宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》   作:朱色の空☁️

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A magician on the battlefield. -AW4年4月2日- Part2

「1時方向凡そ10宇宙kmに重力震、ガトランティスです! 艦種識別、カラクルム級戦闘艦多数を確認!」

 

「おいでなすったよ。第1戦闘配備、気ぃ引き締めろよ」

 

「呼んでませんけどね! 震電用意、主砲打ち方用意のまま待機!」

 

 ミズーリの艦橋に一気に緊張感が走り、デブリベルトを盾にした格好で第2防衛艦隊は戦闘態勢を整えた。

 追加のお客様を盛大に出迎える為に即席で準備を整えたため皆クタクタだが、戦意は十分。ぶっつけ本番の管制もこなす覚悟だ。

 

「震電を出せ。落っことすなよ」

 

Launch the Shinden(震電発進せよ). I repeat(繰り返す), launch the Shinden(震電発進せよ)

 

 ナガト型ジェラルドRフォードAMD[Ptolemy(プトレマイオス)]から3機の震電が、両脇にマグネトロンプローブユニットを抱えた状態で飛び立った。7本を束ねたその見た目は米俵や樽のようにも見える。極東の人間が見れば「まるで門松だ」というかもしれないだろう。

 

 それを抱えて器用に飛ぶ震電はガトランティスベルトを見下ろせる宙域にまで飛ぶと、プローブユニットのロケットに着火してガトランティスベルトに向かって投げた。

 

「そうら飛んでけ!」

 

 震電の腕力で思い切り投げられたユニットは、搭乗者の運動神経の良さも相まって綺麗に直線を描いた。ユニットから切り離されロケット推進でデブリに着弾した。

 

「プローブよし!」

 

「艦体位置を把握しろ。ホルスアイ持ってる艦艇は既に配置出来てるか?」

 

「出来てます。シカゴAMD[horus eye(ホルスアイ)]と護衛駆逐艦が、ガトランティス艦隊直下射程圏外に展開しています」

 

 ガトランティス艦隊がワープアウトしたと同時に急行したタカオ型シカゴAMD[horus eye(ホルスアイ)]が観測ドローンを緊急展開し、既に正確な艦隊位置が掴めている。ホッパーはその手際の良さに口角を上げ、次の指示を出す。

 

「マグネトロンプローブ、こっから打ち込める奴に打ち込んでいくぞ! サンプソンとJPJ(ジョン・ポール・ジョーンズ)に花火を撃たせろ!」

 

「サンプソンとJPJに下令。爆雷投射機によるマグネトロンプローブの射出を開始」

 

 命令を受けたサンプソンとJPJの爆雷投射機が艦首方向に指向し、追加のプローブを射出した。これで予備の弾も補給完了だ

 

「有人無人問わず射撃用意だ。第4はまだか?」

 

「先程アリアンロッド警戒ラインを超えワープ準備に入りました。大使館と冥王星基地に連絡を入れ、臣民の盾阻害フィールドの一部限定解除を行い緊急直通ワープを行います」

 

「さっすがトウドウ長官、柔軟柔軟」

 

「長官の目の前でその態度やめて下さいね。本艦隊後方にワープ反応。第2の待機艦隊です」

 

「飛び入りゲストはやっぱ遅れて登場しないとな。直ちに作戦書を共有してくれ。んで死にたくなければ協力してくれと伝えてくれ」

 

「ほぼ確なので言わなくても良いです。『またか』程度で済みますよ」

 

 直ちに作戦書が共有され、待機艦隊旗艦ペンシルベニアから《またか。了解した》と呆れ半分の伝文が飛びすぐに了承された。その命令所に従いペンシルベニア艦隊はシカゴAMD[horus eye(ホルスアイ)]と護衛駆逐艦が陣取る宙域に隠密急行を始めた。

 

 

「んじゃ具材を入れていくぞ。マグネトロンウェーブ照射、上手く操作してくれよ」

 

「分かってます。全く……痛くならない人工臓器が痛くなりそうですよ」

 

 そう悪態をつきながらFL乗組員のネリス・セルルトがホロ越しにプローブのシステムに干渉して、操作を行う。

 義体での活動を行うFLAI達にとっては、マグネトロンウェーブの複雑な調整も手先の操作だけでどうとでもなる。ピアノの鍵盤をたたくような手つきでプローブを操作して、通常の人間では達成し得ない程の精密な操作を単独で行う。

 

 人間と何ら変わらない見た目をしているが、こういう様子を見ると、人間じゃないと思わされる。食堂に顔を出せば何食わぬ顔で食事を楽しんでいる程度にはなじんでいるが、やはり彼らは人外なのだ。

 

 

「軌道変更。このまま弾道飛行を使い投げつけます。予測軌道情報を火器管制に反映します」

 

「砲雷長、いいな?」

 

「任されました。VSPST1速。壊さない程度にやって遊星爆弾を作ります」

 

「お前ホント人の心無いな。最高だわ」

 

「褒めてるのか貶してるのか微妙に分かり辛い言葉は控えて下さい」

 

 そんな緊張感のないように聞こえる会話を尻目にネリスは全てのプローブ付きデブリを操作して、敵艦隊の直上にまで動かした。

 そして投げる。鍋に材料を投入する様に、豪快に投げていく。

 

 

「軌道確認」

 

「fire」

 

 ナガト級オクラホマ、アイダホ、ワシントンに発砲命令が飛び、主砲VSPSTの砲身を微調整し、直ぐに発砲した。

 VSPST1速は貫通力を捨て面制圧力を高めた砲撃であり、艦艇よりも航空機に向けて放たれる事を想定している。例えるなら、通常の砲撃を徹甲弾のように貫通を目的としているなら、1速は散弾銃のような物、5速は電磁投射砲で使われる超高速徹甲弾(Hyper Velocity Projectile)だ。

 

 その光の束はデブリという小さな目標を飲み込んだが、勿論完全破壊に至らない。その代わり、デブリのあちこちから炎を噴出させ、デブリの軌道が変わった。

 

 

 目標、ガトランティス敵艦隊。

 着弾までおよそ20秒。

 

 

「ペンシルベニア艦隊、所定位置に着きました」

 

「砲撃開始。コンロに火を入れろ。上げ舵90度で、防壁で守りながら強火で撃ちまくってやれ」

 

Ready to fire, fire! (砲撃用意、撃て!)

 

 艦首方向に波動防壁を全力展開したペンシルベニア艦隊が全力で砲撃を開始する。さらに砲撃役の盾になるようにネバタとニューアーク、チャールストンがそれぞれヤタノカガミを装備して追加の防壁を張る。

 

 真下からの砲撃で泡を食ったカラクルム級が必死に真下への砲撃を行おうとするが、輪動砲塔の射角を広く取れず、艦の姿勢ごと変える所から始めている。

 が、それを邪魔する具材が頭の上から降ってきた。

 

 

 即席遊星爆弾、カラクルム艦橋大砲塔に着弾。

 それ自体のダメージは少ない。カラクルム級自体ガトランティス艦艇の中でも屈指の頑丈さである事は、ホッパー含めWILLEの周知の事実だ。破壊できて精々、センサー系統だ。

 だから、これはあくまで「性格の悪い嫌がらせ」だ。

 

 

「敵艦から砲撃来ます!」

 

「勇敢な盾の戦士を信じて撃ち続けろ!」

 

 ペンシルベニアの艦長がそう叫び、さらに放火の苛烈さを上げていく。

 ネバタ、ニューアーク、チャールストンが構えるヤタノカガミは可視光の一部を阻害するほどに分厚い防壁を構築している。

 が、シカゴAMD[horus eye(ホルスアイ)]の正確な観測結果を反映しているため、たとえ壁越しであっても命中精度を落とす事はない。

 

 カラクルム級は堅牢な装甲で何とか受けるが、数の暴力と連射により傷を負わされ、5隻のカラクルム級が沈む。それに激高した1隻が艦橋大砲塔を回し怒りの一撃を加えるが、ヤタノカガミの放つ波動防壁に波紋を作るだけに終わった。

 

 ペンシルベニア艦隊はさらに撃つ。加減などとうの昔に捨て去ったようで、その身から湧き出る全てのエネルギーを余すことなく主砲に回して撃ち続けている。まさに強火だ。

 

「第4護衛艦隊、ワープアウト!」

 

 ミズーリ率いる第2防衛艦隊実働艦隊の後方に重力震が発生し、薄氷を脱ぎ捨てながら援軍が到着した。第4防衛艦隊。定遠を旗艦とした東アジア自慢の高火力艦隊だ。

 

「料理長の登場だ!」

 

『誰が料理長だと? 戦場を何だと心得る?』

 

「生きるために必死になる所ですよ、李宙将。急な話ですみません」

 

『何、アメリカ人でも食える中華を後で食わせてやる。それで帳消しとしてやろう。作戦プランは君の副長から受け取った。ペンシルベニア艦隊に加わり砲撃を続行する』

 

「あと、ヤタノカガミ持ってる艦艇を盾役で回してください。奴ら図体通りの火力持ってます」

 

『なるほど。気を付けるとしよう。ところで、君の言う料理というのは大詰めなのか?』

 

「山場ですね。宙将がやって来たタイミングで加熱調理が始まった頃合いです」

 

『ほお。では我々はペンシルベニア艦隊に加わろう』

 

 李宙将の通信が切れ、定遠率いる第4防衛艦隊は統率の取れた艦隊運動でペンシルベニア艦隊に合流し、艦隊正面にタカオ型海容(Hai-Yung)海籌(Hai-Chow)海琛(Hai-Chen)、ナガト型遼寧、山東がヤタノカガミを構えて艦隊正面に展開した。

 

 定遠、福建を始めとしたナガト型は防壁越しに攻撃を始める。

 シカゴAMD[horus eye(ホルスアイ)]からの情報支援を受け正確無比で容赦のない砲撃が開始され、さらに10隻のカラクルム級が落ちた。

 

「足りていないぞ。助太刀致そう。それと、リスクは高いがもう少し間を詰めたまえ」

 

『感謝します』

 

「ローエングリン、撃てるか?」

 

「撃てます。豪州のクレッグ宙将補に負けていられませんぞ」

 

「いらん敵対心や対抗心は持たなくて良い。が、競争心はよい」

 

 李は、福建と自分の乗艦の定遠の両舷に装備するローエングリンを起動させるように命令を出した。強靭な心臓である波動エンジンから膨大な量のエネルギーが流れ込み、チャンバーは満タンとなった。

 

「ローエングリン、放て」

 

 水色に染まる暴力が放たれ、カラクルム級が艦底から軽く串刺しにされ、そのまま3枚抜きにされた。大きく体勢を崩したカラクルム級が直ぐ近くの僚艦を巻き込み轟沈し、ドミノ倒しのように次々に他の艦艇を巻き込んでいく。

 

 流石に巻き込まれただけで沈む事は無かったが、バランスを崩した状態での砲撃は効果を望めず、誤射が起こった。

 そこから姿勢を正そうとすると、艦隊直上から即席遊星爆弾が飛んでくる。まともに姿勢を正す事も出来ない。

 

 ホッパーと李は、カラクルム級を一番の脅威と見ていた。

 堅牢な装甲、単縦陣を組む事で発動する決戦兵器、純粋な砲戦装備の多さ。脅威を見ない理由はない。だが、対処法は明確だ。

 

「単縦陣を組む暇を与えず、姿勢を正す暇を与えない」事だ。

 

 ホッパーは「カラクルム級が来ること」を想定して、「仮にカラクルム級がこなくても使える方法」でこの馬鹿げた作戦を立てて実行した。

 

 ただただ撃ち減らされていく。

 息をつく暇すら与えない程の苛烈な砲撃はカラクルム級を焼き尽くし、確実に数を減らしていく。

 その様子をミズーリの艦橋から見ていたホッパーは、通信機を取った。

 

「全部の通信隊を使って、お客に通信を入れてくれ」

 

「敵艦にですか?」

 

「招かれざる客だ。お引き取り願いたいんだよ。全く、即席で作戦を作ったけど、デブリ爆雷の

 プラスアルファ以下になっちまった」

 

「罠の完成度は兎も角、このまま撃ち減らし切るのはキツイものがあります。降伏勧告、撤退勧告をするにはちょうどいいかもしれません。尤も、神経を逆なでする事になりますが」

 

「それでもだ。地球がどれだけ恐ろしいを理解させて、帰らせるんだよ。ちょっかいかけるなクソ野郎共とは言わねぇが、出来れば帰ってくれると助かるな。ま、李宙将にお任せするか」

 

「自分でやらないんですね」

 

「俺がやったら逆効果だろ? 敬語もフランクだから直せって周りに言われてるがこればっかりはどうにもならん。こういうお話は、李宙将の方が出来るって俺は分かってんだ」

 

 ______

 

 

 

「ガトランティス艦隊全艦に通達をする。こちらは、地球防衛艦隊総旗艦定遠である。貴艦隊は、地球領宙圏を侵害している。これ以上の損害と戦闘を我々は望まない。黙ってこのまま立ち去ってもらいたい。返答がない場合、我々は攻撃を続行し、貴公らが主君にまみえる機会を失わせる事となる」

 

(彼らに余計な情報を与える事は得策ではない。嘘を大きく吐きてあの若いのに笑われても、流しておこう)

 

 威厳で固めた顔の裏で、敵に情報を与えないように配慮する慎重な顔が見える。

 自分の乗艦を総旗艦と騙り、展開中の戦力を「全戦力だ」と聞こえるように話し、自分こそが総司令官だと見えるように話す。

 

 流石かな、と李は思う。

 ホッパーが自分に押し付けてきたのは、ただ単に「苦手だから」という理由がメインだと思う。が、恐らくはこうでもだろうと李は推測する。

 

「見た目的にも人格的にもそれらしいから総司令官のフリをして欲しい」

 

 自分はもう60代に入ろうとしている。あの極東の沖田と同じ程だ。

 彼と同じだけの威厳を、醸し出す事は出来るだろう。ハリボテでも何でもなってやろう。

 

『退却……?! 退却だと!? 我らを戦術のみならず、弁舌でも愚弄するのか!? 我らは死して大帝にまみえるのみだ!』

 

 映像通信越しに睨みつけるガトランティス将校「メーザー」は、憤怒の表情に染まっていた。

 

「よいのか? 我らの脅威を伝え、地球への進行を考え直すように君らの主君に進言する事も、主君に仕える者の務めかと考えるが?」

 

『自らが不利になるとしても帰す、貴様はそう言っておるのだぞ?』

 

「何、手品の種は出し切ってしまったからね。隠しても無駄だ。あとは創意工夫で何とかする以上、怖くはないのだよ、貴公らは。さてどうする? 主君の元に帰るなら、我々はこの場で見送りまたの再戦を希望しよう。我々を討ち取って見せろ」

 

 艦長帽のつばから除く眼光は鋭く、相手に挑戦状を突きつけさせるには十分だった。

 メーザーの憤怒の表情は変わらない。が、向こうから一方的に通信が切られた。

 

「攻撃の続行準備を!」

 

「彼らが撃ってくるまで撃つな。あの様子だ。恐らくは_____やはりな」

 

 苛烈な砲撃に晒されていたカラクルム級の残存艦31隻がその重い艦体を振り、踵を返して撤退を始めた。艦尾方向に指向できる回転砲塔で撃ってこない点を見ると、「一時の負け」を苦しく噛み締め撤退を選んだのだろう。

 

「背伸びをした甲斐があったものだ。さて、若造は追撃するのか?」

 

『いや、招かれざる客をもてなす事はしませんよ。帰ってくれの一心です。李宙将、ハリボテありがとうございます』

 

「ハリボテか。沖田航宙幕僚長には及ばないが、私の演技はどうだったかな?」

 

 李は沖田の顔を思い浮かべる。

 イスカンダル航海を成し遂げ3年間の療養を終えた彼は、ガトランティス侵攻に備えて新しく作られた「航宙幕僚長」の席についた。

 復活した威厳と経験の厚みと重ねた実績は急造の椅子に重みをもたせ、総司令官としての地位を確固たるものとしたが、沖田の復帰が無ければ李が総司令官になるかもしれなかったのだ。

 

『いかにもな感じでした。さて、帰したのはいいんですが、準備急ぎますか』

 

「そうだな。後片付けが終われば貴官らの艦隊は帰りたまえ。この場はペンシルベニア艦隊に任せよう。我々はN2航宙機雷の敷設が完了次第地球圏へ帰還する」

 

『第5の艦隊は緊急投入でしたからね。マジで深夜に呼びつけてスンマセンでした』

 

「全くだ。だが、今まで以上に警戒度をあげる事となるな」

 

『ミッションレコーダは司令部に全部見せます。そう何度も打てる手じゃないですが、参考程度に』

 

「参考になるかバカ者」

 

 少し寝不足な李は、最後にそう悪態をついた。

 

 

 

 


 

 

 

 

「ミズーリ艦長のホッパー一佐から報告を受けた。何というか、まぁ……」

 

「またやったか、という感じですね。ですが彼の強みです。さらに、李宙将の第5防衛艦隊待機艦隊の電撃投入が、戦闘を終わらせるカギとなりました」

 

「問題は、彼らがまた来るという事です。今回は阻害フィールドの限定解除による強行ワープで何とかなりましたが、第11番惑星を主戦場にして第1次防衛線を構築する準備を進めるべきかと」

 

「そして第2次防衛線を土星、最終防衛線をアステロイドベルトに構築します。臣民の壁阻害フィールドの展開位置を第11番惑星軌道に移し、そこを第1の戦場として相手に強制させる。ホッパー一佐を中心にして、第11番惑星宙域をトラップで覆いつくします」

 

「分かった。それに伴う処理は任せたまえ」

 

 後日、ホッパーに正式に昇進の通知が降りた。

 一佐から宙将補に上げられたことをホッパーは「トラップのバリエーションを増やせそう」と喜びながら、「俺をポンと昇進させる程ヤバい事起こるのか」と警戒度を上げる事となった。

 

 

 __________

 

 

 

 後日

 

「ホッパー宙将補。よく来てくれた」

 

「英語ですみませんね。沖田幕僚長殿。罠の件ですが、何やっても構いませんか?」

 

「……波動砲の使用も含めて、という事か?」

 

「まだ撃ちません。戦端が開かれたら、アリア条約に基づき大使館とイスカンダルに話を付けてもらえれば、堂々と使えます。それと、幕僚長の権限で、引っ張り出してもらいたいものが1つあります」

 

「何だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「解体封印された拡散波動砲です」

 

「っ!? ホッパー宙将補、まさか……」

 

 思いもしなかった要求に、沖田は身構える。

 この男は優秀だが危ない。禁止兵器を持ち出して何をするのか、沖田は睨みを利かせた。

 

「待ってください、使う訳じゃないんです。条約は拡散波動砲を封じていますが、技術までを封じた訳じゃないんです。自分の罠に、使わせてもらいます。流石に条約破りはしませんが、完全に封じるには惜しいんです」

 

「……どうするつもりだ」

 

「技術に罪はないんです。だから、有効利用して手品の小道具の強化をします。ローエングリンはもう8番浮遊大陸と第5と第4、第2の戦闘でバレてます。大火力の要って事もあるので引っ込めるわけにもいきません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「拡散波動砲技術を用いるのであれば、その研究は設計局から私に提出させろ」

 

「了解です」

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