衛艦隊の旗艦を預かる身となっている。

 

「んで、軌道上ってのはなぁ……ここ惑星だろ。デカい小惑星じゃなくて」

 

「間違いなく惑星です」

 

 基本的に太陽系内の惑星、各衛星キャンプ地には各防衛艦隊の実働艦隊が駐留する事になっている。地球、月面、フォボス、カリスト、エンケラドゥス、トリトン、冥王星。そして、第11番惑星。駐留の方法はさまざまで、月面なら専用ドック、その他衛星なら衛星付近で軌道に入り周回、冥王星ならガミラス太陽系駐留基地、地球なら洋上だ。

 

 その中でも例外が、第11番惑星だ。

 人工太陽で照らされるこの惑星は人類が居住できる程度に環境改造されているとはいえ、それでも海面に流氷が浮かぶ程度には冷えている。ならばドックか、いやドックでもない。KREDITの復興開発が地球に集中している為系外惑星まで手が届いておらず、艦艇を収納できるドックはない。

 従って、第11番惑星で駐留する際は人工太陽の軌道上で待機するしかないのだ。

 

「まぁギャーギャー言っても仕方ないか。KREDITも来てくれてるから軌道上でメンテも受けれるし」

 

「ですね。それに、この船の名前も縁起いいですし」

 

「投げたら戻って来ますからね、ブーメランって」

 

「だからってヤバいとこに投げるかねぇ。持ち回りで守ってるんだけど、ここは明らかにババ抜きのババだろうがピピッピピッ何かいたか?!」

 

 レーダーに何かが捉えられ、艦橋要員が一気に気を引き締める。クレッグの頭脳は一気に戦闘体制に引き上げられ、キャッチした物体の解析が始まる。

 

「未識別の重力震確認。何か出ます」

 

「ガミラス艦か?」

 

「ならそれだと分かります。ババを引いたのは俺らですね」

 

「よぉーし。全艦に第1種戦闘配置かけろ。黄緑野郎が来やがったぞ」

 

(おっかしいなぁ。オキタ総司令の話だと彗星は小マゼランにいるんじゃなかったのか?)

 

「おい。統合庁舎に彗星の位置を再調査させろ」

 

 事情を聴いているクレッグはガトランティスの動きに疑問を持ち、通信士に命令をした。白色彗星は20万光年程離れている小マゼランにいる筈で、艦艇が無補給で移動できるような距離ではない。しかし白色彗星はガトランティスの拠点で移動可能。それに艦艇を搭載している。もしやと思ったが、調査は地球に任せて今は目の前の敵に集中する事にした。

 

「よぉーしお前ら。ババを引いちまったんだ。やるぞ!」

 

 

 ━━━━━

 

 

 

 第三新東京市

 WILLE統合庁舎地下統合指令室

 

 

「第11番惑星でガトランティスが出現した。今は第5の実働艦隊とガミラス艦隊が動いている」

 

「アイアン・ブーメランからの通信では白色彗星の位置の再調査をするようにと入っていたが、どうか?」

 

「……位置が大きく変わっています。小マゼランにいる筈だったのですが、今は旧バラン星宙域です」

 

「第11番惑星の戦況はどうか」

 

「駐留中の第5防衛艦隊実働艦隊が交戦中です」

 

「よし。第5の待機艦隊を回せ」

 

 

 ____

 

 

 ──豪州シドニー宇宙港(第5防衛艦隊母港)

 

 

「皆聞こえるか。WILLEのトップから直々のご指名だ。我らがアイアンブーメランを帰す為にお出かけの時間だぞ」

 

『分かってるからサッサと管制しろよハーキュリー』

 

「はいよ~シドニーコントロールから待機艦隊に通達。第11番惑星で防衛戦を展開する実働艦隊の救援に向かえ。All Weapon's freeだ。ガト公に礼儀の講座をしてくれ。オーバードウェポンの換装希望の艦艇はすぐに言ってくれ、KREDITが早着替えさせてくれるぜ」

 

『待機艦隊旗艦サーベラスAMD[Lohengrin(ローエングリン)]よりシドニーコントロール。早着替えの必要はなさそうだ。このままの装備で向かう』

 

「了解だ」

 

 管制室で移動指示が飛び交い始め、シドニー宇宙港は慌ただしく動き始める。岸壁で身を休めていた艦艇に火が入り、錨が上がる。

 

「アランタはそのまま進んでくれ。ワラムンガはキブロンが出るまで待ってくれ」

 

「エアーズロックとアウトバック、アンザックはそのまま直進だ」

 

 海岸線に沿う様に建設されたシドニー宇宙港は極東の宇宙港よりは広く出来ているため、待機艦艇とドック整備の艦艇を合わせた68隻を凌ぐ数を迎え入れる事が出来る。それでも34隻の艦艇を一気に移動させる事はそう簡単な事ではない。しかしシドニー宇宙港の管制官はそれでも連携し合い、もたつかず、事故も起こさずに数隻ずつ小分けにして出撃させていく。

 

 無事に港から出た艦艇から1隻、また1隻と離水する。主翼を展開して高く高く上っていくと大気圏を突破して重力圏から離脱する。

 

「グットラック。戻って来いよ」

 

 

 


 

 

 

 ──第11番惑星から3万キロ

 ナガト型アイアン・ブーメランAMD[Erinaceus(エリナケウス)]

 

「後ろに指一本触れさせんじゃねえぞ!!」

 

「Sir, yes, sir!!」

 

 アイアン・ブーメランの主砲が火を吹き、ガトランティス艦が一気に3隻撃沈した。第5防衛艦隊実働艦隊は第11番惑星を背にして敵艦に腹を見せた戦闘を行っている。通常であれば被弾面積を押させるために敵艦に対し艦を立てるのがセオリーだが、第11番惑星には民間人がいる。ガトランティス艦の流れ弾を通すわけにもいかず、波動防壁を片舷に集中展開して防衛線を展開していた。

 

 ラスコー級の量子魚雷が波動防壁に直撃し、また被弾経始圧が大きく削られる。艦隊全体の損害はゼロ、という訳にはいかなかった。30隻撃沈するまでに既に有人艦1隻、遠隔操作艦が2隻落とされた。

 

「艦首を向けれれば良かったんだがそうもいかねぇな。民間人退避はどうだ?」

 

「全体の30%が終わってます!」

 

「急がせろ。増援来るまで持ちこたえるぞ」

 

「ナスカ級確認、射程圏外です」

 

「インディア隊、オンボロ空母を潰せ!」

 

 命令を受けたコスモファルコンspec2がナスカ級に飛び掛かる。ガトランティス艦の猛烈な対空を避けるために真下、または真上から奇襲をかける。機体下部に格納していたミサイルを展開するとためらいなく発射し、ナスカ級を火だるまに仕上げた。

 

 しかし火だるまになる前に発艦していたデスバテーダーが実働艦隊に飛び掛かる。機体下部に抱えた大型ミサイルを放ち、波動防壁に大きな波紋を作る。

 

「あんちくしょう何機か出ていたのか。インディア隊に引かせろ、蜂の巣にしてやる」

 

 クレッグが獣のような笑みを浮かべると指示を出し、アイアン・ブーメランの両舷に取り付けられたオーバードウェポンが稼働し始める。

 

 空を真っ赤に染め上げる対空砲火。初めて実戦投入された時の目標は不幸な事に友軍だった。そんな不名誉を抱える事となったが、その対空火器群は正しい目標に向けられた。

 

「バルトロいいか!?」

 

「おう! 撃っ!」

 

 FL乗組員のバルトロ・リーバンテインがホロで形成した弓を構える。大きく引いた弦を離すと矢は放たれ、ホロの矢は数えきれないほどに分裂して飛び去った。そう、数え切れない程に。

 

 エリナケウスに搭載された全ての速射高角光線砲塔が掃射を開始し、デスバテーターが豪雨にのまれて消し飛んだ。瞬く間に宇宙空間を埋め尽くすほどの光条が奔り、航空機は勿論撃墜、ラスコー級やククルカン級といった巡洋艦や駆逐艦の装甲をスイスチーズのように穴だらけにして武装も使い物にならなくしてしまった。

 

「エグいなこれ。8番浮遊大陸んの時の大戦艦と同じじゃねえか?」

 

「まぁ何でもいいだろ。ガミラス戦争ん時とは一味も二味も違うんだぞ。ピピッピピッ今度は何だ! どっからだ!」

 

「前方からワープアウト来ます!」

 

 三角形を無数に重ねたワープエフェクトが広がり、メダルーサ級が2隻、そして護衛役であるラスコー級とククルカン級が複数隻同時にワープアウトし、さらに20隻が増えた。

 

「数20! また出てきやがった!」

 

「あんにゃろう増えやがった。薙ぎ払えるか?」

 

「アレ、やりますか?」

 

「やるしかねぇだろ待機艦隊が来るまでもたせるんだぞ!」

 

 第11番惑星とそこに住む民間人の非難が完了するまではココを動けない。今の完了率は65%。まだまだだ。

 

 ラスコー級とククルカン級が肉薄する。ビームを撒き散らすような砲撃は命中精度は低いが威力は馬鹿に出来ない。既に波動防壁に何十発も命中していて被弾経始圧が擦り減っている。奥の手として装甲に回す電力を最大にしてまるで赤熱した鋼のように光る艦体も見られた。

 

 そんな状態でも、すでに防壁を破られて被弾したユキカゼ型もいる。ユキカゼ型は駆逐艦故にどうしても機関出力で劣り、防壁強度と被弾経始圧も低い。どれだけ強度の高い装甲を用意しても光学兵器にはそう何十発も耐えられない。耐えられて10発程度だ。

 

 しかしどれ程優れていても無敵ではない。波動防壁が消滅した1隻のユキカゼ型の舷側に量子魚雷が食いつき大爆発を起こす。その時点では辛うじて原形をとどめていたが、直後に追撃の陽電子ビームを受けて制御を失い爆発した。幸いにも遠隔操作艦であったが、これが有人艦だったらと思うとゾッとする。

 

 

「エンデバー、ガリボリから入電。ローエングリン発射態勢に入ります」

 

「よぉーし頼むぞ。我らが第5防衛艦隊の得意技、ローエングリン斬りだ」

 

 ナガト型巡洋戦艦エンデバー、ガリボリの艦首VSPSTと両舷のローエングリンが動き出す。波動エンジンが低く唸るような音を響かせ、艦全体にかすかな振動が走る。

 砲口に灯る水色の光が砲口に収束し、膨張しながら放たれる直前の光が周囲を照らし出す。予備チャンバーにも莫大なエネルギーが流れ込み、発射までのカウントが秒単位で刻まれる。

 

「エンデバー、ガリボリ発射準備完了」

 

「ぶちかませ!」

 

 刹那、4条の極太の光が砲口から放たれた。

 しかしその光は敵艦を射抜く物ではなかった。

 

 

「取り舵一杯スラスター最大出力! ぶった切れ!」

 

『『どおりゃぁぁぁぁあああああッ!!!』』

 

 エンデバーとガリボリが艦首と艦尾の姿勢制御スラスターを全力で吹かし、猛烈な勢いで左回頭を開始する。

 まるで宇宙空間で巨大な剣を振るうように、照射されたローエングリンが敵艦隊を薙ぎ払う!

 

 

 

 

 光学兵器は実弾兵器とは異なり「薙ぐ砲撃」が出来る。エネルギーと砲身、回路が持つ限り持続的に発射できてしまうその兵器は、砲塔を回す事でビームで「敵艦を切り裂く」ような攻撃にも使用できる。実際にガミラス軍も、ガトランティスを相手にして使用したことがある。

 

 なら、これをもっと大きくすればどうなるか。これをオーバードウェポン級の火力でやってしまったのが第5防衛艦隊だ。

 

 艦首方向にしか撃てないから加害範囲が狭いと言われがちな砲撃系オーバードウェポン。しかし、第5防衛艦隊は艦隊機動を駆使し、これを最大限に活かす戦術を編み出した。

 

 エンデバーとガリボリは予備チャンバーも開放してさらに照射を続ける。波動エンジンがエネルギーをつぎ足し続け、発射された光条が敵艦を灼く。爆発する艦。装甲ごと蒸発する巨艦。

 

 第5防衛艦隊の必殺戦法──《ローエングリン斬り》その名の通り、敵艦隊を切り裂いた。

 

 

 

 

「照射終了。エンデバー、ガリボリ、一時離脱します!」

 

「おう。大分疲れるからなそれやったら」

 

「11番惑星軌道付近にワープアウト反応!」

 

「どっちだ!」

 

「識別信号確認、第5の待機艦隊!」

 

 第11番惑星の影から大量のミサイルが飛び出し、ガトランティス艦隊に殺到する。ラスコー級とククルカン級が輪動砲塔を乱射して幾つが迎撃に成功するが、ミサイルの爆発で何かが散布された。

 

「これは……! 良い小道具持って来てくれたじゃないか!」

 

 ミサイルが散布したのは光学兵器かく乱幕だ。激烈に帯電したナノ粒子が宙域に散布される事で、陽電子ビームといった「帯電した粒子を収束して撃ちだす光学兵器」の直進と収束を阻害する事が出来る。極近距離で撃ち込まない限りまともなダメージが入らない。

 

 問題があるとすれば、このかく乱幕は敵味方問わず作用する事だ。だからこちらの兵装が三式弾やミサイル、カミナリサマといった実弾系兵器に絞られてしまう事が唯一の欠点だ。

 

「全艦隊実体兵器に切り替えろ! 大盤振る舞いしてやれ!」

 

「左舷短魚雷発射管、VLSも全弾装填!」

 

「第1から第4砲塔に三式装填! ブチかませ!」

 

 第2世代艦は、Wunderと同じように三式弾を発射出来る。ミサイルや魚雷といった誘導兵器も多数そろえている。ビームを封じた戦闘でも優位に立ち回れるはずだ。

 

 波動防壁越しに短魚雷が放たれる。ククルカン級が砲塔を連射しようとするがかく乱幕の影響下である為拡散してしまう。獰猛なピラニアは敵艦に突き刺さると装甲を吹き飛ばし大きく姿勢を崩させる。そうして怯んだところに更に短魚雷が食い付きまた爆発。ククルカン級は無残な残骸となった。

 

 ククルカン級は光学兵器に極端に特化した艦艇だ。高射輪胴砲塔と単装型砲塔、量子魚雷噴進機しか持たない為、かく乱幕散布宙域では鉄の棺桶となる。魚雷やミサイルの発射能力がないという事は、そういう事が起こってしまう艦艇だという事だ。

 

 

 だから、待機艦隊の布陣が完成するころには、ククルカン級の無残な残骸がデブリ宙域を生み出していた。

 

「退避の方はどうだ?」

 

「あと5分で全ての避難船が冥王星付近にワープします」

 

「冥王星だと?」

 

「壁のお陰でダイレクトワープが出来ないんです。一度冥王星で受け入れてもらってからKREDITのアントノフとか輸送艦で地球に送ります」

 

「了解だ。ここまでの損害は?」

 

「信号途絶が7。うち有人艦が2です。残存はうちと増援含めて60です。大破なし。中破10、小破15」

 

「有人艦が2隻も落ちたか……すまねぇ」

 

「100隻近くの敵艦を相手にして損害がこれだけなんです。ベター、ではあると思います」

 

「出来れば、ガミラス戦争ん時みたいな犠牲は出させたくねぇんだよ」

 

 クレッグが眼帯を抑えて声を震わせる。ガミラス戦争で宇宙巡洋艦キャンベラで艦長として指揮を執った時、乗員の殆どを死なせてしまい顔に大きな傷を負った。自艦の性能、ガミラス艦の基礎能力の高さといった要因は多々あったにせよ、それは彼を過去に縛る鎖となっている。

 

「民間人避難全て完了。ガミラス冥王星基地での受け入れを確認しました」

 

 報告を受けたクレッグは軍帽を被り直し、次の指示を飛ばす。

 

「主砲が使える艦は舳先を敵艦隊に向けろ。かく乱幕の濃度は?」

 

「現在30%です。この濃度なら、我々の砲撃で攻撃できます」

 

 これで後ろの人命を気にしなくてもよくなった。重たいハンデを降ろした第5防衛艦隊60隻は艦首をガトランティス艦隊に向けた。

 

「5速にしろ、確実に仕留めてやる」

 

「yes, sir。5速設定完了。照準を敵艦機関部に。良いか、1番エネルギー反応が高い部分だからな。砲塔管制室、よく狙えよ」

 

『分かってるって。狙った的は外さないぜ』

 

「女心は射止め損ないまくってるけどな。艦隊ネットを使って狙いがダブらないようにしろよ。無駄弾は避けろよ」

 

『分かってるって。許可だせ許可』

 

「聞こえているぞ。全艦隊ブチかませ!!」

 

 クレッグの指示で61隻の艦隊から陽電子の束が飛び出した。まるで流星群のようだが、それは戦う為の力であり、敵を倒す為の矢、殺す為の矢だ。5速に設定された高貫徹付与の砲撃は艦首に突き刺さると、その初速と高圧縮に任せて艦内を真っ直ぐ突き進み、機関部を直撃した。エンジンも食い破った光の矢はそのまま艦尾へと抜けていき、無数の艦艇が花火となった。

 

 

 

 

 

 

 戦闘開始から4時間後。第11番惑星沖にはデブリベルトが出来上がっていた。

 

 

 


 

 

 

 ──地球 北極基地

 

「搬入リストの86パーセントまでクリア。相変わらずの大食いさんですね」

 

「地球一の大食漢ですからね。さて、お客さんはもうそろそろだ」

 

 北極整備拠点。流氷が浮くこの極寒の海は、芦ノ湖に代わってAAAWunderに用意された整備拠点だ。簡易整備だけでもかなりのスペースを取るAAAWunderにとって芦ノ湖という環境は手狭であり、新しい拠点が早急に求められた。太平洋上に整備基地を設ける事を考えたが、世界各地の集積基地から物資を集める都合上「何処から行っても大体同じ距離」である事が求められた。

 

 一度南極大陸が候補に挙がったが、AAAWunderは着陸する事が出来ない。強引にしようものならその膨大な自重で氷床が砕けてしまうのだ。

 

 という事で北の果て、北極海が選ばれた。

 

『AAAWunderから北極整備拠点。応答せよ』

 

「はいよ。こちら北極整備拠点。受け入れ態勢はOKだ。……ちなみに聞くが、今誰が動かしているんだ?」

 

『僕、ハルナ、真田さんの3人ですけど?』

 

「いつから超戦艦は3人乗りの軽自動車になったんだ? まぁいいや、スペースは確保している。整備艦も一旦飛んでもらうから遠慮なく慎重に降りてくれ」

 

『了解。通信終了』

 

「という事で全艦傾注。お客さんのお出ましだ。大波で潰されないように一旦上空に退避だ」

 

 北極整備拠点に緊急退避指示が発令され、甲板上の整備員が艦内に入る。そのまま速やかに離水し散開し、AAAWunderの着水に備える。流氷もお構いなしに砕いていける特大サイズの艦艇はただ洋上を進むだけで大津波が生まれる。速度をギリギリまで抑えて微速前進でようやく10mクラスだ。だから、波が来ようが関係ない上空に全艦隊退避する事が重要なのだ。

 

 北極海に着水したAAAWunderは微速前進で慎重に整備拠点に入る。流氷が波にのまれて荒れ狂い、砕かれ、押しのけられる。そうして慎重に押しのけて慎重に停止したAAAWunderの周囲に整備艦艇が集合していき、各種ハッチの開放に動いた。

 

「んじゃ搬入作業始めるぞ。弾薬とオムシス用有機物は特に慎重にな」

 

「まさかコイツを洋上整備する羽目になるとはな」

 

「仕方ないだろ。鳥籠はもう使えないんだから」

 

 そう、彼らは99年時に「Wunder」の建造に関わっていたのだ。アフリカ管区の輸送船で勤務していた彼らは終戦後まで生き残り、今は復興に向けて輸送と整備に携わっていた。その彼らにとっても、AAAWunderは特別な存在だ。途方もなく大きく途方もない技術が詰め込まれ、途方もない冒険をしてきて帰って来たのだから。

 

「乗員の方はどうなってる?」

 

「先日、WILLE側で最優先命令として志願者に対し招集がかかりました。集められたのは大体600人。自動化がある程度進められたのでこの人数でギリらしいですが」

 

「FL君達はどうするんだ?」

 

「それが、受け入れ態勢は改修から外したみたいで無しなんです。まぁ、地球の防衛の件もありますから、彼らが1人でも多く残ってくれるのは助かります」

 

「だな」

 

 

 __________

 

 

 

 ──数日後

 

「冷えるわね……」

 

「まさか北極に連れてこられるなんて。でも、納得かもしれない」

 

 最優先命令で集められた旧Wunder乗員は北極に訪れていた。洋上、空中を整備艦艇が取り囲み最終チェックと物資搬入作業が進められていく中、古代達はそのまま艦内に案内された。99年の頃から全く変わっていない道と部屋の配置に懐かしさを覚えながら、航海艦橋に入った。

 

 ヒルムシュタムタワーが戦闘艦橋から伸び、枝分かれしたアームに座席とコンソールが配置されている。就航当時のまま、新品状態だ。ただ違うのは、奇妙な形をしたコックピットがヒルムシュタムタワーに取り付けられている事だ。

 変わった形の操縦桿と仰向けに寝そべるように座る座席、そしてその後部に縦に鎮座する巨大なディスクが特徴的だ。

 

「元通り……じゃない?」

 

「自爆で吹き飛ばされた時にはどうなった事かと思ったよ。で、アレなんですか?」

 

「当時の計器を可能な限り使ってるよ。配置が変わったりするとモチベ下がると思ったから」

 

 そういってピースするハルナはいつも以上に明るい。要約修復と改修が完了し再誕したAAAWunderをお披露目するのが嬉しいのだろう。

 

「いやだからあのコックピットなんですかって」

 

「じゃあ色々伝えるから幹部は第1会議室に集合。その他乗員は懐かしの食堂で待機、以上だ」

 

 

 

 _________________

 

 

 

「在太陽系ガミラス大使館駐在武官。クラウス・キーマン中尉だ。アドバイザーとして、ヴンダーに乗艦する」

 

「今回の航海ではガミラス側の知識も必要になる。バレル大使からの要請で今回の航海で同行してもらう。思う所はあるかもしれないが、決定事項だ」

 

 メルダという前例があったとしても、ガミラス人が乗り込む事にはまだ抵抗がある。キーマンの紹介で皆「どうするんだよ」と顔を見合わせるが、リクはその素性に違和感を感じた。それはハルナも感じ取っていて、この場の誰にも分からないように思念だけで会話をしていた。

 

(口悪いけどバーカ。変なこと考えてるなら無理だからね~分かるから)

 

(こらこら。でも、立場がやや複雑だ。黒って訳じゃないけど、黒になれる灰色って感じだ)

 

 一先ず警戒をしておこう。そう決めたハルナはキーマンの心に触れようとしたが、キーマンにジレル人みたいだと警戒されても困るのでやめて、時間をかけてコッソリと見る事にした。ガミラス人にもATフィールドがあるのかと疑問に思ったが、メルダがtype-nullに乗れていた以上「ある」としておこう。

 

「何が出来る、キーマン中尉」

 

「テレザートへの道案内兼アドバイザーとツヴァルケの操縦だ。駐在武官である以上、一通りの事は熟せる」

 

「分かった。加藤、キーマン中尉は航空隊に入ってもらう」

 

「お前な、そもそもコイツの腕が分からん以上すぐには決めれないぞ」

 

「後でシミュレータでもやってみればわかる筈だ。ガミラス式も真希波さんが作っていた筈だ。ですよね?」

 

「ニャハハ……そこの金髪君のお気に召すかはさておき。あるっちゃあるんよ」

 

「じゃあ次に、改装内容を頼む」

 

「改装のおかげでまた名前変えることになったけど気にしないでね。今の名称は、超広域強襲制圧航宙戦闘母艦AAAWunder。21世紀当時の名前を借りてるよ」

 

「あとはこれ。大筋は変わらないけどマニュアルだ、で、改修箇所なんだけど結構ある」

 

「……一応聞きますけど、何をしたんですか?」

 

「えーとね、武装を強化しながらソフト面を21世紀での就航当時のものに近づけて最適化したの。取り敢えず砲塔の口径を上げた。主砲で80センチ、副砲で46センチ。副砲のは主砲にVSPSTを組み込んだリサイクル品ね。あとは」

 

「ちょっと待って下さい80?!」

 

「うん、80。今までが小さすぎなのよ。技術限界があったので仕方なくって感じだったけど、オーバードウェポンのお陰で口径も上がったよ。その分要求量あがったけど」

 

 恐る恐る聞いた古代も、この時点でお腹いっぱいな改装内容に諦めた。主砲口径が上がるという事は攻撃力が上昇したという事に繋がる。喜ばしい事なのだが、ここまで極端に大口径化されると喜びを通り越して苦笑いしてしまう。

 

「あとはタナトス標準搭載。外装じゃなくて、内蔵式。それと格納庫が進化して、航空隊格納庫と戦術機格納庫を分ける事になったの。航空隊は左舷側、戦術機は右舷側。一応秋水と新2も受け入れ可能で、強襲制圧の名に恥じない性能になったよ。対空もエリナケウスを参考にして高密度化、弾幕と言うより弾壁が出来るよ。後はコスモリバースを降ろして波動砲を搭載し直したの。99年版の設計図をそのまま使って再製造したよ。あとはオーバードウェポンコネクタをできる限り付けて見たよ」

 

「じゃあコスモリバースはどこに置いてあるんですか?」

 

「どこって、クロノスに研究解析名目で回されてるよ。と言っても、葛城艦長の魂が残ってるかもしれないからおいそれと触れないのよ」

 

「しつもーん。新2と秋水って変形させてから格納するの?」

 

「人型で入れて。パレットを飛行形態にも対応させる時間が無かったの」

 

「ん、分かったわ。そっちの方が整備しやすいから別に構わない」

 

「良かったぁ~。間に合わせるために色々省いちゃったから、心配だったの」

 

「えっ、()()()省いているんですか?」

 

 省いている事に気づかなかった古代は大きく驚いた。リクとハルナの説明を聞きながらマニュアルを読んでいたが、省いた部分が大きく影響しないように巧みに調整されていた事で気づけなかったのだ。

 

「うん、改修は5件くらい省いている。そのうち重要だったのが1個だけど、今までのやつを調整して目立たないようにしてある。動作は保証済み」

 

「その辺りは私が保証しよう。ギリギリの中での作業で色々時間を割いていたから、まぁ……間に合わなかったんだ」

 

「色々? ……あっ」

 

 心当たりがあった森は思わず声を上げた。ハルナとリクは事実上睡眠を必要としない。24時間休みなしでの作業が出来てしまうのでそれを前提にした改装計画が立てられていたのだが、どうしても時間を取らないといけない___否、時間を取りたい事が出来ていたのだ。

 

「あぁ、確かにそうだな。時間は取らないと」

 

「心の健康の為だな」

 

「養子とはいえ娘がいるんじゃろ。気持ちはよぉく分かる」

 

「レイちゃん、でしたっけ?」

 

 色々察した一同が頷くと、ハルナはどう答えていいか分からなくなり笑って誤魔化した。綾波の為に深夜作業を全て取り払った事は後悔していないが、私情で作業を削ったようなものなので少し不安だったのだ。

 

「えっと、その……レイちゃんと過ごしてました」

 

 誤魔化す様にさらに説明が続く。VLSの配置変更、居住区画の改善、オムシスの機能拡張。衝突炉の撤廃。波動砲の再装備と発射権限についても。

 そして、アドバンスドツインドライヴ。

 

「アドバンス? 改良をしたのか?」

 

 ツインドライヴを預かる事となる徳川が疑問を呈した。何らかの改良が施されているという事は、それを理解して運用していく事になる。今の内に知っておきたいのだろう。

 

「リミッター取り付けて同調しやすくしたんです。中央船体の衝突炉を乗せていた部分に波動ハーモナイザーを取り付けてあるので、前よりはやりやすいんですけど無しだと結構キツイです。あと、今のAAAWunderはツインドライヴでフルパワー稼働できるように改修されていますので、常に同調しているような物だと思ってください」

 

「出来れば高雄を連れてきたかったんじゃが、ダメか」

 

「ヤマトへの配属が決まってますので。さて、最後にアレについて説明しておきます」

 

 古代達が一番気になっていたあのコックピットだ。ハルナとリクは敢えてスルーしてきたがそれは無用な混乱を避ける為であり、艦橋で発表すると事態の収拾が追い付かないと思ったからだ。

 今回の集合は、第11番惑星沖戦の一件で大急ぎで集められたものだ。この説明が終わり次第各部署での調整が始まりこのまま出航となる。だから説明中の無用な混乱は避けるべきだったのだ。

 

 

「私達の娘の件は、知ってますよね?」

 

「ええ」

 

「真実を伝えると、レイちゃんは旧AAAWunderの元乗員で、現在艦内機能の全掌握を出来るほんの一握りの内の1人です。あの座席はレイちゃんが希望したコックピットを模して作ったもので、今回の航海では乗組員扱いです」

 

「ちょっと待って下さい、自分の子供を戦いに巻き込むつもりなんですか!? まだ14歳の子なんですよ!?」

 

「その事は僕も伝えた。でもダメだった」

 

「だからって!」

 

 14歳の子供を戦争に巻き込むとはどういうことか。古代は声を荒げた。間違っていると思ったら、それに抗うのも大事だ。でも、今回だけは事情が違った。ハルナなタブレットを操作して1枚のモンタージュ写真を表示した。モノアイを持った山吹色の巨人が格納庫に鎮座する写真で、「Typenull……?」とどこかからポツリと聞こえた。

 

「……汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン試作零号機。そのパイロット、ファーストチルドレン綾波レイ。それが、戦っていたころのレイちゃんだよ。出生が複雑で分からなかったけど、14歳の頃から、こっちの視点ではレイちゃんはある意味戦わされていた」

 

「僕らは、レイちゃんに一切の強制も強要もしていない。航海に同行するのは仕方が無いけど、戦ってほしいとは一言も言っていない。これは、レイちゃん自身がもう1度だけ戦いたいと思い、レイちゃん自身が決めたことだ。仮にこの選択を理解が出来なくても、親が娘の願いを尊重しただけだって事は理解してほしい」

 

 そういうと、2人は深く頭を下げた。許しを請うのではない。どの道こうなる事は分かっていたし、古代が声を荒げる事も理解していた。子供は戦争に巻き込むものではない。

 だから、綾波が「戦いたい」と言い出した時には全力で止めようとした。初めて叱って止めようともしたが、綾波の「碇君を守りたい」という強すぎる願いがあったから止められなかったのだ。

 

(碇君を、まだ、好きと言っていいか分からない。でも、今は、碇君を守りたい)

 

(お母さん、お父さん。我儘を、許して)

 

 結果、折れた。当時のコックピット___インテリアと呼ばれた物を再現しシステムに組み込む事となり、綾波が戦力となる事が決まったのだ。

 

「……リクさんとハルナさんが嘘をつかないのは分かっています。ですが……」

 

 いつの間にか第1会議室に入って来た綾波が事情を察すると、一言だけ言った。

 

「いいの、私が我儘を言っただけ。お母さんとお父さんは、我儘を叶えてくれただけ。古代、さん。私は、私の意思で、また戦う事にした。守りたい人が、いるから」

 

「守りたい人?」

 

「……内緒。でも、皆、そうだと思う。世界なんかじゃなくて、誰かの為でいい。世界が助かる事は、くっ付いてきた結果なだけ」

 

「……」

 

「全部、お父さんから聞いた事。受け売り。でも、今はそれでいい。とても簡単な理由で、とても大事な理由だから」

 

 14歳と思えないとても真っ直ぐな目で、とても強い目だ。子は親に似る、と言われるが、これではあまりにも似すぎだ。影響を受け過ぎている。時には危険だ。

 

 でも、それが綾波には良い方向に働いた。家族と、守りたい人と、守りたい理由を得た今は、零号機を駆った時よりも明確な意思が乗っている。

 

「……分かった」

 

 

 綾波は満足したように頷くと、ハルナの横に並び敬礼をした。殆どやった事が無く見様見真似で覚えたそれはかなりぎこちない。でも、それをする事に意味がある。

 

「新生AAAWunder艦橋要員、最後の乗員、睦月・レイ・綾波特務三尉。よろしく」

 

「特務三尉?」

 

「これが終わったら、ただの子供。だから、特務三尉。藤堂長官のお願い」

 

 任官当時、藤堂長官はかなり渋った。綾波の事情を知っている身としては、良心の面でこれ以上戦いに巻き込みたくなかったのだ。1つの巨大組織の長官である以上非情な選択を下す事も1つの仕事であるが、これだけは特に厳しかったと後年の藤堂は語っている。

 

 14歳の少女を軍事に巻き込むのだ。本来であればあり得ない。如何に本人の希望であっても退けるべきだが、事情が事情だった。

 

 だから、特務三尉という限定的な肩書を与えて、AAAWunderの乗員にのみ公開された人物として軍事に送り出した。「これで本当にお終いにしてくれ」と。

 

 

「はいこのお話はここまで。不満とかあるかもしれないけど、今は飲み込んで欲しい。古代くんと真田さん以外はここで解散っ! 各部署で最終調整をして1300に出航!」

 

「「「「了解!」」」」

 

 集まっていた艦橋要員がぞろぞろと退室していき、その場には真田と古代と2人が残った。

 

「古代くん。分かってると思うけど、今回の航海で沖田艦長は同行できない。ガトランティスがやって来る事が分かっている以上、地球最強レベルの指揮官は地球に残すべき、というのが上層部の意見なの。だから、今回のAAAWunderの指揮官は合同でやるよ。合理重視の真田さん、直感や感情重視の古代くん。中間の私でバランスを取る」

 

「じゃあ、リクさんは?」

 

「えっとそれはねヴィーッ!! ヴィーッ!! ヴィーッ!!」

 

 鳴り響く警報音に遮られ、ハルナは艦内の状況を把握した。義眼に転送されたレーダー情報を見ると舌打ちをした。

 

「未確認物体接近。総数6。ライブラリ照合……ドレットノート、アンノウンターゲットと確認」

 

「アンノウン?」

 

「ファルコンでも震電でも何でもない。コッチのライブラリに載ってないの。古代くん、第1種戦闘配置発令して。配置が整うまでは、私が動かす」

 

「私がって、どうするんですか?」

 

「全機能掌握できるのは、レイちゃんだけじゃないんですよ」

 

 そういうと、ハルナはバンダナを鉢巻のように頭に巻き直すと右腕を天に向かって突き上げた。義眼が赤から鮮やかな水色に代わると発光し、ハルナの周囲をホログラムが取り囲んだ。FL乗組員が自分の周囲に展開するデータ環と同じものだ。

 

「主機ATD1番2番点火用意! アナリティカルエンジンフルパワー! 全艦、発進準備!」

 

 ズシンと艦内が震え、一気に血が通ったように感じた。AAAWunderは艦艇だ、生物ではないはずだ。アダムス組織の標準搭載、往路ではコスモリバースを搭載していた事もあったが誓って艦艇だ。それでも、「睦月・ハルナ・暁」を魂にして生を得たように感じる。

 

 アナリティカルエンジンとMAGIAchiralが連携した事で規格外の演算を実行できるようになり、ハルナは単独で全権限を掌握して1人でAAAWunderを動かす事が出来る。MAGIの補助なしでやろうものなら床を転げまわる程の頭痛を引き起こす演算を実行しながら、義眼が帯びる熱を感じる。艦外では主砲が回頭を始め、既に装填されたミサイルがVLSに装填され始める。アレイアンテナも稼働を始め、一気に戦闘体制に入った。

 

「第1種戦闘配置を発令」

 

「総員第1種戦闘配置! 実体兵器戦闘用意!」

 

 艦内の全ての放送も掌握して耳馴染みの警報音を鳴らし、4人も艦橋に急いだ。




オーバードウェポン、作って良かったです
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