いけす   作:moon

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トライア版深夜の真剣お絵描き60分一本勝負

お題がお祭りということで、思いついた魔術師二人の会話が個人的に祭り状態だったので。文字でこっそり参加します。

 

 

眼鏡をかけた魔術師が前を歩く一人の男に声をかけた。

「ゼノン?ロゼッタの?」

片目を前髪で覆った男が歩を止めると、何か用かと言いながら振り返る。二人の魔術師の視線がぶつかった。

 

ああやはり、とレザードは言いながら繊細な手つきと中指で眼鏡を持ち上げた。

ゼノンの相手を訝しむフリをした目つきに隠したレザードを探る眼差し。 それに気付いたレザードは、自己紹介をしながら薄っすらと笑みを刷く。

「一度会ってみたかったのですよ」

ゼノンは無言でレザードを見たままだ。

 

「あの戦争を引きおこした人間をね

声を聞きながらゼノンはレザードが自分を試したのだと理解した。

不躾な言葉をあえて投げかけて反応を見る。よくあるやり方だが初対面の人間に対して失礼な挨拶だな、とゼノンは思った。

にたあ、とゼノンの口が開く。

「こんな人間ですよ」

だが魔術師らしい。

 

ご期待に添えましたか?続く言葉にレザードはゆっくりと顔を左右に振った。

「ただどのような方なのか見てみたかった、単なる一魔術師の好奇心ですよ」

「下世話な好奇心で身を滅ぼした例は、枚挙に暇がないかと」

「確かに。でも魔術師は好奇心を失ってしまえば、そこで試合終了です」

 

「ふふ、ですから『下世話』と言い添えたんですけど」

「手厳しいですね、全ての元凶は」

「生半可な気持ちで世界を手玉に取れませんよ」

「神も?」

「ああ、レザード。あなたは神を手玉に取りたいのですか」

ゼノンの言葉にレザードの身体がわずかに動く。

 

魔術師は己の欲望や知識に対する好奇心が進歩の原動力となる場合が多い。レザードの場合もそうだ。

大抵の事柄は秘して事を進めるだけに、他人の干渉を極端に嫌う。

「そうですね」

空を見上げながら珍しく相手の言葉を認めた。

眼鏡が光を反射したせいで、レザード感情をゼノンは窺い知る事が出来なかった。

 

神との同衾を渇望するか、とゼノンは思った。

自分も一瞬ではあるが、求めるのを手に入れた。だが、それは指の間から砂の様に零れ落ちて二度と戻らなかった。

ここまでの魔術師ならば手にする事は可能かもしれない。

しかし、そこから先は―――――

 

ゼノンはレザードと同じ空を見上げながら、両手で前髪を掻き上げる。

視力の残る片方と、奪われ灰色となったもう一方の双眸で天空を見た。

ゼノンは独り言をぽつりと落とした。

「そうなんですか」

二人の魔術師の視線の先にあるものは、余りにも眩しかった。

 

 

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絵は無理なので、文字でこっそり参加します。剣士という事で、蘇芳でいきます。

 

 

守りたいものを守っていないばかりか、切り捨てていたのだ。俺は。

彼女の死をきっかけに自分の中で根付いた疑惑は、とうとう晴れることはなかった。

死ぬ直前まで何を守っていたのか気づかなかった俺は、大馬鹿者だ。

 

自分自身をそして周りを無意識に裏切り続けていたのだ。 だが、最後の最後に目覚めたのは、そしてエインフェリアになったのは、僥倖だ。

今度こそ俺が守りたかったものが守れる。 そして再び、彼女と逢えた。

 

返り血を浴びて名前と同じ蘇芳色になった俺を、彼女の瞼が頑なに拒むのだ。これからも、ずっと。 たったそれだけの事がとてつもなく嬉しいのだ。

 

蘇芳の花言葉 「人のおだてに乗りやすい」「喜び」「質素」「エゴイズム」「裏切り」「不信仰」「疑惑」「目覚め」

 

 

 

余談 蘇芳はエロガッパ。勝負の最中このフレーズが頭の中をぐるぐる回っていたw

 

詩帆「蘇芳様は、エロガッパなのですか?」

蘇芳「否定はしない」

 

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お題「キス」 蘇芳と詩帆で。絵は無理なので字でこっそり参加します。

 

 

守りたいものを背に戦うのは、戦士の誉れであると同時に自分勝手な保護欲を満足させる。

利己主義的な考えだが、俺の偽りない心でもある。

戦いが終わり自嘲気味に小さく笑い、百鬼衆の証でもある面を外した。

背後から、歌う事を放棄した歌姫が俺の方にやって来る。

 

「蘇芳様…」

もう歌わないとはいえ、彼女のよく通る声の張のある豊かさは、灯りに引き寄せられる蛾の様にいとも簡単に他者を引き寄せる。

「何だ?」

本当に見えていないのか?と思うくらい器用に横まで歩いて来ると、詩帆は俺を見上げた。

 

「蘇芳様は、エロガッパなのですか?」

詩帆の問いに。

「否定はしない」

俺は動揺を隠しつつも即答した。迷ったら、負けだ。

 

男は誰もエロガッパだ。無口なグレイやエロとは無縁ですと言いたげな洵も例外ではない。 バドラックに至っては、もう(自主規制)

だが、誰がそんな言葉を詩帆に吹き込んだのか気になった。

「誰がそのような事を言っていたのだ?」

「ロウファ様です」

…意外な奴が釣れた。

 

どうやって詩帆にそんな言葉を吹き込んだのか、後でじっくり聞こう。

イケメン無罪?何だそれは。美味いのか?

ロウファの返答次第で、奴を締め上げなければならないな。ぐるぐると考えていると、蘇芳様と俺を心配そうに呼ぶ声がした。

 

「ああ、何でもない詩帆」

「でも…」

目に眩しい、その昔に狂歌を歌った白い喉笛。だがしかし、あんな真実を言ったのかと思うと、カワイイのだが憎くもある。

 

「詩帆…」

細い顎を掴んで持ち上げると白い喉笛が晒される。これは詩帆の武器であると同時に弱みでもある。

「す…ぉ……さ、ま」

苦しそうに俺を呼ぶ声が愛おしい。

この喉は狂った歌を歌ってはならないのだ。もう歌わなくてもいいのだ。

俺は詩帆の喉笛に口づけた後、かぷ、と軽く噛みついた。

 

詩帆から正気を奪うのは、詩帆によって狂わされるのは、後にも先にも俺だけでいい。

 

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「弓使い」だからジェイクリーナスで。絵は無理なので文字でいきます。

 

どんな命令だろうが俺は実行した。綺麗なだけじゃない、汚い仕事も後ろ暗い任務も。

全ては王の為、国の為、そして騎士となった俺を自慢の息子だと手放しで喜んでくれた父の為だ。

 

騎士の位を剥奪され臆病者の誹りを受けて、それでもクレルモンフェランに帰った俺を待っていたのは、体のいい口封じだった。

嘗て幾度か手に染めた「暗殺」。それで命を落とすとは何という皮肉なのか。

 

騎士でもない俺を殺す事など虫けらを踏み潰すようなものなのかも知れない。

実際踏み潰された。肉体は死んだが、俺の自尊心までも踏み潰す事は殺す事は、奴等には出来なかった。

 

明るいばかりではない、暗い任務も遂行できるか?奴等にそこまでの忠誠心があるか?

そうは思えない。だが俺は遂行した。まさに祖国に対する忠誠心こそが、命を落とす原因となったのだ。

俺を暗殺した奴等には逆立ちしても出来ない芸当だろうよ。

 

「臆病者」の存在が怖くて恐ろしい奴等こそが、「臆病者」なのだ。

騎士の位が奴等と同じ虚勢なのであれば、俺にそんなものは必要無い。

 

だが、生きていく上で地位とやらは無視出来ないのが現実だ。

…せめて父と母の残りの人生が穏やかであらんことを。

俺はもう祈ることしかできなくなってしまった。

 

一週間後、クレルモンフェランの片隅に住む一組の老夫婦がひっそりと息を引き取った事を、エインフェリアとなったジェイクリーナスは―――――知らない。

 

 

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