宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》 作:朱色の空☁️
「虹と戦火 side Asuka」始まり始まり~
『アルファ2山本、出る!』
コスモゼロの2号機が強行発艦した。加藤隊長は切り札として私たちを温存していたけど、こうも早く出撃をすることになるとは、戦況はそれほどまでこちらが不利なのだろう。
「管制室! EURO2出します!」
『こちら管制室。ハッチ解放、カタパルト移動します! ご武運を!』
「了解! EURO2式波出ます!」
白い耐高G用パイロットスーツを通常のパイロットスーツの上に着こんだ私は、操縦桿を握り、輝く戦場にその機体を躍らせた。
七色星団、七つの恒星系が集まったこの星団は、聞くところによると宇宙ジェットの噴出が確認されている。
そんな難所を敢えて突破することで敵の意表を突く沖田艦長の狙いは、どうやら敵に看破されていたみたいで、待ち伏せをされていたみたい。
さっきも敵の攻撃を受けて震動が走り、ダメコンの通信が聞こえていた。
今回の戦闘では敵がどう来るか分からなかった。七色星団にワープする前に、EURO2には推進力が許す限りの重武装が施された。
コスモファルコンの本来持つステルス性は今回の戦闘ではまったくもって不要。
有視界戦闘が必要となる今回は、ガミラス航空機の大規模な攻撃を想定した沖田艦長の判断で、推力の許す限りミサイルを大量に搭載した。弾種は問わずにとにかく大量に。
手数をとにかく増やすことを重点に置いた重装化で、EURO2はマッハで宇宙を飛ぶ弾薬庫ってこと。
そして今着ているのは、赤木博士が突貫で作ってくれた耐高G用特殊パイロットスーツ。急加速急減速によるブラックアウトを極限まで軽減する機能を持ち、高機動高G負荷による血流偏差を抑制するために血流制動作用のある薬品を無痛注射で投与する機能がある。
これでNT-Dの高負荷を完全に殺しきれるわけではない。未だ実践で発動したことのないNT-Dの負荷はカタログ上の記載はあるが、それをはるかに上回る負荷もかかる。
でも、使わなければ勝てないときになったら、私は容赦なく使うと思う。
ここはそういう戦場だ。
『Wunderより航空隊! Wunderより航空隊! Wunderは現在、敵艦載機からの奇襲を受けている! 航空隊各機は防空任務に当たれ!』
「マジかよこいつらおとりかよ!」
『加藤隊長! ここは私が何とかします! 早く防空の方へ行ってください!』
「式波二尉! 1人では無茶すぎる!」
『今は玲が持ちこたえています! 私とEURO2は、あんなのには負けません!』
「分かった! 命落とすなよ!」
『命落とすな敵落とせです! 行きます!!』
(二尉、死ぬなよ……!)
__________
さて、ここに居るのは私一人とガミラス戦闘機だけ。
1対数十以上で無謀だけど、今航空隊全機を防空の方に回せばWunderが生き残る可能性が上がる。
万が一私がやられても多少の時間稼ぎができたという結果が残る。
あとはその結果を生き残った人たちがうまくつないでくれることを祈るだけ。
……なによ私、死を前提に考えてるなんてらしくないじゃん。
私はパイロット殺しのEURO2を駆る式波・アスカ・ラングレー特務二尉。
手足がちぎれても生き残ってやるわよ。
「敵戦闘機、一斉に撤退していきます」
「何を考えている、たった1機のみ残して足止めのつもりか? 全機、敵戦闘機を無視してそのままヴンダーへの攻撃を開始せよ!」
_______
こっちが1機のみだと言って無視するつもりなのね、なめた真似してくれるじゃない!
「ガミラス航空隊の皆さんこんにちは。ここから先に行きたかったら……私の屍を超えて行け!!」
急加速をかけてガミラス航空隊の渦中に突っ込み、機首の4連装の機関砲を景気よく連射した。
あまりの加速をかけてしまったことで、敵艦載機が反応するのに数瞬遅れ、機関砲の餌食となった数機は小ぶりな恒星となった。
それをまずは見せつけたことで、ガミラスはようやく私のことを脅威と認識したようで、私に突っかかってきた。
でも、練度が低い。動きっていうか、キレがないのよ。
もしかして、寄せ集めか何か?
「そんなんで私をッ!」
でも容赦はしない、今回だけは私は鬼になる。機銃からのマズルフラッシュが何度も何度も瞬いて、敵機を落としていく。
「さぁ、行ってみようかぁ!!」
機銃のトリガーを引きっぱなしにして、機首を敵機の群れに突っ込ませた。
敵中に活路を見出すって沖田艦長はおっしゃっていた。
これではまるで自殺特攻だけど、私なりにちゃんと考えている。
沖田戦法、今までそれは突撃戦法の様にしか見えなかった。
でも厳密には違う。正確には敵に時間を与えない戦法だ。ガミラス大艦隊との戦闘では、総旗艦にダメージを与えて即全速前進して「敵に反撃準備の時間を与えなかった」そしてバラン星では、エネルギープラントを潰して、「敵が戦力を集め直す時間を与えなかった」
この2つから沖田戦法は、敵に時間と余裕を与えない戦法だという事が確信できた。
ならば、艦隊戦でその真価を発揮した沖田戦法を航空機同士の戦いに転用できないだろうか?
そこてアスカが考え出したのが、1対10以上の戦闘で「なるべく長いこと生き残れる」方法。
……正直言って、誰も出来なかった。
加藤隊長と玲は何とか出来ていたけど、一般のパイロットでは到底できるようなものではなかった。
でも考案者なら、自分の力量基準で考えていたから出来る。
方法を考案した……って言っても、ぶっちゃけ本人の技量に全振りしたような「戦法とはゼッタイ言えないようなもの」なの。
今だって、敵の真っただ中に飛び込んでいるのに、一切被弾していない。
まずはこれで時間稼ぎをする!
私はさらに加速をかけるため、安全装置の類を解除していく。主に推進系。振り切って逆に墜とせるくらいの速度が欲しい。1対40なら尚更た。だって今この状況でも囲まれているから。
操縦席横のスイッチ類を一通り切っていく。安全装置が切られてボタンが緑から赤に変わっていく。最後の硬いボタンを押し込んだらコンソールに警告表示が大きく表示された。
《警告 人体に深刻な負荷がかかります。解除しますか?》
「
コンソールのタッチパネルを叩くようにして実行ボタンを押す。
計器の数値が見たことのない数字にまで跳ね上がり、加速度計測値のメーターの針が安全域から大きく振り切れる。途端にメーターが赤く点滅して、警報音が鳴り響く。
機体が震動に襲われ、視界がブレ始める。
シートに体が押し付けられ、頭を起こすことが出来ない。
それでも、レーダー上に映るガミラス機はどんどん離れていく。これこれ、やっぱ加速が欲しいのよ。ガチガチに耐G装備したからドンと来なさい!
「隊長! 何なんですかあれは?!」
『分からん。だが、捨て身ではないことは確かだ。考えられた動きだ。そしてこの速度、殺人的な加速でなぜ動けているんだ? 機体がいくら頑丈でもパイロットが死ぬぞ』
「デバッケでもこの速度は絶対に出せませんよ!」
『こちらの方は数が上なんだ。追い込み、誤射の起こらない陣形で一斉射。いいな?』
「ザーベルク」
「フン、さながら、赤い彗星だな」
ゲットーの目に映る航跡は赤い線となって、機体は彗星の核の様。真っ直ぐに引く尾は、時に変則的な軌跡を描き、見る者を魅了しながら、近づくものを死へ墜とす。
赤い彗星か死の彗星と呼ぶかは、各々に委ねられた。
____
「SAA-2
発射したミサイルはロックオンしたガミラス機を射抜く。
これでもう何機目? 途中から数は数えていない。
……次に行くわ、敵機を一か所に集めて行動を縛りそこにミサイルを叩きこむ。
推進ノズルから青い推進光ではなく、安全装置が外された100%の性能である赤い推進光を引きながら、さらに飛翔する。計器の画面のふちが赤く発光して異常加速を警告する。
「
余裕のない戦場で母国語が飛び出し、日本語を話す余裕もなくなってきた。全方位に目が付いてなければ到底回避しようがない弾丸の網を潜り抜けていき、ひたすら誤射を誘う。幸いにも向こうは新兵が多い。こういう戦場にはベテランを連れて来なさい。誤射祭り待ったなしよ?
私の狙い通り、敵部隊の中で誤射が起こり、見事なまでのフレンドリーファイアが起こり数機が墜ちた。それでも、放たれたミサイルは従順なまでに私を追尾してくるため、そこはフレアで対処するなり急速反転して機銃で叩き落とす。それかミサイルにミサイルをぶつけて相殺させる。
さらに急速反転して推力を一気に落としてさらに機銃を打ち込みこっちを狙う機体を穴だらけにしてやる。そのまま推力を1秒もかからずに全開に持っていく。圧倒的な加速度で計器が悲鳴を上げるが、もう構ってられる程の余裕はなさそう。
しかし、一瞬考えただけで一瞬機体の機敏性が鈍り、前から迎え撃とうとしてくる機体に挟まれた。相対距離があっという間に縮まり、敵機の射程圏内に入り込んでいる。
敵機からレーダー波照射を受けて、ロックオンされた旨を計器が表示する。
相対距離がコンマ秒間隔で縮まっていく。今避けようとしてもどうしても完璧に避けられない。つまり撃墜もあり得る。
あとコンマ数秒もすれば正面の機体からマズルフラッシュが見えるだろう。そうしたら機体と私に穴が開く。
そう思い諦めかけた時、正面の機器がすべて真っ赤に輝き、電子基板の回路の様な文様が浮かび上がった。
「えっ! ちょ、うっ嘘でしょ?!」
迎撃で放たれた機銃が自機を中心にした球体上のバリアに阻まれ、全て反射された。
コンソールに浮かび上がっていたのは、NT-Dの文字。正面の機器がスライドして別の表示機器が展開して、シートの後ろからアームが出てきてパイロットスーツごと私の体を固定する。
シートも一部変形して足が固定された。計器の表示も見たことのない数値を表示していて、さっきまで忙しく点滅していた計器類が全て点灯に変わり、中央のレーダー表示用モニターの背景に「NT-D」の文字が薄く表示された。
「NT-D……勝手に動いている!」
『……ワタシヲツクッタノハアナタデスカ?』
「あんた誰?!」
頭に響く声の主に怒鳴る。だが声の主はそれには答えずに、さらに問いかける。
『ワタシハナンノタメニツクラレタノ?』
「うっさい! 私は式波・アスカ・ラングレーであんたの主! あんたのことは知らないけど、生き残りたかったら私に力を貸しなさい!!」
酷くノイズ交じりの音だったが、意味だけはスムーズに頭に伝わってくる変な感覚。
でも、確信が持てたことは一つ。
これはNT-Dシステムの声だという事。
ゲットーはあり得ないものを見ていた。
先ほど発射した機銃が着弾しなかった。
それどころか謎の球体上のシールドに阻まれて、そのシールドをなぞるようにビームが歪んだ。
そして、目の前にいる機体から紅い燐光が走っていた。
その瞬間、力強く「装甲を展開」した。
その隙間から除くのは紅く輝く内部フレーム、数舜前まで「エース級のパイロットが駆る戦闘機」としか見えなかったそれは、「戦闘機ではない何か」という認識に挿げ替えられた。
主翼、垂直尾翼、メインスラスター部、機首、4連機銃、あらゆる部分がスライド展開され、戦闘機の面影を残しながら、あれは獣となった。
_____
「行くわよ!!」
ペダルを思い切り踏み込んで急加速をかける。その加速はシートに体が押し付けられてそのまま擦り潰されるほどの殺人的な加速で、後続のガミラス航空機を一切寄せ付けなかった。
安全装置がすべて外された赤い推進光とサイコマテリアルの発光が相まって、さらに赤くなる。
もしこの耐Gスーツを着ていなかったら、一瞬で20Gに達する加速に耐え切れず、私の体はグチャグチャになっていたことだろう。
人間の体は、思っているよりも脆い。どっかの本で見たけど、体の60%は水らしい。言い換えれば、人間の体は個体っていうよりスライムとか水風船みたいなものかなって思う。アレな言い方になるけど「潰れやすい」みたい。
特に頭、脳に至っては豆腐のように脆くて、グロイ話になるけど荷重に耐えれずにグッチャグチャになることも普通にある。この機体に殺されたテストパイロットは、荷重に殺されてグッチャグチャになってた。
でも今の私はそれに対応して、意識を保っている。
そのまま加速を緩めず急ターンをかけて、後ろをトロトロ付いて来るガミラス航空機の後ろに張り付く。
「落ちろッ!!」
そのままミサイルを叩きこむ。
その爆炎を括り抜けた先に敵機が待ち構え、機銃を構えているのが「見えなくても分かった」
そのまま腹の姿勢制御スラスターを全力で噴射して急制動、そのまま斜め上後方に全力で回避行動をとった。
その訳の分からない予知じみた予感は的中して、見下ろす眼下には敵機がいた。
そしてある程度の高度が取れたら機首を斜め下に向けて機銃掃射、排熱が追い付いてない気味だけど今は気にしない。撃たなきゃやられる。
全力排除して開いた間隙を、赤い航跡を残しながら兎に角全力で突っ切る。
「何なの今の……これもあんたの成せる技なの?」
システムはあれから何も喋ってこない。
私が怒鳴ったからかな。でも、今は使わせてもらうわ……! これが何であってもね……!
急旋回をかけてミサイルを無誘導で近接信管にして叩き込み、爆発の破片で敵機数機を火だるまにする。
残った敵機は機銃で落とす。
まだだ、こいつらが防空に行った航空隊に突っかかったらWunderの生存率が下がる。
NT-Dはパイロット殺しと言われているけど、まだ私は余裕、身体もガタは出ていない。
「あと何機だ……?」
「いい腕だ」
その暴力的な立体機動に辛うじて付いているゲットーは、その操縦に舌を巻いていた。
急加速したと思えば、急減速する。急速反転して後方への射撃。とても有人機で出来るような動きじゃないことは確かだ。
「テロンの白い悪魔……死に装束と言ったところか。だが、軌道を予測して弾を置いておけば……潰すことも容易い」
_______
敵の動きが変わった。
真っ向から挑んでこなくなった、その代わり、機銃や空対空ミサイルを進路上に置いて来るようになった。
速度勝負では敵わないことが分かったみたいで、私が障害物に引っかかって自滅するのを狙ってくる。
「小賢しい……!」
私は速度を緩めくしかなく、敵機に追いつかれないくらいの速度ギリギリまで落として回避行動に努めた。
全ての感覚が鋭敏となり、よくわからない直観のような物に全てを託して、全てを避けていく。
その間一切の攻撃が出来ない。つまり、一方的に攻撃されているという事。
「あぁもう!! 鬱陶しい!!」
一通り抜けたと思ったのが最大の油断だった。
避けたはずの銃弾に重ねるようにして置かれた銃弾の群れに、私はエンジンの片方を持っていかれた。
「ぐっああああぁぁぁあああっ!」
エンジンの片方を持ってかれたことで機体が回転してしまい、さらに爆発がコックピットに衝撃を与える。
私はその衝撃で計器に頭を打ち付けてしまい、頭に鋭い痛みとぬるりとした感触を感じた。
頭が痛い、流血で右目を開けられない。
視界の半分が真っ赤になり、とっさに片眼を閉じた瞬間、その場の判断で、破損したエンジンへの燃料供給を閉じてパージした。
機体バランスが崩れまともにまっすぐ飛べないけど、まだ動かせる。
NT-Dも異常停止してしまった。
あと数機と言うのに、何たる失態だ。
背後から敵機が迫ってくる。
推力が低下した今だから追いつけるのだろう。
まともに動かせないのなら、「イアイギリ」で決める。
日本の剣術で、まともに飛べない以上こうする以上敵機を撃墜する術はない。
失敗すれば即死。失敗しなくても爆風を受けてボロボロの機体は動かなくなる。
これで、決める。
私は静かに秒読みをした。
自分を無にして、集中する。計器から発される電子音、破損した計器から散る火花。それらの音は私にはまったく届かない。
ただひび割れて機能停止寸前のレーダーの、健気な発信音のみが聞こえる。
装甲の展開解除もままならない状態で、内部フレームのサイコマテリアルは元の鉄色になっている。
装甲の破片が辺りに舞い、私は満身創痍であることが片目でもよくわかる。それはあたかも羽衣の様に、舞い散る装甲が近くの恒星の光を受けていた。
機体の無事だった機載コンピュータから警告音が発せられ、私はそれを合図に身構えた。
破損した機体が戦闘に耐えられないことを看破していた機載コンピュータが脱出を推奨する。
相対距離があっという間に縮んでいき、緑の機体色で垂直尾翼が白に塗られている機体が目に映った。
今まで散々撃墜してきた機体とは違う。一目見て分かった。
「エース機……!」
エース機は機銃を撃ちながら、迫ってくる。
私はその紅い目を開き、NT-Dを1秒だけ発動させた。
急加速急反転で機銃を躱し、無防備な敵機の背中にありったけの機銃を叩きこんだ。
その急加速急減速で片方残ったメインスラスターは完全に死に、私は自立飛行の術を失った。
(ガーレ・ドメル……!)
頭に響いた声、それが敵のエースの最期の言葉だった。
その爆風に飲まれた私は激しく揺さぶられ、損傷の激しかった片翼が折れて吹き飛ばされる。
飛び散る装甲破片越しに、尻尾を巻いて撤退していく敵機の姿が見えた。ははっ、隊長機撃破された怖気着いたでしょ? 帰んなさい。
「……やったわ。隊長……玲……あとは、任せたわ」
赤に染まった視界に映る装甲の破片を眺めながら、私はそっと目を閉じた。
ゲットーは見た。
満身創痍、まだ動けるのが不思議なほど損壊した戦闘機が、一瞬とはいえ赤く輝いたその瞬間を。
死に装束のような白と差し色の赤が入ったその機体が、剝き出しの内部フレームから強烈な光を放ち、白い機体が赤い光を纏った。
それは、不死鳥のようだった。舞い散る装甲の破片が舞い散る羽にも見える。
そこからは一瞬だった。
一瞬にも満たない時間と最小限の動作で機銃を躱され、側面と後部が機銃で穴だらけにされる。
とても反応できないスピードで見せられた御業に、ゲットーはなすすべもなかった。
「ガーレ・ドメル……!」
最期に紡いだ言葉は、上官であるドメルへの言葉。
最期に思ったのは、自分が知る限り最強に近いパイロットと戦うことが出来た満足感だった。
「航空隊帰投しました。未帰還……13。出撃したEURO2との信号も途絶してます」
レーダー手の席に座る西条の言葉は暗い。
この戦闘で10機以上のパイロットの命が失われた。艦橋の空気は重い物になる。
『こちら100加藤! 聞こえるか?! EURO2発見!』
加藤の怒鳴るような声が戦闘環境に響き、加藤のコスモファルコンからの映像が全周スクリーンに投影される。
そこに映っていたのは、片翼がちぎれ、推進ノズルから黒煙を吐きながら、姿勢制御しかできないスラスターで懸命にWunderに近づいて来るEURO2だった。
「加藤機! 式波機との通信は可能か?!」
『ダメだ! 通信システムそのものが死んでる可能性がある! 横付けして確認する!』
______
加藤は自分のコスモファルコンから飛び出し、EURO2の状態を確認した。
撃墜されていてもおかしくない、死に体と形容してもいいその機体のコックピットには、ヘルメットが割れ、耐Gパイロットスーツの一部が血に染まったアスカが意識を失っていた。
「艦橋! 式波二尉の生存を確認!! 医療班を回してくれ!!」
『了解しました!! そのまま第3格納庫に機体を回してください! そこで二尉を搬送します!』
「意識無いはずなのになんで動いてんだ……?」
機体の方に目をやると、剥き出しのフレームがまだ赤い燐光を今にも消えそうなろうそくの様に放っていた。
「この機体が自分で動かしてんのか……!」
この機体の事は赤木博士から少し聞いただけ。
従って、加藤の持つこの機体に対しての印象は「パイロット殺し」だった。
でも、先ほど目にした光景は、パイロットを殺しにかかるような印象は見受けられない。
寧ろ主を助けようとしている印象だった。
「健気な相棒だな」
そういった加藤は、自身のコスモファルコンでEURO2を直接押し、第3格納庫に搬入させた。
音が聞こえる。
レーダー音……じゃない。心電図の音だ。
目に違和感がある。
目が覚めたら、白い天井だった。
「気が付いたかい?」
「……戦闘は?」
「終了した。Wunderは何とか勝ったぞ」
聞くところによると、私はコックピットで意識を失っていた。でも、NT-Dが自立航行してWunderに私を戻してくれたみたい。
あのとんでもない無茶をしたことで機体はボロボロ機器も損傷、完全修復は不可能。
でも、EURO2が最後に私を助けたというのがとても信じられなかった。
でも、自律航行していたのを加藤隊長が目撃していた。
頭部にも大きな切り傷を受けGで体をやられ、機体共々満身創痍ではあるが、私はこうして生きている。
役目を終え、第3格納庫で静かに眠るEURO2。その機体に右手を置き、こう言った。
「ありがとう」
一瞬だけ、サイコマテリアルが赤くなったように見えた。
NT-Dが遂に発動しました。
最初で最後となる大暴れは、通常のパイロットスーツでは不可能という事で、ユニコーンの耐Gスーツを用意してみました。
イメージですが、スーツについているマークは、ユニコーンではなく火の鳥です。
赤い彗星と、連邦の白い悪魔を一度に両方出す方法がありました。流石EURO2、ニュータ○プのアスカ。
そしてガンダムOOのファンならご存じの1秒トランザムをNT-Dでやってもらいました。
NT-D最後の輝きは、白い機体を赤く染め、あのトランザムのように機動を実現させ、ケルディムガンダムのごとく反撃を実現させました。
途中でEURO2が健気に見えて……書く手が止まりました。
そしてもう春休みに入っていますが、応用情報技術者試験の勉強に入りますので「投稿ペースが落ちます」。
一応執筆自体は続けますので前みたいに完全ストップという訳ではありませんが、のろのろモードに入る前に一応お知らせしておきます
休載する時は活動報告のところでまた休載宣言を出します
それでは次回の話でまたお会いしましょう
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