宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》 作:朱色の空☁️
西暦2198年 異星からの使者来訪
西暦2191年、太陽系天王星基地にて人類は、史上初の異星文明の存在を確認した。国連宇宙軍艦隊は太陽系に侵入した未知の艦隊に対し接触行動を行おうとした。しかし、当時指揮を執った沖田十三が司令部により更迭。司令部の命令により、異星文明の艦に攻撃が行われてしまった。
この事により、異星文明艦、後にガミラスと呼称される彼らは、国連宇宙軍の艦隊の8割を撃破。
事実上の「地球の敗北」であり、この戦いから、地球ガミラス間の戦争が始まった。
その後2192年第一次火星沖海戦で惨敗、2198年の第二次火星沖海戦で、地球は辛くも勝利したがガミラスからの遊星爆弾攻撃で滅亡の縁に立たされていた
放射能による地上の汚染、未知の有毒植物からの有毒胞子の散布は確実に人類の生活圏を脅かしていく…
人類は地下都市に避難、何とか生きながらえていたがそれも限界がある。
西暦2198年。人類滅亡まで、あと2年と迫っていた。
滅亡の縁に立たされた人類は地球からの脱出計画「贖罪計画」を進めていた。残された人類を遥か遠くの恒星系に逃がし、人類を存続させる「現代版ノアの箱船」であった。
そしてそれを進めているのが極東管区の藤堂長官、芹沢軍務局長であった。
「芹沢君、まさか君があのような船を造ろうと言い始めたときは、本当におかしくなったのかと思ったよ」
「思われても仕方のないことです、全長は金剛型のざっと10倍、1000人の人間を乗せて宇宙を進むノアの箱船ですから」
「巨大すぎて地下ドックでは造れないのが問題だが」
「衛星軌道上にドックを造るのは、藤堂長官が南部重工に働きかけていただいたお陰です」
「今は小惑星でドック全体をカモフラージュして最終組み立てを行っていますが、いつまでごまかせるか…」
そう、彼らは空前絶後の超巨大宇宙船を第1衛星軌道上で組み立てていた。厳密には各パーツを航宙艦建造ドックで完成させて、完成した各パーツを軌道上に上げ、最終組み立てをしているのだ。
従来艦のコンセプトから大きくかけはなれたこの艦は、巨大な翼を持つ翼竜のような形状を持ち、翼の付け根、人間で言うところの肩に当たる部分には旧世代の洋上艦のような構造物が2つ付いている。
さしずめ、獲物を狩る怪鳥。しかし、命を運ぶ艦である。
しかし芹沢には懸念事項があった
「しかし藤堂長官、あのような謎の物体を船体に組み込んでよかったのですか?火星が見つけた得体の知れない骨格。彼らが残したデータには、あの骨は大電流を元手にして素粒子を作り出すとか」
「設計者の彼が言うには、重力子と斥力子を利用すれば、反動推進とはまた違う、重力斥力推進ができるそうじゃないか」
「私は如何なものかと思いますが。解析の終了していない未知の物体、機械ならまだしも、生物と思わしき何かを組み込むのはリスクが高すぎると…」
「設計は彼に任せていたから我々は口を出せないよ」
この船の設計者、暁月ハルナと睦月リクは元火星技研の研究員であった。未確認物体の調査に関わっていた人物であり、骨格封印後、素粒子発生現象を用いた推進システムを独自に考案した。艦船開発の異端児コンビであり、地球ではずっと煙たがられていた。
なお、マーズノイドであるため、2人揃って虹彩は赤みを帯びている。
そんな2人は研究室にこもって毎日のように作業をしていた。
「リク〜、重力子発生と大電流の相関関係のグラフってどこ?」
「こっちにはないぞ、またお前デスクの整理してないな。コレ言ったのつい1週間前だぞ」
「あーゴメン…。どうも苦手なんだよね、片付け」
(ハルナって…片付けさえ出来れば完璧美人なんだけどな)
「あ〜今、片付けさえ出来ればなぁ〜とか思ったでしょ」
「お前心読むの上手いなぁ、そう分かったなら片付け頑張れ」
まあリクの言っていることは正論である。
ハルナは火星技研時代では超人と言われた研究員であり、20歳の若さであの未確認物体の調査を行った事で周囲からは「チートハルナ」とも呼ばれている(現在進行形)
おまけに銀髪で美人、持つもの「ほぼ」全て持って生まれてきた感が凄い人だ。
リクもハルナと良い勝負の秀才だが、本人は「ハルナの方が上だ」と言っている。
「ところでさ、あの船に乗るかどうか返答しないといけないけどさ、どうする?」
「どうするも何も、設計者として乗ってくれと言われそうだけどな」
「私は… 人類を見捨てて逃げるくらいならここにいた方がいいわ」
「ハルナ…俺も残ろうか?」
「人類滅亡まで一緒に研究する?」
それも悪くないと思うリクであった
月軌道
第5観測衛星
未知の航宙艦を確認…
AIによる識別の結果、
ガミラスタイプの艦に該当せず…
司令部に送信…
所変わって極東管区司令部
「藤堂長官!月軌道観測衛星からの情報です、木星宙域よりガミラスタイプとは異なる未知の艦の接近を探知!推定全長390m!光速の23倍の速度です!」
現実はどこいった…光速よりも早く航行するにはワープするしか方法がなかったのではと思うが、異星人なら不思議なことに全て納得してしまう。
「長官、迎撃の用意を!」
「いや、攻撃なら巡航中にも行える…速度を落とさずにやってくるとは」
「長官!!」
「…仕方ない、警戒警報発令。ただしこちらからは撃つな。目標が分からない以上下手には動けない。」
「了解しました、起動可能な艦艇は直ちに発進準備にかかれ!」
「待ってください!!接近中の艦艇から救難信号を捉えました!」
これは罠なのか、それとも真実なのか…迷う暇などなかった。
「発進準備中の艦艇に連絡、接近中の艦艇は救難信号を発している。発進後は救助活動にあたれ。ただし、くれぐれも慎重に行うように」
記録
金剛型宇宙戦艦キリシマ
村雨型宇宙巡洋艦ユウギリ
異星文明の艦より生存者1名を救助。
軟着陸した艦は非武装であり、ガミラスとは異なる設計思想であることから、ガミラスとは異なる星間文明であることを確認。
彼女の名は「ユリーシャ・イスカンダル」
「光速を超える船とか…興味をそそられるわね」
「それよりもその船に乗っていた人、皇族らしいぞ」
「異星人の皇族の方がなんでこんな荒れ果てた星に?」
その時、廊下を全速力てで走る音が聞こえた。
「君たち!!すぐ司令部に来てくれ!!!」
「「?」」
「私は、ユリーシャ・イスカンダル。遥か遠く、168000光年先のイスカンダルから参りました…」
「私は、地球、国連宇宙軍極東管区長官、藤堂平九郎です。」
人類史上初の異星人との遭遇は、地球人にあまりにも似すぎた美人すぎるイスカンダル人とであった。
「それで、こんな荒れ果てた星にどのような御用で」
「私たちイスカンダルは知的生命体の救済を目的とした星です。ここに、姉のスターシャからのメッセージがあります。まずはご覧下さい」
そう言いながらユリーシャ皇女は懐から金色のカプセルを取り出して、蓋を展開した。
『あまねく星々、その知的生命体の救済、それがイスカンダルの進む道。可愛いユリーシャ、私の妹…今回、妹のユリーシャにこのメッセージと波動エンジンの設計図を運ばせました。私たちの星イスカンダルには放射能を除去することが可能な装置が存在します。それを取りに来てください。残念ながら私たちから装置を送ることができません。その波動エンジンを完成させ、こちらまで受領しに来てください』
異星からのメッセージは人類にとっての助け舟であった。
この報告を受けて人類は世界の各管区との緊急協議を行い、現在建造中の地球脱出船「太陽系脱出宇宙船 NHG-001 buße」を急遽改造、「恒星間航行宇宙戦闘艦」として大マゼランに派遣することを決定した。
地球にもたらされたオーバーテクノロジー…
その力は人類にとって福音と呼べる存在である。
しかし、力は使う人によって驚異になりうることは人類の歴史の過ちが証明している。
人類は「救うに足りるか」イスカンダルに試されてるのだろうか…
ユリーシャの話、とりあえず前編は終了です
オリ主とも絡む可能性はありますね
テスト期間に入るので日にち開きます