異世界。魔王。討伐。 作:カロライナ
お腹がいっぱいになった頃、出発するにも丁度いい時間にもなったので地図で次の行先を確認し、チェックアウトを行うと宿屋を出た。
「次向かうべき場所はレーベの村だな。」
「そうなるね。距離的にもここが良いんじゃないかな?」
「よし。次はレーベの村だ!!」
そうと決まれば、事は早い。地図を見ながらレーベの村を目指し現地に直行。
途中途中、大ガラスやスライム等の魔物に出会うが、驚かしと逃亡で何とか戦闘を回避し
道中を進んだ。
「ほぉ・・・ココがレーベかぁ・・・・・・。」
「なんか、田舎町って感じだね。」
「村なんだから、当たり前じゃね?」
「それもそうだね。」
アリアハンと比べると実に田舎の雰囲気が漂うレーベの村に辿り着くと、まず初めに
したことは情報収集だった。僕達が出発したこの土地は地図を見たところ島国なようで、
他の場所へと移動するには船を使って移動をするか、旅人の扉と呼ばれる魔方陣で行くしかないようである。
情報収集の結果レーベの村には船は置いていないそうで、レーベから南東にある湖付近の旅人の扉から他の大陸に向かうしかないとのコトらしい。さらに残念なことにその旅人の扉に入るには“盗賊の鍵”と呼ばれる特殊な鍵が必要なようで、少し前にはレーベでも売っていたらしいのだが、村人が村内での不法侵入事件、強盗事件が多発したため今はもう売っていないそうである。ただ、他にも入手できる経路はあり、昨日アリアハンに戻るとき見かけた塔・・・ナジミの塔と言うらしい そこの頂上にある老人が住んでおりそこで“盗賊の鍵”を売っていると言う話を聞いた。1本200Gと中々値が張るが、今後の旅にかかわってくる重要な道具の一つだと言うことで結局買いに行くこととなった。
「どっちのルートから、行く? 雪。」
「うーん・・・やっぱり、レーベから近い方の洞窟かなぁ・・・」
「そっちの方が、やはり安定か・・・。」
ナジミの塔の侵入経路は全部で2つあるらしい。アリアハンから真西にある洞窟から入る
方法か、レーベの村の森の中の南部にある草原から入るか。ココは魔物との遭遇を避けるため草原の方から侵入することとなった。アリアハン真西にある洞窟から入れば、アイテムや経験値が稼げてLvが上がるためおトクだと村の人が言っていたが・・・正直、Lvとか異世界人の僕達からとってしてみれば、全く関係ないものだ。年を取ればLv.1上がる、それが僕達の世界の原理。鍛え方によって、そのパラメーターは上下に日々変動するものであり常に固定と言うわけではない。それにアイテム回収をしたところで、僕達には使えない道具が殆どなのだろう。そんなものを集めたところで何の役にも立たないだろうし、重量が嵩み、むしろ命を削る危険性があるため行くのは
危険すぎる。
レーベの村を出発。まだ、太陽が昇ってから数時間しか経ってないようで、太陽の位置はまだそれなりに高い位置にあった。出来れば入りたくない森の中に入り、草原を探し出す。なんとか魔物にも会わずに草原内にある地下水道のような洞窟を発見。侵入後探索を始めた 途中大アリクイやフロッガーと出会ったが、驚かしと逃亡の連続でノーダメージのままナジミの塔内部に侵入することが出来た。
「4F立てかぁ・・・。」
「なんか、低いな。」
一旦、ナジミの塔内部から出て塔の全貌を確認する。ざっと15mだろうか。
元の塔にしては雅の言う通り低い気がしてきた。
「それじゃ、今回もさっさと上って鍵を購入後。脱兎のごとく逃げ回りますか。」
雅の作戦にうなずき、靴ひもを結びなおす。再度、ナジミの塔に侵入した後踏破するまでの時間はそう長くは掛からなかった。色々と魔物が出現して居たような気がするが、どんな魔物が道を塞いでいたのかよく思い出せない。大体、雅の雄叫びと僕の盾アタックで蹴散らしてしまったためだ。途中G《ゴールド》を拾う。それで盗賊の鍵を2本買うと今度は疾風の如くナジミの塔を“駆け下りた”最近の勇者は、塔から飛び降りてショートカットをするそうだが、僕達はそれをしない。12mの高さから下にクッションもないのに飛び降りるなんて自殺行為にも等しいからだ。 現にナジミの塔の外に出たとき草むらや茂みに人骨が転がっているのを僕は見逃さなかった。どの人骨も魔物に襲われた形跡が残っており死に方は様々だったようだが、共通してあった損傷は両膝部の複雑骨折だった。冷静に考えれば分かることだ。ただの人間が、12mもの高さから飛び降りればどうなるのかなど。次に気が付いた時は、盗賊の鍵を片手にレーベの村に到着している時だった。
「・・・・・・案外。大したコトなかったな。」
「・・・全力で駆け抜けて帰ってきたからね。」
ドサッと雅が地面に座り込む。
「雪ぃ・・・あの時は止めてくれて・・・ありがとな。」
「・・・あの時って?」
「ほら、俺等が盗賊の鍵を買って老人に進められて俺が塔から飛び降りようとした時だよ。」
「ん・・・ああ。なるほど。」
「雪はどうか知らんけど・・・あそこの老人も相当な“魔物”だったぜ?」
息絶え絶えになりつつもおどけた表情で雅が不思議な事を言い出した。
あの老人が魔物? 雅はいったい何を言っているのだろう?
「どう言うこと?」
「・・・どうやら、聞こえたのは俺だけだったようだな・・・あの老人、俺が飛び降りようと
して雪が止めて・・・二人でまた階段を駆け下りようって事になって・・・俺等が降りる瞬間
に舌打ちをしたんだよ・・・。それによ・・・。何か、あの部屋煌びやかじゃなかったか・・・?」
確かに・・・塔住みなのに小部屋が、金銀財宝 煌びやかだったような・・・。
「・・・・・・・・・!!」
「どうやら、分かったって顔だな・・・。多分、ありゃ落下死した来訪人の身ぐるみを剥ぎ
取ったんだろうなぁ・・・じゃなきゃ、塔での生活で部屋の煌びやかさは説明出来ねェ。」
雅の発言にゾッとする。僕はあの草むらや茂みにあった人骨は魔物がそこまで運んで、
その場所で殺して食べたのだと、ずっとレーベ帰ってくるまではそう考えていた。
そうじゃなかった。魔物が殺し、それを老人が後始末をしていたのだ。それならば
あの妙に巧妙に隠された人骨たちの説明がしっくりくる。それにあそこの魔物たちは、
決して知能が高い方ではなかった。何処へ行っても人間と言うものは恐ろしいと言うことに
気づかされる。
「んで、この後はどうするよ? 昼飯を食って、そのまま旅の扉まで直行するか?」
「いや、今回はどんなトコロか偵察だけしてレーベで一泊後、挑もう。ね?」
「わかった。」
息を整え、村で昼食を取り再びレーベの町から出る。
地図を確認すると、ココから南東に旅人の扉はあるそうだが・・・
「なるほど。旅人の扉に向かうには最初の難関、山岳を越えなきゃならねェってか。」
「どのルートを通っても、山岳地帯は通らなきゃならないみたい。」
目の前に見える山々。足場も悪く、進むのには困難が待ち受けているような気がする
それに平地より魔物の出現率が増える。そんな気もするような・・・。