宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》 作:朱色の空☁️
この小説の目玉その1です。
アリステラ星系のお話です。
今回は原作をなぞるタイプの話ではなく、完全オリジナルの話となっています。
それと、暁ハルナのキャラ画像描き終わりました。
【挿絵表示】
時間がなくて白黒ですが設定上は白銀ヘアに虹彩は赤っぽいです。
時間あったら着色してみるつもりです。
本人の絵が描けたので、容姿についての内容が書けるようになりました。
艦艇解説人物紹介に一部追記しておきました。
では、ヤマト好きな皆さん、エヴァ好きな皆さん、どうぞお楽しみください。
オリジナル回『天使を狩る者』始まり始まり~~
アリステラ星系第4惑星静止衛星軌道上
ガミラス国防軍第666特別編性戦術戦闘攻撃軍
及び、第101試作人型戦術機動兵器打撃部隊 第1軍
「1821被弾!」
「後方に下がらせ、待機艦艇に変わらせろ」
「ミゴウェザーコーティングをいとも簡単に、これではテロンのあの船のようですな」
「それは前回の戦闘でハッキリしている。既存艦艇でも撃破は可能、だが……代償が大きすぎた」
改ゼルグート級の艦橋でエルク・ドメルとヴェム・ハイデルンが真剣な顔立ちで話をしていた。
小マゼラン星雲アリステラ星系、主星アリステラを中心にして惑星が9つ周回するこの星系はかつてガミラスが基地設営の候補地としていた場所である。
しかし、そこには先客がいた。
正体不明の存在、ガミラス政府特別指定危険生命体
「使徒」と呼ばれるこれらの存在は、この時代まで確認されてきたいかなる宇宙生物を凌駕する能力を持つ。
個体ごとにその能力は異なっているが、特徴的なものをあげると、
超高出力の赤外線レーザーに、荷電粒子砲。単分子切断ブレードの腕、プラズマを利用していると思われる鞭。あらゆる物質を溶かす溶解液、無限増殖。
そして彼らに共通することは、無尽蔵のエネルギーを生み出す生体機関とあらゆる攻撃を防ぐ絶対防壁である。
どんな環境下でも単体で生きることが可能なこの生物たちは、「準完全生物」とも呼ばれているが、「完全生物」と言っても差し支えないほどだ。
ガミラスは、国土を守るためにもこれらの危険生物を駆除しようと作戦を数度行ってきたが、その3分の2が失敗している。すなわち、全滅である。
小マゼラン方面司令官にエルク・ドメルが着任してからは被害は目に見えるほど少なくなったが、何度か敗走している。
「使徒という名称は、回収した超大型艦のデータサーバに保管されていたデータによるものだが、その名称がまさかテロンの言葉で記載されていたのは驚いた。これに関してはもう意味が分からない」
「テロンにあのような艦艇が建造できるとは到底思えませんな。いったいどこから湧いて出たんでしょうか?」
「ドメル司令!ゲルバデス改級より通信!」
「メインモニターに回せ」
正面のメインモニターに、メガネをかけて髭を生やした男性が現れた。
「ドメル司令、Type nullの発進準備完了しました。ご命令とあらば何時でも」
「了解した。作戦を第二段階に移行する、各艦、目標への牽制射撃を行いながら後退。Type nullに道を開けるんだ」
『『了解!』』
10数分前
ゲルバデス改級航宙特務輸送艦 フリングホルニ
艦橋及び集中管制室
「突入用外殻装甲の爆砕ボルト信管、問題なし」
「射出用電磁レールオンライン、電圧安定」
「パイロット、脳波、呼吸、心拍に異常なし」
「小型ゲシュタム機関リモートチェック完了。問題なし」
「内部電源充電完了」
「パイロットに通信を繋いでくれ」
「了解、繋ぎます」
通信士の操作でType nullへの映像通信が繋がった。
Type nullのコックピットユニット「エントリープラグ」は円筒状のユニットとなっており、搭乗時にはパイロットが搭乗したエントリープラグをType nullの脊椎に挿入する仕組みとなっている。
通信ウィンドウに映るコックピット内壁は無機質な色をしていた。
『クダン司令、何かトラブルですか?』
「いや、現在のところ、トラブルは発生していない。出撃前のブリーフィングを行う」
『はい』
「敵は第四惑星の地表部に確認されている。我々はサキエルと呼称しているが、その個体は現在もドメル司令の指揮下の艦艇群に夢中だ。その隙をつくのが今回の任務であり、我々の初陣だ」
『そのための突入外殻装甲ですね』
「ああ、敵の察知能力は大気圏外からの艦艇の反応をも拾う。そのため、隕石に偽装して大気圏に突入する。サキエルの絶対防壁の影響で通信波が届かないため、nullの起動時は自動でシンクロが始まる。初陣というのにサポートが出来ないことをすまなく思う」
『謝らないでください。この機体に乗ることを決めた時点で覚悟はできています』
「その言葉だけでも救われるよ。君が指定した武装は外殻装甲内部に収まる物で装備した。オーソドックスな陽電子ライフルと超高振動戦闘短刀だ。それと改めて警告するが、その機体は君の意識とダミーの直結によって稼働するため 、機体停止は強烈な眠気が襲い掛かる。くれぐれも注意してくれ」
『それでいきます。眠気の件も問題ありません』
「では、初白星を挙げに行こうか」
『了解しました、クダン叔父様』
「任務中だ、叔父様はよせ」
現在
改ゼルグート級艦橋
「Type nullの予定進路上に艦影なし!」
「Type null発進」
『了解しました。電磁射出!Type null発進!』
ゲルバデス改級の甲板には今回の作戦用に電磁射出用レールが設置されている。
外殻装甲の塊となってもはや隕石の様にしか見えないType nullは、そのレールで瞬間的に加速して星の重力に身を任せた。
「反撃の狼煙だ」
フリングホルニの艦橋でクダン司令はそうつぶやいた。
「惑星への降下速度異常なし、エントリー開始!」
『自動エントリー開始します。LCL電化密度正常。A10神経接続異常なし。思考形態を標準ガミラス語を基礎原則としてフィックス。初期コンタクトすべて問題なし。機体との双方向接続に入ります。リスト1504までオールクリア。シナプス計測開始します。』
メルダは注水されたエントリープラグ内で瞑想をしていた。初の実戦がクダン司令達からの支援が受けられない最悪な状況だ。しかし、メルダはこの機体の最初のパイロットであることを誇りに思っていた。
第二バレラスで開発された試作機。あの戦艦の主機を解析して生まれたこの機体に対して、メルダはパイロットとして命名権があったのだが、あえて名前をつけてない。そのため、開発コードの「null」という名称がついている。
生まれてからそう経っていないまっさらな機体。まだ色のないこの機体に個性がつく時、自分だけの色がつく時までnullという名前を使い、いつか本当の名前を与えよう、そう思ったからだ。
『シナプス計測完了、シンクロ率51.9バーゼル。プラグ深度、プラス02からマイナス05。Type null起動可能です』
シンクロ率は機体を動かす上で最も重要だ。
『まもなく、予定高度に到達します。カウント開始します。10、9、8、7、6……』
「ゲシュタム機関アイドリング解除! 通常出力へ!」
『3、2、1、0』
「外殻装甲パージ!! EVANGELION Type null起動!」
メルダの音声認証によって、Type nullを固めていた外殻装甲が爆砕ボルトで一気にパージされて、全長80メートルの巨人は、アリステラの陽を背負って目覚めた。
ゲシュタム機関のエネルギーをむさぼるようにして外装バックパックのスラルターがピンク色の推進エフェクトを放ち、Type nullは大地に勢いよく着地した。
全高80メートル。使徒に唯一対抗できる考えられている汎用人型決戦兵器。その試作型第一号が今、この地に降り立った。
落下スピードを殺し切り、片膝と片腕の拳を地表に当てた状態で着地したType nullはその手に得物を携えて、獲物を睨む。
EVANGELION Type null Trial production
「Type null……戦闘開始!」
今、天使への反逆が始まった。
元々私は銀河方面軍第707航空団に所属していた。つまり戦闘機乗り。
しかし今は、第2バレラス兵器開発局第101試作人型戦術機動兵器打撃部隊第1軍の試作機パイロットでもある。このことは極秘扱いだから、表向きの肩書きは前のものを使っている。
戦闘機乗りとこの機体のパイロットという2足の靴を履く状態だ。
この機体は、サレザー星系で回収された超大型艦の主機を解析したことで生まれたが、これまで確認してきたどの文明の技術にも当てはまらない得意な技術が使われている。あれは兵器と言うよりも生き物と呼んだ方が正しいのかもしれないというのが、私個人の感想だ。
私たちガミラスは、この機体の完全解明を目指して解析を行ったが、心臓だけは解析不能だった。
だから、パイロットと機体を繋ぐための橋「ダミー」が作られて、Type nullには実装されている。
私がこの機体のパイロットになることを父上に話した時は猛反対された。既知の技術が使われている戦闘機ならともかく、未知の技術で生まれた試作機なんて危険すぎたのだ。
安全性を限界までつきつめて私が乗っても安全だということが確認されてからも、父上は許可を出さなかった。
父上の親友であるクダン叔父様の説得のかいもあって、今私はこの機体に乗っている。
叔父様には感謝しかない。事あることに謝られているが、人思いのいい叔父様だ。この戦いが終わったら休暇をとって、叔父様を呼んで家族で食事会をしよう。
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「Type null、戦闘開始!」
陽を背負って大地に降り立ったType nullはサキエルを正面からにらみ、目をそらさぬようにして陽電子ライフルを構えた。
ライフルは、背部の外装ゲシュタム機関とケーブルで繋がっていて、ゲシュタム機関の無尽蔵のエネルギーで射撃することが出来る。しかし連射を続けると冷却が間に合わず砲身が焼き切れてしまうため、2秒以上の連射は厳禁だ。
Type nullの操縦システムは思考操縦となっているが、それは機体制御のみだ。火器管制システムなどはコックピットに付いているインダクションレバーで行う。
バババッ! バババッ!
メルダは挨拶がわりにそのライフルを3点バーストで小刻みに射撃し始めた。しかしそれはサキエルから展開された輝く防壁によって防がれた。
過去の交戦データでは、使徒はデストリア級の陽電子カノンを防いでいた。
駆逐艦程度の口径では歯が立たないことくらい、メルダには分かっていた。
しかし、要は使いようなのだ。牽制くらいなら十分だ。
しかし、謎の存在から挨拶名目でいきなり撃たれたサキエルも黙っているはずがなく、Type nullに向かって急速に距離を詰めてくる。
メルダはライフルを背部バックパックに格納させ、格闘体勢に移った。
サキエルは人型に近い。しかし手指は三本、肩部は妙に盛り上がっていて首に当たる部分もない。
それに対してType nullは完全な人型である。人型であるゆえ、実際に自分たちが使う武器も使えるし、実際に習得した格闘術もできる。
サキエルは右腕を突き出して突進してきた。こちらの腕部か頭部を掴んで握り潰すつもりなのだろう。
しかし軍人であるメルダは、ガミラス国軍仕込みの格闘術で綺麗にサキエルの右腕を受け流し、逆にその腕を掴み背負い投げを決める。
綺麗に決まった背負い投げはサキエルに驚愕の2文字を覚えさせるには十分で、一時的に怯んだ。
「そこっ!」
すかさずそのチャンスを逃さずに超高振動戦闘短刀をサキエルに突き刺そうとするが、後数メートルというところで防壁に阻まれた。
「やはり届かないか」
全て防壁によって阻まれている。しかし、使徒と同じ防壁をこちらも放つことが出来る。そして、防壁同士を接触させると互いの防壁を中和させることが理論上は可能だ。
そしてこの機体にはそのモードを取り付けられている。
「防壁展開! 防壁の位相方程式を中和専用にシフト! データ収集開始!」
Type nullは自身の防壁を発生させてナイフで敵の攻撃を仕掛ける。このままでは効果のないことはもちろんわかっている。
防壁を突破するためには、相手の防壁の位相とは真逆の位相の防壁をぶつけてやればいい。攻撃を何度も仕掛けてサキエルに防壁を使わせて位相データを回収して、それを機載コンピュータで解析して中和用の防壁が使えるようにする。
攻撃は何度も阻まれるが、メルダは順調に事が進んでいることをハッキリ感じ取れたのか落ち着いていた。
10数回目の攻撃後、機載コンピュータからメッセージが届いた。
《位相データ収集完了、中和用防壁の位相方程式作成完了》
「やっといける!」
メルダは利き腕にナイフ、反対の腕でサキエルと同等の防壁を発生させて突撃した。サキエルはそれを迎え撃つため腕を伸ばして掴もうとするが、それをナイフで受け流して、防壁をぶつける。
サキエルはとっさに防壁を展開して受け止めたが、防壁の接触面から激しい光が発生して視界が奪われた。
対閃光モードのエントリープラグ内部でその光景を見ていたメルダは、中和用の防壁がサキエルの防壁を削っていく光景を目の当たりにして攻撃の手を緩めることなく次の手に移った。
渾身の一撃で、サキエルの顔と思わしき部分にナイフを刺す。
防壁に阻まれることなくその一撃は顔に突き刺さり、ナイフの超高振動で接触面から火花が噴き出す。
サキエルはもだえ苦しみながらナイフを抜くが、その時はもう遅かった。
メルダは陽電子ライフルの銃身をコアに勢いよく当てて、ライフルの安全装置を解除して力一杯引き金を引いた。銃身の限界を超えた陽電子ビームが発生して赤い球体に亀裂が刻まれ、そのビームはサキエルの体躯を食い破り背中へ抜けていった。
陽電子の莫大な対消滅エネルギーにかき回された事によりサキエルの動力源たる赤い球体は暴走を始め、溢れんばかりの光を放ち始めた。
メルダは止めを刺すべきかと一瞬考えたが、自分が爆発に巻き込まれる危険性が高いと判断した。
機載コンピュータがサキエルのエネルギー量を観測して、爆発効果範囲を表示した。
今Type nullとメルダがいる場所は、余裕で爆発圏内だ。
かなりの危機感を感じたメルダはゲシュタム機関のパワーをほとんど推力に回して爆発効果範囲から離脱する。外装バックパックのスラスターを全力で吹かせたその瞬間、
サキエルは光に飲まれて、大爆発を起こした。
爆発時の炎は爆心を中心にしてどんどん広がり、Type nullの背後にまで迫ってきた。
「最後の最後にこれはない」と思いながら必死にスラスターを吹かせて逃げるその姿は衛星軌道上からも観測できた。
「クダン司令! アリステラ第4惑星で大規模爆発を確認!」
一人のガミラス士官が光学観測の結果を報告する。
「やったのか?!」
「あの爆発はサキエルを爆心としていましたので恐らく」
艦橋に歓声が上がる。しかし、クダン司令が一喝して収める。
「騒ぐな、まだメルダ中尉を確認できていない! 奴がいなくなったということは通信も可能なはずだ。呼びかけるんだ!」
「こちらゲルバデス改級。Type null、メルダ中尉応答願います。繰り返す、こちらはゲルバデス改級、メルダ中尉応答願います」
数秒後、声が聞こえた。
『……こちらType null……メルダです。こちらは無事です。』
ひどい雑音だったが確かにメルダの声だった。
今度こそ艦橋に歓声が上がった。ガミラスが使徒に勝った瞬間だ。この一報は現地のドメルの艦隊のみならず、ガミラス本星の閣僚にも伝わった。
「メルダ中尉、クダンだ。これより惑星表面に降下、君たちの救出作業を行う。申し訳ないが少し待っていてくれ」
『了解』
機外用のヘルメットをかぶってメルダは右腕を抑えながらコックピットの外に出た。そして機体のチェックを軽く済ませた。Type nullの装甲は一部が焼け焦げていて、右腕が焼けただれていたが五体満足だった。
その双眼はサキエルのいた場所を見つめている。
メルダがその場所を見ると、そこには輝く巨大な十字架がそびえたっていた。
自分の生きた証を残したいのは宇宙広しといえども共通のようだ。
さようなら……
その墓標にメルダはその一言を送った。
上空からフリングホルニが降下してくる。初任務は終了のようだ。
どっと疲れたメルダはそのままType nullの背中の上で寝息を立て始めた。
サレザー恒星歴1000年3月7日
EVANGELION Type null
使徒「サキエル」討伐
ついにこの話だァ!
この話は、前回の話と同時並行で執筆していましたので、前回の話の投稿が遅くなってしまいました。(´;ω;`)
ガミラス製のヱヴァンゲリヲンType nullはメルダがパイロットをしています。
ヤマト世界にどうやってエヴァを登場させようかなと考えた結果、無理のないシナリオが完成しましたので、イスカンダル到着のタイミングで答え合わせでもしようかなと考えてます。
なんでヤマト世界にエヴァ?なんでヤマト世界にWonder??なんでいるの?
皆さんの考察、楽しみにしています。
エヴァに陽電子ライフルを持たせている関係上、使徒のATフィールドは原作よりも攻撃に強くなっています。
しかし、中和されたら終わりなのは同じです。
ATフィールドの中和に関して色々考えてみましたが、ATフィールドが一種の波のようなものだとしたら、その波に逆の波長の波をぶつけてやれば中和できるんじゃないかなと考えた結果、今回フィールド中和用に「位相方程式」の要素を盛り込みました。
(ゴルバの位相変換装甲と同理論)
今後もこのType nullをどうやって出していこうか考え中です。
決して「一話限りのチョイ役」にはしません。それはお約束します。
では、しばらく執筆はお休みしてテスト勉強に専念します。
(´Д`)ノ~バイバイー!
追記 メルダをパイロットにしたわけ
メルダをパイロットにする上で色々大丈夫かなぁと考えました。
原作ではメルダには「母親がいるか」正確な表記がありませんでした。
そしてダミープラグは、「コアの代わり」です。作品内で表記したように、エヴァのコアはオーバーテクノロジーのため解析ができていません。
そして、エヴァとのシンクロ率に年齢のピークがあるのはエヴァ好きな皆さんならご存知かと思いますが、あくまで身体年齢ではなく精神年齢の方かと思われます。
メルダは地球換算で19歳です。
しかし、原作のメルダの行動(パフェ食べたり、専用機を赤く塗って欲しいことに少し恥ずかしげだったり)から、ある程度核はできているとはいえ「17歳相当では?」と考えました。
(エヴァANIMAのアスカに近いかなと)
加えて、軍属で親元を離れて生活している点から、「愛に飢えてる???」と考えた結果、メルダをパイロットにしてみました。