(今回に限っては)あれは嘘だ。
ちなみに作者は釣りはほんの数回しか経験ないです。変な所だらけなのはご愛嬌。
唐突だが、高田の趣味は釣りである。
普段、トレセン学園では非常に賑やかな環境にいるためか、休日は反対に静かな時間を過ごすことも多い。
いつも行っている堤防で釣り糸を垂らしていると、同じく釣りが趣味であるセイウンスカイがやって来た。
ちなみに担当トレーナーは高田ではない。
「おや?高田さんじゃないですか」
「あぁ、スカイちゃんか。奇遇だね」
「今気づきましたけど……ものすごく釣れてますねー」
「ほとんどアジだけどね。今なら結構いい釣果あがるんじゃない?よかったらこれ使いなよ」
「そうですねぇ……。それじゃ一本だけ頂きましょうかなっと……」
高田から餌を受け取り、隣に座り込むスカイ。
そして餌を付け終わると同時に釣り針を放つ。
水面に浮かび上がる浮きの動きを見てしばらく待つと、スカイの竿に動きがあった。
アジにしては引きが強い。
「おっ!来ました来ました!」
なんとか魚との格闘を制し、抵抗が弱まったところで一気に引き上げると、銀色に輝く細長い魚の姿があった。
「タチウオか!針外すからちょっと待ってて」
高田は手際よく針を外し、スカイが持ってきていた大き目のバケツに入れる。
「ありがとうございます」
「いいよこれくらい。しかしまさかその仕掛けでくるとはね」
「いやーまぁたまたまというか、たまにはこんなこともありますよー」
ない。
「それもそうだね。さて、僕もこれからだな」
凪。
先ほどのタチウオ以降そう頻繫にヒットするわけもなく、2本の竿は静かだった。
「平和だねぇ……」
「本当ですよー」
2人は顔を見合わせてふぅっとため息をつく。
ただただ時間がゆっくりと過ぎてゆく感覚に浸りながら、穏やかな海と空を眺める2人。
「聞いてくださいよ高田さーん」
「突然どうしたスカイちゃん」
スカイが話を続けようとすると、突如腹が鳴った。時計を見ると、12時を過ぎていた。
「あはは……お昼にしようか。ちょうど、タチウオもあるからさ」
そう言うと、高田はどこからともなくナイフなどの調理器具を取り出し、手際よくタチウオを捌いていく。
あっという間にタチウオの塩焼きが完成した。ついでにアジフライも仕上がった。
「お待たせ。できたよ」
スカイはそれを美味しそうに頬張る。
(うまうま♪)
その様子を横目で見ていた高田も料理を食べ始めるのであった。
──午後1時頃、堤防。
「しかし、高田さん料理上手いんですね~」
「トレーナー歴より釣り歴が長いからね。一人暮らししてた頃は魚がいいタンパク源だったよ」
「なるほど……そういえばさっき言いそびれたk」
皆まで言い終わる前に、今度は高田の竿に大きいアタリがあった。
なんとか2人がかりで引き上げると……
「うわ!?なんですかこれ!?」
「これは……」
どう見ても"生きた化石"シーラカンスであった。もちろん、日本で釣れることはまずない。
無言でそのままリリース。
「……帰ろうか!」
「そうですね!」
全力で見なかったことにした。スカイは結局、言おうとしたことが吹っ飛んだ。
その日のアジは一段と美味しかったとかそうでもないとか。
ウンスTの登場予定は今のところ未定…