宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》 作:朱色の空☁️
ですが文章量がえげつないことになりそうだったので分けます…。
今回はワープ回です。
木星圏突入
「Wunder、月軌道を抜けます」
初戦闘を終えたWunderは航海艦橋に指揮系統を移し、母なる星地球に別れを告げようとしていた。
「俺たちが、本当に地球を救えるのだろうか」
古代がそう呟く。
「自信ないのか?戦術長?」
島がそう答える。彼は少し軽い性格だからある一種のムードメーカーとしての側面もある。
「そんなつもりで言った訳じゃない」
古代が真面目に答える。
「1時の方向に艦影確認。キリシマです。」
中空スクリーンに表示されたキリシマはメ号作戦から帰還したままの痛々しい姿だったが、国連宇宙軍最後の生き残りとしてWunderを見送りに来たのだ。
「キリシマより、発光信号を確認。『貴艦の健闘と航海の無事を祈る』です」
相原が内容を読み上げる。
「キリシマに返信。『必ず生きて戻る』」
「了解しました。」
たった1隻の友軍艦に見送られながら、艦は宙を裂きながら進むのであった。
「艦橋要員は1400に中央作戦室に集まれ。ワープテスト及び重力推進等の特殊装備についての説明を行う。」
「了解!」
Wunder艦内は広い。第2船体だけでも900メートル以上ある。その為、艦内の移動は歩きだけでは無理がある。歩き疲れて艦内で遭難するかもしれない。
その為、動く歩道や『トラムリフト』という名称の10人乗りゴンドラも運転している。電力を食うが双発同調式波動エンジンの恩恵を存分に受けていることで全く持って問題なし。
艦内は、戦闘用や情報処理系の部屋、医務室、弾薬庫、艦内工場、食堂等の『戦艦にあるとしっくり来る部屋』の他にも、フィットネスジムや映画鑑賞室、書庫に戦闘シミュレータ室、挙句の果てには温泉『奇跡の湯』まである。
そして、ハルナの個人的な趣味とBußeの遺産として小さいけど植物工場がある。
もはや小ぶりなスペースコロニーだ。こうしたのは我らがチート設計主任コンビだ。
そんな小ぶりなコロニー戦艦Wunderの食堂は基本的にはオムシスのお陰でなんでも作れる。
3交代制のシフトで回るWunder乗組員の癒しの1つだ。
「凄いよねーオムシスって、色んなご飯作れるなんてね」
「ハンバーグ、フランクフルト、フライドチキン…!」
太田さんがメニューを見て目を輝かせている。
「地球の配給食とは大違いだね」
正直言って有機物さえあれば基本的に肉以外は食料を生産できる。極東管区でも同じものを使用しているが、乗組員の士気を高めるためにいいメニューが考案されている。
肉類は人造たんぱく質で生産できる。味も触感も本物に近い。
「あれ?真田副長はそれだけでいいんですか?」
太田さんが真田さんの配膳プレートを見て驚いた。そこに乗っていたのはカロリーメイトが2本だけだった。それだけではもたないのでは?
「無駄なカロリー摂取は愚かな行いだからね」
そう言ってすました顔で食事(?)をする真田さん。太田さんの配膳プレートには山盛りの肉類が乗っている。
「そういえば真田副長、オムシスってどうやって食事を作っているんですか?有機物から作っていることは確かなんですか。」
たしかにそうだ。太田さんの横にいた相原が素朴な疑問を覗かせる。
「知らない方が幸せだよ?」
「?」
2人は真実を知ることなく席に着き食事を始めた。
「知ったらビックリしますよね、確かに知らない方が幸せ」
「ご飯製造マシーンの裏側は、僕たちと主計科長さんの秘密ですからね~」
ハルナとリク、ユリーシャも昼食を取りに来ていた。ハルナとユリーシャはパンケーキ、リクは蕎麦を頼んでいた。なんで蕎麦?
「おや、君たちも来ていたのか」
「お腹すきましたから。2時から説明会があるので気合い入れたいので腹ごしらえをと」
「というか、蕎麦まであるんですね、主計科凄い」
「地球のスイーツだ!」
ユリーシャは目を輝かせている。
「それじゃあ、いっただっきまーす!」
3人そろって手を合わせて食べ始める。
すっかり日本に染まったユリーシャなのであった。
「にゃー、ああ懐かしき日本食!」
マリが配膳プレートにのった白米とみそ汁、だし巻き卵に漬物を眺めて懐かしんでいる。
「そういやアンタユーロ暮らしが長かったわね。でも驚きだわ。まさかポトフまであるなんて、おまけに私の故郷の香りに近いわね。」
本来このメニューはない。ハルナと、アスカを気に入ったユリーシャが「異文化交流という名目で」主計科長に頼んだから実現したのだ。
「とりあえず食べよっか」
「にゃ!」
「「いただきます!」」
彼らは存分に英気を養うのであった。
Wunder艦内時間1400 中央作戦室
「諸君、我々は往復で336000光年の行程を1年以内に達成して地球に帰還しなければならない。そのため、本航海では光の速度を超える『超光速ワープ航法』が必要となる。」
沖田艦長がそう切り出す。地球からイスカンダルまでで168000光年。どれだけ加速しても相対性理論に基づいて光速を超えることはできない。そこで『空間を飛び越える』のだ
「では、ワープ航法について説明させて頂きます。ワープとは、ワームホールを人為的に発生させて、あるポイントから別のポイントまで空間を飛び越える事です。ですが、タイミングを間違えると、時空連続体に深刻な歪みを生じ宇宙そのものを相転移させてしまう危険性があります。そうならなかったとしても、Wunderは通常空間と異次元の狭間で挟まってしまうことになります。」
中央作戦室のほとんどのメンバーが「??」となった。
一応床面のスクリーンにも真田さんがタブレット端末から転送した概要図は映っているがなかなか専門的な図式となっているのでますます??となる。
「えーっと簡単に説明しますと…真田さんタブレット貸して下さい」
ここでリクが動いた。タブレット端末を操作して図式の投影を解除して、そしてキャンパスモードを起動させた。
そしてWunderのミニチュアと地球、火星の絵を投影した。
「えーっと…例として、今私たちは地球から火星まで最短で行きたいと考えてます。その場合、どうやって行くのが最短だと思いますか?」
「そんなの…地球から火星まで真っ直ぐ行くしかないじゃないですか」
南部がスパッと言い切る。
「そうですね。ですがWunderはワープ出来ます。そこで…」
リクが2つの輪を描き込み、地球側の輪をA、火星側の輪をBとした。
「先程副長が仰っていたワームホールと言う近道を作ります。このAの穴に入ったら1秒も掛からずにBから出られます。ワープっていうのはだいたいこんな仕組みです」
誰でもわかる親切な説明だった。
「成程、儂でもよく分かる説明じゃった。ありがとう、睦月くん」
1番「なんのこっちゃ」って顔をしていた徳川機関長もスッキリした顔をしていた。
要は即席で超巨大どこでもドアを作るのだ。
「次に重力推進についての説明を行います。本艦は火星で発見された未確認骨格を中央構造物の一部として組み込んでいます。その骨格に大電流を導通させると重力子、斥力子を発生させることができます。その素粒子を使用することで、反動推進に頼らずに進むことが出来ます。具体的には、発生した重力子を艦の前方に量子跳躍…つまりワープさせて、計算された位置に塊にして配置。重力子は名称の通り重力を持っているので物を引き付けます、たとえこれほど大きな艦でも。そして艦の後方には斥力子を塊にして配置します。斥力子には物を弾く力があるので艦を前方に押し出します。重力子と斥力子の塊は自然に崩壊するのでこれを何度も繰り返すことで進んでいきます。」
長い説明となったが、皆「なるほど…磁石みたいな感じだね」と理解したようだ
「それって小回りが効いたりしますか?」
島が質問をした。
「もちろん、重力子と斥力子の配置を細かくすれば機敏さと小回りを両立させたり、反動推進と力を合わせれば船を1秒くらいで垂直に立たせたりもできるよ。2500メートルの船に絶対似合わない動きもバッチリ可能だ。」
「なるほど、使う時もあるかもしれませんね。」
「最後に説明しないといけない物がある。新見くん。」
「情報長の新見です。我々は波動エンジンの莫大なエネルギーを利用した兵器を開発し、Wunderの第2船体艦首に搭載することに成功しました。」
「兵器ですか?」
「次元波動爆縮放射機です」
「波動砲か…。」
「その通りです。波動エンジン内部で展開するはずの余剰次元を射線上で展開させ、その時に発生したマイクロブラックホールのホーキング輻射によって射線上の物体を消滅させます。」
「つまり、この船自体が大砲になっているっ事ですか?」
「当たらずとも遠からずね。国際波動砲使用制限条約によって、対艦、対惑星への使用が禁じられています。あくまで『ショックカノンで壊せないものに対しての対物兵器』という立ち位置にあります。発射には艦長と副長、そして戦術長の承認が必要となります。」
古代が顔を引き締めた。自分が破壊兵器の発射承認役の1人なのだ。
「波動砲は地球で言うところの核兵器だ。シミュレーションによると、波動砲1門のみの発射でオーストラリア大陸サイズの物体を破壊できるとの結果が出ている。いずれ試射を行わなければならないが、発射には細心の注意が必要だ」
沖田艦長が極めて重要な事実を口にする。星をも壊しかねない超兵器、そんなものが2門付いている。
人類は強すぎる力を持ってしまった。
波動砲を生み出したものとして、波動砲を運用するものとして、力の咆哮の方向を考えなければならない。
彼らはそう感じたのであった。
「ワープテストは明朝艦内時間0900に行う。万一に備え、総員船外服を着用せよ。解散」
「ふふっ、2人で宇宙遊泳だね」
「あんまりはしゃがないでね?」
リクは暇な時間ができたので、艦の外に出て故郷を眺めていた。そこにユリーシャがついて来てしまったのだ。Wunderはちょうど火星軌道を巡航中。目の前に赤い星がはっきり見えるほどの距離だ。
ちなみにおかしな事に、速度がなかなか上がらないのだ。
「リクは地球じゃなくてあの星の出身なのね。どの辺に住んでたの?」
「あの辺、クルジスっていう大きめの街に住んでたよ。でも、あの災害でめちゃめちゃになってしまった。火星の上ら辺見て」
火星の北極とも呼ぶべき場所は、真っ赤な同心円が大きく拡がっていた。
「あれ?そこだけ真っ赤だけど、何があったの?」
「分からない。国連は、亜光速で隕石が衝突したとか言ってるけど、とてもそんなんじゃない。あの時は地獄だった。」
リクは遠い目で故郷を眺めていたが、ふと誰かがいることに気がついた。
ユリーシャと同じようにオレンジの差し色が入ったら船外服、硬化テクタイトのヘルメット越しに白い髪の女性が見えた。
「睦月1尉、お疲れ様です」
彼女、山本玲がリクと敬礼をした。
「お疲れ様、出来れば階級とか気にせず普通に呼んで欲しいな」
「初めまして、ユリーシャです」
ユリーシャもヘルメット越しに笑顔で応えた。
マイク越しに喋ってるので互いの声は内部スピーカーで聞こえてる。
「じゃあ、睦月…さん?」
「うん?どうしたの?」
「睦月さんは火星出身なんですか?」
「うん、僕とハルナは火星出身のマーズノイドだよ。その証拠として、君と同じように虹彩が赤っぽいでしょ」
「あ、ホントですね。あれ、分かっちゃいました?」
「結構特徴的だからね」
「でもキレイな目だよね?2人とも?」
「山本さん、あの同心円の下には何があると思う?」
「あれって、グラウンド・ゼロですよね。さすがに隕石衝突でここまでは起こらないと思いますよ?」
「やっぱりね。当時、僕は赤い十字架がそびえ立つのを見た。」
「え、あの災害の生き残りなんですか?!」
「うん」
「でもあれが起こったのって55年のはずでは…」
「僕はあの災害で昏睡に陥り、40年後に目を覚ました。当時のことはよく覚えている。出来れば忘れておきたいけどね」
山本はこれ以上聞くことが出来なかった。
翌日
Wunder艦内時間0830
『現在の艦内時間0830、ワープテスト30分前です。総員船外服を着用、各部署にて待機を徹底。ワープに備えて下さい』
MAGIシステムの人工音声が艦内に鳴り響く。慌ただしく動き回る乗組員と、機関室にて真剣な顔になる機関士たち。
Wunderの艦橋要員は全員集合、今回は補助席を使ってハルナとリクも戦闘艦橋内で待機している。
「補助席が付けれて良かったね」
「備えあれば憂いなし、昔からよく言うじゃん」
2人とも気を引き締めているがそこまでガチガチに緊張してない。ちょっとリラックスしてる。
『ワープテストまで残り5分。総員、ワープに備えよ。』
「ワープ先座標確認、天王星軌道。ワープ先に視認可能な障害物はなし。重力場の影響なし。誤差修正+0.8。座標定位完了しました」
太田さんがコンソールを操作して、全周スクリーンにワープ先座標の情報が表示された。
ワープ先は天王星軌道付近。
木星と土星を一気に飛び越えるのだ。
「波動エンジン出力上げろ。ワープ準備!」
「了解、エンジン出力40から99まで上げます」
徳川機関長の操作で両舷の波動エンジンが唸りをあげる。
「速度上昇!現在、22 Snot!」
速度はどんどん上がっていく。それと同時にエンジンノズルの光がオレンジから水色に変わり、爆発的な噴射になる。
「現在、33Snot」
「前方にワームホールの発生を確認!推定直径2500メートル!突入可能です!」
「時空連続体の狭窄を確認!狭窄ポイントまで12秒」
「カウント、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1」
「ワープします!」
カウント通りに島が力いっぱい操縦桿を押し込んだ。
その瞬間、全てが止まった
いや、止まったかのように見えただけだ。
ワープ所要時間は1ナノ秒、人間には感知できない程の短時間で異空間を経由して空間を飛び越える。
従って、艦外の景色なんて見れない。Wunderの戦闘艦橋内のスクリーンにもあっという間すぎて絶対映らない。
しかし、MAGIシステムはその景色をハッキリと捉え、そのメモリーに書き残していた。
ワームホールから飛び出したWunderは薄い氷を全身に纏っていた。それが勢いよく破砕されていくが、艦橋はその異常に直ぐに気づいた。
「木星?!なんでだ?!」
「指定座標は確か天王星宙域に設定したのに何故?!」
艦橋は混乱に満ちた。行先に着かなかったから当然である。
「ワープ航路上に障害物を検知、回避のためにワープアウト地点が変更された可能性があります。」
「艦長!機関出力低下!木星重力圏に捕まってます!」
「くっ!引っ張られる!舵が効きません!!」
操縦桿が重い…。木星の重力は地球の2.3倍、ワープアウト地点がまさに木星の重力圏内、オマケにエンジントラブルときた
「艦長!睦月1尉意見具申!補助エンジンのエネルギーをアンノウンドライブに接続、重力推進システムに切り替えるべきと考えます。重力操作である程度木星の重力を相殺できるかもしれません」
どうやらリクはアンノウンドライブが発生させる重力子と斥力子で、艦の姿勢を整えるつもりだ
そして沖田艦長もその意見を汲み取り実行に移した。
「徳川くん!補助エンジンとアンノウンドライブを接続!重力推進モードに移行だ。島航海士、操縦系を立体式操舵に移行!」
「了解!アンノウンドライブに動力伝達!重力子、斥力子生成を確認!」
「時空間制御を開始!立体式操舵に移行します!」
『重力子及ビ斥力子ノ適切ナ配置位置、及ビ一定速度デ降下スルタメノ最適ナ重力子ノ個数、量子跳躍タイミング、配置間隔ノ計算完了!』
「重力推進開始!!」
沖田艦長の号令で補助エンジンノズルからの推進から重力推進に切り替わり、アンノウンドライブが青白く発光、Wunderの降下速度が徐々に低下してきた。しかし、引っ張られるのは変わらない。所詮一気に落ちるよりはマシという事だろう。
「降下速度低下!」
『こちら左舷機関室!艦長、エンジントラブルの原因が分かりました!』
『メインエンジンの冷却システムがオーバーヒートを起こしたようです!ですが冷却システム自体に損傷はありません。一定時間の冷却でエンジンは復活します。これより緊急冷却を開始します!』
「うむ!直ちに作業にかかってくれ。」
ひとまずエンジンに深刻な損傷はない。それだけでも安心だ。しかし、その安心を塗り潰すように驚愕が支配する。
「木星内部に侵入、スクリーンを赤外線スキャンに切り替えます」
木星内部では視界が悪い。新見さんがWunder各部に設置されている観測機器が赤外線モードに切り替わり、スクリーンの表示も赤外線モードに切り替わる。赤外線の強さと物体との距離で色が判別されている。
「木星内部に巨大物の反応あり!赤外線映像で表示します!」
そこに映ったのは、巨大な大陸だった。
「全力制動開始!」
「了解!!」
Wunderの上部100メートルの位置に重力子を跳躍させ、木星の重力とギリギリ釣り合うように艦を固定した。
艦全体に衝撃が加わったが、何とか停止できた。
「島くんナイス!初めてにしては器用にできてたと思うよ〜」
「ありがとうございます、暁さんと睦月さんがインタフェースを分かりやすく作成してくださったお陰ですよ。初めてでも何とか出来ました。」
「あら、嬉しいね」
現在Wunderは謎の浮遊大陸上空200メートルで静止中。重力子で艦を釣り上げてる感じだ。普通なら木星の重力と重力子の重力で艦は引き裂かれてしまうが、これでもかという具合に基礎構造は頑丈にしておいたのでこれくらいなんて事ないのだ。追加効果で、島の操縦技術の高さで安定性も抜群だ。
「解析結果出ました。この浮遊大陸は、オーストラリア大陸と同程度のサイズとなっています。また、大陸表面には植物を確認してます。」
「艦長、甲板部より人員を選出して大陸表面の植物の採集を行ってもよろしいでしょうか?」
未知の植物に興味津々の真田さんは直ぐに沖田艦長に許可を得ようとした。
「任せる。この大陸は初めからここにあるものでは無いはずだ。恐らくガミラスが持ち込んだものじゃないかと儂は考えている。」
「そんな、大陸を丸ごと持ってこれるのですか?!」
太田さんがとても信じられんと言いたげな顔で驚いた。大陸丸ごと持ち込むなんて地球の視点から考えれば神に近い所業だが、ガミラスの科学力が全部分かってない以上『有り得る』と考えるしかないのだ。
「あくまで仮定だ。古代、航空隊より偵察を出せ。偵察人員の選定は任せる。」
「了解。」
謎の大陸で停泊(?)中のWunderは自分たちの武器の1つであるヒューマンパワーを存分にふるい始めたのであった。
『何?テロン艦が惑星ズピストの浮遊大陸に?』
『はい、浮遊大陸基地のラーレタからの報告です』
『もうそんな位置にいるのか、奴はまだ内惑星系を進んでいるはずだが…』
『その事なんですが、惑星マルス軌道上で…「ゲシュタムジャンプ」の痕跡を観測しました。恐らく…』
『奴らがジャンプしたというのか?!』
『そうでもなければ説明がつきません…』
『浮遊大陸の艦艇は?』
『実験用の小規模な基地ですので4隻ほどです。』
『ラーレタに連絡。直ちに基地から撤退、残存艦艇のうち3隻を陽動に使っても構わない。』
『ザーベルク!』
(見せてもらおうか、全ての実力を)
「ちょうど良かったわ、ずっと艦内だと息が詰まりそうだから。外を見たかったのよ。戦術長には感謝ね」
赤いパイロットスーツを見に纏い、赤いヘルメットを抱えたアスカが、第3格納庫に入りながらマリと通話していた。
(航空隊、式波特務二尉に100式空間偵察機による偵察任務を命ずる。回収予定時刻は1000、ルート通りにまずは飛んでみて欲しい。)
(100式は他の艦載機よりも取り回しがしやすい。ここに乗ったら様々な機体に乗るはずだからその腕前を見せて欲しい)
『そういう点ではコッチもお外だよ〜。赤木博士のお使いで植物採取だけど』
「そういえば赤木博士は?航海艦橋に戻してからMAGI使って何かしてるみたいだけど」
『い・い・こ・と♪ワープ中に面白いものが見れたみたいなの』
「へぇ〜、ところで大陸には何生えてるの?」
『ん〜?なーんかワカメみたいだけどタコみたいな吸盤が付いてる草とか、ヤバい色してる草や木とか』
「ヤバっ、ホントに植物?」
『信じられんよね〜。でも実物があるんだから』
「受け入れるしかなさそうね…。そろそろ搭乗だから切るね。」
『良いお空の旅を〜姫〜。』
アスカが乗るのは100式空間偵察機。底面にスキー板の様なランディングギアが付いた偵察機だ。基本どこでも着陸できるようになっている。
「式波特務二尉、コチラです!」
「OK、この機体ね。操縦系はだいたい私の機体と一緒ね。システムオールグリーン!行けるわ!」
「ハッチ解放!電磁アーム稼働します」
支持アームが100式の機体胴体に触れると同時に電磁アームで固定、格納庫のハッチが開き、アームの稼働によって100式が艦外に出される。
「発艦どうぞ!」
「100式、式波出ます!」
(さぁ、ウォーミングアップよ)
掛け声と同時に電磁アームが外れて100式が垂直落下、エンジンをふかして飛び立った。
「100式、偵察行動を開始しました。回収予定時刻、1000です。」
「うむ。機関室、冷却の方はどうだ。」
「順調です。後20分で再チェックを含めた全ての行程が完了します」
エンジンも復活が近そうだ。
「…なんか頭がふらふらする…」
航海艦橋にいたリクが呟いた。ワープしてから少しふらつくのだ。
「そういえばなんか気分が…うおっ!」
バタンっ!
太田さんも倒れてしまった。
リクは太田さんと一緒に医務室に連れてかれた。
「う~ん、ワープ酔いじゃなコレは。」
聞いたことも無い症状だ。まあ、ワープそのものが人類史上初だったから仕方ないが。
「症状としては二日酔いみたいな感じじゃ。この摩訶不思議大陸に来てから20人くらい同じ症状が来とるぞ。とりあえず2人とも、気付けに何か口当たりのいいものを飲んで食べて休むことじゃ!あとは慣れだ。」
佐渡先生が言うには慣れるしかないとの事。とりあえず吐き気止めは貰った。
「ありがとうございます…」
「それにしてもほんとに不思議な大陸ね…昔の地球みたいに森はあるけど見たことない植物だし」
アスカは100式で空を飛び回っていた。予め戦術長から受け取っていた飛行ルートをナビに入れて飛んでいたが、見えてくるの物は異形の植物だけ。そろそろ飽きてきた。
「ん?レーダーに人工物の反応?」
レーダーに映ったのは構造物、この大陸を管理するための基地かもしれない。
「Wunder、こちら100式、レーダーに人工物らしき反応を確認しました。これより確認に向かいます。」
進路を変え、その反応に向かって進み始めた。
『真田副長、異星植物ノ解析結果ガ出マシタ。』
アナライザーが、採集した植物のDNA解析結果を報告する。
『DNA解析ノ結果、地球表面ニ繁殖シタ敵性植物トノDNA一致率90%デス。シカシ、地球上ノ敵性植物トノ決定的ナ違イガアリマス。』
「決定的な違い?」
『コノ浮遊大陸ニ生息スル異星植物ハ、ソノ生命活動に放射性アイソトープ及ビ放射線ヲ必要トシマセン。』
「つまりこの大陸は…地球をガミラスフォーミングした後に、地球表面にガミラスの植物を植えるための実験ということか。地球表面の敵性植物と放射線は、私たちを根絶やしにするための殺虫剤か」
『イヤナ物デスガ、ソノ解釈デ合ッテイルト思ワレマス。』
「え、ホントにあった…。100式からWunderへ。敵基地の管制塔らしき建造物を確認!位置情報を送信します!」
『了解、まもなく回収時刻です。良い気分転換になりましたか?』
「はい、何だかスッキリしました。戦術長に『Danke schon!』とお伝えください」
『ダンケ…?』
「あ、今のはドイツ語です。ありがとうございますって意味です。」
『了解しました。通信終了します。』
さて、戻ろ。なんか起こりそうだし
浮遊大陸の基地、不穏な風を感じるアスカだった。
『Wunderから100式に緊急通信。敵基地より艦艇の発艦を確認、数4!』
「え!急がなきゃ!」
その風は見事に的中、大急ぎで空を駆けるアスカと100式であった。
試験勉強が…!終わらない!
執筆してたらべんきょが進みませんww
皆さん、テスト勉強する時は執筆活動は控えましょうww
次の回で波動砲をぶっぱなします。
7月2日誤字修正