Fate/Silver Order -選ばれし48人目のマスターは銀髪侍- 作:天パ男
坂田銀時の朝は遅い。
それは江戸から変わって、カルデアでも同じこと。
ここ最近は第一特異点修復の祝杯を口実に連日酒を呑み、二日酔い状態で目を覚ますことが日課となっていた。
今日も同様で、マイルームのベットにこもり、イビキをかいている。
一応、銀時は特異点修復の立役者でもあるため、まあ少しは羽目を外してもいいだろうというオルガマリーの意見もあり(というかまともに言うことを聞かないだろうし)彼の安眠の邪魔をするものはいなかった。
今日までは──
「うーん……」
モゾモゾ
「うーん…… おいおい、ちみぃ…… それは俺のお稲荷さん…… んあ?」
妙な違和感に銀時の意識が強制的に覚醒された。
目を開き、かけ布団をゆっくりと持ち上げ中を見る。
すると、そこには、
「ま・す・た・ぁ」
目をギラギラと光らせ、こちらを覗く深淵がいた。
私が旦那様と再開できたのは愛故だと断言できます。
一度、いや正確には二度も、私たちの愛は無情な運命によって引き離されました。
しかし、何度引き離されようとも二人の愛の糸を辿れば必ず巡り逢うことができるのです──
「え? なにこのモノローグ。30歳独身の僕への嫌味?」
「そんな訳ないでしょう! 先輩は本当に困っているのです!!」
「…… にしても。銀時もそうだったけど、気軽に侵入されすぎよ、カルデア。あー、やばい。仮の肉体なのに胃が痛い」
ところ変わってロマニの医療室。
突然の侵入者の登場に、銀時、マシュ、オルガマリー、ロマニと主だった四人が集まっていた。
そしてこの場に勿論、侵入者本人もいた。
「侵入とは人聞きが悪いですね。私はただ、旦那様との太く硬い運命の赤い糸を辿り、あるべき場所へと帰っただけのことです。なのでいい加減、おろしてはいただけないでしょうか? なんか、頭に血が昇って爆発しそうで……」
簀巻きにされ、逆さで天井から吊るされた状態で。
「で? なんでこいつ、フランスで消えた蛇女がここにいるわけ?」
侵入者の正体は第一特異点で共に戦い、退去した筈のはぐれサーヴァント、清姫だった。
その疑問にロマニが答える。
「んー…… 第一特異点で彼女、契約しようと君に飛びついて抱きついていたじゃない? あれが契約扱いになって、それでどうにかしてカルデアにまでやってきたと。知らんけど」
「なんですか、その投げやりの説明は!?」
ロマニの雑な解説にマシュは珍しく声を荒げた。
「へー、なるほどな。サーヴァントってそんな感じで契約できんだ。じゃあお前もいっちょ契約してみっか。すいませーん。ちょっと包容一つお願いします」
そう言って銀時は、筋骨隆々の巨体に鬼のように真っ赤な髪をした、これまた鬼の様な形相の男を何処からともなく呼び出した。
「ヤアァアァアァァ」
「いや待ってエェェェ!! どっから出てきた地上最強の生物!? その人はダメだから!! その人に抱きしめられたら今度は僕がサーヴァントに祭り上げられちゃうから!! 霊体になっちゃうから!!」
「ロマニって…… あんなふうにサーヴァント実装するものだったのか…… ありがとう、運営さん」
「いやあァァァァ!!! その親父、抱きしめすぎちゃうからあァァァァ。誰か止めてえェェ!!」
その日、ロマニの断末魔がカルデア中に響き渡った。
「と、いうわけで英霊召喚よ!」
「いや、なにがというわけなんです?」
銀時たちは、物も一切置かれていない真っ白な部屋へと移動していた。
部屋の真ん中には魔方陣が描かれている。
脈絡もなく宣言するオルガマリーに、さっきまでのやり取りをなかったことにされた清姫が静かにツッコム。
「召喚だぁ? こんな変な石でんなことできんのかよ」
「あれ? 旦那様まで無視? おかしいですわね? これが噂の国八分?」
しかし清姫のツッコミは完全に無視され話は続く。
銀時は手に持った虹色のトゲが生えたような石を訝しげに見た。
「当然よ。この石は聖晶石。魔力が込められた特殊な石よ。この石を3つ使うことにより、一回召喚が行えるわ。これで戦力を増やすの」
オルガマリーは、合計9個の虹色の石を銀時に持たせる。
三つで一回。つまり、計3回分の召喚が行えるというわけだ。
「成る程ね。つまりこいつでもっとマシな奴を召喚して蛇女は野生に返すってわけだ」
「旦那様!? そんなことをしなくてても私はとっくに旦那様の野生の如き
「野生に返す必要はないわよ。だって、これがあるから」
清姫の言動は軽く無視し、オルガマリーの指差す方へと銀時は目を向ける。
そこには人が一人すっぽり入ってしまいそうな程に大きな臀部── の形を鉄の素材で表現した物体があった。
「………… あの。なんなんです。この作品が漫画だったら絶対に掲載出来ないような代物は」
「いい清姫。カルデアは知っての通り、世界から隔絶された施設。そのせいで資源不足が常なのよ。だから考えたの。不要な魔術礼装などをリサイクルし、魔力エネルギーへと変換する方法を。マシュ、お願い」
「はい、所長」
オルガマリーは未だ体が小さいままなので、代わりにマシュに動いてもらう。
マシュは臀部の前に立ち、ポケットに入れていた適当な小型の魔術礼装を真ん中に空いた穴へと突っ込んだ。
「え……」
そして臀部の横についていた赤いレバーを引っ張る。
するとガタガタと揺れ、しばらくすると止まった。
そして、
ウィーン……
機械的な音と共がしたと思ったら、穴からプリッと緑色の四角い物体が出てきた。
「これが魔力エネルギーの塊、マナプリズムよ。そしてこの機械の名はマナプリズム変換マシン」
「いや、マナプリズムってか、ただの緑のウ○コじゃないですか、これえェェェ!!」
清姫の咆哮にオルガマリーはうるさっと眉間にシワを寄せる。
「失礼なこと言うわね。これは立派なエネルギー源なのよ。マシュ、マナプリズムしまっといて」
マシュはビニール袋を取り出し、それを手袋のように手にはめた。
そしてマナプリズムを手に取る。
「マナプリズムの扱いが完全にウ○コのそれなんですが!? え、というかこのままだと私、あれに投入されるんです!?」
「うるせーな。もうウ○コでもなんでもいいけどよ。はやく済ませてくれよ。こっちは二日酔いの状態で無理矢理起こされてイラついてんの。今にもバーストしそうな勢いなの」
「年中アルコールで頭バーストしてる奴が何言ってるのよ。でも言う通りね。さっさと召喚の儀に入りましょう」
少し脱線してしまったがようやく本題に入った。
後ろで清姫が自分に降りかかるであろう運命にショックを受けてはいるが……
流石にそれを見て哀れに思ったか。
オルガマリーはため息を漏らしながらも優しく言葉を投げ掛ける。
「はあー…… 心配しなくても大丈夫よ、清姫。カルデア式の召喚システムはまだ不完全な所があるの。召喚事態失敗する可能性もあるし、その時は貴女にいてもらうわ」
「いや全然安心できませんって、それ!! 結局誰か召喚されたら私を臀部の中にシュート!! するじゃないですかあァァ!!」
「さ、さっさと召喚を始めるわよー」
清姫を完全に無視し、オルガマリーは召喚の儀を始めるよう勧めた。
早く終わらせたい銀時もとりあえず三つの石を魔方陣に投げ込む。
すると石が光だした。光りは一本の輪になり、ぐるぐると回る。
そして光は収束し、サークルの中央になにかが現れた。
「っ!? こ、こいつは!」
ヌルッとした見た目。日本人には見慣れた定番品。そう。それはワカメだった。
「いや、なんでワカメだあぁぁぁ!!」
銀時のシャウトにマシュは冷静に答える。
「それは礼装ですね。サーヴァントに持たせることによって様々な能力が向上します。よく見てください。そのワカメの下に本があります。恐らくは偽臣の書という礼装です」
本来の聖杯戦争ならばこのようなことはあり得ないのだが、カルデアのはあくまでも模倣システム。
こういった不具合は起きてしまうのだ。
「こんなのはよくあることよ。いいから次召喚しなさい」
「くそっ、なんかパチンコで負けたような感覚で嫌になるぜ」
そしてもう一度石を投げ込む。
すると今度は光りが一本ではなく、三本の線になった。
「おお! これはサーヴァント、紛れもない英雄が来る演出よ!」
「ええ!? 本当ですか!! 本当にサーヴァントですか! こ、このままだと私、緑のウ○コに変換される!!」
喜ぶオルガマリーに叫ぶ清姫。
銀時とマシュは何が来るかとゴクリと唾を飲み込み、黙って見守った。
光は収束し、魔方陣の中央にいたのは──
「私が来た!!」
前髪の一部を角のように立てたオールバックの金髪と筋骨隆々のボディが特徴の大男だった。
「いや、ガチモンの英雄来ちゃったんですけどおォォォ!!」
銀時はまさかの英雄の登場に叫ぶ。
それに対し、大男はニヤリと笑う。
「人類史の危機…… か。けどもう大丈夫! 何故って? 私が来っ── ムムッ!!」
ブシュー!! 決め台詞の最中、大男は顔をしかめた。
すると突然体中から煙が吹き出す。
煙の量はとんどん多くなり大男の姿を見えなくした。
「うわ! ちょっ、なによこれ!?」
「多分、ここに召喚される前に焼き肉でも食べてたんじゃないですかね?」
「それもう火災レベルの焼き肉だろ!!」
銀時と違って、大男について全く情報を持たないオルガマリーとマシュは訳も分からずたじろぐ。
逆に事情を知っている銀時は慌て始めた。
「おいおい! まじでここでなっちゃうの、あのモード! まずいよ!! 色々とバレちゃうよ!? これ原作銀魂とFateなのに、ヒ○アカ未読未視聴組に一話のネタバレしちゃうよ!!」
そうこうしている内に煙が晴れ、大男の姿が顕となる。
いや、もはや彼は大男ではなかった。いや、人間ですらなかった。
「我々には、名前があるのだ!!」
人間のような二足歩行でありながら、全身は赤色の皮膚に覆われ、蛸のような顔をした化け物が立っていた。
「なんか英雄どころかとんでもねー化け物が誕生したあァァァァ!!? え、どういうこと!? 中の人なの? 中の人的なあれなの?」
「よくも……」
「え?」
「よくも よくも 花御を殺したな!!」
化け物は体を震わせ怒りを顕にした。
「えええええ!? いや知らない! そんな奴知らねーし! 俺なんもやってねーし!」
「はなみってなんのことかしら?」
「所長、多分、彼は一人だけ花見に呼ばれなかった過去があるのでは? それで人間を恨んでいるのではないでしょうか?」
「あー、なんかヌメヌメしてそうだからかしら? しょーがないわね。おーい、蛸っぽい人。花見ならシミュレーションだけど出きるわよ。参加する?」
「いや、ヌメヌメしてんの、オメーらの頭!! つーかなんでお前らさっきからちょっと冷静なんだよ!!」
珍しくボケにまわっているオルガマリーとマシュに銀時はツッコミを入れた。
しかしそんなボケ合戦に化け物は益々怒りを込み上げる。
「許さない!! 領域──」
「ヤバイヤバイ!! なんか展開しようとしてる! 俺たちをビーチに引き込もうとしている!!」
「あれ? 花見よりもバカンス派だったのかしら?」
「花見はもういいっつーの!!」
「て、オロロロロロロロロロロ!!!!」
何かをしようとした化け物だったが、急に嘔吐してしまった。
「吐いたあァァァァ!? 胎児か成体になっても出しちゃうの!?」
「うわっ! ちょ、マシュ、鬼太郎袋持ってきて」
「は、はい── あれ? ちょっと待ってください! この蛸さんが吐いたモノって、これ……」
「ふー………… 危うく死にかけたっビ」
化け物の嘔吐物の中にはそれはいた。
全身がピンク色でおちょぼ口の言葉を話す蛸が。
「蛸の中から蛸が出てきたあァァァァ!? どーういうことだこれ!? もしかしてマトリョーシカなの、これ!?」
ピンク色の蛸は周りをキョロキョロと見渡す。
すると胃の中を全て吐き出しゼーゼーと苦しそうに呻く化け物と目があった。
「ピっ!? き、君は…………」
「っ?」
「ま、まりなちゃん……」
「どこかあァァァ!? 目腐ってんのか! 上から下まで蛸の化け物だろーが!!」
ピンク色の蛸は化け物のことを誰かと間違えたようで目をうるうると輝かせる。
「君は覚えてないだろうけど、僕は君に謝りたいんだっピ。まりなちゃーーーーん!!!」
ピンク色の蛸は大きくジャンプし、触手を伸ばす。
勘違いではあるものの再開に喜んだのだろう。
ピンク色の蛸は化け物に抱きつこうとし、
ゴンッ!!
「いて── あっ」
「ゴフッ!!」
想定よりも距離が届かなかったか、ピンク色の蛸は頭から化け物の頭頂部へと落下し、見事に直撃する。
すると化け物は血反吐を吐き、倒れた。
「タ○ピー鬼つええ! つーか、頭突き一発で死ぬってスペランカーか!!」
「いえ、どっちかって言うとコケピーね」
「お前は、なんでコケピー知ってて呪術○戦とかヒロ○カ知らねんーんだよ!!」
謎に訂正してきたオルガマリーに銀時は切れ気味にツッコミを入れたのだった。
「さっ。石はまだ1回分残ってる。こうなれば最後の望みにかけましょう」
「おいマジかよー。もう勘弁だぜ、これ以上は。こんなんだったらワカメの方がマシだぜ」
オルガマリーはヤル気満々だが銀時は消極的だ。
さっきのツッコミで疲れたのだろう。
「まあまあそう言わずに。ストーカーサーヴァント残しとくよりましでしょ。でないと………」
「ふふ……… ふふふふっ!! さあさあどうしますか? 今のところワカメと不気味なタコが二人?、召喚されただけでございますよ~。これはやはり私めをマスターのサーヴァントとして、いえ、正妻として迎えるべきなのでは!?」
「どんどん調子乗るわよ。このストーカー」
清姫は顔を歪め声を上げて笑って見せる。
ちなみにタコ二人は後ろでワカメを食べてる。
それを見た銀時は流石にイラっとし、こいつ殴ってやろうかとも思ったがどうせサーヴァントには通じないので止めた。
それよりもさっさと普通のサーヴァントを召喚し、清姫を黙らせた方がいいだろう。
「とはいえ…… もうちょいなんとかなんねーもんかね? ほら。昔都市伝説にあったじゃん。パチンコ玉を磁石で動かすとか。そんな感じのねーの?」
「あるわけないでしょ! 英霊召喚はギャンブルとはちが── 『ちょっと待ったあァァ!!』っ!?」
オルガマリーが呆れて否定しようとすると部屋の扉が強く開かれ、待ったの声をかける者が現れた。
「ダ、ダヴィンチ!?」
「ふふ。この世紀の大天才である私の手にかかれば、召喚の確率操作など簡単さ」
それはカルデアの正式サーヴァントの一人、レオナルド・ダ・ヴィンチ。
自信満々に言ってのける彼、ではなく彼女に銀時は興奮気味に返す。
「まじかよ、ダヴィえもん!」
「まじだよ、銀時くん いいかい? 英霊召喚には様々な願掛け── もとい宗派が存在してる」
「そんな話初めて聞いたんですけど!?」
オルガマリーは突然の新事実に驚くも、ダヴィンチは構わず話を進める
「かつて聖杯戦争に参加した触媒も用意できない貧ぼ…… 失礼、巨大な後ろ楯がなかった魔術師たちはそれぞれがこの宗派に入り、英霊を召喚していたんだ。その宗派は様々だ。そう例えば──
深夜二時ピッタリに召喚教
躍りながら詠唱教…
飛びはねながら詠唱教…
お参りしてから召喚教…
4G回線の中で召喚教…
カレーうどんを食べた時、一切染み付けなかったら召喚教…
他のソシャゲやってて全然レアキャラ出なかったら、いや、まじでここで位出るよね!? ねえ!? でないとおかしいよね!? 教…… 等々」
「いや、最後のおかしくない!? 最早、ただの愚痴だし。というかなんなら途中から大分おかしいし!! 英霊召喚なのに4Gとか近代的すぎるでしょ!!」
オルガマリーはツッコミを入れるが話は続く。
「そんな中でも私が知る限り、最も強力な宗派がある。それは……」
「そ、それは……」
銀時はゴクリと唾を飲み込んだ。
ダヴィンチはそれを見てフフンと笑うと、蛸の化け物の前に立つ。
「うん。君が丁度良い」
「え?」
ワカメを食べていた化け物はダヴィンチにいきなり頭をつかまれた。
そして──
「蛸をケツの中にシューーート!!」
化け物はそのまま穴の中へと吸い込まれた。
そしてレバーを引き、マシンはガタガタと揺れ始める。
そして動きを止めると穴からプリっと何かが飛び出る。
「完成だ…… これぞ、ジュジュットモンスター 君に決めた教さ!!」
ダヴィンチは出てきた物体を手にとって見せた。
それは全体が、どす黒い不気味な球体だった。
銀時はそれを見てプルプルと体を震わす。
「いや、これ………… かん ぜん に !! 吐瀉物を処理した雑巾の味がするヤツじゃねーかあァァ!! なにモ○スターボールですみたいな顔で持ってんの!?」
「失礼なことを言うねー。いいかい? これを聖唱石の代わりに入れる。すると確実に超級のサーヴァントが召喚されるんだ。さあ、ウダウダ言わずにさっさと投げたまえ」
憤慨する銀時だったが、どうせ駄目で元々なのだ。
こうなったらさっさと終わらせてやると魔方陣へと向き直る。
しかしそこには魔方陣ではなく──
鎖に繋がれた黄金の巨大な竜の顔があった。
「なんか別ゲーになってるうゥゥゥ!!?」
「さあ! あの竜の片眼に玉を引っ張りショット!! するんだ!!」
ダヴィンチの言う通り、竜は片眼だけなく空洞だった。
「だあああ!! もういい! どうにでもなれ!!」
銀時は半場ヤケクソ気味に玉を投げる。
すると見事、竜の片眼に入り、顔が一回転する。
そして──
パンパンパンパパーーン!!
「これから人理はどうなるか…… か。 何も変わらん。呪い呪われ死ぬだけよ」
召喚されたのは、古めかしいイタコの姿── ではなくアイドル法被を羽織り魔方陣の上に座る老婆だった。
「結局呪術○戦んんんんん!! 呪われてんの、人理じゃなくて俺ら!!」
「老婆のサーヴァント…… 見た感じ、クラスはキャスターってところかしら? 貴女真名と能力は?」
銀時はともかく目の前の老婆に知識のないオルガマリーは冷静に分析する。
「儂の名はオ○ミ婆じゃ…… 娘よ、儂のことを知りたいのか?」
人理に聞いた! オ○ミ婆のプロフィール
Q オ○婆のサーヴァントとしての魅力は?
降霊術で死んだ人間の肉体情報を降ろせる所♥️
Q オ○ミ婆のチャームポイントは?
歯
Q オ○婆の特技は
暗殺
Q オ○ミ婆を動物に例えるなら?
動物じゃないけど制服の似合う若い娘かなーやっぱりww
Q オ○ミ婆の好きな寿司ネタは?
釣ったばかりの生魚を捌いたモノ
Q オ○ミ婆が無人島に持っていくなら?
推しの体の一部
「アイドルのプロフィールリレーみたいな紹介止めろ!! つーか暇なの、人理!?」
「ちょっ、ちょっと待って! 貴女、降霊術を使えるの?」
銀時はツッコミを入れるが、それよりもオルガマリーはプロフィールなあった降霊術に目をつける。
その反応にオ○ミ婆はニヤリと笑ってみせた。
「実際に見せてやろう。これぞ儂の宝具! □□□□□□□□□─」
そう言うと老婆は何やら呪文のような言葉をぶつぶつと唱え始めた。
何を言っているのかはよく聞き取れないが、詠唱は終わったようだ。
老婆は目をくわっと見開き、懐から真っ白な髪が三本程入れられたカプセルを取り出す。
それをそのまま口に含み始めたのだ。
「え? ちょっと、なにを── !」
「ふふ、成功じゃ── ムムっ!? な、なんじゃ!? これは!?」
オ○ミ婆は最初ほくそ笑んでいたが、急に苦しみだす。
すると彼女の肉体は徐々に変わり始め、
「降ろしたのは肉体情報のみのはず! こ、これは……」
オ○ミ婆 降霊術の能力解説──
降霊対象の体の一部を経口摂取することで身体に憑依させる『魂憑依人間』
「急にワン○ースの能力解説みたいなの始まった!?」
発動には詠唱などの時間がかかる為、その間本人は無防備になるという縛りが存在する。
尚、降霊の際には、「肉体の情報」と「魂の情報」は別に扱われており、暴走など不測の事態を防ぐため、基本的には肉体の情報しか降ろさない、なのだが──
今回は降ろした魂に問題があったか。オ○ミ婆の魂は降ろした魂の情報に勝てず、抵抗しようとするもついに消滅。
結果彼女の肉体は、
「今日からここがスイートマイホームじゃい!!」
本来ならば変わらない筈の服装までも含めて完全に変化してしまった。
彼女の古い和服は消え、代わりに頭にオレンジの帽子。顔には瓶底眼鏡。体はジャージとフンドシ姿へと変わり。足も脛毛だらけの白髪の男性になっていた。
「ババアがジジイになっただけだったあァァァ!? つーかなんか見たことある気がするんだけど、こいつ!」
何故か知り合いにそっくりな男の登場に銀時は狼狽してしまう。
「あー、まあ人間って年取ると、女なのか男なのかわからなくなし…… 特に変化はないわね」
「いや、あるだろ! おい、ダヴィンチ、どうい
うことだよ! 結局大外れだろーが!」
銀時は怒りの矛先をダヴィンチへと向けた。
しかしダヴィンチは特に焦った様子を見せない。
それどころか不適に笑い白髪の男性へと近づく。
「銀時くん。君はわかっていないようだね。彼は間違いなく超級のサーヴァントだ。だってメガネ取ったら、ほら」
そう言って、ダヴィンチは白髪の男性のメガネを取る。
するとキリッとした鋭い眼孔が顕となった。
「武蔵じゃん」
「どーでもいいんだよ!! だから、なんだ? そいつが宮本武蔵だとでも言い張る気かテメー!!」
「もー、君は文句が多い。しょうがない。ここは引き直しといこう。なんとカルデア式召喚システムでは、好きなサーヴァントが出るまで引き直しができるのさ! これを通称リセマラと言う」
「まじ!? そんなファ○パレみたいな神運営なのか、カルデア!」
まさかの引き直し可能という事実に銀時は驚く。
ダヴィンチは早速、引き直しをしようと武蔵っぽい人の前に立った。
そして魔力測定器でもある彼女の武器「星を表す杖」を構え、
「えい」
バキンンンン!!
武蔵っぽい人の頭へと勢いよく振り下ろした。
「いや、それジジイの人生リセマラしてるだけえェェェ!!」
このまま武蔵っぽい人は潰された、かに思えたが──
「なるほどな……… これが人理を守る組織カルデアの現状とは笑わせる」
どうやら息はあったようで、ダヴィンチの杖を手で押しのけ、武蔵っぽい人はニヤリと笑い立ち上がったのだ。
その鋭い眼孔は相変わらずだが、声色は召喚時の年老いたモノとは違う歴戦の猛者を思わせるモノに変わっていた。
「ジジイ!? 頭打たれたせいか、別人みたいになってっけど!?」
「召喚し、弱き者、使えぬ者と判断すれば即座に切り捨てる。ああ。人類という大多数の人間を救うためならば、我ら少数の弱者を犠牲とする行為は理に叶っているだろうさ」
「滅茶苦茶流暢に喋ってるよ! なにこれ!?」
「だがそれで人類を救った後、お前たちの後ろに残るモノはなんだ? 名声か? 栄誉か? 誇りか? いいや、違う。そこにあるのは積みかされた怨念渦巻く屍たちの山だけよ」
武蔵っぽい人は続ける。
「お前たちはこれまでいったい何人の英雄を犠牲にした? マナプリに変換し、QPへ換金し、時には他の強者たちの強化へと利用した」
「んなことしてないけど!? いったい何の話をしてんの、お前!?」
「…… 確かに、その通りね。私たちは人類を救うために彼らの魂を軽んじていたのかもしれないわ」
「所長……」
武蔵っぽい人の話を聞き、オルガマリーとマシュは顔を俯かせた。
しかし銀時は冷ややかである。
「ええええ!? お前ら、今ので効いてんの!?」
「私たちは間違っていたのかしら」
「…… さてな。さっきも言ったがこの行為事態は理に叶っている。中にはそれを良しとする英霊もいるだろうしな。だが、だからといってこれを肯定する訳にもいかん」
「だったらどうすれば……」
オルガマリーは武蔵っぽい人の答えを待つ。
「前に進むのだ。今でに犠牲にしてきた者たちの思いを、怨念すらも全て背負って進み続けるのだ。己の犯した罪をこれからも犯し続けるであろう罪を忘れずに、人類を救うのだ。それがお前たちにできるせめてもの贖罪だ」
「進み続ける…… !!」
「そうだ!! 我等は進み続ける!! 人類の平和を! 人類の理を! 人類の愛を! 取り戻すために!」
「武蔵っぽい人!! 私、私は貴女についていくわ!!」
オルガマリーの目には涙が溢れていた。
マシュも泣いていた。ダヴィンチもうんうんと頷いている。
銀時は白眼を剥いていた。
武蔵っぽい人はふっと笑う。
「ならば行くぞ!! 人理を取り戻すために! さあ、みな、俺についてこい!! あの夕日に向かって走り続けるのだ!!」
そして彼は先頭をきって走り出す。
その両足は力強く、前へ前へと向かって走り続け、
ズボッ!!
マナプリズム変換マシンである鉄の臀部の穴へと頭から入って行った。
「すいませーーーーん!! そこ、夕日じゃなくてブラックホール!!」
そのまま変換マシンはガタガタと揺れ始め、プリっと穴から変換したエネルギーの塊、マナプリズム── ではなく黄色のレアプリズムを出した。
「あいつ星4以上のサーヴァントだったんかいィィィ」
「…… あれ? 結局、私はどうなるんです?」
その日、幸か不幸か。
清姫の存命は決定され、銀時と契約することになるのだった。
現状の銀時の契約サーヴァント
マシュ・キリエライト
清姫
武蔵っぽい人はあくまでもこの世界における宮本武蔵の名前を語るのに最も相応しいと人物と人理が判断しただけの人です。
なので宮本武蔵本人でもなければ銀時の世界の武蔵っぽい人でもありません。
ただのそっくりなオッサンです。