異世界。魔王。討伐。   作:カロライナ

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第7説‐竜巻。ロマリア。視線。

 

祠の宿屋で一泊し、日が昇る頃、僕達は旅の扉前に来ていた。

一昔前はここも今のようには綺麗に舗装されておらず、魔物が飛び出してくるような

危険な道のりだったらしいのだが、今では一変魔物は出ない床に穴は開いていない、

案内板まで設置されていると言う随分 人間に配慮されている旅の扉に繋がる洞窟と

なったらしい。因みに魔物が出ないと言うのは1階、地下1階だけの話でその下の階に

行けば昔洞窟に住んでいたと言われる魔物たちと出会い戦うことが可能のようだが、だが

僕達にその魔物と戦っても利点はホイミンのLevel上げ程度の利点しかないのでスルーを

決め込むことにした。道中、ホイミンが触手プレイの強要をしてきたがスケベェって呼ぶ

と軽く脅しをかけると“洞窟内では”セクハラに近い触手プレイを一切行わなくなった。

 

 

「これが旅の扉かぁ・・・。」

 

 

目の前に青く竜巻状のくぼみが見える。

看板にはこの中に飛び込むように入ればいいと書いてあるが・・・

 

 

「飛び込む気には・・・なれねぇなぁ・・・。」

「飛び込んだ途端に体が細切れになって、血しぶきだけが飛び散りそうだよね・・・。」

「分かる・・・。」

「しょうがねぇ、俺が先に飛び込んで安全確認してしきてやるよ」

「いや、ミヤビ。僕が行くよ。」

「いや。俺が」

「僕が」

「俺が」

「・・・・・・。」オロオロ

 

 

“俺が”の復唱にホイミンがオロオロし始める。ホイミンはオロオロするばかりで

触手を上げて自分が行こうとはしないようだ。

 

 

「ダメだなぁ・・・ホイミンは。」

「・・・?!」

 

 

僕の言葉にホイミンが驚き、硬直する。

 

 

「ホイミンいいか? こういう“俺が”コールが連続して続いたら自分も手を上げないと。」

「・・・・・・!?!?」

 

 

さらにミヤビにもタタミをかけられて再び硬直する。

 

 

「それで上げたら、僕達が“どうぞ、どうぞ”ってするから“なんでやねんっ”と

 ゲッツ☆のポーズを取りながらツッコミを入れないと。」

「まぁ、ホイミンはこっちのネタは知らないからな。ゆっくり覚えていけばいいさ。」

「・・・・・・。」

「さて・・・本気で、どうしよう・・・飛び込むか。レーベまで戻るのか。」

 

 

真剣な眼差しでミヤビを見る。ミヤビも真剣な眼差しで口を開き言った。

 

 

「飛び込む。ただし、3人同時でな。」

「・・・・・・!」

「ホイミン、嫌だったら自分の住処に帰っても良いんだぜ?」

 

 

ミヤビの言葉に対してホイミンは、僕の身体にキツク触手を巻き付け

否定的な反応を見せつけ始めた。ちょっと締め付けが気持ちいいのが悔しい。

 

 

「ユキ。」

「それじゃ、せーのっ!! で飛び込む・・・良いかな?」

「あいよ。」

「・・・・・・。」

 

 

息を整え、互いの身体を密着させていつでも飛び込むことが出来るような準備を

整える。そして飛び込む位置を再度確認しアイコンタクトを取って準備完了の知らせを

教え合う。

 

 

『・・・せーのっ!!』

 

 

青い竜巻状に飛び込むと、目の前の視界が都市伝説に出てくるようなクネクネの如く

左右に歪み 先ほどまで見えていた場所から別の場所が目先に映り出してきた。

完全に視界が安定して見えるようになった頃、ミヤビがまず最初に

新たなる新天地の地面を踏みしめ周囲の安全を確認する。

 

 

「うわぁぉ・・・これが・・・・・・ワープ。周囲に敵なし。」

「・・・ミヤビ・・・気分、だいじょうぶ?」

「大丈夫~♪ だいじょぶ~♪×2」

「・・・・・・♪ ・・・・・・♪」

 

 

ノリノリなテンションを見ると其れなりにミヤビとホイミン“は”大丈夫なようだ。

僕は出来れば二度と乗りたくない。別の場所へ移る瞬間、ジェットコースターに乗って

下り坂の時に時折感じる浮遊感が全身で感じ取った。なんというか・・・気分が悪い。

 

 

「さてと、案内板を見ると・・・今はここだな。」

「・・・・・・。」

 

 

ミヤビとホイミンが地図を確認して、それぞれの地図に一つずつ丁寧にボールペンで

書き込みを行っていく。僕はと言うと・・・気分が悪くて壁に寄り掛かって酔いが覚めるのを

ただひたすらに待っていた。

 

 

「ユキ。大丈夫か?」

「・・・・・・ちょっと、不味いかも・・・。」

「近くに城があるらしいから、そこまで頑張ろう・・・な?」

「うん・・・。」

 

 

手を差し伸べられ、それに捕まって立ち上がりそのまま肩に寄り掛かった。

ホイミンが何やら恨めしそうな目でミヤビの顔を見ていたが、

ミヤビはそれを気にした様子もなく僕を引き上げる体を密着させ

体に寄りかからせるような形で、もたれ掛けさせてくれ正面の出口から出た。

祠を出るとすぐ目の前に城と城下町が建っており、僕達の後ろ側には海が広がっていた。

 

 

「探索したいが・・・ユキがこんなだし・・・一旦正面の城に向かうかぁ・・・」

「ミヤビ・・・ごめん。」

「・・・・・・・・・。」ナデナデ

「ありがと・・・ホイミン。大丈夫・・・。」

「・・・・・・♪」

 

 

一旦立ち止まり、少し下の方にズレた僕の事を引き上げなおすと城の方へ歩み始めた。

辛そうな僕の事を心配してか、ホイミンがフニフニと触手で背中や腹部を優しい力

加減で摩ってきた。感謝の気持ちを伝えると今度は顔に触手を巻き付け始める

ひっぺり剥がす頃には、僕たちは城の目の前まで来ていた。

道中、特に魔物とも出会う事もなく何事もなかったかのように城下町にすんなりと

入ることが出来た。ふと入口の傍らに目をやると看板が立っておりアリアハンと

同じように“ようこそ、ロマリア”へと書かれており、アリアハンと少し違う点と言えば

城下町の入り口に衛兵が2人立って居ることぐらいか。

 

 

「・・・・・・・・・?」

「・・・・・・・・・。」

 

 

なにやら、衛兵2人はコソコソとこちらを見ながら何か内緒話を行っている。アリアハンから

勇者についての伝達が来ており、その勇者と似てつかない身形をしていることに驚いているのだろうか? とにかくチラチラと時折こちらに視線を向けながら何かを話している。

半分引きずられるような恰好のまま町の中を彷徨い、大勢の民衆から興味と怯えたような目で見られつつも何とか宿屋までたどり着くことができた。

 

 

「すまねぇ! 至急、3人泊まれる部屋はあるか?!」

「は、はひぃ」

 

 

ミヤビが手で扉を開けずに思いっきり足で蹴り開ける。

ミヤビの大きな声と扉が急に開く音に驚いたのか、

カウンターの奥から宿屋の主人とみられる小太りの中年男性が現れた。

 

 

「え、えぇと・・・3名様です・・・ひぃっ!」

 

 

うすべ笑い作りつつも客対応を行う宿屋の主人。

だが、部屋の確認が終わりこちらを見るために顔を上げた瞬間情けない声を上げ、その場に尻餅をついた。不思議な顔をしてミヤビの方を確認してみると、鬼のような顔をして

その宿屋の主人を睨みつけていた。

 

 

「あ゙ぁん? テメェ、お客様に向かって何が『ひぃっ』だ!! それで、泊まれるのか?!

 泊まれねぇのか?!」

 

 

ミヤビがカウンターから身を乗り出して宿屋の主人に対して怒鳴り散らす。

まぁ、気持ちは分からなくないけどさ・・・ちょっと、怖いです。

 

 

「泊まれます! 泊まれます!! だ、だから、殺さないでください!!」

「流石に、そこまではしねぇよ。ほら、宿泊代。」

 

 

袋の中から硬貨を取り出すと、その硬貨をカウンターに置き部屋に向かって行った。

部屋に向かう途中、僅かなアンモニア臭がしたのでふとカウンターの奥へ目をやると

尻餅をついたまま、情けなく尿を漏らしつつ後さずりをしながら奥へ消えていく宿屋の

主人が居た。

部屋に入るとまず、僕をベッドに座れるように誘導行動を行ってくれた。

フカフカとまでは行かなくとも柔らかいベッドの上に腰が少し沈みこんだ。

 

 

「気分はどうだ? ユキ。」

「あ・・・うん。さっきよりも良いかな。」

「そいつは良かった。」

「・・・・・・♪」

「さてと・・・俺は少し情報収集と必要物品をそろえてくるから雪とホイミンはここで

 待っていてくれ。」

「・・・・・・。」

「分かった。」

 

 

ミヤビは自分の道具袋を背負いなおすと、背中姿で片手を振りながら部屋から出て行った。

 

 

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

 

 

ホイミンと二人っきりになり、お互いに顔を見つめ合う。

 

 

「えっと・・・ホイミン。」

「・・・・・・?」

「自己紹介したっけ。僕の名前はユキだよ。よろしくね。」

「・・・・・・♪」

 

 

ここでホイミン恒例のセクハラボディタッチ。不思議と嫌な感覚はしない。

 

 

「ははは・・・本当にホイミンはボディタッチが好きだね・・・。」

「・・・・・・♪」

 

 

ここで、肯定の舞。沢山ある触手を器用に使い人の各部位を撫でまわしていく。

一歩踏み間違えたらR-18禁タグが付きそうだが、その時はその時だ。上手くカット等を

使って切り抜ければ・・・

 

 

 

 

 

 

 


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