子供達の戦争   作:秋月雪風

10 / 20
第十話(大和突撃)

シーネス基地空襲から1時間後

 

イギリス ロンドン臨時滑走路

 

英国兵士「ご苦労様です」

 

雫「そちらこそお疲れ様です。早速ですが皇帝陛下のところまで・・・」

 

英国兵士「こちらです」

 

雫とラングルは兵士の後をついていった。

 

英国兵士「陛下、アメリカより使者が参られております」

 

???「・・・通してください」

 

英国兵士「はっ」

 

兵士は大きめの扉を両方開けると道を空けた。

 

英国兵士「どうぞ」

 

雫「ありがとうございます」

 

ラングル「どうも」

 

2人が部屋の中に入ると後ろの扉が閉まった。

 

ラングル「初めまして、エリザベス3世皇帝陛下。アメリカ海軍航空隊所属、ラングル・ジョンソン空軍中佐と申します」

 

エリザベス「初めまして。・・・あなたはアメリカ人ではないね?」

 

雫「は、はい。日本海軍艦隊航空団所属、咲凪雫海軍中佐と申します。よろしくお願いします」

 

エリザベス「よろしく。・・・先のシーネス空襲戦の報告は受けています。しかし、それではないですよね?」

 

雫「はっ。英国国民をできるだけ国外への脱出をと・・・」

 

ラングル「すでに我が合衆国の他にカナダ、メキシコ、さらには南米各国が避難民の受け入れを承認しています」

 

エリザベス「・・・しかし、そうなっては国の防衛が・・・」

 

雫「陛下!いつ核の雨が降ってくるか分からないのにそんなこと言えるんですか!核が来ればそれこそイギリスという国は消えます!しかし、国民、そしてそのトップの陛下が生きていればイギリスという国は残ります!」

 

エリザベス「・・・」

 

雫「・・・ここで決めてもらいます。本土を捨てるのは辛ですが、生きていればまた戻ってこれる時が訪れます」

 

エリザベス「・・・はぁ、すごいわね。こんな小さいのに・・・、分かりました。すぐに輸送船の手配を・・・」

 

ラングル「すでに各港に停泊させています。また政府専用機は用意できませんでしたがヘリを用意しました」

 

エリザベス「ありがとう。・・・衛兵」

 

衛兵「はっ!」

 

エリザベス「至急ラジオ放送の準備を。それと、アンダラス首相の他全議員に国外脱出の準備をさせて」

 

衛兵「はっ」

 

衛兵は返事をすると走って部屋を出た。

 

エリザベス「何日か、ここに滞在していってください。その間に準備を」

 

雫「はい!分かりました」

 

ラングル「私は、このことを合衆国へ報告してきます。失礼しました」

 

雫「わ、私も、し、失礼しました」

 

2人は慌てて部屋を出ていった。

 

一方その頃、日米連合艦隊はシーネスへ接近していた。

 

東矢「・・・シーネスミサイル基地の損害は?」

 

春奈「スパイによりますと、停電やミサイル用のエレベーターの破損により現在地下にある核ミサイルを発射できないようです。地上には通常のミサイルだけしかないです」

 

東矢「うーん、ミサイル発射能力まではダメだったか・・・」

 

春奈「そのようだね。半数は破損したものの、依然基地能力はあると」

 

東矢「幸谷。どう思う?」

 

幸谷「んー、そうだなー。これを囮として後ろから味方に撃ってもらうとかどうだ?」

 

春奈「それ、直接これでやった方が早いよー」

 

幸谷「うるせーなー」

 

康太郎「再び航空機による攻撃はどうですか?」

 

東矢「・・・春奈、未帰還機は?」

 

春奈「・・・13機・・・、うち、私達の方は5機・・・」

 

東矢「隊長の三雪も負傷してるんだ。おそらく向こうは迎撃機の準備もできてるから航空機は難しいな・・・」

 

康太郎「三雪さんの怪我はどのぐらいなんですか?」

 

東矢「医療班の報告だと右腕にミサイルの破片が刺さってるらしい。何日かは安静にしないとな」

 

康太郎「そうですか・・・」

 

東矢「・・・で、他にはないのか?」

 

春奈「やっぱりこれが突っ込んでやるしかなさそうだね」

 

東矢「そうだな・・・、よし、本艦以外は空母の護衛を、空母も引き続き航空機収容をさせて。本艦は突っ込む」

 

春奈「直掩艦も護衛に?」

 

東矢「うん」

 

春奈「分かった」

 

東矢「康太郎、最大戦速で突っ込むぞ」

 

康太郎「分かりました」

 

東矢「幸谷、全兵装の準備を」

 

幸谷「おうよ」

 

春奈「東矢、レギン大将から通信がきたよ」

 

東矢「レンギランな。なんて言ってるんだ?」

 

春奈「無茶するなよ、だそうだよ」

 

東矢「了解。・・・ふぅ、よし。総員戦闘配置!速力最大!」

 

康太郎「機関速力最大!」

 

幸谷「全門発射準備!」

 

春奈「雪風より通信!敵迎撃隊発進を確認!到着まで10分!数不明!」

 

東矢「対空戦闘用意!」

 

乗組員1「修理班配置よし!」

 

乗組員2「対空要員準備よし!」

 

乗組員3「全隔壁閉鎖完了!」

 

乗組員4「負傷兵離艦完了、響への収容開始」

 

東矢「進路このまま!」

 

大和は艦隊から離れると単艦でミサイル基地に向かった。

 

それから数分後、報告にあった迎撃隊が射程圏内に入った。

 

索敵員「敵機接近!すでにミサイルを発射したもよう!何機か離脱していきます!」

 

東矢「数は?」

 

索敵員「数20!ミサイル12!」

 

東矢「対空戦闘開始!」

 

幸谷「おうよ!対空ミサイルはミサイルへ、対空砲は敵機に攻撃!1機1発たりとも漏らすな!」

 

午前2時、対空戦闘が始まった。

 

幸谷が指示した通り、対空ミサイルはミサイルの迎撃をし、爆撃のため接近する敵機には強力な弾幕で対応した。

 

この対空戦では迎撃隊は大和にまともな攻撃を与えられず、逆に17機撃墜され壊滅、撤退していった。

 

しかし、さらに接近すると動かせるミサイル発射台から次々に対艦ミサイルが飛んできた。

 

索敵員「ミサイル接近!シーネスからだと思います!」

 

幸谷「対空戦闘!」

 

対空員「せ、戦闘長、ま、まだ冷却できてない砲もあり、十分な弾幕を張れません!」

 

幸谷「対空ミサイルは!」

 

対空員「現在装填中!」

 

幸谷「対空砲は冷却できてるやつから射撃開始!ミサイルは装填完了次第発射!」

 

先程の対空戦から時間が空いておらず、大和は対空砲の冷却ができていなかった。

 

そのためミサイルを完全に防ぎ切れなかった。

 

さらに、大和にもうひとつの脅威が襲いかかった。

 

ドイツ兵「見えたぞ。かなりの大物だ。砲撃用意!撃て!」

 

シーネス基地の沿岸部には対艦艇用に35㎝砲が6門、15㎝砲が10門配置されていた。

 

さらには砲撃のため側面を見せていたのでより被弾率が上がった。

 

乗組員1「左舷艦首被弾!6番速射砲大破!」

 

乗組員2「第2副砲にミサイルが直撃し砲撃不能!第3弾薬庫で火災発生!」

 

東矢「っ、被害報告をまとめろ!」

 

春奈「第2副砲損傷、左舷対空砲損失率3割以上、第3、第5弾薬庫火災発生、第1機関室浸水!」

 

東矢「幸谷、砲撃準備は!」

 

幸谷「あとちょっとだ!・・・よし、主砲調整よし!副砲1、4、5番よし!」

 

東矢「弾種は!」

 

幸谷「JU弾だ!基地は跡形もなく消えるだろうよ!」

 

東矢「よし、撃て!」

 

幸谷「撃てー!」

 

JU弾とは、日本とアメリカが共同で開発した対地用の気化弾のこと。

 

駆逐艦クラスの小口径でも地上目標に甚大な被害をだせるが、通常の榴弾などに比べ重量が3倍以上増し、それを無理やり撃つため砲塔自体にかなりの負荷がかかった。

 

春奈「っ!す、すごい音・・・」

 

幸谷「そりゃ普通のガラスを衝撃波で割るレベルだからな」

 

見張り員「着弾まで3、2、1、今!」

 

着弾した瞬間周囲の空は赤く点滅した。

 

そして着弾して少し経ってから爆発音ときのこ雲が上がった。

 

幸谷「・・・なあ、東矢。これ、ちぃとやりすぎたな・・・ハハハ・・・」

 

東矢「あ、ああ。よし、最大全速!急いで離れるぞ!」

 

康太郎「は、はい!全機関最大!」

 

東矢「康太郎!最大じゃない!オーバーランだ!」

 

康太郎「はぁ!?壊れますよ!?」

 

東矢「いいからやれ!」

 

康太郎「わ、分かりました・・・、主機関オーバーラン!」

 

機関員「了解!・・・えっ?オーバーラン?・・・了解です!」

 

東矢「急げ!」

 

康太郎「今圧力どのぐらい?もっと上げて!」

 

機関員「現在150パーセントです!機関温度2800度!これ以上だすと臨界点に達して爆発します!」

 

東矢「速力は?」

 

康太郎「現在42ノット!」

 

春奈「安全圏に入った!」

 

康太郎「機関緊急停止!主機関冷却開始!補助機関始動!」

 

幸谷「お、おい。三番砲塔警報出てるぞ。なにが起きてる」

 

戦闘員「こ、こちら三番砲室!弾薬庫が融解しています!砲塔も融解が!」

 

幸谷「全力で水を撒け!弾薬を移動させろ!」

 

東矢「総員艦内の冷却開始!融解部分を優先しろ!損傷」

 

春奈「飛行格納庫融解!火災発生!」

 

乗組員1「左舷後方通路融解!浸水発生!」

 

見張り員「前方より友軍接近!」

 

東矢「なんとか着いたか・・・」

 

午前6時、大和はなんとか艦隊合流地点に着いた。

 

しかし、脅威はまだ残っていた・・・。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。