夜、トレーナー6人はお好み焼き屋に集まっていた。
「今回は『祝・岩間ちゃん連続職質ゼロ2週間』ということで……」
「高田さん、今適当に考えましたね?当たってますけど……」
「というか岩間の旦那、それまでは2週間以内に職質されてたんでやすか?」
「トレーナーになってからしばらくは毎日1回2回どころでなくされていました」
「やよ……理事長が岩間ちゃんと初めて顔を合わせたとき、泡を吹いて倒れたって噂も聞いたね」
「事実無根も甚だしいですよ……実際のところ、『か、かかかかか歓迎ッ!』という感じで激しく動揺されていましたが」
「「え、それ初耳(でやすが)」」
「今日は食べるぞ~」
「ミヤちゃん、店員さんがすごい目でこっち見てる!」
「ウマ娘の『食べるぞ~』はシャレになりませんからネ……」
「私、これでも小食な方なんだけどなぁ」
「ウマ娘の基準で言われても困るんですガ」
「でもほら、オグリンとかスペちゃん、ライスちゃんとかと比べたら……」
「あの規格外三銃士と比べちゃいけない」
そんなこんなで注文に入る。無難な(?)注文が続く中、新海が口を開く。
店員の喉からごくり、と音がした。
「じゃあミックスの…"オグリ盛り・微"で」
(多いのか少ないのか分からない表現だね?)
店員は「そのぐらいなら想定内」という顔で小さく頷いた。
「「「「「「乾ぱ~い」」」」」」
「……さっきはツッコまなかったけど、なんでお好み焼き屋にロイヤルビタージュースがあるの?そしてサキちゃんはなんで涼しい顔でグビグビいってるの?」
新海は現役時代を思い出し、少しやる気が下がっていた。
「お待たせしました、ミックスのオグリ盛り・微です」
見れば、山盛りの材料があった。
「……野菜マシマシ絡めマシ油スクナメニンニクですかい?」
とりあえず広げると、鉄板1枚を埋め尽くすほどになった。
「「………………」」
「……ゴメン」
中西と盛本はチベットスナギツネのような目で新海を見つめていた。
「…ヒト息子組は慎ましく焼こうか」
「「そうで(や)すね」」
「最近、担当の子たちとか調子どう?」
「あっしの方はいつも通りでやすね」
「美浦寮でデスソース取り違え事件が起きて…混入した弁当を食べた私も、後始末に追われたアマ姐も絶不調でした」
「恐らくそれででしょうか…ライスさんも調子は思わしくなかったですね」
「私もいつも通り、トレーニングに時々実験でしタ」
「今度はどんな薬を飲まされたんですか?」
「手首から頑丈な糸が出ましタ。3分で効果は切れましたガ」
「それなんてアメコミ?」
「そういう高田さんはどうなんですか?」
そう中西が尋ねると、酒の勢いもあるのだろうが、高田は年甲斐もなくにやけだした。
嫌悪感を表に出すことはほとんどない岩間ですら「うわっ」という表情を見せる。
「この前家族とチームの皆でBBQしたんだけどね、チームメンバーの一人――誰かは伏せるけど――とウチの三男坊がさぁ…なんかイイ感じになってたんだよね~」
「三男くんって今おいくつでしたっけ?」
「今高2、17だね」
細貝や中西は「ヒューヒュー」などと囃し立てる。
トレセン学園内に同年代の男子がまずいない以上、そうなるのも無理はないのかもしれない。
「パパラッチとかが寄ってきたときは…岩間ちゃん、お願いね?」
「はい!?」
「流石に冗談だよ~」
(((((その割には「人の恋路を邪魔する奴は牛に蹴られて死んじまえ」って目をしてたような…)))))
さらに時間が経ち、全員の腹が満たされていた。
「じゃあ、そろそろお開きにしようか…中西ちゃん、ホントに大丈夫?」
中西はあからさまに飲みすぎていた。
「だいじょぶですよぉ」
「うん、大丈夫じゃないね?新海ちゃん、申し訳ないけど送ってってくれるかな?」
「分かりました。…細貝さん(ウワバミ)のペースを真似しちゃダメだよサキちゃん」
「気をつけますぅ……」
「それじゃ、今日はこれで解散!」
「「「「「お疲れ様でした~」」」」」
翌朝、中西の部屋。
「うぅ…昨夜の途中から記憶がない…頭痛い…」
頭を押さえながら、彼女は上半身を起こした。
そして、横を見て、固まる。
「えぇ……何これ」
ナーバスタマちゃんと化して眠るタマモクロスがいた。
その直後、タマモがむくりと起き上がって一言。
「トレーナー……しばらく禁酒や。あれはアカンて」
「え、タマちゃん!?どういうこと!?」
「スマン、ウチの口からはよう言われへんわ。言うたら恥ずかしさで死んでまうで」
「教えてよー!!」
ということで、何気に初めての6人全員集合でした。
高田Tの三男については…また何らかの形で書くかもしれません。