初期の負け犬ヒロインの頃は、この辺の作中人物である自覚が作品内で混同してわかりにくくなってしまったが、表と分ける事で、少しわかりやすくなったような・・・
俺の部屋。いるのは俺と英梨々と加藤。
「それにね、安芸くん。夏休みにまた40話作るつもり?」
「うん」
「それって、今から作り始めても、4日に1話は作らないと間に合わないって分かって言っているのかな?」
「えっ・・・?」
「あと半年だよね。180日を40で割れば、小学生でもわかるよね」
「・・・加藤」
「別にわたしがいじめているわけじゃない。ただの事実」
「ちょ・・・ちょっとまってくれ」
180÷40=4.5
ほんとだ。校正する時間を考えるとぎりぎりところか、ブラック甚だしい。
「俺らって去年どうやって作ったんだ・・・?」
「英梨々が一週間に一度くらいで話作ったり、短編投稿してお茶を濁しながら、なんとか時間稼いで・・・かな」
「春休みの連投なんてなかった?」
「なかった」
俺と加藤が話をしている間、英梨々は真剣にノートPCに向かっている。
「でも・・・ほら、英梨々がやる気出して中二病について調べているし」
「ほんとにそう思ってる?」
「だってあんなに一生懸命パソコンに向かっているし」
加藤が英梨々の方へ歩いて行って、ノートPCの画面をこちらにみせた。そこにはマンガが表示されていた。
「安芸くん。マンガ読んでただけだよ?」
「ちょっと恵!なにするのよ!?」
「・・・ふむ・・・」
「何、倫也。また恵と喧嘩してるの?あんた達いい加減学習しなさいよ」
「誰のせい!?」
「安芸くんのせいじゃないかな」
「倫也のせいでしょ」
解せぬ。
それにしても日数が刻一刻と迫っているのに、ぜんぜんアイデアも浮かばないし、構想もできない。テーマはあるんだが・・・
「で、英梨々は何を読んでいるんだ?」
「タテの国家」
「ああ、それか。いいよな!」
「どんなの?」
「高い塔があってな、高すぎて階層が離れていると違う文明になって言語や文化もかわっているぐらい長さがある」
「それで?」
「少女が天空から降りてきて冒険がはじまる」
「いわゆるボーイミーツガールの冒険ものよね。ジャンルはSFだけど」
「その話と中二病の何が関係あるのかな?」
「別にないわよ?いいから、恵も読んでみなさいよ」
「そういわれても・・・」
困った顔もせずに、加藤はスマホを取り出してそのマンガを読み始めた。
やれやれ、思案のしどころだ。とにかくネタがないと話はできない。できれば起承転結のしっかりある話がいいが、贅沢はいえないだろう。また英梨々に笑ってもらってごまかすか・・・
「英梨々、加藤。俺、ちょっと出かけてくる・・・」
2人がマンガを読むことに集中しているようなので、俺は自分の部屋を出た。
相談する相手は詩羽先輩が適任だと思う。英梨々は昔のように駄々をこねなくなった。わがままではあるが、俺の側で静かに過ごす時間も多い。
夏の話も、冬の話も作った。新しい夏の物語をさらに40話となるとなかなか難しいだろう。
あの企画も・・・そろそろ頃合いなんじゃないかと俺は考え始めていた。
(了)
時間を与えると、ギリギリまで何もしないタイプ・・・