そんなこんなで迎えた2月14日、月曜。
【高田の場合】
出勤前、妻に「今年はと・く・に楽しみにしてて!」と念を押されたのが少し引っかかっていた。
担当の1人であるゴールドシップがやけに大きい箱を台車でどこかに運んでいるのが見えたような気がするが、気のせいということにした。
……で、少しトイレに立ってトレーナー室に戻ってくると、いつの間にかさっきの大箱が鎮座していた。近くで見るとさらに大きい。
恐る恐る開けてみる。
「……僕、だよねコレ。こんなポーズした覚えないけど……」
「
「奥さんに感謝しとけよ~?あたしらも巻き込んでの大作だからな」
気づいたらゴルシが部屋をのぞき込んでいた。
「……昨日『釣りにでも行ってて』って言ってたのはそういうことだったかあ……」
担当が自分の知らないところで妻と手を組んでいたことも驚きだが、問題はそれだけではない。
「しかし、この量は……おじさんにはキツいよ」
とは言いつつも、せっかく丹精込めてくれたから、となんとか完食した高田は紛れもなく漢であった。
「……岩間ちゃんか桐生院ちゃんにダイエット方法聞いてみようかな」
【岩間とライスシャワーの場合】
昼休み、トレーナー室にて。
「おや、ライスさん、どうしました?」
「あのね、これ、お兄さまに作ったんだけど……」どこからともなく平べったい箱を取り出す。
「俺に、ですか。ありがとうございます。早速開けてみてもよろしいですか?」
「うん!」
中には「義」という字が書かれた、杯の形をしたチョコが入っていた。
鷹のような目をフクロウのように開き、ライスシャワーを見ると、右手に小さな杯(形のチョコ)を持っていた。
お互いよく分かっていないまま、とりあえず乾杯の仕草をし、チョコをかじる。
「ライスさん……誰かから何か言われませんでしたか?」
「えっと、細貝さんがね、杯を交わすのはどうかって……」
「なるほど……少し、すみません」
スマホを取り出し、細貝にLANEでメッセージを送る。
『後でお話ししたいことがあります』
【盛本とアグネスタキオンの場合】
盛本は研究室のドアを勢いよく開けて叫ぶ。
「さあタキオン、あのカカオ豆がここまで変身しましたヨ!!」
「ふぅン……いいモルモットを見つけたとは思ったが、これほどとはね」
「フフフ……早速ご賞味あレ」
「その前に。これを受け取ってくれたまえ」
「これは……何でしょウ?」
「何って……チョコレート以外にあるかい?いくら私だってバレンタインに感謝を伝えないほど非常識じゃないさ」
「これは失礼しましタ。では早速いただきましょウ」
一口、パクリ。盛本の左腕がムキムキになった。
「なるほど……左腕だけか。お、美味しい」
「私の謝罪を返してくれませんかネ!?」
【中西とタマモクロスの場合】
「タマちゃんハッピーバレンタイ~ン」と、中西はルー〇ックキューブくらいの箱を渡す。
「なんや、そない気ぃ遣わんでええのに……まあウチも用意してたんやけど」そう言って、スマホを2台重ねたくらいの箱を渡す。
「中身は……たこ焼き風!タマちゃんらしいね」
「こっちは……なんでゴリラなん!?てか顔ちょっと岩間トレーナーに寄せとるし!変なトコで凝りすぎやろ!?」
「こちらのホットミルクでどうぞ」
「これだけのモンを溶かすのもちょっと気ぃ引けるけどな」と言いつつ、牛乳にダイブ。
「I'll be back」
「いやチョコ戻っても困んねん。てか全然溶けへんなコイツ!?」
「そこはほら、ウマ娘の力で木っ端微塵に……」
「めっちゃ物騒なこと言うやん」
数分格闘の末、なんとか無事に食べ終わった。
「見た目アレなのになんで普通にうまいんや……」
【新海とヒシアマゾンの場合】
新海のトレーナー室の前に、大量のチョコが入った段ボール箱が2つ置かれていた。
その大半は盛本からだが、他にも何人か差し込んでいったらしい。
「確かに『私とアマ姐の分も』とは言ったけど……多くない?」
「タキオンのトレ公が持ってたカカオ、せいぜい5個くらい*1だっただろ?どう考えても多すぎないか?」
「だよねぇ……」
「とりあえず食えるだけ食い切って、あとは他の寮生とかトレーナーにあげればいいんじゃないか?トレ公もウマ娘だし、アタシら2人でもそれなりに減らせるはずだけどさ」
「そうだよね、うん。そうしようか」
「よし、タイマンだ!」
そう意気込んで食べ始めたものの……
「ダメだ……これ以上食ったら夕食が入らなくなる」
「私ももう無理……」
4割がた食べ終えたところで、2人ともギブアップした。
残ったチョコはその他トレーナー及び美浦寮の一同で美味しくいただきました。
【細貝の場合】
ライスに杯のことを吹き込んだ件で、岩間に懇々と説教された。
それを見たあるトレーナーによれば、「お兄さまというよりお父さんだった」そうな。
オチが難しい…!!
ストックが尽きたのでまた少し更新が空くかもです。