宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》   作:朱色の空☁️

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朱色です
最終章という事で、これまでの粗筋とアバンタイトルを書いておきます。

06月23日修正
12月2日➡11月15日


Raise zu einem Wunder
これまでの宇宙戦艦ヴンダー


西暦2028年。命を救う戦闘艦としてその身を散らしたAAAWunder。アディショナルインパクトの中、数多に存在する世界線の波の中、その船はこの世界に落ち込んだ。

 

2152年。火星のユートピア海から引き揚げられたAAAWunderアンノウンドライブは、火星技研の手によりサルベージ。幾つかの実験が行われ、とある秘匿遺物と共に封印された。

 

2155年9月13日。SEELEにより火星北極点ガリラヤベースを爆心とした未完成のインパクトが発生し、火星北極点に近い都市部が壊滅。クルジスも壊滅的な被害を受ける。

 

2183年。第二次内惑星戦闘終結。と同時に、アンノウンドライブは火星技研から地球に極秘裏に搬送された。

 

2195年。当時アダムス組織に関わった者、暁ハルナ、睦月リクが昏睡から回復。その後、国連宇宙軍に編入される。

 

2198年。地球の壊滅的状況を鑑み、太陽系脱出宇宙船「Buße」の建造が最終段階に移行する。その最中、イスカンダルからの1人目の使者「ユリーシャ・イスカンダル」が来訪。次元波動エンジンの設計図とコスモリバースシステムの供与の意思を示したメッセージがもたらされ、国連宇宙海軍は贖罪計画を凍結。地球環境再生と人類の存続を目的とした「Wunder計画」が立ち上がる。

大規模な改装と波動砲の搭載、及び国際波動砲使用制限条約の締結を行い、BußeはWunderへと生まれ変わった。

 

2199年、メ号作戦の陽動を以てして2人目の使者「サーシャ・イスカンダル」とのコンタクトに成功。Wunder軌道に必要な波動コア、その2つ目が地球にもたらされた。

 

同2月11日。衛星軌道上ドック「鳥籠」内で最終調整が行われていたWunderが、ヤシマ作戦によるマイクロ波送電を受け起動。緊急発進を行う。

 

2月14日。メ2号作戦発動。

 

2月21日。太陽系を離脱。

 

3月31日。次元潜航艦との戦闘。

 

4月14日。中性子星カレル163で、ドメル率いる第6空間機甲師団の待ち伏せにあう。撃沈の危機に陥るが、ガミラス軍の急変によりドメルは撤退。Wunderは辛くも生き延びることが出来た。

 

5月14日。亜空間ゲートを使用してバラン星に突入作戦を敢行する。銀河系方面からバラン星、そしてバラン星から大マゼラン星雲方面へとゲートを乗り継ぐことでWunderは航海日程の遅れを取り戻し、この作戦で6万光年を短縮する事に成功した。

 

6月11日。タランチュラ星雲、俗称七色星団で「七色星団海戦」が発生する。多大な犠牲と損耗を支払う事となったが、Wunderは生き延びることが出来た。

 

2199年7月16日。大マゼラン星雲サレザー恒星系に到達。ガミラス本星の突入作戦を発動。

 

同日。イスカンダル星に到着。

 

同7月19日。クリスタルパレスにて、イクス・サン・アリア条約締結。同時に地球ガミラス間での休戦協定が結ばれる。

 

2199年8月以降、公式記録上より抹消された事実多数を確認。現在調査中

 

 

____

 

 

 

これは少しだけ先の未来で綴られた記録、遥かなる宇宙の大海原へと漕ぎ出した1隻の奇跡の宇宙戦艦の航海記録で、政府上層部で公開されている物だ。

オリジナルの記録は平和維持軍で厳重に保管されているが、その全ての記録を知っている者は少なく、当時の設計者と艦橋要員の極僅か。両手の指だけで数えられる程だ。連邦政府は情報開示請求を幾度となく行っているものの、「最高軍事機密の為」何度も請求を拒否されている。挙句の果てには暴挙に走った者もいたが、圧倒的な力で鎮圧された。

 

 

 

170年の時を超えたAAAWunder、その艦長たる葛城ミサト、綾波レイ。彼女らとの邂逅を果たした暁ハルナと睦月リク。自分とその後を知ったハルナは覚悟を決め、地球への帰路を急ぐ。

 

アケーリアスの末裔たる「地球人」と第一始祖民族の人造の神である「リリス」、その混血ともいえる存在である暁ハルナ、例えどうなろうと添い遂げる覚悟を決めた睦月リク、最初の存在である「薫」、全ての元凶となったSEELE。そして、地球を守る覚悟で帰路を進むWunder。

 

命を救う戦闘艦としてもう一度力を得たAAAWunderは進む。星の海を、命を救う為に

 

 

 

 

 

 

 

 

2203年、旧北米管区ワシントンDC地下大深度空間。そこに幽閉された少年は、綴られた記録を撫で、こう呟いた。

 

 

 

 

「希望は残っていたね。こんな世界でも」

 

 

 


 

 

 

2199年11月15日

地球 極東管区

 

 

『第七地区で暴動発生。暴徒鎮圧により負傷者多数!』

 

『第八地区で火災発生、現在消火作業中ですが、延焼が起こっています! 応援要請を!』

 

地獄だ。地球滅亡まで2か月を切り、司令部からWunderの情報は無し。助かる見込みも失われたとうわさが広がり、1か月前よりどの地区でも暴動が絶えない。

減り続けた食料、エネルギー、尽きた希望。それに追い打ちをかけるように、遊星爆弾の胞子は地下都市の中層部までも侵食し、人類の生活領域は地下都市の深部にまで追いやられた。

 

2か月前、管区ごとに辛うじて繋がっていた通信が途絶えた。管区ごとに繋がっていた通信ケーブルがどこかで不具合を起こしたようだが、現状では修理も儘ならない。互いに相手の安否すら分からず、ただただ自分が生きる事を優先するしかない。どこかで統治が崩壊してもおかしくない。今だって、暴動が絶えず起こり続けているのだ。

 

 

「Wunderが静止軌道上から発って10か月……人類滅亡のタイムリミットまで、あと50日」

 

「長官、我々は信じで待つ事しか出来ません。ですが、あれは沖田の船です。だから、帰ってきます。ここまでしぶとく待つことが出来た以上、最期まで待ちましょう」

 

電力はすでに安定していない。極東管区の地下都市は最低限の生命維持のための電力は生成できているが発電システムの半数が機能不全を起こし、地下都市全体は暗い。

 

オムシスによる食料の供給も滞り、地下へ避難を始めた頃は満足に生産出来ていた食料、医療物資

は今ではその数は半分以下となり、管区内でも餓死者が見られる。この世に地獄を作ってしまった行政府に不満を持つ者がいないわけもなく、地下都市には灯りではなく暴動の火が上がっている。

 

「おい待て! 許可なく立ち入るな」

 

「知るか! 会わせろってんだろ!!」

 

警備員に押さえられながらも指令室に入り込んできた大柄な男は、土方の前で敬礼をした。

 

「元第7空間騎兵連隊所属、斉藤始!」

 

「こいつは俺に意見がある様だ。聞こう」

 

「意見具申! 来る日も来る日も暴徒鎮圧! 民間人に銃を向けるのは、もう沢山であります! 空間騎兵の俺らの銃は、同胞に向けるための物じゃありません!」

 

そう言うと、斉藤は自分の持つ暴徒鎮圧用の非殺傷銃を床に叩きつけた。怒りの籠ったそれは指令室に響き渡り、職務に当たるオペレータの視線が一斉にこちらを向く。

 

「一体、この地獄はいつ終わるんです……」

 

「彼ら……いや、俺の親友は必ず帰って来る。必ずな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「土方司令……」

 

通信を受信したアラートが上がり、担当士官が内容を確認した。そこに表示されていた発信先と送り主の名前を見ると、その士官から涙が零れ落ち、震える声で報告を上げた。

 

「どうした?」

 

「超空間通信を捉えました。受信施設不調のため、位置までは分かりませんが……確かに()()()()から信号を捉えています」

 

「……読み上げてくれ」

 

「……型式番号、NHG-001」

 

10か月待った。待って待って待ち続けた今日、そのメッセージは地球に届いた。

 

軍帽の鍔を摘まみ下げる土方の目元には友の帰りを心の底から喜んでいた。ああ、もうどれだけ心を殺してきただろう、どれだけ悲惨な報告を聞いてきただろう。凍り付いていた感情が、今、溶けた。

 

士官が読み上げようとするが、涙と鼻水と一杯一杯の感情が先行してしまい、上手く報告が出来ない。それでも土方と藤堂は急かさず、その送り主の名を待った。

 

「恒星間航行、超弩級宇宙戦艦……」

 

斉藤もその先に続く言葉を悟った。あの地獄の月面からの撤退時、移乗したきりしまから見た異形の宇宙戦艦。地球最大の金剛型が小舟に見えるくらいの「この世ならざる舟」を、そのスクリーンの向こう側に見た。

 

 

最後に、奇跡の名を冠した希望の船の名前を、大きく叫んだ。

 

 

「Wunderです!」

 

 

 


 

 

宇宙戦艦ヴンダー

《Reise zu einem Wunder》

 

終章 Reise zu einem Wunder




アスカ「あれから2年以上経ったって事よ。読者」

そうです、2年も経ってました。
ですが何という事でしょう、何とか最終章まで来ることが出来てしまいました。

ここまで長くなってしまいました。受験勉強や諸々の事情等もあり、何度も休載宣言をする事となってしまいましたが、ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございます。

試験も終わってくれたので、最終章《Reise zu einem Wunder》始まります
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