子供達の戦争   作:秋月雪風

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第十二話(中露方面戦線)

2060年3月トルコ、ロシア派によって陥落

 

2060年5月サウジアラビア、ウクライナ派によって陥落

 

2061年8月第2次大西洋海戦勃発、アメリカ海軍が勝利。

 

2062年9月第5次オホーツク海海戦勃発、日本は北方四島の防衛に成功する。

 

そして、2063年1月10日

 

秋風島秘密基地

 

貞夫「おー、東矢。元気そうだな」

 

東矢「はっ、貞夫さんも元気そうで。今年で76ですよね?」

 

貞夫「ははは。100まで倒れんよ。っ、村中も一緒か!」

 

村中「ええ、お久しぶりです。閣下」

 

貞夫「いやー、お前らが無事生きててよかった!ささっ、中で飲もう!」

 

東矢「俺はまだ18ですよ?」

 

貞夫「分かってらぁ!はっはっはっ!」

 

3人は笑いながら部屋に入っていった。

 

貞夫「・・・ふぅ、さてと、本題に入るか。お前ら、どうだ?」

 

村中「自分は先の海戦のおかげで少将になりました」

 

貞夫「そうか。東矢は?」

 

東矢「はい。ソロモンで3度ほど中国艦隊を撃退しました」

 

貞夫「今は響か?」

 

東矢「はい。潮と雪風を率いて作戦をしています」

 

貞夫「他は?」

 

東矢「今は各艦隊はバラバラです。潜水艦隊はオホーツク海に、支援艦隊はアメリカ東海岸の防衛に出ています」

 

貞夫「となると娘はアメリカか」

 

東矢「は、はい・・・。幸谷、康太郎も別任務へ、春奈は入院中です」

 

村中「・・・そうか・・・」

 

貞夫「階級は?」

 

東矢「今は少佐です」

 

貞夫「・・・村中、どう思う?」

 

村中「自分はいいかと。報告を見ましたがかなりの戦果をあげています」

 

貞夫「村中。報告より目だ」

 

村中「そうでしたな。1度演習で見ましたがかなり動きが変わっていました。大尉だったころの閣下見たいに」

 

貞夫「・・・よし、分かった。お前ら、着いてこい」

 

貞夫はそう言って部屋を出た。

 

その後を2人が続いた。

 

そして、ドックに着いた貞夫は近くのレバーを下ろし照明を点けた。

 

そこには大型艦があった。

 

村中「これは・・・またでかい艦を・・・」

 

東矢「これって、あの計画の・・・」

 

貞夫「・・・戦艦、ひのもと」

 

東矢「すごい・・・これを、俺にですか?」

 

貞夫「そうだ。どうだ?すごいだろ。」

 

東矢「はい。これは・・・すごいです」

 

戦艦日ノ本は全長460m、排水量200,000tの大型戦艦だ。

 

主砲には50㎝三連装を搭載、艦載機もV字飛行甲板があり、格納庫も大型化したため戦闘機を18機搭載できる。

 

東矢「・・・咲凪がいたら・・・」

 

村中「・・・あの海戦から三年経ったが、未だ行方不明だ。海に墜ちたか、はたまた核の雨で・・・」

 

本来、咲凪とラングルはイギリスから離陸した後、輸送船団の護衛をしている瑞鶴へ着艦する予定だった。

 

しかし、あの日2機は、瑞鶴上空には現れなかった。

 

当初は捜索隊が作られたが、1年後には捜索は打ち切られ、行方不明のままだった。

 

貞夫「・・・ま、中を案内しよう」

 

東矢「はい・・・」

 

3人は日ノ本に入っていった。

 

日ノ本に入った3人はまず艦橋に上がった。

 

東矢「・・・これは、かなりコンパクトに納められてますね・・・」

 

貞夫「艦橋クルーは変わらないだろ?余分な椅子はどけといた。いつも空いてるのは・・・あそこの3つぐらいかな。その分、安全性と快適性を上げたぞ」

 

村中「相変わらず・・・そこ重視ですね・・・」

 

東矢「・・・主砲は、レールガンですか?」

 

貞夫「ああ。大和よりも3割ほど威力が上がっている。副砲は20㎝にして火力面を上げてある」

 

村中「っ、閣下、主砲の上にも対空砲を?」

 

貞夫「ああ。40㎜ガトリング砲だ。射程は2.5キロ、砲身は10個、発射レートは毎分1200発だ!それを2番3番、第2第3第5第6副砲に1基ずつ配置した」

 

村中「・・・どこかから電ノコの音が聞こえてきそうだ」

 

貞夫「おっと。某機関銃の話はやめようか」

 

東矢「ははは・・・。ということは機関も変わっているのですか?」

 

貞夫「いや変えてない。大和の頃は余剰電力が多かったから威力を上げたんだ。これでもまだ余剰電力はあるけど」

 

東矢「なるほど」

 

貞夫「じゃ、次は主砲室に案内しよう。ついてこい」

 

東矢、村中「はい」

 

その後3人は1番主砲室、右舷対空砲群、機関室を周り最後に格納庫に着いた。

 

東矢「・・・広い・・・」

 

貞夫「V字飛行甲板に2基のカタパルトを搭載している。艦載機数は戦闘機だけで18機、ヘリも合わせると30機載せれるぞ」

 

村中「さ、30も!?護衛空母に匹敵する艦載能力だ・・・」

 

貞夫「ああそうだ。この艦のみで1個艦隊分の戦力を持っている」

 

???「それに私もいますしね」

 

聞き覚えのある声が格納庫に響いき、3人は振り返った。

 

雫「ふふっ、お久しぶりです」

 

村中「雫、お前・・・」

 

村中は雫に駆け寄ると雫に抱き付いた。

 

村中「ばか野郎!心配したんだぞ!!お前は、お前はいつも、ひょろっといなくなるから・・・」

 

雫「・・・お父さん、ごめんなさい・・・」

 

2人は泣きながら抱き合った。

 

そして少し落ち着いてから東矢達の方を向いた。

 

雫「東矢さん、お久しぶりです」

 

東矢「・・・ああ、久しぶり」

 

雫「その顔、3年間どうしたんだ?っていう顔ですね」

 

東矢「あ、ああ、それにその髪も・・・」

 

雫の髪が黒から青に変わっていた。

 

雫「イメチェン、ですかね。染めたんです。似合ってますか?」

 

東矢「うん、似合ってるよ」

 

雫「ふふっ、ありがとうございます」

 

東矢「それで、3年間どこに居たんだ?」

 

雫「アラスカです。あの日離陸寸前のところで機体が爆撃されてたので、輸送艦に乗ってアラスカまで。そこで支援を受けて、先月帰国しました」

 

東矢「ラングルさんは?」

 

雫「一緒に輸送艦に乗ってアラスカに。半年前に故郷のシアトルに帰りました」

 

東矢「なるほどな」

 

雫「・・・ふふっ」

 

東矢「?」

 

雫「見ないうちに変わりましたね。それで、いつ出港ですか?」

 

東矢「来週かな」

 

雫「了解です。少佐殿」

 

東矢「中佐に言われても嫌味にしか聞こえないな・・・」

 

雫「あ、私大佐になったので」

 

東矢「えぇ・・・」


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