宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》 作:朱色の空☁️
今回は、とある試験機の話です。
技術開発には失敗はつきものですが……時に取り返しのつかないことも起こります
「地球圏絶対防衛線計画、我々にはあとがありませんね」
「奴らの技術力が高すぎたんだ、ビームを弾く装甲に陽電子ビーム、オマケにどの艦も高機動。そいつらのスピードについていける奴なんて、イソカゼタイプかこいつくらいだ」
「そのためのコスモファルコンですから」
「ガミラスの戦闘機はデータが少ない、今確認できているのは、こっちで言うとこの1枚翼の機体。サイズから見て多分ステルス偵察機。それとこのコスモファルコンの親戚みたいな見た目のやつだ」
「形状がここまで似ることってあるのでしょうか」
「向こうが同じ数学と物理学を理解して、同じ航空力学を理解していたら、形状は似るだろうな」
「それはそうと、コスモファルコンの試験機開発、許可がおりたようだな」
「キョクトウが言うには、なんでもやっていいらしい」
「その事で1つ、試したいことがある」
「?」
「ふむ、型式番号CFYN-903VW。次世代操縦システムを内蔵した高機動局地戦闘機か。」
「はい。ベースはキョクトウと完成させたコスモファルコンとして、エンジン周りと武装面の配置変更及び強化。それに加えて『例の素材』を組み込み神経操縦システムを制作します」
「『例の素材』か……。あのオリハルコン、本当に大丈夫なんだろうな」
「強度面としては、従来の戦闘機のフレーム構造材と比較して15%程の強度の上昇が見込めます」
「私が言ってるのはそうじゃない。『あっち』がやっていたことは私も知らない。故に、詳細不明な素材を使うあたり抵抗を感じる」
「お言葉ですが局長。実験機にはそれは付き物です。ここで尻込みしていたら、実験機ではなくなってしまいます」
「そこまで言うなら……ひとまず提出しなさい」
「ありがとうございます」
(彼らは……月面で何をやっていたんだ?)
6ヶ月後、
「白と赤の2色がここまで綺麗に見えた事はないな」
「ユーロにも赤と白を使う国旗の国はあるが、これはどっちかと言うとキョクトウの色だな」
「確か極東は、日本って言われたりもしてましたね」
「かつて人類がまだ世界大戦をしてた時、日本はこんな感じの色をした戦闘機を開発したらしいぞ」
「一式戦闘機、隼ですね。旧日本軍の」
「そうだ」
「CFYN-903VW、コスモファルコンEURO2。EURO1方は無事に飛行試験が終わった。次世代型として採用される可能性があったが、それまで人類が生きてられるかどうか」
「EURO2の試験は地球衛星軌道で、ラ・グロワールから発艦させる形で行います」
「やれやれ、船が足りないから退役艦を使うのか」
「船は激減しましたからね。定年退職したとしても復帰を望むくらいですよ」
「こいつが青空を飛ぶことはあるのかねぇ」
三週間後、CFYN-903VWの試験飛行が地球衛星軌道上で行われた。これはその時に残された音声データである。
『ガアァァァァッ!!!! アアァァ! アアッ!! 触れるな! 触れるなぁ!!!』
「システムを切れ! 遠隔で操縦できないのか?!」
「ダメです! 機体側からロックされています!」
「機体出力上昇中! あと20%でオーバーロードを起こします!!」
「クソッ!! 903の機体制御システムに何としても侵入しろ! 強制停止させるんだ!! ってなんだ?! 機体が光が漏れている……?」
「主任!! 装甲の展開を視認! NT-Dの発動を確認! 機体の安全装置がすべて破壊されました!」
「1秒でも介入出来ればそれでいい!! 急がないと操縦者が死ぬぞ!!」
「はっはい!!」
「そんな……ありえない……」
「何がどうした?!」
「機体の機動と速度を確認しましたが、全く落ちていないんです。それも方向転換はほぼ鋭角に行っています。こんな機動をしても機体は無事なんて、でもあんな機動をしたらパイロットは、もう……」
「勝手にあきらめるな!!! あれを止めることに集中しろ!」
「主任! 緊急用バックドア開放完了! 停止させます!」
「やれ!」
「ダメです! 停止コードが無効化されています! 903急速接近!」
「急速反転!」
「間に合いません!!」
「被害を少しでも小さくするんだ!急げ!」
「主任! 903の武装システムがセーフモードからアクティブになっています!」
「まさか…! 総員安全区画へ退避するんだ!」
「総員退避! 繰り返す、総員退避! ……主任もお早く!!」
『……ワタシヲツクッタノハアナタデスカ?』
「903応答しろ! 903!」
『ワタシハナンノタメニツクラレタノ?』
「903発砲!!」
「回避間に合いません!!」
その後、903は金剛型ラ・グロワールを完全に破壊し、飛び去った。その一週間後、第1衛星軌道で漂流中の903を確認。回収作業の後、機体のオーバーホールとテストパイロットの回収が行なわれた。
「全身に強烈なGがかかっていたため、遺体の内臓はグチャグチャでした。それと、パイロットの当時の精神状態についてなんですが、ラ・グロワールから回収した脳波モニターが見たことのない波形を記録していて……この波形を地球に送信したところ……パイロットの精神が、修復不可能なレベルになっていたようです」
「……原因はNT-Dか」
「まだ完全にそれだと言い切れませんが、ミッションレコーダーによると、パイロットが思考操縦に対して強烈な拒絶を示した記録がありました」
「……地球に帰還次第、この機体は情報とともに封印する。我々は、制御の利かない獣を作ってしまったのかもしれない」
記録
CFYN-903VW(通称EURO2)による試験飛行の際、思考操縦システム『NT-D』が暴走。903の射撃により、金剛級ラ・グロワールが轟沈。
テストパイロットは死亡。
以後、この機体に関わる全ての情報を公的に抹消し、コックピットを取り外した上で機体の封印が行われた。
「SOEが制作したこの素材。人の意思を拾って増幅するオリハルコンが、パイロットの意思を操縦系に直結させたのか。そのため、パイロットが錯乱状態に陥った時、その精神状態がそのまま反映されてあの機動になったのか」
(プロジェクトSOE……まさかとは思うが、この仕様をあえて伝えなかったのか? だとすると、SOEがやっていることは、この仕様を応用した何らかの兵器の作成? だとすると、非人道的なものである可能性がある)
掴めるのか……? 彼らのやっていたことを
2197年××月××日記録
サイドストーリー三つめです
今回の話は、アスカの駆るコスモファルコンEURO2の話です。
この話を書くにあたって、ユニコーンガンダム3号機フェネクスの暴走事故を参考にしました。
ちなみに、EURO2の型式番号は、劇場版ガンダムダブルオーに登場した可変試験機ブレイヴの指揮官機から来ています。主はこの機体が好きなので、今回使ってみました。
ガンダム世界にも乗り手を選ぶ機体は存在していますが、乗り手を殺す機体はそうそういません。(いるにはいます)
そんなヤバい機体に乗っているアスカはNT-Dを使いこなすことができるのでしょうか
ではでは次章を乞うご期待ください
次章タイトルは未定ですが、近いうちに2人の過去を描こうかと思います
書きたい事いっぱいです。テスト勉強もいっぱいです。
ではでは次章でまた会いましょう