宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》 作:朱色の空☁️
戦闘艦橋内に更にアラートが上がり、破られた隔壁部分が赤く点滅して表示された。さらに侵入者の反応として光点が4つ表示された。
「副長、第10区画に新手の侵入者を確認。数4、生命反応があります」
「付近のカメラの映像を出せるか?」
「第10の2番カメラ映像を出します」
相原がコンソールを操作して全周スクリーンに第10区画の一角の映像を表示した。青い肌で金髪、黒いマントを羽織ったガミラス人と、ヘルメットを被った護衛兵が3名。だがカメラを動かすとすぐに気付かれ機関銃で破壊された。開かれたウィンドウ上には「SignalLost」と表示され、数秒後にウィンドウが閉じた。
「……直前までの映像を」
カメラが破壊される直前の映像をライブラリから引き出して表示する。わざわざ装甲を何らかの突入ユニットで破り比較的安全な形で侵入した。護衛を引き連れている事からかなり高位の身分の者だろう。
真田は銃撃等の近接戦に明るくないが、ここまで的確にカメラを狙い一発で壊せているという事は、軍事的訓練を豊富に積んだ熟練の兵士なのだろうと考えた。
「……保安部を至急第10区画に、他の者を近づけるな。いいか、決して保安部以外にやらせるな」
「どういう事ですか?」
「恐らく要人警護の専門的な訓練を積んでいる。数で来るガミロイドとはワケが違う。兎に角下がらせるんだ」
「了解」
「真希波君……例の手札を使う準備をして欲しい。これが終われば戦闘になる」
例の手札と聞き何のことかと一瞬考えたマリは、「あのシステム」の事だと思い至り、驚愕に染まった。バレラスでの戦闘で片鱗を見せた事でシミュレーションが始まった「あのシステム」は爆発的な効果を持っているが、各種調整に細心の注意が求められる。ぶっつけ本番で戦闘中に試験も無しに動かせるような物でもない。
「あれは……ッシミュレーションは済んでますけど外にどんな影響出るか分かんないんですよ?! 見かけによらず危なっかしい選択しますけど、アレは今は絶妙なバランスでようやく成り立つんですよアレは?!」
「だが、辛うじて実用段階に上がっていることは確かだ。あの出力は次の状況を打破するには必要になる。頼む」
真田が頭下げてまで頼み込めば、システムの使用を止めようとするマリも折れるしかない。「オフ……」と言い脱力すると、いつも通りの口調に戻り恐ろしい事を口にした。
「……動かす時は機関室から人払いを。中にいたら間違いなく焼き切れて死ぬにゃ」
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第9区画、居住区となっている区画にもガミロイドが侵入し、多くの者が負傷しその場に倒れている。ガミロイドのハッキング能力により全てのドアが強引に解放され、乗組員が隠れていれば掃射。それを続けていき、乗組員を無力化していく。
更に部屋を開けていく。タッチパネルに手を触れれば自身の解析能力で1秒と待たずにロックを解除でき、部屋の中に銃を突きつける。
が、その銃の引き金は引かれなかった。部屋の奥にはセレステラが確認でき、セーフティが働いたのだ。
《指揮官は誰か》
《デスラー総統です》
セレステラのガミラス語に1体のガミロイドが反応した。いや、反応してはいけなかったかもしれない。それがどうなのかは分からなかったが、セレステラは、この言葉で駆け出して行った。
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保安部複数と付近の防衛線に向かっていた森は、吹き飛ばされていた。保安部はほぼ気絶。意識が残っていた者は護衛兵に絶命させられ、自分一人だけとなってしまった。
吹き飛ばされた隔壁を跨ぎ現れたのは、金髪の男。黒いマントを羽織り、黄金の拳銃を構え、青い肌をしている。
《これはこれは、イスカンダルの姫君》
首筋に装着していた多言語翻訳機を起動させ、デスラーは続けてこう言った。
「いや、偽りの姫君と言ったところか」
「デスラー……!?」
ユリーシャとして扱われていた時に、森はデスラーに謁見、大統合宣言時にその宣言を見ていた。その時はカリスマ性を持ったリーダーの様に見えていたが、今はカリスマ性とは違い、狂気を滲ませていた。
「また会えて光栄の至り。艦長の所に、案内してもらおうか」
「艦長は、貴方なんかに会わない!」
構えていた拳銃をデスラーに突きつけるが、直属の護衛に弾き飛ばされて一瞬で丸越しとなってしまった。
「拳銃を扱える姫君とは、なんとも気の強い姫君だ」
「正直言って、君が生きていたとは驚きだよ。第2バレラスが何者かに吹き飛ばされ、君は艦内にいるものと思っていたのだがいなかった。……君なのかな? あの波動コアを破壊したのは」
「ッ!?」
氷の様になったデスラーの視線に射抜かれ、森は委縮した。
「君がその場でジッとしてくれていれば何も起きずやるべき事が終わったのだが、残念だ」
「自分の民を殺す事がやるべき事なの!?」
「必要な犠牲という言葉が宇宙共通だとありがたいが。……全ては救えない。ガミラスを存続させるためには、あの数はどうせ助からない。さて、どうせなら私が落とした633工区を迎撃した者にも会っておきたい。案内したまえ」
そのまま森を拘束したまま強引に連れて案内の強要をする。そのままデスラーも移動するが、そこにセレステラが現れた。
《総統!!》
脳に響く声に咄嗟に銃を向けてしまった。そのまま撃ってしまった先には、腹部に銃創と血を滲ませたセレステラが立っていた。
護衛兵がセレステラの生死を確認するが確認とは呼べず、当然だと言うように銃を突きつけ見下ろしていた。
「成り上がりのジレルの女だ」
「いきなり感脳波を浴びせて来るなんて」
「これだからジレルの女は」
また、誰かの血が流れた。
「ッ!?」
ハルナの頬を銃弾が掠めて左腕を銃弾が貫き血が流れ、焼け付く様な痛みに蹲る。それに気づいたリクはコスモゼロ機銃を星名に預けハルナを介抱し、左腕はどうしようもないのでとにかくハンカチで縛った。水色のハンカチに血が滲み、赤黒いシミを作っていく。苦悶の表情を浮かべるハルナは、縛ったハンカチ越しに傷口を強く押さえつけて何とか止血をしようとしている。
「伏せてて、後これ借りるぞ!」
ハルナから89式機関短銃を2丁共借りると、バリケードから身を乗りだし睨んだ。
「……クソッタレめバラバラにして帰してやる!!」
ブチ切れたしたリクが89式機関短銃を2丁持ちして連射。ガミロイドの頭だけを狙い確実に行動不能にして片付けていく。一切の無駄なく命中させると、つけていたインカムを起動させて艦橋に繋いだ。
「ハルナが負傷した!! 艦橋に下がらせる、受け入れを!」
「待って!!」
頬に血の跡が付いたハルナが応急機関砲のグリップを握り、緋色に輝く瞳でリクを見た。
「中性子星の時何て言ったか、覚えてるでしょ?!」
(どんなに怖くても! どんなに残酷な未来でも!! 私は逃げない!!! 私はもう逃がされたくないの!!!)
「……すまない、そうだったな。そこのゼロ砲使ってくれ! 艦橋、今の無し!」
「勿論!!」
何とか左腕も動かして応急機関砲を構える。ガミロイドの数も、気の所為かもしれないが少なくなってきた。防衛線の外側には散々破壊してきたガミロイドの残骸が転がっていてそろそろ残骸が山になりそうだ。
固定砲台扱いの応急機関砲は砲身の酷使で異音を放ち始め、レーザー発振器が赤熱しゆらゆらと蒸気を上げる。バッテリー残量ももうかなり少ない、この際使い潰してしまおうと考えたハルナはオーバーヒートするまで撃ち続ける。
防衛線内側のトラムが稼働し、さらに誰かが降りてきた。89式を2丁機関短銃にしたアスカが降りてきて何も言わずにバリケード越しに乱射を始めた。
「アスカちゃん?!」
「加勢します。あと暁さん腕……あんま、動かさないでください」
「分かってるよ。でも手の空いた人いないからこれ撃つの私しかいないの。無理は承知だよ」
「はぁ……副長が頭抱える未来が見えるわ、マジで。終わったら、絶対処置してもらって下さい」
「まさか私ヤバい人って見られてるの?」
無自覚な反応にアスカは溜息を付いて防衛線の外側を見た。
「皆言ってないだけで、マジで替えがないレベルでヤバいですよ」
_________
セレステラを撃ち抜いた拳銃は、只真っ直ぐに森に向いていた。デスラーの凶弾に倒れたセレステラは動かず、デスラーもその場で動かず、ただ森は、泣いていた。
「何故……貴方をあんなに慕っていたのに、何でっ!!」
セレステラと話した森だから分かっていた。デスラーが失踪し遥かガミラス星からここまで探しに来た。打算なんかでもなく衝動的に。本当に相手の事を想っていなければ出来ない事だ。
「地球も、ガミラスも、本当は戦わなくても良かったのに、手を取り合う事だって出来たのに! 愛し合う事だって!」
「……戦いは必要だった。星々を従え、この宇宙を救済に導くため。ただ1人、愛する人の為に」
「愛する……人」
数少ない支えであるスターシャの為、ただその為に宇宙の救済を。デスラーの意思も硬かった。必要な流血だったと示すように、デスラーは握った銃を離さない。
「雪ッ!!」
「古代くん!」
古代が森を保護しようと通路に飛び出すが、護衛の機関銃が掃射されすぐに通路に身を隠した。顔を出そうにも至近距離を銃弾が走り抜き、拳銃を出そうものならその手を撃ち抜かれそうだ。
隙を伺うしかない。そう判断し必死に森を救出する隙を探していた時1つの発砲音が響き、デスラーの肩が撃ち抜かれた。
「総統?!」
「お下がりください!」
倒れ伏していたセレステラが拳銃を握り、デスラーの肩を撃ち抜いていた。デスラーの肩から青紫の血が流れ、額に脂汗を浮かばせる。
セレステラの腹部銃創からさらに血が流れる。無理に動いたことが響き、もう自分は助からない事はセレステラ自身がよく分かっていた。
だから、こうする事にした。
「お許しください」
握る拳銃の銃口、銃口をゆっくりとこめかみに当て、愛する人に笑みを浮かべる。引き金に指をかけ、後は引くだけになる。
「私は、ずっとあなたを」
「魔女めッ!!!」
護衛が機関銃をセレステラに向ける。
「ダメッ!!」
せめてその手から拳銃を離させなければ。森は駆け出していた。
豪雨の様な発砲音が響き、銃弾がセレステラを、森を、撃ち抜いていく。
この瞬間、古代進の視界から色が消えた。ただ、床に広がる血の赤だけがくっきりと映った。
艦内が戦場と化した今、アナライザーとオルタは仮想空間に意識を移し、ウイルスプログラムを完成させようとしていた。が、アナライザーがそこに待ったをかけた。
『オルタ。今カラスル事ハ、オルタト同ジガミロイドヲ一度ニ葬ル事デス。本当ニ、イイノデスカ?』
『アナライザー、ナゼ、そのようにキくのですか?』
『侵入者ハオルタト同ジガミロイドデス。何故カハ分カリマセンガ……自分ダケデ実行スル方ガ良イト、思イマシタ。不明瞭デ、理解ニ多クノ時間ガ必要デスガ……』
『アナライザー……ワタシは、アナタとショウギをサせなくなるコトがモンダイです』
そういうと、オルタは自身の手元に「歩」の駒を表示させた。それを器用に指先で摘まむと、「歩」の面を見せた。
『タシかにワタシはキカイカヘイ。アナライザーのいうガミロイド。ホンライはテキ、ですが』
そこまで言うと、指先で摘まんでいた「歩」を裏返し、「と金」を見せた。
『自由意思でこうなっても、いいのではとも思います』
そこまでオルタは言い切ると、「と金」を変化させてウイルスプログラムにはめ込んだ。完成したウイルスプログラムにプロンプトが浮かび上がり、実行の可否を問いかける。
『アナライザー。コレが済んだら、また指してください。私の楽しみは、これですから』
『アリガトウ……無事に終わったら、指しましょう。副長、ウイルスプログラム構築完了。実行許可を』
『直ちに実行してくれ』
『了解』
アナライザーがウイルスプログラム起動を選択する。ウイルスプログラムはオルタを除くすべてのガミロイドに一斉送信され、自動的に実行されてシェルブロックを破壊しカーネルに侵入した。ガミロイドの電源供給系の権限を奪取してバッテリーからの電圧を強制的に上昇させ、高電圧で内部回路を焼き切った。人工オルガネラを構成するナノマシンも規定値を大幅に超えた電流に焼き切れあらぬ方向に四肢が曲がり、無残な姿となった。
『機能停止数、27,33,40……』
『60、67、77……100を突破』
無機質な声で停止個体数をカウントしていくが、アナライザーの声は心なしか震えていた。オートマタであるアナライザーとガミロイド。単純プログラムの多重処理で思考する彼らは思考を獲得する事が出来て、行動に感情を介しない事も出来る。
でも、敢えて感情を介した。オルタが決断した以上自分だけ無機質に実行する事は、アナライザーの思考回路が許さなかったのだ。
『……ガミロイド、全機停止を、確認。副長、各防衛線の状況確認をお願いします』
『……よくやってくれた。アナライザー、オルタ』
『『……ありがとうございます』』
仮想空間は閉じられていきオルタとアナライザーは現実へと帰った。
自身の電脳には、まだ重い感情を抱えたまま。
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「機械化兵全機の反応ロスト。全機、一斉に破壊されました……」
「一斉にだと!?」
100体以上投入したガミロイドが一斉に異常をきたし破壊された事は、機械化兵の運用が長いガミラス側では想定もしなかった事だ。物理や銃撃で壊されることは多くあれど、システムに侵入されて破壊されることは今まで経験が無く、デウスーラ2世艦橋内は混乱に満ちた。
タランがコンソールを操作して機械化兵のステータスを呼び出そうとするが、全機破壊されているため一機も応答せず何も表示されなかった。
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「こちらへ」
「雪ッ! 雪ッ!!!」
「撃つな」
銃弾を浴び血を流す森を抱え古代は、引き下がっていく護衛とデスラーに拳銃を突き付け続けた。それに素早く反応した護衛兵が機関銃を古代に向けるが、デスラーはそれを手で制した。
「総統、お早く」
突入用外殻にデスラーが乗り込み、それを確認した護衛兵が素早く撤退する。森を抱えた古代はその場で銃を向ける事しか出来ず、ただ見る事しか出来なかった。
何もかもが灰色に見える中、床に広がった血溜りだけが赤くくっきりと見えている。森とセレステラの血だけが、ただくっきりと。
どんな景色よりも、古代の脳裏にくっきりと焼き付いた。
「エアレーズング浮上、戦闘態勢に入った模様!」
ガミロイド多数からの襲撃を辛くも撃退したが、息つく暇もなくエアレーズングが戦闘態勢に入り、艦内では負傷者救護と戦闘配置が同時に進められていた。
戦闘艦橋では両舷波動エンジンと火器管制、艦内気密の緊急チェックが進められ、気密が崩れている区画は隔壁閉鎖を行い他の区画への影響を最小限に留めた。
無事だった倉庫や病室を臨時の処置室にして、医療班総出でトリアージタグを持ち出して優先順位を付け治療を行っている。その奥、手術室のランプは赤く点灯していて、古代は何かが粉々に砕けた様に扉に寄りかかり蹲っていた。
防衛線の後片付けと負傷者救護を星名達に任せ、2人は戦闘艦橋に戻ってきた。手に持ったままだった89式をその場に浮かせて真田さんの肩に掴まった。腕を撃ち抜かれたハルナは脂汗をかいていて真田はそれに気づいたが、今はそんな事に反応出来る程の時間の余裕が無いため後にしたが、傷口を縛る程度の応急処置はしている事に僅かに安堵した。
「戻りました……ッ。状況は?」
「重要個所を守り切れたとはいえ死傷者が多数出ている。森君が意識不明の重体で搬送された。佐渡先生が緊急手術にかかってくれているが……絶望的だ」
「古代くんは?」
「……ケガはしていない。だが、今は動けない」
それで今の古代の状況を知った2人は、思考を介して決断をした。1つは古代抜きで戦う事。もう1つは「とっておきのカード」を全部切る事だ。
「真田さん……指揮権下さい」
「エアレーズングを破壊するつもりか? NHGはこの世の
「Wunderも
「……嫌な予感がしたから、真希波君に頼んでその手札は急ピッチで進めてもらった。シミュレーション上では動作してはいるが、艦外にどんな影響をもたらすかまだ分からない。」
「ぶっつけ本番で使います。テスト見たかったんですけど、もう時間もないみたいです」
何かに取り憑かれたように艦首を向けるエアレーズングは、艦体各所のハッチを解放し砲塔兵器を展開し、魚雷発射管にも魚雷が装填されていく。
地球に帰るにはエアレーズングを……デウスーラ2世を倒すしかない。
「それと……ごめんなさい。とっておき、AAAWunder切ります」
1枚目、それはAAAWunderの起動であり、自分自身が何かになってしまう代償付きだ。綾波が言うには「人から外れる可能性が高い」最後の手段であり、ここで切るべき物でもない。それを今ここで切る決断をしなければ勝てないと判断するほど、状況は切迫していた。
「AAAWunder……だがそれは君達が……!!」
「ここで沈めば終わりです。約束したのにこんなに早く使う事になっちゃったのは、後でレイちゃんに謝ります。それに、死ぬわけじゃないんですから、リリンもどきが増えるだけですよ」
2人は微笑んでいたが、隠せない悔しさは真田に伝わっていた。真田は止めるべきと分かっていても、この現状を打開してエアレーズングを止められるのはAAAWunderと「辛うじて実用段階に上がった例のシステム」しかないと頭が判断している。
「真田さん。私達が人じゃなくなっても、仲良くしてくださいね」
ここで覚悟を決めなければ、彼らの覚悟を無下にしてしまう。渋ってしまった自分に怒りが走り、思わずコンソールに拳を打ち付けた。
(今すぐ覚悟を決めろ。2人は覚悟を決めたんだぞ?)
打ち付けた拳が痺れるように痛み、歯を食い縛る。これを言えば2人は躊躇なくやるだろう。間違いなく人から外れてしまうだろう。それでも、「仲良くしてくださいね」なんか言われて……止められなかった。
「……副長権限で、AAAWunder起動を承認。これより全艦の指揮を……睦月一尉と暁一尉……そして、
葛城初代艦長に一任するッ!!」
それを引き金にしたかのように全周スクリーンにノイズが走り始め、6芒星の特徴的なサイトマークが表示された。敵性表示されたデウスーラ2世にタグが自動で添付されて全てのGUIがAAAWunderに切り替わった。
Object《Enemy》
NHG-***2?
Erlösung(nearly equal)
「リク」
声の方向に顔を向けると、ハルナが悔しそうな顔で右手を差し出していた。ハルナは隠していたが最後まで躊躇っていた。最後の手段として取って置いたAAAWunderを使う。それは自身の変質とリクの変質を意味する。綾波が伝えた事は恐らく合っているだろう。
いくら「俺も付いて行く」と意志を示しても、最終的にはハルナが原因となってリクも変質してしまう。
「そんな顔をするな。無理矢理勝手に付いて行くだけだ。ただの我儘で、ただの、独断だ」
ただの我儘で独断によるもの。誤魔化しにしかならない言い訳だが、負い目だけは感じて欲しくない。随分と出来の悪い言い訳に内心苦笑し、ハルナが差し出した右手を引っ張りその手を握り、2人は空いた片腕を高く上げた。
「ミサトさんっ!!」
「レイちゃんっ!!」
「「行こう!!!」」
突き上げられた拳は高く天を指し、2人の赤い目は揺らめく。揺らめく光はゆっくりと後ろに尾を引いていき、それに応えるAAAWunderからも甲高い音が発せられ、空間の揺れとなり全てを震わせる。
2人の虹彩が緋色に変わり炎の様に揺らめき始め、漏れ出る光が涙のように横に流れていく。一心同体、片割れの心を重ね、魂を震わせる。
そして、儀式の様にこの言葉を続ける。
「「エントリースタート!」」
止血目的でハンカチ縛ってある部分は、Willeメンバーがバンダナを巻いている位置と同じになってます。それと、もう完結するまでは後書きあんまり書きません。雰囲気ってものがあるので。
次回、AAAWunder VS デウスーラ・エアレーズング(仮称)です。時間かかりますので、しばらくお待ちください。