異世界。魔王。討伐。 作:カロライナ
次に目が覚めたときは、あの世でもない、現実でもない。石作りの薄暗い部屋の中だった。
辺りを見回すと僕のほかにミヤビが横たわって寝ていた。だるくて重い体を半分引きずりながら
ミヤビの元に向かう。脈、心拍数、呼吸は正常に動いている。よかった。どうやら、死んではいないようだ。本当に良かった。ミヤビが生きていたと言う安堵の為かそのまま地面に腰を
ストンと落としてしまう。その時、光が差し込み扉が開き誰かが入ってきた。
「無理しない方がええ。バブルスライムの毒と敵の集中砲火を喰らったんだ。
もう少し、そこのベッドで休んでいなさい。」
顔は見えないが、声で分かる。ある程度、歳の行った年寄りのようだ。
しかも、それなりに力持ちな男性。彼は僕を持ち上げると再びベッドに戻してくれた。
「えっと・・・。」
彼に聞きたいことが沢山あるはずだった。しかし、その聞きたいことが多くあり過ぎて
どの内容から聞いて行けば良いのか分からない状況だった。
「質問は後だ。少女よ。今はゆっくりと、体を休めなさい・・・ラリホー」
男性がそう呟いた瞬間、再び瞼が重くなり再び僕は深い眠りに落ちて行った。
また目が覚めたときも、最初に見たあの時の部屋の中だった。
今度は頭の中がスッキリと晴れ、
一度起きた時よりも体が動きやすくなっているのが分かった。
「よぉ。ユキ、気分はどうだ?」
「あ、ミヤビ・・・。もう大丈夫みたい。」
一度起きたときに年寄りが入ってきた扉の近くで、腕組み足組をして壁に寄り掛かって
こちらの様子をうかがっているミヤビが居た。
どうやら、ミヤビもあの昏睡に近い状態から復帰した様だった。
「それにしてもユキ。人助け、いや魔物助けはしておくもんだなぁ・・・。」
「・・・? 魔物助け?」
ミヤビは何のことを言っているのか、僕には分からなかった。
まだ頭の中で記憶の整理がついていないんだと思う。
「お前の助けたホイミスライム。どうやら、あいつが魔物を追っ払って、俺達をここに
運び、解毒もしてくれた張本人なんだと。ここの宿屋の爺さんから聞いた。
ま、何かの冗談だろうけど。」
軽く鼻で笑いながらミヤビはそういった。
そうだ・・・。そんなこともあったような・・・
「お前も・・・」
ミヤビが何かを言いかけた時、急にミヤビの隣の扉が開き その言葉はかき消された。
僕たちが目を丸くしてその扉の先を見てみると、そこには一匹のホイミスライムが
浮遊してこちらをデフォルト笑みかもしれないが、ニコニコとみていた。
「・・・えっと・・・」
僕が言葉を最後まで発するよりも先にホイミスライムの方が僕に向かって突進をしてきた。
「っ! ユキっ!!」
ミヤビが状況を素早く察知してホイミスライムの事と引き留めようと手を伸ばすが届かず
その手は空を切る。その突進の衝撃に備えて力を籠め、目をつむった。
だが、そのホイミスライムが僕にぶつかった瞬間は、力強い体当たりなどではなく
ポヨンと言う柔らかい感覚と、反射的に顔を庇った腕に懐いたように足(触手?)を絡ませて
遊ぶホイミスライムの姿が目の中に飛び込んできた。
「え? は?」
これには、ミヤビも驚いたようで何が目前で起こったのか分からないと言う顔をしている。
「随分、懐かれたようだの。少女よ。」
今度は派手に開かれた扉から、最初に起きたときに出会った年寄りが入ってきた
顔が向いている方向からして僕に対して話しかけているようなのだが・・・ボクは・・・。
「あのぅ・・・」
「言わなくとも分かる。魔物は基本人間には懐かない。それがどうして懐いているのかと
私に聞きたいのだろう?」
全然分かっていないよ。この年寄り・・・
しかしここで否定すると、話の進み具合が悪くなってしまうようなそんな気がしたので
否定はせずに 一呼吸を置いて短く『はい』とだけ答えた。
ホイミスライムは相変わらず細い触手をクネらせ体を弄りながらじゃれてくる。
一線を越えたら薄い本が一冊できそうなそんな・・・触手プレイだ。
「そうだろう。そうだろう! そして、何故少女に懐いたのかと言うと・・・」
「はい。」
「儂にも分からん。」
ガタン!! と言った大きな音と共に扉の近くで、スカした顔をしつつ話の内容に耳を傾けて
こちらの会話の内容を聞いていたミヤビがよくある漫画のずっこけの様に転んでいた。
「わ、分からねェのかよ・・・爺さんよ。」
「うむ。何せ、今まで人間に魔物が懐くなんてことは無かったのだからな。
・・・・・・・・・いや、もしかして少女よ。おぬし、魔物なのか?」
「えっ・・・」
年寄りの発言によってホイミスライム以外の空気が一斉に凍りつく。
そして次に口を開いたのはミヤビだった。
「おい! ジジイ!! 誰が魔物だって!!? 俺の友人に随分と言ったモノの良いようじゃねェか!!」
「い、いや・・・別にそう言った事では・・・・・・」
「なら、どう言った意味だ! ゴルァ!!」
ミヤビは早歩きで年寄りに近づくと、年寄りの胸倉を掴みあげて前後に揺さぶりつつ
互いの鼻頭をぶつけんとするような距離で怒鳴り散らし胸倉だけで相手を持ち上げた。
「ミ、ミヤビ・・・やめなよ・・・!」
「ユキ! こいつはなァ! お前の事を魔物だと疑ったんだぞ?! 悔しくないのか!!」
止めに入ると鬼のような形相で今度はこちらを見つめる。
流石にじゃれていたホイミスライムもミヤビの形相に恐れを為したのか
触手プレイを止め僕の後ろに素早い動きで後ろに隠れた。
「確かに悔しいけど・・・その人、一応助けてくれた人なんだからあまり暴力は・・・。」
「・・・チッ・・・・・・分かったよ。ジジイ、ユキに感謝するんだな。」
なんとかミヤビをなだめることに成功したようだ。
ミヤビは年寄りから手を放し再び扉付近の壁に寄り掛かった。
「・・・ゲホッゲホッ・・・・・・す、すまなかった少女よ。」
「良いんです。気にしていないので・・・。」
急にミヤビから胸倉を放された年寄りは、尻餅をついた後 僕に謝罪をしてきた。
それに対し別に気にしてない事を伝えベッド上から降りるとミヤビの元に行き、
少し今後について話会おうとした。一方年寄りはと言うと、用事を思い出したと言い残し
この部屋の扉から急ぎ足で退出をした。
「ミヤビ・・・。」
「ケッ」
「この子なんだけどさ。」
「え? あ。そっちか。どうした?」
どうやらミヤビは年寄りの件で何かを言われると身構えていたようだが、
聞かれた内容は他の話題で拍子抜けしたような顔をしていた。
「悪さもしないようなら、魔王退治に連れて行っても良いかな?」
「・・・・・・別に良いんじゃないか? 一般の魔物が魔王を討伐するなんて聞いた事ないし
討伐したら、それもそれで面白そうだし。ただ同行するかどうかはホイミスライムに
聞いてからだな。」
「うん、そうだね。
ホイミスライム・・・これから、僕達は魔王討伐に向かうんだけど一緒に来る?」
「・・・・・・♪」
ホイミスライムが浮いている方に振り返り魔王討伐同行について聞いてみると
答えはすぐに返ってきた。肯定のようだ。
ホイミスライムはクルクルと回り再びじゃれてついてきた。
「答えはYesみたいだな・・・。」
「えっと、じゃあよろしくね。ホイミン。」
「・・・・・・♪」
「え?・・・ホイミン?」
「ホイミスライムじゃ呼びにくいから、ホイミン良いでしょ?」
「・・・・・・♪」
「ほら良いって。」
ホイミンは楽しそうにクルクルクルと回って、今度は触手で
胸部と突起部をフニフニと巻き付き触り始めてきた。
「・・・ミヤビ?」
「・・・なんだ。」
「ホイミン、すっごい上手いんだけど。」
「R-18タグが付くぞ。」
「そうだねっ・・・♥♥んっ・・・♥」
「はぁ・・・。」