宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》 作:朱色の空☁️
2028年 AAAWunder艦内
「引き金は、僕達が引きます」
外部から解放された戦闘艦橋のハッチに立っていたのは、白髪の女性と、傷ついた青年だった。
「睦月君……?!」
「睦月さん!」
「リッくん?!」
現れた予想外の人物に戦闘艦橋内部が驚愕で満たされる。
その中で真田だけが背を向けて、ヘルメットのシールドを上げて目元を押さえて震えていた。
「古代くん。大体の内容はハルナから受け取った。波動砲は僕たちが受け持つ、君は成すべき事を成して欲しい」
「睦月さん……ホントに、大丈夫なんですか?」
「半分気合で動き回ってるから何時まで持つか分かんない。それより、やる事決まったんだよね?」
「はい!」
「森さん助けに行ってらっしゃい。こっちは何とかするから」
「……行ってきます!」
ハルナの声に押されて古代は艦内を駆けていき、リクとハルナは真田の方を向いた。
「真田さん……ご迷惑おかけしました」
「……」
「真田さん……? もしかして泣いてるんですか?」
「泣いて悪いか?! どれだけ心配したと思っている?!」
論理も何も無い感情任せの声を初めて聞き2人は萎縮しかけたが何より、感情豊かな方ではない真田がここまで感情を顕にしていることに驚いた。
「だが、2人で……2人でよく戻ってきた……っ!」
「……言いましたよね? 必ず二人で真田さんの元に戻りますって。ちゃんと約束守りました。あとは叱られるだけですけど……」
「叱れるわけないだろう! こっちの身にもなれ!」
感情が薄い筈の真田がここまでなるとは艦橋要員の皆は予想だにしなかっただろう。一斉に静かになった。
(リクのとこ行く時めちゃくちゃ心配されたから、真田さん泣いちゃってる)
(真田さんや博士達には、最初から最後までしっかり説明しないとな。でもその前にひと仕事だ)
「沖田艦長、真田さん、赤木博士、マリさん、艦橋の皆さん。アレをぶっ潰すサポートをお願いします。引き金は僕らが引きます」
「「「了解!」」」
「と言うか暁さんと睦月さんも、波動砲が撃てるんですか?!」
「マスター権限でMAGIに直談判すればね。マスターと言っても全権が最初から与えられてる訳では無い。妥当だと判断されればMAGI経由で権限が貰えるだけなんだ」
そういったリクは懐からマスターキーを取りだし、ハルナの顔を見て頷いた。
その意図を感じ取ったハルナは同じくマスターキーを取りだして、その持ち手部分をコンソールにある不自然な短い隙間に突っ込んだ。
てこの原理でコンソールの外装の一部がいとも簡単に外れ、横に並んだ2つのキーシリンダーらしきものが見えた。
その下には「MasterKey」と書かれている。
「隠してあったんですね」
「悪用防止も兼ねてね。リク、やろう」
「ああ」
「「マスターキー及びマスター権限保持者として、承認権限保持者および発射権限保持者死亡時の緊急用波動砲発射システムの解放を」」
隠してあったキーシリンダーにマスターキーを差し込み回す。
剥き出しの基盤に取り付けられているLEDが水色と橙色に発光し、全周スクリーンの正面にマスターキーが差し込まれたことを示す特別な表示が現れた。
認証を受け付けたメインフレームが読み込みに入りプログレスバーが表示され、それは数瞬でゲージ一杯に満ちた。
《マスターキー認証、及びマスター権限保有者の音声認証を確認しました。MAGIシステム協議演算の結果、非常事態につき、戦闘行動終了が確認されるまでに限り、睦月リク、暁ハルナ両名の波動砲発射承認権限及び同発射権限を付与を行います。なお、本システムの想定用途外での使用の為、発射承認は通常の音声認証によって行われるものとし、マスター権限保持者による単独承認は不可能とします》
コンソールから波動砲のコントローラーが持ち上がり、リクの正面に固定された。
グリップをリクの右手が握り、それをハルナの左手が包む。そしてそれを
カシャンという子気味いい音で外れたたコントローラはまるで拳銃の様に全周スクリーンの向こう側へ向けられ、ターゲットスコープが自動で展開された。
『マスター権限行使下による波動砲発射準備開始を検知しました。ターゲットスコープオープン、電影クロスゲージを初期値明度20で固定します』
「まさか外れるとは……2人とも、この事を想定していたのか?」
「外して使えるのは非常手段です。本当は最悪の事態の為の最後の切り札ですが、まさかこんな風に使うとは思ってませんでした」
リクが言う最悪の事態というのは、戦闘艦橋の損壊による艦橋要員の全滅だ。
急激な減圧により吸い出されるか空気漏出による窒息で全員死亡という事態では、通常の手順で波動砲を撃つことが出来ない。
操艦、認証、安全装置解除、その全ての工程に必ず誰かが必要となる。
その最悪に備えWunderには、真田も把握できないように高度に暗号化されたプログラムが仕込まれている。
艦橋損壊により艦橋要員の生命反応が1つでも喪失した場合、波動砲発射までの手順に関わる全ての権限を無条件でマスター権限に移譲し、マスター権限保持者が生きている限り
条約違反は重々承知している。
出来れば絶対使いたくない手だが、それでも地球を守る為に用意した禁じ手だ。
それをまさか「古代くんの代打」の為に使うとは用意した時は想像もしなかったが、正しい用途で使わずに済んだ事に同時に安堵もした。
「……波動砲への回路を接続!」
「波動砲への回路、開きます!」
「非常弁、全閉鎖。左舷強制注入器作動。両舷波動エンジン最大出力に移行」
右舷波動砲口は損傷が酷く資材不足の問題もあり放置されている。
巨艦が故の弊害がここで際立つが、400センチの砲口なら片舷の使用不能を口径と威力でカバーできる。
その波動砲口の絞り羽のシャッターも開かれ、その黒い穴を遥か彼方の目標に向ける。
「作動を確認。安全装置を解除!」
「同時認証を開始、待機画面出します!」
真田がコンソール脇の端末を操作し、音声認証用の待機画面を開いた。
それに連動して、艦長席と真田のコンソールにも待機画面が表示された。
「沖田十三。発射を許可」
「真田志郎、発射を許可」
「睦月リク、発射を許可!」
「暁ハルナ、発射を許可します!」
『権限保有者2名。及びマスター権限保有者2名の音声認証を確認しました。波動砲最終安全装置を解除します』
「照準固定! 島くん、操艦も兼任は厳しいから姿勢制御はそっちで頼む!」
「了解。重力姿勢制御良好、艦体を同座標上に固定!」
最後の鎖が解き放たれ、ハルナがコントローラの撃鉄を引く。
サイトマークの中心に拡大表示された構造物が入っていて、サイトマークの周囲には目標との距離、サイズ、タキオン粒子圧力メーターなどが表示されている。
その中心を静かに見つめて、ハルナは荒ぶりそうな呼吸を鎮めようとしていた。
波動砲と言う「人類史上最強の大量破壊兵器」の引き金を握るその手は、酷く汗ばんでいる。
初めて死を目の当たりにしたとき、初めて死の恐怖を感じた時、そして大事な人が死に向かいかけた時、その時の意識が張り詰める様な感覚が蘇る。
波動砲には死を生み出せる側面と生を守る側面がある事が、今までの航海でハッキリと分かっている。
今こうして砲口を遥か上空に向けているのは、生を守るため。
死を生み出すことが目的じゃない。
そして、今は彼がいる。
1人じゃなく2人、そしてもっと大人数なら、この引き金に押し潰されないかもしれない。
これはたった1人の引き金ではない。
艦橋の皆もいる。
全員で引く引き金を改めて意識し、ハルナはさらにグリップを強く握る。
「アンノウンドライブに右舷波動エンジンからのエネルギーを投入。重力子生成量子跳躍開始!」
右舷波動エンジンのエネルギーを貪り、アンノウンドライブがまばゆく発光する。
そして中央船体艦尾を中心にして、重力子で同心円を力強く展開した。
光さえも捻じ曲げる重力を展開するその光輪は、船体をそのポイントに強靭に固定し、周辺の光を全て捻じ曲げ集約させた光で真っ白に輝いている。
不調をきたした重力アンカーの代打を担うそれは宇宙戦艦という人工物が発生させる機械的なものではなく、この世ならざる生き物の力の様に輝く。
その姿はまさに、宗教神話から現世に顕現した神の使い。神殺しの船の名に相応しい姿だった。
「薬室内タキオン粒子圧力上昇、エネルギー充填100%」
「まだだ」
無意識に引き金に指を当てていたのを沖田艦長が制し、思わず指を引っ込める。
「エネルギー充填120%!」
薬室に準備が完了し、残りはカウントのみとなった。今度こそ引き金にゆっくりと指をかける。
「全周スクリーンを対閃光モードに切り替え。総員対閃光バイザー用意」
全周スクリーンが対閃光モードに切り替わり一気に暗くなった。
皆船外服標準装備のバイザーを下ろすが、2人とも船外服を着ていなかった。
おまけに2人でコントローラーを握っている以上対閃光ゴーグルを付けられない。
仕方がなく目を閉じて誤魔化そうと考えていたら、真田がリクの艦内服に手を突っ込みゴーグルを取り出しハルナの目元にかけ、もう一つ自分用を取り出した真田はそれをリクにかけた。
「真田さん……」
「良く戻って来てくれた」
たったそれだけしか言葉はなかった。
それでも、とても嬉しそうな感情は十分に感じた。
「発射10秒前!」
「行くぞ!」
彼の声に後押しされ、ハルナは再度グリップを固く握った。
「守るわよ……この力で、命を! 『命を救う戦闘艦として』!!」
それは、遥か昔に1人の艦長が込めたこの艦に込めた言霊。
「命を救う戦闘艦として」
その瞬間、命を救う戦闘艦は目覚めた。
あなたの復讐のため?
いいえ。命を残す方舟では無く、命を救う戦闘艦として……
これまでの全てのカオスに、ケリをつけます。
エヴァ両機を喪失。作戦続行不能! 艦長! このままでは……!
L結界臨界点に達します! ダメです! このままでは個体生物としての形状が維持できません!
総員……退艦を始めなさい。
世界が……終わるのか
お母さん、何にもあなたに出来なかった。ごめんね、リョウジ。
何も出来なくて、何も救えなくて。どちらにも行けずに宙づりになり、もう幾年が過ぎた……
(守るわよ……この力で、命を! 命を救う戦闘艦として!!)
貴方の復讐の為?
いいえ、命を残す方舟では無く、命を救う戦闘艦として
母親の台詞だと、実感あるわね
私にそんな資格、1ミリも無いわよ
そうだ、
なぜ今まで捨てていたんだ
「この船は、命を救う戦闘艦だ」
聞いたことのない様な高回転音に制御室に詰めていた山崎が苦悶の表情で耳を塞ぎ、コンソールにしがみ付くようにして内線を戦闘艦橋に繋いだ。
「機関室! 状況報告せい!」
『信じられない出力です! 内圧が安全限界ギリギリです!』
「落とせんのか?!」
『制御から閉め出されてます!』
通信越しに聞こえる轟音と山崎からの大声で、徳川は悟った。
きりしまの頃から機関の稼働音……声を聞いてきた者としてこの音は正常とは思えない。
だが「オーバーロード」のような音でもない。
さらに艦全体に地震のような揺れが走り、対閃光モードが強制解除され全周スクリーンの表示が乱れる。
まるで何かの雄叫びのような甲高い音が艦内に響き、同時に艦外にも発散していく。
「現状の報告をお願いします!!」
「アンノウンドライブが理論的限界値を超えている! 射線上に重力ライフリングの発生を確認した!」
勝手にアンノウンドライブが眩く輝き、重力子によるライフリングが形成されていく。肉眼でもはっきり見えるほど太い光の環。十数にもなるその輪が一直線に並び、落下する巨大構造物を輪の中心に収めてゆく。
同時にバーコードのような文様が流星群の様にスクリーンを流れていき、1つの表示が大きく現れた。
<Restart>
NHG-***1 AutonomousAssaultArk Wunder
Analysis of all current weapons completed
〈Affiliated organization〉
WILLE
「Autonomous……。これは……っ」
見知らぬ艦名に一同が困惑する中、ハルナとリクはその正体を悟った。
真田、赤木博士、マリの三人による「Wunderの出自の考察」では、このような仮説が立てられていた。
「Wunderはこの世界の船じゃなく、並行世界の地球からやって来た船である」
仮説上の話でしかなく証明する手段が無いに等しい為、この説はしばらく手が付けられていなかった。
大前提として、ハルナとリクはWILLEという組織を知らないし、メインフレームにこのような機能は実装していない。
そして、メ2号作戦での敵のサイバー攻撃により、アンノウンドライブから波動エンジンに通信回路を伸ばされた事実がある。
ハッキングの相手を撃滅したのは良いが、完成寸前だった通信経路をこちら側から消去出来なかった事実がある。
この2つの解けない事実が結びつき、答えが導き出された。
アンノウンドライブ……旧Autonomous Assault Ark Wunder中枢部の再覚醒。
それによる「メインフレームを含めた艦体全ての解析と一部オーバーライド」。
それは、この艦艇さの覚醒。
いや、再起動だろう。
「……この船の本当の名ね。170年も昔、どこかの別の世界で戦っていたあなたの名前」
「Autonomous Assault Ark、いや、
「発射中止を!」
「いえ、このままいきます!」
南部が具申するが、ハルナがそれを抑えて発射シークエンスの再開を宣言する。
「AAAWunder波動砲発射シークエンスを再開!」
「電影クロスゲージ明度25照準固定! 迎撃不能距離までt-100!」
「射線上ライフリング形成確認!」
「目標を自動追尾に入りました!」
「迎撃不能距離までt-90!」
「射撃用諸元再入力完了。ガミラス星自転、磁場、重力ライフリングの誤差修正+0.0009! 直進安定性および収束率付与による計算終了射撃用諸元に追加!」
「カウント省略。目標、上空巨大構造物!」
システムの一部がオーバーライドされたようで、表示されているサイトマークは逆三角形と輪郭のみの正三角形を組み合わせた六芒星のような形に変化している。
異常な量の重力子が砲口に溜まっていく。
ここで放つ光は多分お向かいの星からでも見えてしまうだろう。
でも構わない。
忌むべき力でも「力の方向を間違えなければ」誰かを救える。
それを証明できる。
それでバレラスが救われるなら、大成功だ。
「薬室内、タキオン粒子圧力が基準値を超過! 設計限界ギリギリです!」
「設計限界を超えてないならいいです! 艦首付近にいる乗員を退避させて下さい!」
「艦首付近の全乗員退避! 急げ!」
艦首付近の区画に緊急警報が発され、迅速に乗員退避が進む。10秒もしないうちに最低限の安全マージンが確保された。
「全周スクリーン対閃光モードを確認。発射用意完了。睦月君、暁君。いいぞ」
「「……波動砲っ!!」」
AAAWunderから甲高い声が響き渡り、左舷波動砲口の重力子が眩い白い光となり、波動砲制御室に青白いスパークが走り、艦首装甲からも青白いスパークが迸り、極大値に向かう重力子に引きずられて周囲の空間も歪んでいく。
「「行っっけぇぇぇぇええええっ!!!!」」
引き金が引かれ、AAAWunderはその身に満ちた莫大かつ知らないエネルギーを込めて、渾身の一撃を撃ち込む。
同時に、その莫大な力に押し負けない様に中央船体艦尾を中心にして展開した重力子の輪を瞬間的に何重にも展開する。
何重にも展開された重力子の輪は、全てを破壊する力を艦体と共に受け止め粉々に崩壊し光の粒子となり霧散していく。
余剰次元展開により発生した超重力によるマイクロブラックホールのホーキング輻射。
それは大気圏内で莫大な輝きとなりバレラスを一瞬白く染め上げ、その一瞬が過ぎ去った次の光景では、青光の柱が天に昇っていた。
自身が展開したライフリングを通り水色の光となったそれは、数刻前に自身をかすめた赤い光とは違う自身の意志の色。
この船は、命を残す方舟では無い。命を守る戦闘艦だ
命を救う戦闘艦として___今度こそ地球を、元の青い姿に戻すために、命を救うためにこの力を行使する。
この船に乗り込む者達が目指す地球の為、人類のために。
オーストラリア大陸クラスの物体を綺麗に消す程の一撃は、その方向を正しく定めて宙を切り裂き、降下してくる巨大構造物に突き刺さり、一瞬で貫通させた。
粉々に砕き、焼き尽くし、無に変えていく。それは鮮やかに、恐怖を与えずに意思を見せる力の象徴。
「力の方向を間違えない」
(私たちは、あなたを侵略目的で使わない、使わせない。身を守るための武器として使う)
「命を残す戦闘艦として」
(あなたの復讐のため?)
(いいえ。命を残す方舟では無く、命を救う戦闘艦として)
その言葉の通り忌むべき力は、意志を込め全ての命を救った。
________
突入ボルトの損壊により制御室は大爆発を起こし、距離があるにも関わらず艦橋内部にも震動が響いた。
暴走寸前の波動エネルギーが装甲を突き破り溢れ出し、そのまま霧散していく。
左舷第二船体艦首は限界を超えた波動砲の発射により損害を負い、エンジンにも予想外の負荷を与えた。
戦闘艦橋には警報がけたたましく鳴り響いている。
ダメージコントロールが迅速に行われているが、全周スクリーン越しにも分かる程の黒煙が左舷第二船体艦首が吹き上がっている。
「左舷波動砲発射機構損壊! 制御室内での爆発確認!」
「大規模な重力偏移を検出!!」
『両舷主機関制御権戻りました! 安全出力まで10秒!』
「ダメージコントロール、隔壁閉鎖急げ! 閉鎖区画への給電を切れ!」
「負傷者確認急いでください! 島くん、操艦が可能ならガミラス星重力圏から一時離脱して!」
「了解! 浮上開始!」
Wunderは緊急浮上を行い、再びエネルギーを与えられた重力推進を巧みに使い高度を上げていく。
マスターキーのLEDが発光をやめ権限が無効化されているにもかかわらず、未だに波動砲の引き金から手を離せないリクは大きく息をしていた。
そっとリクにかけられていた対閃光ゴーグルを取り、顔色を確認する。
意識を取り戻したばかりで艦内を300m程徒歩移動して何とか平然を装って登場して大量破壊兵器を発射する。
絶対安静の身でここまでの無茶を敢行したリクは強烈な疲労感で一瞬意識がシャットダウンしかけた。
「リク大丈夫?」
「……じゃない。それよりそっちは?」
「……物凄い重圧。でも、古代くんが背負っていた物を、何とか背負えたね」
「ああ。……疲れたな」
「疲れたね……」
押し潰されそうな重圧に耐えた体から力を抜き、無重力の戦闘艦橋でリクは力なく浮遊し始めた。
それを受け止めたハルナも大きく息をして額に汗をかいている。
艦の武装を扱ったのは2人とも初めて。
それも指示を出す側ではなく実際に引き金を引く側の立場としてもこれが初めてだ。
対物攻撃ではあったものの、その引き金は途方もなく硬く、重かった。
「睦月君は?」
「大丈夫です。もうなんか、言葉無しでも分かっちゃうみたいで……」
「……大丈夫なんだな?」
「大丈夫ですって……」
「いや睦月君もそうだが君もだ。君の方が深刻かもしれない」
「え……?」
深刻そうな目をして訴えて来る真田にハルナの笑みが消え、一瞬の静寂が戦闘艦橋を満たす。
ハルナのその目は今までのマーズノイド特有の赤ではなく、淡い光を抱えた、まるで炎のように揺れる緋色をしている。
何かを思い出したようで、ハルナは一言だけ呟いた。
「お母、さん……」
「レーダーに感! L1に高エネルギー反応あり! 増大中です」
「波動砲……っここに撃ってくるんですか?!」
「奴ら、星を巻き添えにして撃つつもりなのか?!」
響く警報音が現実に引き戻す。
L1からの高エネルギー反応___それはすなわちこちらに対して波動砲を撃とうとしている事の証拠だ。
第一射で爆散したエピドラよりもサイズが小さいガミラス星になんか向けて発射したら最後、星は崩壊の道を辿るだろう。
「どうする?」
「どうもこうもない。撃てないようにすればいい」
「撃てないようにね、分かった。第一第二主砲をL1に向けてください! 相原さん! 航空隊に全体通信開いて下さい!」
「何をするつもりですか?!」
「やられる前にやります。波動砲……もしくは周辺機器や砲身を狙撃すれば、少なくとも発射中断に持って行くことは出来ます」
たった一言「撃てないようにすればいい」で理解したハルナは、病み上がりで限界が近いリクの代わりに下令。
職位無視越権上等で南部と相原に指示を出して次の行動を起こす。
人が変わったかのような一連の動作と判断に呆気に取られかけた真田だったが、リクが考えたことに全て納得がいった。
「そうか……っ波動砲の弱点は発射準備に多くの時間を消費する事だ。向こうも同じ弱点を抱えているなら、こちらからの攻撃で発射を阻止できるかもしれない! 回線を開け!」
「航空隊各機に全体通信開きます!」
「加藤隊長! 大至急敵空間要塞に接近し、敵波動砲らしき部分をターゲティングしてください! こちらから超長距離射撃を行います!」
『懐かしい響きだ。了解した!』
AAAwunder! 遂に出せました!
休載を宣言しましたが、試験勉強中にどうしても気になってしまったので……。
ごめんなさい、この話は出させてください。どうしても大事なのでこの話。そしたらちゃんと勉強します
WunderはAAAWunderでした。本物のAAAWunderです。ですが原作とはどうしても世界線が違います。
原作通りに進めたら登場すらさせられないので、別の結末を辿ったAAAWunderです。
この二つの原作を繋ぐ最重要要素であるAAAWunderは、今後どうなっていくのでしょうか?
このお話、どうしてもこの楽曲は使いたかったので、この楽曲を使用しました
AERIAL REBUILD
今度こそ休載に入ります。
では、また次の話でお会いしましょう
(@^^)/~~~