宇宙戦艦ヴンダー 《Reise zu einem Wunder》 作:朱色の空☁️
サナリィってことは?
VPS装甲ってことは?
マクダネル・ドグラム、富嶽重工ってことは?
ええ……この設定局、やりすぎるんです。
午前5時
「……まだ早いや」
たまたま目が覚めてしまった。まだ外は薄暗くて地下都市も少し暗いけど、今何時? ……5時。何でこんな時間に起きちゃったんだろう。リクまだ寝てるし、出来れば二度寝したいかな。
「……寝てる」
つついてみるけど起きない。うん、睡眠時間は少しずつ減り続けてるけど寝れてるね。
「ちょっとなら、いいよね。うん、ちょっとなら」
ここ数日駆けずり回ってたから出来なかったんだよね……仕事の時はちゃんとするから、家に居る時くらいは良いよね。うん、よし! (よくない)
それならリクを抱きしめ……は起きるから寝間着摘まむくらいにしておこ。あとは集中。自分のATフィールドを自覚して、リクのATフィールドに少し接触させる。こうすると、少しだけ境界が曖昧になるの。
……凄い危なっかしい事してるなぁって思われそうだけど、これはATフィールド飽和と同じです。マジの飽和です。でもすごく弱くやってるだけだから、少しだけ融和させるだけしか出来ないの。
この時間だけは何も考えなくていい時間で、頭も体も落ち着いてくれる。子作り……うう恥ずかしい。そういう事に興味はないかと言われて「ないっ!」と言ったら噓になっちゃうけど、このくらいの時期でそういう事するのも可笑しいと思うの、色々出来なくなっちゃうし。
だから将来的に生まれてくる子が安心して成長出来る地球を作って、ガトランティスの問題を解決出来たら一緒に考えるつもり。
だから今はこういう事しか出来ない。じわ~ってどこからが自分で何処からがリクかがボンヤリする程度が心地い。
……変な事言ってるなあって言われても仕方ないよね。だってATフィールド自覚してる人って私とリク(朧気)以外にレイちゃん位だしそうそういないはず。だからみんなの前では言いません。
うん、心地いい。これなら、あと1時間は……ぼんやり出来そうかな。
_______
……今日も体内時計はズレてないらしい。
枕元に取り付けたデジタル時計は6時30分。地球環境が復活しても日の昇り方とかはそのままらしいけど、実はまだ地上には住めない。それもそうだ。謎草と放射線が消えてくれたから一応住めるようにはなっているけど、地上には人工物はない。流石に地上でサバイバルするわけにもいかないから地下都市はまだ続投だ。
起き上がろうとすると、何故か服が引っ張られるような感覚があった。引っ張られている部分を見ると、熟睡しているハルナの手が、寝間着をやんわりとつまんでいた。ちょっと動いてしまえばすぐに離れてしまいそうで、寝ているときでも一途な彼女に、すぐに目が覚めてしまった。
触れられたような感触が残っていて胸に手を当ててみると、胸の奥が熱かった。……厳密には物理的な感触ではなく精神的な感触なのだが、別に初めての事ではないのでとやかく言わない事にした。
「そういえば忙しかったからな、今日は時間取れそうだ」
いつもは寝る前に抱き締め合って融和させて安心し合うが、ここ最近は忙しくてお互いそれどころじゃなかった。帰って来て、疲れてるから軽く食べて風呂入って、布団にダイブ。宇宙軍もとい「地球連邦平和維持軍宇宙軍」と民間各社の調整で丸3日ギリギリまで使った。流石に今日は……うん、今日は早く帰ろう。
「……ずるいぞ。朝ごはん作れないじゃないか」
朝ごはんを作るのは後回しだ。デジタル時計のタイマーをoffにして、寝間着をつまんだままの妻の頭を優しく撫でながら二度寝するか……。まだまだ眠り続ける妻は、心底落ち着いた寝顔だ。
ようやく二度寝から解放され、急ぎで朝ごはんを作る。時刻は午前7時30分。ハルナを引き剥がして朝ごはんを作りに行くのは流石に出来なかったから、今日は簡単にサンドイッチにしておく。
ハルナはと言うと、今日に限って寝癖が酷いため、今は洗面所でヘアアイロン片手に格闘している頃だと思う。
イスカンダル航海が終わり、ハルナの髪はまた長くなった。それでもポニーテールでカバーできる範囲内ではあるけど、前と違うのはヘアゴムではなくWILLEのバンダナで纏めている事だ。因みに僕はあのバンダナをカバンに付けている。一応身だしなみとかの問題もあったから、ハルナはまだいいけど僕はこれで精一杯だ。
「ごめんお待たせ!」
前々から、ハルナはなかなか髪を切ろうとしない。ショートにしたハルナも見て見たいというのが本音なんだけど、可愛いからそのままでもいいかなって思ってたりする。
まだ新婚気分だから、そういう事を面に向かって言う事が難しいけど。
「取り敢えず時間内から走りながら食べるぞ」
即席で作ったサンドイッチをラップで包み、大急ぎで着替える。
平和維持軍設立に伴い、制服と言うか軍服と言うか……規律のために簡易的な軍服の着用が定められた。一応そういう規律は守る積もりだけど、どうせ崩れる。技術職の人ばかり集めて研究室作る以上、そういう決まり事は緩くするつもりでいる。
良い仕事するならまずは環境からってスタイルだ。規則で色々縛るくらいなら緩くして伸び伸び仕事してもらって効率上げた方が良いのだ。
「準備できた!」
サッサと着替えたハルナは真っ先に玄関前に向かい、僕は追いかけるように準備を完了させ、自宅の鍵を閉める。
きちんと戸締りをして宿舎を飛び出してエレベーターに飛び込む。今は佐官用宿舎にいるから軍が輸送車を使って送り迎えしてくれる。それに乗り遅れたら遅刻確定。出来れば早く自家用車が欲しいな。
地上都市の再建だけど、まずは地下都市のビルを分解してそれを地上に持ち上げて地上で組みなおす。電気と水道と言ったインフラを組みなおせたらそこにブロックを積むみたいにして避難都市を組み立て直していくんだけど、流石というか何というか、戦時という非日常がここまで効率的な建築方法を取らせることが出来たから、復興も効率よく住居を作れる方法がお手元にある。
現在計画として、極東、ニューヨーク、ブリュッセルに分散首都の建設の計画が持ち上がった。ニューヨークには政府機能。ブリュッセルには復興開発機能。そして極東には軍事機能が与えられる事となる。地球連邦設立がほぼ確定し連邦の首都として色々場所で議論が巻き起こったけど、極東にも分散首都を置く事は最初から決まっていたようだった。
多分、外道オカルト集団が色々やったのだろう。都市を隠れ蓑にして地下に実験施設でも造るのだろう。まぁそんな事はさせないが。精々頑張れSEELE共、後で綺麗に壊滅させますので首を長くして待ってて下さい。
そんなこんなで、1年か1年半くらいは地下暮らしが続くと思う。でもいいや、愛する妻が……おっと。これ以上考えるとATフィールドでバレるんだ。前にもあったんだ。ATフィールドバレして照れ隠しでメチャクチャつつかれたんだけど(ry
「そっちじゃなくて言葉の方が良いんだけどね?」
ほら、案の定バレてつつかれた。本当ならここで僕がやり返すけど、ここは家じゃないから僕は反撃しない。え? どうやり返すって? それは想像にお任せするけど「アレなやつ」じゃない事は先に断っておく。おいそこ、想像したろ。
……やっぱり想像にお任せすると色々ありそうだから言ってしまうか。まぁなんだ、抱きしめてポニーテール解いてしまえばハルナって一気に気が抜けてしまうんだ。ハルナもやり返されるの分かっててやってる感じだし、「わっ」って反射で言って一気に緩くなるのが毎回毎回可愛いんだ。精神年齢マジで幼くなってるんじゃないかって思ったけど、どうやらそういう事でもないらしい。
要は、スイッチのオンオフだ。
さて、この話はそろそろ終わりにして、今向かっている場所について話していこうと思う。
国連宇宙軍極東管区司令部……後に地球連邦平和維持軍予備司令部と呼ばれるこの場所は、地球上の軍事に関するアレコレを纏める軍事専門の場所だ。地上復員が始まるまでの間はここを使う事となり、復員が進めがここは予備司令部として使われる事となる。
とにかく軍事系技術はここに纏められるから、真田さんもここで仕事だと言っていた。タウコアを使って地球製波動エンジンを設計しそれを僕らの船に実装する。世界中から技術者を招聘しての作業となるけど真田さんなら大丈夫だと思う。MITにいた時期もあって真田さん英語ペラッペラだったし。
一応僕らも話せるんだ、英語くらいなら。火星技研って多国籍だったから、必然的に部署内では英語が飛び交ってた。新しく造った部署でも英語が飛び交うと思うけど、まぁその辺は大丈夫か。
で、その新しく造った部署というのが「睦月・暁国際設計局」。以前は「暁・睦月研究室」だったけど、結婚してハルナの苗字と僕の苗字を両方を使って、睦月・○○・暁になったから「睦月・暁国際設計局」となった。
変に凝った名前でもないし、まぁいいか。
お、司令部着いた。って肩に寄りかかって寝てるじゃないか。ハルナ起きろ起きろ。
「……着いた?」
「着いたぞ。無防備過ぎないか?」
「いいもんリクいるし。いる時はこう出来る」
「外にいる時くらいシャキッとしたらどうだ? ほら行くぞ」
「うん」
_________
「おはようございます」
「おはようございます。お早いですね」
そういってコーヒーを啜るのは南部重工大公社からの出向の相田さん。南部会長の推薦もあって南部重工組のリーダー役になってもらっている。
この設計局は、各管区の軍需産業企業から優秀な人達がここに出向するという形で成り立っている。本当は引き抜きと言う形も出来たけど、企業群との更に強固な関係構築と将来的には各会社の設計技術の向上も考えているので出向と言う形にしてある。それに、優秀な人材の横取りは極力したくなかったんだ。勿論、出向ではなく「ここに正規メンバーとして腰を据える」という選択肢もあるという事を皆さんに伝えてある。
「いや、一応責任者なので今日だけは重役出勤という訳にはいかないんですよ。今日は最初の日なので」
「ですね。それにしても、各管区からこうして人が集まるとは……思っていたよりも多いですね」
「南部さんにエプシロンさんに宙帝さん、富岳重工、マクダエル・ドグラムさんからも来てもらってますからね。言語面大丈夫かな……」
「国際的な設計部署となるので、共通言語は英語で十分でしょう。主任もいけますよね?」
「火星技研は英語だらけでしたので平気です」
「おお……なにか喋ってみて下さい」
「If you don't build it quickly, the yellow-green civilization may come, so let's build a super strong ship.*1」
「ナチュラルですね」
「褒めても何も出ませんよ?」
「初めまして、今回この設計局を創設した主任の睦月リクです」
「同じく、主任を務めさせて頂きます暁ハルナです。皆さん、地球環境が復活して間もない大変な時期の中この場に集まっていただいた事を、開発主任を代表してお礼申し上げます」
目の前にいる100人の技術者設計者、そして軍事用システムエンジニアの皆さんからの拍手が響き、一瞬のけ反る。
驚いた事に、マーズノイド差別とか今の所受けていない。月村さんの音頭取りもあったけど、世界飛び回って企業との対面話し合いであれ言った事が効いているのかな。
《人類を守る最高の仕事をしたかったら是非来てください。面白いものが見れますよ》
って言ったんだ。それと使用技術と沖田艦長……沖田さんのあの資料を見せたら、「自分の理解を超えた何かに出会った」って感じで数秒間フリーズしてたけど、再起動したらまくし立てるように質問が飛んできた。特に波動エンジンとそれ関連の技術とかについて。
それもそうだ。イスカンダル次元波動理論は他管区にも存在が知れ渡ってるけど、その研究と実装は極東管区でのみ行われた。だから他管区からしてみれば「前人未到の新作理論」なのだ。
「ありがとうございます。この設計局の目標は、今後の地球の防衛戦力を新しく創り出すことにあります。ガミラス戦争が休戦となったとはいえ、外宇宙には他文明が多く存在していることが明らかとなりました。そして現在平和維持軍の最大の懸念点としてあげられるガトランティスは、イスカンダル航海時の遭遇により今最も地球に対して興味を持っている文明と言っても差し支えありません。友好的な接触はほぼ無理と言っても間違いではないでしょう。その際の軍備を整える事が、今の地球、そしてこの研究室に求められることです。ここに集まってもらった皆さんは、今その力を生み出す場にいます」
一呼吸おいて、ハルナが話し続ける。
「ですがあまり時間がありません。平和維持軍の体裁が整うのが先か、ガトランティスが地球にやって来るのが先かの競争状態である以上、早急な開発が求められます」
そう言い切ると、相田さんがタブレットを操作して正面モニターに3組の設計図を表示させた。まだ書きかけのナガト、タカオ、ユキカゼ型だ。一応この場にいる人たちは三面図が書いてある1枚目だけ見ているけど、その先2枚目3枚目以降はまだ見た事がない。
いいぞいいぞ、目が飛び出るくらいガン見してる。
第2世代はそれぞれ金剛、村雨、磯風型を参考にしてWunderの基礎構造を応用しながら再設計……いや訂正する、面影があるだけで今の所一撃爆散はあり得ない位の構造にした。VPSS・ATLHを組み込む以上手直しする箇所はあるけど、それでも堅牢で人命第一な構造にしてある。人命軽視の艦艇なんてあってたまるか。たとえ大戦争になっても生き残らせてやる。
「これは、僕たちがイスカンダルからの帰還時に地球復興の準備として設計していたものです。未完成ではありますが、これを完成させるために皆さんの力を貸して頂けないでしょうか」
「これが主任らが言った《面白い物》か。確かに面白いな」
そう声を上げたのは、マクダエル・ドグラムから出向の白人系アメリカ人だった。えっと名前名前……ハルナ、リスト持ってる? え、持ってないって?
「え~っとあなたは確か……」
「クルツ・ハーダーだ、マクダエルでチーフやってた」
驚いた。英語だと思ってたら日本語が飛んできた。
「よろしくお願いします。ハーダーさん」
「クルツでいいさ。フレンドリーに行くのが俺のやり方」
「ではクルツさん。よろしくお願いします」
「おう」
「では改めて、皆さん、どうかこの船を宙に浮かべるために、協力して頂けないでしょうか?」
一瞬シーンとなり緊張する。ここで承諾が得られなければ、年単位で頑張って3隻を2人で作ることとなってしまう。
「面白いやってやろうじゃんっ!!」
「ガトランなんとかとか置き去りにしてやろうぜ!!」
「さっさとやらせろよワクワクするじゃないか!!」
「ロマンぶち込もうぜ!!」
「カッコ良くしようぜ!!」
研究室全体がすごい騒音に見舞われた。この騒音は全て大声で構成されていて、皆かなり前向きであることが分かった。
でも、興奮気味なのか……共通言語である英語を投げ出して、日本語、英語、中国語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、その他叫び声がごった煮となったカオス空間となってしまった。
「わぁお。凄いですね」
「流石にこれは僕も聞き取れない。英語じゃないとね」
困ったな、とりあえずこの書類丸めてメガホンにしてっと……
「
対抗して叫んで何とかカオスを収める。やっぱり火星時代に英語頑張ってよかったな。
「皆さん母国語で話しちゃってたので上手く聞き取れなかったのですが、取り敢えず、皆さん賛成という事ですか?」
またまた叫び声が響き渡り、これはもう賛成という事だろうと納得する。
「最後に注意事項です。出向中限定ですが平和維持軍のこの設計局に皆さんの所属が組み込まれているため、簡易軍服の着用が義務付けられます。ですがそれは外だけの話で、研究室内では基本的に服装の制限はありません。私物持ち込みも極力目を瞑りますので、皆さんいい仕事しましょう!!」
歓声が響き渡り、手が付けられなくなった。仕方ないから次の手を打つ。
「では今から皆さんが持ち寄った技術の説明を始めたいと思いますので、まずはヘブンアイランド技研の皆様お願いします!」
一通り説明と協力の締結が終わったから、ここに纏めて行こうと思う。
装甲関係はヘブンアイランド技研のVPSS・ATLH*2で、エプシロンが協力して量産体制を整える。
砲塔関係は南部火工のショックカノンで、光学兵器に別の視点で知見がある海軍戦略研究所サナリィが担当する。あれおかしいな、ここ宇宙軍だけど何で海軍の研究所が来てるのって思ったでしょ? 実はビーム系に一家言あるんだ、サナリィって。
船体系は、南部造船、宙帝、揚羽、宙技廠、富岳、光菱、マクダエル、ロックウィード。僕らの設計に多角的な視点から手を加えて伝導管の張り方も徹底的にシミュレーションしていく。
パルスレーザーは、少々の改良で十分実践投入可能という事で、パルスレーザーで大変お世話になった宙帝造船にお任せした。連射速度の改善と構造の見直し、Wunderへの適用可能かも見てもらえる。
ミサイル系は平和維持軍内の共通規格として扱うこと前提で南部火工とマクダエル、ロックウィードにお任せした。気の所為かもしれないけど一応断っておく。南部重工の関連会社は結構あるから、南部重工が担う部分は多かったりするんだ。南部造船、南部火工、南部重工エクスプレス……南部会長、やっぱりすごいです
そして人員不足解消の切り札として「ライトキューブ(光量子ゲート結晶体)」に封入した「模造フラクトライト」を使用した人類と同じ知性を持ったAIを用いる事となった。
これはどの企業も持っていなかった技術だが、極東管区……旧日本が秘匿した「進み過ぎた技術」の1つを使う。
何故制限型であるなのか。それは「完全自律戦闘艦」の誕生を可能な限り遅らせるためだ。AIが担うのは主に人間の補助。操艦、索敵、照準補正や追尾、ダメコン、周辺の情報収集といった仕事に限定されていて、自律的な作戦立案や自律操艦や砲撃は原則許可されていない。あくまで戦闘を支援する立場にいる。
このAI達が1隻を1人で担当し、サンプリングで作った音声エンジンで会話もできる。司令部のデータベースの閲覧や情報を取得したり他の艦艇と情報を交換をする事も可能だが、AI同士のやり取りには艦長の承認が必要となる。AI同士の会話は人知の及ばない速度で行われる事もあり、それを幾度も重ねて人の手が届かない域に進化してしまう事もある。だから承認制となっている。
でも僕は、人と同じ知性を持ち乗員を本当に大切に思ってくれるなら、これらの制約を自ら乗り越える様な日が来てもおかしくないと思ってる。昔火星で見たアニメでそんなシーンがあったんだ。AIがマスターの為に制約を破るシーンが。
AI達には乗員を隣人と思って欲しいし、乗員達にはAIを道具ではなく隣人と思って欲しい。人に寄り添うAIとなった時には、彼女たちはその制約を必ず超えてくれるだろう。
ここまで言っておいてなんだけど、自ら制約を設けておいて突破して欲しいって考えるのは、変だろうか。
「変じゃないよ。私もあのアニメ好きだったし、自我を持つ戦艦は受け入れられるまで時間は必要だけど、彼女たちが十全にサポート出来るようにしてあげないと」
「彼女たち?」
「戦艦は大抵女性名だから、女性かなって」
「その辺は追々決めていくとして……これをどうするかだな」
正面モニターには設計図が広がり、ブレーンストーミングで飛び出した意見がこれも無数に広がっている。
金剛型村雨型磯風型の元設計者からも意見が貰えたため、今はそれの纏め作業に忙しい。
研究室の面々はと言うと……3隻作るから担当企業そのままにチームを3つに分けてもらっている。
ここには技術者と設計士と軍事用システムエンジニアが合わせて100人以上いる。それも各管区の軍事企業のエース的存在なので、どの意見も捨てるには惜しい物ばかりだ。
「何この量……」
「流石に恐ろしいね。これ全部捌くのか……」
この時代紙の書類は少なく余程の事でもないと使わないけど、今回これをするためにメモ帳を何束か用意してきた。メモ帳あっても使わない部署から何束か貰ってきてって感じだ。
それのお陰で意見は書けたけど、デスクの上はメモだらけだ。
「流石に多すぎだな。おまけに言語ぐちゃぐちゃだ……おう、こっちに人員回してくれ! 流石の主任さんでもここまでぐっちゃぐちゃに書かれては厳しいぞ」
クルツさんの呼ばれて数人の外国人がやって来てそれぞれ英語であいさつした。
「楊です」
「トニーです」
「ミリアです」
「フランソワです。主任可愛いですね」
何故か1人だけハルナをナンパしてきたが、とにかく来てもらえてのは嬉しい。
「早速ですまないけどちょっと手伝って欲しい。皆から様々な意見が出たけど、流石に僕らは英語以外は読めない。こっちで各言語に振り分けるからそれを英語に直して打ち込んでいってくれないかな?」
「「「「分かりました」」」」
「ところで、お2人はどういう語関係なんですか? お知り合いで?」
「ハルナですか? ああ……内緒にしておくか?」
「まぁ、いいんじゃない? そのうちバレるし。ちょっとくらい知ってる人いてもいいんじゃない?」
「それもそっか。ハルナは、僕の妻です」
「「「「妻?」」」」
突然飛び出した「妻」という単語に4人は固まった。ん? 僕何かおかしい事言ったか?
「「「「……?」」」」
「妻です」
「えっ……?」
「妻です」
「……」
「妻ですが?」
「妻」と言われたハルナが顔を手で覆っている。ハルナどうした? いいんじゃないって言ったのハルナじゃないか。
「……マジなんですか?」
「えっと……リクは、私の夫です。あと、ちょっと顔熱いので……あんまり、見ないで、ください……」
(ちょっと妻妻連呼されると無性に恥ずかしいんだけど!?)
ああそう言う事か。「妻」と連呼したら無性に恥ずかしくなったんだな。耳まで真っ赤だ。ごめんごめん。あと気の所為かもしれないけど、フランソワさんから魂抜けてないか? なんかこう、真っ白になって灰になってく感じのアレで。
(えっとね、フランソワさん彼女いない暦イコール年齢だって。ダダ漏れだからATフィールドで分かっちゃった)
「彼女いない歴=年齢」のフランソワさんは天を仰いでるな。
「え? でも苗字が違ってたんですが……」
「苗字同じだと不便ですから、仕事では旧姓で通すつもりだったんです……」
「ああ~同じだとどう呼んでいいか分かりませんから。そこは助かります」
「大丈夫だ今すぐ解決できるぜ
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああストォォォップストップストップやめてぇぇぇええ!!」
ハルナの純日本語の叫びも空しく響くだけ。この瞬間から僕は「旦那主任」、ハルナは「奥さん主任」と呼ばれる事となった。
何だよ旦那主任って。
ショックカノン進化フラグが立ちました
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戦術機開発フラグが立ちました
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第2世代艦艇(詐欺)フラグが立ちました
(≧▽≦)ノ 立ちました