群れるトレーナー達   作:手ブレ写真家

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5月初投稿です。
キャラを立てるのは大変(今更)


トレセン学園逃走中

「あ、盛m──」

「ああすみません新海サン、また後デ」

 そう言うと盛本の姿はあっという間に見えなくなった。

 その直後、少し息を荒くした生徒会副会長の1人……エアグルーヴが現れた。

 また何かやらかしたな、と新海はすぐに察した。

「はぁ……はぁ……盛本を見なかったか!?」

「さっきすれ違ったけど……また何かあった?」

「まったく逃げ足の速い奴だ……実はな……」

 

遡ること数日。

「"女帝"サマが依頼とは珍しいですネ」

「花壇に害虫が発生したんだが有効な手立てがなくてな……」

「殺虫剤ならタキオンに頼んだ方が早いと思いますガ?」

「……花を変な色に光らせそうだから却下した」

「ふム……面白イ。引き受けましょウ」

(不安だ……)

 

「グルーヴにしてはらしくないね」

「私だってこんなことであいつの力を借りるのは癪だが他に策がなかったのも事実だ。実際、あいつのおかげで害虫を追い払うことはできたが……」

 エアグルーヴは窓の向こうを指す。

 その先には、目から謎の光線を放ちながら首を振るカカシのようなものがあった。

 顔が妙にリアルで不気味である。

「うわっ」

「見ての通り、ビジュアルが酷すぎる。怖がって花壇に近づかない生徒まで出る始末だ」

「そういうことね……あのバカは私の方でも探しておくから」

「頼むぞ」

 

 一方その頃、盛本の方はと言えば。

「ついでに不審者も追い払えていいと思ったんですがネ……」

 しれっと自身のトレーナー室に戻り、デスクワークをしていた。

 が、不意に悪寒がしたのでとっさに窓から逃げ出した。

「も~り~も~と~~~?……っていない!?」

 新海が盛本を捕まえようとしていたが、時すでに遅し。

 盛本光捕獲作戦という名の鬼ごっこが、ここに開始された。

 

 盛本という人物は、本当に逃げることに長けていた。

 現役で走るウマ娘を撒けるくらいには長けていた。

 それ故にかなりの人数が捜索に駆り出された。

 その中にはなぜかファインモーションのSPもいた。一般トレーナーを探す前に護衛しろ。

「こっちの男子トイレにはいない」「てか、盛本って性別どっちだ?」「知らん」

(女帝サマもいよいよご立腹というわけですカ)

 この絶望的とも思える状況で、当の盛本はいたって冷静だった。……ある人物の声を聞くまでは。

「え、これは何の騒ぎですか?」

「ああ桐生院さん、盛本さんがまた何かしでかしたとかで副会長さんがご立腹だそうです」

(桐生院サン……!?彼女が乗り出したら流石にまずいでス……)

 それもそのはず、盛本の同期でもある桐生院葵はウマ娘に匹敵する身体能力の持ち主。パルクールもこなすなど、特に身軽さには定評があった。

 そんな彼女に追われるとなれば、盛本にとってははっきり言ってピンチというほかない。

 ちなみに桐生院に事情を話しているのは岩間である。

「分かりました。私の方でも探してみます!」

「助かります」

(チィッッッ!!!!!)

 想定していた限りで最悪の状況に、内心で舌打ちをした。

(せめてこの場をやり過ごさなけれバ……)

 もっとも、桐生院はすぐに明後日の方向へ探しに向かったのだが。

 

「とりあえず助かりましタ……」

「おや?掃除用具入れとはありきたりな場所に隠れたものだねぇモルモット君」

「タキオン!?」

 少し油断したところでアグネスタキオンと鉢合わせる。今、この状況に限っては自身の担当すら危険に見えてきた。普段が安全とは言ってない

「すまないが……あのカカシの見た目は私としてもナシだ。だから大人しくお縄につきたまえよ」

「おのれアグネスタキオン、お前もカアアァァァッ!!!!!」

 どこかで聞いたようなセリフを残してダッシュする盛本。

 普段ならしない"お前"呼びをするあたり、相当追い詰められていることが分かる。

 タキオンもすぐさま、余裕の表情で追いかける。

「"鬼"は沢山いる……逃げ切れると思わないことだ。位置からするに、次の隠れ場所は3階の空き教室かな?」

「ッ!?」

「どれだけの時間を共にしてきたと思ってるんだい?君の行動パターンを予測するくらい容易いことさ」

 アグネスタキオンというウマ娘を甘く見ていた、と歯嚙みする盛本。しかし不運は終わらない。

「あ!見つけましたよ盛本トレーナー!」

 前方に桐生院が現れたのだ。挟み撃ちの状態である。

「かくなる上ハ……」

「おや、ようやく投降するのか……い!?」

 盛本は目にも止まらぬ速さで窓を開けると───"跳び上がった"。

 2人はあまりの出来事に対応できず、呆然としている。

 我に返った時には、すでに盛本の姿は見えなくなっていた。

「……私、追ってきます!」

「いくら桐生院君でも流石に外壁をよじ登るのは無謀だと思うぞ!?」

 

「これで振り出しに戻りましたネ……おヤ?」

 4階にある一室に着いた盛本の前方に見えたのは、やはり捜索に加わっているらしい理事長代理、もとい樫本理子。

 盛本にとっては幸いなことに、まだ盛本には気づいていないようだ。

 もっとも、仮に気づかれても彼女なら余裕で撒けるだろうと盛本は踏んでいたが。

 適当な場所に隠れようとしたところで、ドンガラガッシャアアン!!という音が響いた。

 その刹那、何故か樫本が盛本の方へ吹き飛ばされた。

 そして樫本の頭が盛本の鳩尾(みぞおち)を直撃。盛本は悶絶ののち、意識を手放した。

「盛本、4階で捕まったって」「誰が捕まえたの?」「理子ピン」「嘘でしょ……」

 

 場所は変わって、生徒会室。

「──ということだ。件のカカシについて、早急にビジュアルの改善を要求する」

「はイ……」

 最終的に鼻がゲーミング発光するモアイ像のようなデザインとなった。何故だ。




1ヶ月近く空いてしまった…
完成優先を心がけます。
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